いきなりパチュンした俺は傷だらけの獅子に転生した |
第六十三話 不意打ちの代償
「見つけた!守護騎士達、覚悟しろ!」
「待たぬか、雷光!」
かなりの速度で空を駆け抜ける二つの光。
青色の魔力光を放つ少女はフェイトとよく似たバリアジャケット。デバイスを持っていた。
外観だと空色を有した髪。ライトピンクの瞳。
そして、フェイトよりもアリシアに近い性格というか元気がにじみ出ている少女だった。
そして、黒に近い濃い紫の魔力光を放つはやて似の少女は懸命に彼女を呼び止めようとその後ろを追う。
彼女ははやての茶色い髪とは違いやや銀に近い白の髪と水色の瞳。雰囲気は幼いながらも幾人ものの人間を従えさせるような風格と口調だった。が、雷光と称された少女が相手だとそれも見事に減算されていた。
「不意打ちアタアアアア…」
「待てというのが分からんのか雷光!」
守護騎士とその主。はやてを海鳴市の海の上で見つけた雷光は彼女達めがけてバルディッシュに似た鎌をその恐ろしく速い速度のまま振りかぶった。
ただし、大声をあげながら…。
「え、なに!?」
「っ!」
守護獣の耳と勘が働いたザフィーラと、補助専門の騎士でつい先ほど戦闘を終えたばかりなので警戒していたシャマルは突然の大声に驚いて、思わず雷光が飛んでくる方向に白い障壁と風の渦で出来た盾を張った。
「え?何か言った?おっぷうううううううう!?」
しかもタイミング悪く、雷光はようやく自分の後ろから声をかけている自分達のリーダーの声に気が付いた。その上、高速移動している最中後ろを振り向いた。
結果。
彼女はシャマルの張った風の渦に飲み込まれて真っ直ぐというよりも飛行進路をやや下に向けたれた。更にザフィーラの張った盾の障壁に勢いよく当たり、さらに下へと修正される。
ドッパアアアアンッッ!と、雷光と呼ばれていた少女が水柱をあげながら海に落ちた。
「な、なんや!?鳥でも飛んできたんか?」
「いえ、鳥ではなく人。…だったと思います」
「にしては、随分な速度で飛んできましたけど…。それに」
突然起こったことにはやては慌てていた。かくいう、知らない間に雷光を海に叩き落とした二人の騎士も困惑していた。
それからしばらくしてはやてに似た王と呼ばれた少女が来ると同時に海に落とされた少女が頭に巨大なたんこぶを作った状態で、ぷかぁ。と海面に浮かび上がってきた。
「…あれは。主はやて!?と、…テスタロッサ?」
「にしては間抜けすぎるだろ、あの格好」
「…雷光。お主という奴は」
シグナムとヴィータは目の前に現れたはやて似の少女を見て驚いたが、同時にフェイトに似た雷光がうつぶせの状態で海の上に浮いている状態を見てどう反応すればいいか困っていた。
そして、もう片方はというと。
ようやく追いついたかと思えば自分の相方は自爆して海の上でプカプカと浮いている状態を見て思わず額に手を当てる王。
「…えーと?私?」
「お前みたいな者と一緒にするな小烏。我はそこに浮いている者を従える王よ!」
「お前もあいつみたいに海に落ちるのか?」
「あ奴と一緒にするなチビ騎士が!」
「お前だってあたしとあんまり変わらねえじゃねえか!」
「ふん。予定は狂ったが仕方あるまい!お前達塵芥を消し飛ばして我等は更なる力を手に入れる!」
王の言葉にはやてと守護騎士達は警戒態勢に入る。
「ふん。主に似ているのはその姿だけか」
「はやてちゃんに似ている子を倒すのは忍びないけど…」
「我等、主はやての騎士。ヴォルケンリッター」
「はやてとはやての世界に危険を与えるようなものがあればぶっ潰す」
守護騎士達ははやてを守るように前に出て王と呼ばれた少女と対峙する。
五対一の状況なのに王は余裕の表情を崩さない。
「王たる我に刃向うか。部下になると言えば助けてやったものを…」
「やめた方がええで。ええっと、王様?いくらあんたが強くても私達五人相手に勝てるとは思っていないやろ」
「…そうだな。((五対一|・・・))なら、な。起きよ雷光!もう十分に回復したはずだ!」
王ははやて達と対峙しながら一つの作戦を立てていた。
というより、フェイトを元にした雷光のスピードと闇の書の欠片で強化された力で守護騎士とはやてを一か所にまとめた所に自分が放つ最大出力の砲撃をぶちかます。という作戦を立てていた。
先程、雷光の不意打ちは失敗に終わったものの自分がこうしてはやて達と話している間に彼女の回復を覗っていた。そして、十分に稼いだと判断し、雷光に再度不意打ちをするように命じた。
…のだが。
「………」
未だに海の上をプカプカと浮いている空色の髪の少女。
雷光の返事が無い。
打ち所が悪かったようだ。
「雷こおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおうっっ!」
だからお主は阿呆なのだ!
「え、えーと。とりあえず。あの王様は悪い人っぽいからみんなでブレイカーしようか?」
王の悲痛な叫びを見て、はやては頬を掻きながら指示を出す。
「なんでだろうな、とてもやるせねえよ」
「言うな、ヴィータ」
「とりあえず、あの雷光と呼ばれている子のリンカーコアを抜いておきますね?」
「…それが無難だろうな俺がシャマルを守っているから、ヴィータとシグナムは目の前の奴を抑えていてくれ」
守護騎士達も呆れと戸惑いを隠せない。
闇の書の欠片を統率しているだろう王でもさすがに歴戦の戦士である守護騎士達のコンビネーションを捌けるほど強いとは思えない。
「…終わらせはせん。まだ終わりはせんよ!」
「…いや〜、もう、詰みやろ。これ」
はやては王に無慈悲な現実を突きつけた。
王と称された少女と守護騎士が戦っている最中、リンカーコアを抜かれて、「むきゃあ」と上がった雷光の悲鳴で更にやるせなくなった守護騎士達とはやての姿があった。
初あとがき。
作者はいろいろとやらかしました。
でも、後悔はしていない。
前回ではごめんね。高志。主人公だから悲劇には耐えて。
今回はごめんね。王様と雷光。コメディーが書きたかったんだ。
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第六十三話 不意打ちの代償 | ||
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コメント | ||
アホっ娘。雷光へのコメントの愛が凄い!今回の事件ではこの子の出番は終わりですが…。後々また出てきますので…。このお話で十分に雷光を愛でていって(萌えて)ください。(たかB) 雷光……君のぶれないアホの子気質は我々に萌えを与える。 いつまでもそのままの君でいてくれ。まぁ大人バージョンになる機会があったらそれはそれで大変な事になりそうだがな!(孝(たか)) アホの子ぇ・・・(anngetuuteki) 雷光がいるだけで……強く生きるんだ王様。ここにはいないが星光……君がいくら頑張っても二人が絡むとシリアスは難しそうだwあっアリシアもシリアスブレイカーだったな^^:星光のオリジナルはシリアスにつきあってくれそうだけど。(Leccee) …強く生きろよ、雷光…(神薙) 何だろう……やるせない気がする。ていうかアホの子可愛いなぁ。(カケル) |
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