単一の幸福を求めて…第4話
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第4話 旅立ち

 

隣り邑の屋敷が大火事になった翌日、既に太陽は中天の空に昇っていた…

 

 

「いたっ!?痛いって母さん!」

 

「何言ってるの!こんなに怪我して…痛いに決まってるでしょ!」

 

「いや…そうじゃなくて…母さんが不器用「…何か言った?」ぎゃあぁぁぁっっ!?しみっ!染みる!?」

 

 

隣り邑から戻ってきた白斗は家に戻り、椅子に座って手当てを受けていた。

 

手当てをしている女性は白斗と同じく長い銀髪の髪をしていて、黒のチャイナドレスが良く似合っていた。

 

 

「まったく……一体なにをしてきたの?身体中傷だらけじゃない…」

 

 

そう言うと白斗の母、白里(ハクリ)は白斗の背中の傷を優しく撫でる。

 

 

言葉に困った白斗は『色々あってね…』と言って誤魔化した。

 

 

白里は白斗の正面に向き直り、白斗の頭を抱きしめる。

 

 

「かっ母さん!?」

 

 

「…あなたは私の大事な一人息子なんだから、お願いだからあまり心配させないで…」

 

 

「………ごめん」

 

白里の豊満な胸で息苦しさを感じながらも、白斗は母の思いを嬉しく思っていた。

 

 

 

タッ!タッ!タッ!…バタン!

 

 

「白斗〜!身体の調子は…ど…う」

 

 

勢いよく扉が開き、柚が家に入ってくる。

 

 

柚の目の前には上半身裸の白斗と豊満な胸に白斗の頭をすっぽり挟んで抱きしめる白里の姿。

 

「白里さ…え?…ちょっとまって!?…二人は親子で…でも…え?…」

 

 

二人の姿を見て混乱した柚はブツブツと何か呟いていた。

 

 

「はっ!?親子で一体何をしてるんですか!!」

 

「…お前こそいったい何を言ってるんだ?」

 

いきなり正気に戻った柚に白斗は冷静なツッコミをいれる。

 

「母さんも、いつまでも抱きしめてないでそろそろ離してくれ…」

 

白斗にそう言われた白里は『え〜』と言いながら白斗から離れる。

 

「まったく…柚も何を勘違いしてるか知らんが俺は母さんに傷の手当てをして貰ってただけだよ」

 

白斗はそう言うと立ち上がり、上着を手に取った。

 

「それで?どうしたんだよ?」

 

「え?何が?」

 

「…何がって、柚が訪ねてきたんだろ?」

 

「…ああ〜!そうだったね!」

 

白斗はあきれながらも柚の話しを聞く。

 

「白斗はこれからどうするの?あんな事しちゃった後だし、この邑にはもう居られないよ?」

 

「ああ、なんだその事か」

 

「なんだ…って結構大変な事だよ!?」

 

「俺、旅に出ようと思うんだ」

 

「「・・・えぇっ!?」」

 

驚きの声が二人分聞こえた。

 

「待って!白斗!母さん何も聞いてないわよ!?」

 

「今初めて言ったからね。実は俺、学問を勉強しようと思ってね」

 

「「学問?」」

 

またしても二人の声が重なる。

 

「ああ、ちょっと思う所があってね…俺は今まで剣術ばかりやってきたけど、剣術だけじゃダメだって気付いたんだ…だから…」

 

 

「私も行く!」

 

柚がいきなり声をあげる。

 

「私も一緒に学問勉強する!」

 

「柚が?」

 

「うん!」

 

柚の言葉に白斗が考える。

 

『確かに今の世の中じゃ学があるのと無いのじゃ雲泥の差があるな…』

 

「わかった、じゃあ柚も一緒に学問を勉強するか」

 

「うん!」

 

白斗がそう言うと、柚は嬉しそうに笑った。

「母さん、てな訳だから俺と柚は言ってくるよ」

 

「本当に行くの?」

 

「ああ…わかったんだ、俺の義を貫くのに必要なものが」

 

「そう…わかったわ、貴方は私の自慢の息子だものね…しっかりおやりなさい」

 

そう言うと白里は優しい顔で微笑んだ。

 

白斗はその顔を見て黙ってうなずいた。

 

 

「それでいつ出発するの?」

 

「そうだな…なるべく速い方がいいけど準備があるから…三日後だな」

 

 

そうして白斗と柚の二人は旅立ちの準備を進めて行った。

 

 

 

 

ーーーー三日後

 

 

旅立ちの準備を終えた白斗と柚の二人は見送りに来ている白里に向かって声をかける。

 

「道中、気をつけてね」

 

「はい!白里さん」

 

「ああ…そうだ母さん」

 

白斗は思い出したように自らの愛刀を取り出す。

 

「父さんの形見を預かって欲しいんだ」

 

白斗は父親から受け継いだ二振りの刀、干将と莫耶を白里に渡す。

 

「えっ?でも必要なんじゃないの?」

 

「俺はこれから学問を勉強しに行くんだ、武器は必要ないよ。それにもしもの時はこれがあるしね」

 

そう言って白斗は自分の拳を握って見せる。

 

「わかったわ、大切に預かっておくわね」

 

白里は抱きかかえるようにして白斗の刀を受け取る。

 

「頼むよ、ああ…それと俺の部屋に金が入った袋が置いてあるから好きに使っていいよ」

「あら?そうなの?わかったわ」

 

 

「それじゃ…行ってくるよ」

 

「白里さん!行ってきます」

 

「気をつけるのよ!いってらっしゃい!」

 

 

手を振る白里に見送られ、白斗と柚の二人は旅立っていった。

 

「二人共…頑張ってね」

 

邑の入口で白里は二人の姿が見えなくなるまで手を振り続けた…

 

 

 

 

「ところでこれから何処に行くの?」

 

邑から暫く歩いたところで柚が白斗に問い掛ける。

 

「邑の人から聞いたんだが、荊州に水鏡先生と言う人が私塾を開いているらしい、まずはそこに行こうと思う」

 

「ふ〜ん……ん?まずは?」

 

「ああ…そこは女学院らしくてな」

 

「女学院!?え?じゃあ白斗はどうするの!」

 

「そこに柚を預けて俺は別のところを探すさ」

 

「ええぇぇぇっ!?」

 

二人が歩く荒野に柚の驚く声が響きわたった…

 

 

あとがき

 

 

道を歩いてたら「徐行」という道路表示が、脳内変換で徐晃になりました…

 

末期かもしれません…

 

今回は作中で白斗の刀の名が出ましたが、実際のは刀ではなく剣らしいです。後日、成長した白斗のキャラ設定と共に刀の設定、白斗の戦闘術や戦術も詳しく書きます。

 

 

 

オリキャラ紹介 第3弾

 

徐夫人

真名 白里

 

白斗の母親、白斗と同じく銀髪で腰の辺りまである長髪が特長。胸は黄忠・厳顔並

服装は黒色のチャイナドレス。

 

家が貧しいながらも、持ち前の明るさで白斗を立派に育てあげた。

 

白斗の事は大好きだが、叱るときはきちんとと叱る肝っ玉お母さん。

 

 

 

さて次回…ははわ、あわわ軍師が登場?

 

またもやオリキャラ登場!?

 

 

そろそろキャラ分けが難しくなってきた今日この頃…

 

 

ではまた次回〜!

 

 

説明
真・恋姫無双の二次創作です。

主人公を始めオリキャラ多数、苦手な方は御遠慮下さい。



妄想モード継続中〜

この確変状態がいつまで続くものやら…

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コメント
学問を勉強しに行くから武器は必要ない?もしもの時は素手で戦う?……どんだけ傲慢なんだか。帰郷したら「罪なき役人を殺して金を奪った」ことで官軍に村々が焼き討ちされてなければいいですね。(ナック)
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