マブラヴ -少年のものがたり- 03 |
――――月詠 真那――――
私たち2人が戦場に出てから3週間がたった
この3週間での損耗は平均的なものではあったが
周りから見た評価はものすごく高い事が先日嵐山基地に戻ったときに知った
今回のBETAの数と侵攻速度はとても今の戦力で耐えられるものではなかった
しかしそれを3週間も持たせているのには理由がある
それは私の前で今までの戦術機ではできないような戦い方をして最前線で戦っている者のおかげであろう
「BETAの数が多くなった!今の戦力じゃあここで戦うのは得策じゃない、ここから8キロ後ろに谷があるからそこで戦おう。まずは戦車隊から後退だ!そのあとは補給が必要なものから下がれ!」
「「「了解!」」」
小隊単位で来るBETAの数が突如増えたことにより被害が出ると見たのか即座に後退することを宣言する
前の私ならば後退するよりもここでBETAを食い止めることを選ぶだろう
なぜならここでなら光線級の遮蔽物となるものが多いからだ、BETAの死骸も山積みになり壁になっている
しかもその壁には数体生きているBETAがいる
生きていると言っても脚は無く、腕もなかったりして瀕死のものばかりだが十分だ
奴らは味方誤射をしない、それを利用して壁を作ったのだ
これを提案したものあの蒼の武御雷に乗る少年の案だ
最初は何を?と思っていた者も多かったが、彼が救った者たちが率先してそれを行い壁を作った
そしてそれはすぐに結果を出した
それを知ってるからここでBETAを食い止めるべきだと思った
でもこの3週間後退することなんて何回もあった、だが我々は最初の防衛線から10キロも後退していない
行って戻っての繰り返しで戦っているのだ
ここは後退する場所の谷よりも開けている
谷は一度に侵攻してくるBETAの数も侵攻速度も遅くなる
それを駆け登って来た突撃級に滑空砲を当てて下に転げ落とすなんてことをして下にいるBETAの侵攻を阻ませそこから殲滅を行うなどの作戦もあった
<数が少なければ動きやすい方で良いけど数が多くなって密集地帯なのに動けない状態じゃ戦術機の意味がないよ>と彼は言った
そして谷にいち早く戦車隊を下がらせたのは谷での主力は戦術機ではなく戦車隊の大砲を持っている戦車だからだ
谷で戦術機が動きまわれば光線級の的でしかないからだ
先行してくる突撃級の上を行けば撃たれ、回り込んで行こうとすると山があり登れば高度が高くなり撃たれる
正面衝突での対決になるので突撃級を倒すのが早い戦車隊の大砲を持つ戦車が重要だから先に下がらせて準備をさせるのだ
「大将!戦車隊の後退が終わったぞ!」
大将……それは彼の愛称だ
最初はい青と赤の鬼神などいろいろあったが彼がそれは恥ずかしいと言ってなくなったが
名前も顔も見せない相手にどうすればいい?となっていたところを<助けてくれ大将!>と助けを求め、それを救ったのが彼だったのでそのまま大将となった
「よし!補給が必要なものと米軍の人たちは下がってくれ!」
「了解」「私たちもか?私たちは先ほど補給を済ませたばかりだ、他の部隊を後退させてくれ」
米軍の隊長の者からの提案だ、日本語を理解できて話せる隊長で助かっている
しかも階級は少佐だ、しかしその隊長もまた彼に助けてもらった者でもある
私もその案には賛成だ
部隊が生き残った者たちで構成された者たちを下がらせた方が良いと思う
「いや全員が後退する前にここにBETAは来る、そうなると接近戦になるが米軍は接近戦より砲撃の方が上手い、だから先に位置に行って俺たちが安心して後退できるように弾幕を張ってほしい」
「あぁ!任せておけ!」
頼られたことがうれしいのか笑顔のままで通信をきった
彼の階級が大尉だと言うことはこの戦場にいることは全員知っている
彼らの知るのは私が月詠 真那中尉だと言うことと蒼い武御雷に乗る彼は大尉である
これだけだ、これだけにも関わらず彼らは少年を”大将”と呼び命令に従い戦う
立場と階級を忘れて彼を信じて戦うのだ
「先行してくる突撃級を確認!数は100です!」
「100かぁ〜……脚を狙って時間を稼いで全機後退しよう、まだ使えようなコンテナが近くにあるなら後退ついでに持って行ってくれ」
その命令に従いコンテナを持って後退するもの、脚を攻撃して時間を稼ごうとするものたちが動き始める
「30秒後全員反転して後退しろ!戦車級の群れが隠れていた!突撃級よりも先に接触する!数が多いから後退して人数の少ないこの場じゃ無理だ!急げ!」
彼が急いで維指示をだし後退を急げと命じる
そして後退まで残り15秒というところで1機の戦術機に異常が起きた
ドカーン!と音をならして地面へと落ちている帝国軍カラーの撃震
跳躍ユニットから煙が出ていることからユニットの不備が出たのだろう
「その撃震の衛士!無事か!」
「無事です!でも……自分は置いて行ってください!」
自分の機体の状況を即座に判断したのか自分を置いて後退してくれと言い出す
「名前はなんだ!」
彼にしては珍しい怒った声で名前を聞く
「藤木 悠汰少尉であります!」
まだ若い
新任の衛士なのだろう
「藤木少尉!生きたいか!」
「それは……生きたいです」
「聞こえないぞ!もっと大きな声で言え!」
「生きたいです!」
「生きたいんだろう!なら俺にどうしてほしい!」
「俺は生きたいです!助けてください大将!」
ココに居る彼らには見えないだろうが私には見える少年の顔はニヤリと笑っていた気がする
「わかった!先にこの衛士のエレメントも全員後退しろ!」
「了解!」
「俺の相棒を助けてやってください大将」
墜落した撃震のエレメントなのだろう彼は目に涙を浮かべて願っていた
相棒を助けてくれと
「任せてくれ。藤木少尉立つんだ」
「わ、わかりました!」
倒れていた撃震はたつ
「跳躍ユニットも武器もすべてパージしろ!機体を軽くして走って後退するんだ!決して速度を落とさず、後ろを向かず!俺を信じて走ってくれ!」
「了解しました!」
先ほどと違い言葉に力がある返答を返す少尉
そして彼は彼の言葉通りパージをして走り始めた
「さて……月詠中尉、いや真那さん……頼りにしてますからね?」
「お任せを、彼を2キロ守ればいいのですね?」
「そうですよ」
ビービービー!と警報がなりBETAの接近を表記していた
戦車級だ、その数は300と言ったところだ
普段ならばいつも通り動けばなんら問題はない
しかし今回は主脚走行で逃げる少尉を守りながらなのだ
現に数で来るBETAに2機の砲撃だけで怯むわけがなく
少尉に追いつこうとしている
それを避けるために自分の戦術機を囮にして少尉の方へは行かせないようにする
これは彼もしているので戦車級は私たちを倒そうと来る
しかしここで先ほどの突撃級が接近してきているとセンサーが警報を鳴らす
「零時様!接敵まであと30秒!合流地点まではあと4キロあります!」
4キロの位置では戦車隊の援護は期待できない
「大丈夫!こんなときのために彼らを下がらせたんだ、きっと来てくれるよ」
その言葉と共に近づいてきていた突撃級が爆音とともに地面へと崩れ落ち
後ろに居た突撃級はそれに引っかかり他の突撃級にも被害をだす
しかしそれだけでBETAを倒せるわけではないのだが
私たち3人に迫ろうとしている突撃級は容赦なく倒されていく
「大将!遅くなった、突撃級は我々が抑える、悪いが戦車級を倒している暇がないので任せた。残り2.5キロ地点まで来れば皆が少尉を助ける準備をしている、そこまで持たせてくれ!」
やってきたのは米軍の戦術機
後退することを決定したときにさがって行った部隊だ
「助かる少佐!」
我々よりも離れた位置から突撃級を正確に倒していく彼らの力は凄まじいものであり
安心して戦車級を藤木少尉に近づかせないように仕事ができた
しかし敵の数が数で突撃砲の残弾がなくなり、予備弾倉ももうない
「真那さん!」
彼が私を呼ぶ声が聞こえてきてそちらを向くと突撃砲の予備弾倉が飛んできたのだ
それをキャッチしてリロードを開始する
その無防備になった私と藤木少尉を守るように動き回る彼の機体
突撃砲のリロードも終わり戦闘へと加わる
それと同時に私たちを庇うように居た彼は私と並走するように戦い始める
彼のスタイルである支援突撃砲と短刀ではなく支援突撃砲+突撃砲である今
そして驚きなのは固定武装である前腕外側部に隠してある近接戦闘用短刀も使うのだ
だから支援突撃砲+突撃砲+短刀なのだ
最初は固定されている短刀に戸惑っていたが今となっては手足のように扱っている
その火力の上がった彼に300程度の戦車級がかなうはずもなく全滅されていく
「こちらの反応はありません」
「こっちの反応もないです、このまま少尉に並走して行きましょう」
藤木少尉の左右に並び目的地へと走行する
走行しているうちに米軍のカラーリングのされたイーグル達が接近してくる
「突撃級も足止めが出来た、これ以上は戦車隊に任せよう」
足止めと言うがレーダーを確認してみると我々に接触しそうな位置の突撃級はすべていなくなっている
その位置だけぽっかりと穴が開いているのだ
足止めではなく殲滅だ、それをあの短時間で……
彼が見極めた彼らの力も凄まじいものだな
私たちよりも遠い場所からのあの狙撃……彼らからしたら射撃なのかもしれないがあの練度は凄まじいものだ
「助かったよ少佐」
「アレンだ、アレン・ヒューズだ」
「ヒューズ少佐、感謝します。もしかしたら俺たち3人はあそこで死んでたかも知れません」
それは十分あり得た
しかし私がいる以上そのようなことはさせないのだが……
「そんなことはその赤い戦術機の衛士がさせないし我々もそのようなことはさせない、もちろんこの先で待っている連中もだ……」
「そう…ですかね?でも守られるより守る立場の方が俺強くなれるんです、だから守られるくらいなら強くなって見せますよ」
「はっはっはっ!大将、君はまだまだ若いもののようだな、君の将来が気になるよ。さて…そろそろか」
ヒューズ少佐のその言葉と同時に我々の進行方向
少佐の言っていた2.5キロ地点に来たのだ
目的地である場所から轟音と共にBETAへと降り注ぐ弾が放たれる
レーダーで見えるBETAの光点は次々と消えていき、我々は目的地へとたどり着くのであった
「藤木少尉のエレメントはこのまま彼を連れて補給基地で戦術機を直してきてくれ、ほかにも整備がほしい人は今のうちに戻ってくれ」
着いてそうそう指示を出す彼
しかし……もう3週間たった
我々……いや私の武御雷は一度しっかり整備しなければならないほどの損耗率だ
時期的にもそろそろ嵐山基地周辺にいた方が対処しやすいだろう
「大尉、我々も一度下がりましょう」
「そう……ですね」
大尉と言うのは少年の事だ
彼の名前を秘匿するために階級だけで呼ぶ
「できれば前線を上げるところまでいたかったんですけど……戦術機の状態的にも戻らないとですね……」
「それと殿下からの命を果たさねばなりません」
篁 唯依生還任務
実際にその命が出ているわけではないのだが、殿下からの命でここにきていることは本当の事だ
「皆さんすみません、俺達やらなくちゃいけないことがあって下がります。下がる前にお願いがあります」
オープンチャンネルなのでココに居る全員が聞こえているのは間違いないだろう
「この侵攻に対して大規模な作戦があります、だから生きてその作戦に参加してください。そのために生きてください、危なくなったら迷わず下がってください、周りからすれば腰逃げとか思うかもしれません、ですが俺はそう思いませんよ、だって生きた方がもっとたくさんのBETAを倒せるじゃないですか。だから生きてください」
彼は言うだけ言って通信を切り後方へと下がる準備を始める
私は通信を繋げたままでいるとココに居る3軍の代表の3人が通信を繋いできた
「月詠中尉だったな、貴官には感謝している」
帝国所属の中佐だった人だ
光線級に部隊を囲まれたところを救出した覚えがある
確か宗山中佐だ
「それは国連の者たちも同じです、そして彼にも感謝しています」
彼は国連軍所属の少佐
彼の部下たちを助けた覚えがある
名は高橋少佐だ
「ココに居る全員が彼に助けてもらい導いてもらた者たちというわけだな」
ヒューズ少佐だ
彼には先ほど助けてもらったばかりだ
感謝している
「また会おう中尉」
「彼はまだ若いようだしな、君が支えてやるのがいいだろう」
「後は我々が何とかする」
こちらの返答も聞かずに通信を切ってしまう3人
まったく……こちらの話も聞いてもしいものだ
「では大尉…いえ零時様、我々のすべきことをしましょう」
「そうですね…ここは彼らに任せましょう」
そして我々は前線から嵐山基地へと戻るのであった
ついに来た1か月
最初は1か月守れるのか?と不安だったが何とかここまで来たんだ
前線のみんなは無事だろうか……それだけが気になってしょうがない
一度この基地に前線部隊が来て補給をして言った時
<この戦術機に乗っておられる方はどこだ!>とハンガーで騒ぎ出した時は大変だった
その時は物陰に隠れておいて真那さんに対処してもらったんだ
そのときに真那さんが伝言を預かって来て<あの藤木少尉も生きているそうだ、あの前線部隊の損耗率は極端に低い、これはあなたのおかげだ、感謝している>と言っていたと……思わず涙が出てしまった
そしてこの嵐山基地にもBETAが迫って来て出撃準備はすでにできている
後は唯依姫たちの出撃に合わせて出撃するだけ
もう整備は必要ないので一昨日ぐらいに東京からついてきてくれた整備兵には帰ってもらった
心底俺のことを心配していた
整備班長は<生きろ零時、帰ってきたらここでできなったがお前好みのセッティングをしてみせる>とか言ってた
なんだか死亡フラグっぽくて嫌なんだがな〜と思ったのは内緒だ
出撃するならきっと今日でもうすぐだろう
嵐山守備中隊の赤の人には着いて行くとは伝えてある
なぜ?という質問には答えなかったが
まぁそれも真那さんが伝えてくれたのだけど
ハンガーに人の少ないときにもう武御雷の中に入っている
あとはアニメであった撃震が光線級に撃たれる事件があるのを待つだけ……
それとどこで撤退させる……嵐山が陥落したら?いやそれだと結局危ない
どこでだ……なるべく被害は少ない方がいい
でもあの事件があったからこそ唯依姫は強くなった?
どうすれば良い…ただ生き残ればいいのか?
あの最後に出てきた青い武御雷が俺になる?
いやあそこまで行くと危険すぎる
もうちょっと早めに対処しよう
どうすれば良いんだ……考えてなかった
生き残らせるためなら最後の場面で助ければいい……でも俺にはそんな事できないよ……
それって助けられるのかもしれないのに見殺しにするんだろ?
でもよく考えれば俺は横浜にいる武と純夏を見殺しにするんだぞ?
どうすればいいんだよ……
「零時様、あなたがしたいようにすればよろしいかと……」
ははは…ナイスタイミングとしか言えないタイミングですよ真那さん……
「そうですね……俺のしたいようにします、最優先は篁唯依の救出、守れる人員は守る。これが俺のしたいことです」
「承知しました」
何て心強い人が俺のそばにいるのだろうか
ありがとうございます
そして基地内に流れる警報
「な?!光線級に撃たれるのがない?!」
武御雷に乗っていろいろ確認していたんだぞ?!
あれがないのか?!俺が変えたのか?!
いやきっと俺が気づかなかっただけだろう
強化装備の網膜情報から唯依姫たちが瑞鶴に乗ろうとしているのがわかる
嵐山守備中隊の回線は俺の方にも流れてくる
もちろん俺はまたサウンドオンリーなのだが……
あの<ここはもう最前線よ>ってのが聞こえてくる
そうだここがもう最前線になったのだ
武御雷を起動させて
カタパルトへと移動させていく
嵐山守備中隊の赤い瑞鶴の隊長さんの話によれば数220のBETAが接近してきているようだ
そして嵐山守備中隊が出撃して最後に俺と真那さんも出撃する
「今回は2機オブザーバーがいるが気にするなとの事だ。話によると前線で奮起していた英雄だそうだ、頼りにさせてもらえ」
まったく…頼りにされても困るのだが……
基地から十分に距離を取り
当初予定していた位置につく
そして前方に見えてくる突撃級
「我々が突撃級を倒す、嵐山守備中隊は十分に近づいてきてから戦闘を開始せよ」
中隊から俺と真那さんが離脱
突撃級の後ろを取り無駄弾を使わないよう
そして中隊に近づかせないように戦う
通信からすごいと聞こえてきたが俺よりすごいのは真那さんだ、あっという間にXM3を使いこなしたのだから
脚を撃って後続とぶつからせるだけでも足を撃った突撃級は死ぬ
後ろの殻がないところに殻のある突撃級が突進してくるのだ
自滅と言った感じだ
ある程度突撃級を相手にしている間に中隊も戦闘に加わって来た
「無駄弾はするなよ!後ろを取ったらすぐに高度を落とせよひよっこ供!光線級の餌食だぞ!」
戦闘になる前に忠告をする
了解と聞こえてくる
それを守って突撃級を飛び越えると地面にすぐについて反撃をする
ここでレーザー警報は出てこないが奴らはいる
たしか右前方中継局とかなんとか……それらしいものを探していると
「見つけた!」
それと同時にレーザー警報が出てきて
光線級がこちらでは無い方へ初期照準をしている
こちらではないが光線級は外さない
だからどこかを狙っているのはたしかだ
「させるか!」
それを阻止するため支援突撃砲で狙い撃って殲滅をする
間一髪と言ったところで倒し終わる
倒し終わると今度は中隊に群がる要撃級を発見する
白い瑞鶴の横に要撃級が接近しているのを発見し、その瑞鶴の衛士は気づいていない
「くそ!」
間に合わない!
そう思ったが真那さんの援護によってどうにか助かる
「周りをもっと見ろ!」
「は、はい!」
俺も今みたいに真那さんに怒鳴られたらあの衛士みたいにビビるだろうな
でも……この練度じゃあ…
俺と真那さんじゃあ限界がある
今はまだ何とかなってるがきついぞこれは
なんて思っていると
「よう大将、さすがの大将でもひよっこ共のお守は大変そうだな」
「た、高橋少佐?!なぜここに?!」
レーダーを見ると友軍マーカーが近寄ってくる
その数大隊規模だ、あの前線から数が減っていない?
むしろあの前線位置からこの人数でここまで下がって来たのか?!
網膜に高橋少佐の顔が映る
「なんだ?俺が生きてちゃ何かあるってのかよ大将、それひでーぞ?」
「い、いやそうじゃなくて」
「それに俺だけだと思うか?」
その言葉と共に
もう2人の顔が映る
「よう大将!ホントにここに居たとはな」
「自分の部隊が補給戻ったら嵐山で見たっていうの信じてなかったのですかアレン中佐?」
最初に喋ったのはヒューズ中佐でそのあとに宗山中佐だ
新たにレーダーが更新されると高橋少佐の部隊の後ろから2大隊が接近していた
つまり連隊の規模が接近してきている
むしろ1連隊+1大隊くらいの規模だ
どれだけいるんだか……
でも戦車隊のみんなは?
レーダーには映ってない……もしかして……
連隊規模の戦術機が合流周りにいたBETAを殲滅する
途中光線級の登場があったが冷静にまわりの仲間たちがフォローをして狙われた戦術機は無傷だった
狙われたのは帝国軍の撃震
それを助けたのは米軍だった
「それよりも…戦車隊のみんなは……」
「彼らはもう後退済みだよ、2〜3日前部隊から離れて行ったよ、連隊規模には必要ないだろう?だそうだ」
そうか……
「それよりも後退しよう大将」
「ここは戦いにくい、それに周りの部隊も崩壊してる」
「ここもいずれ包囲されてしまう、後退しよう」
なぜ俺に聞くんだ……階級3人の方が高いと言うのに……
前線に居たときからそうだった
でも後退には賛成だ、正史と大分違ってしまったが大丈夫だろう
このまま後退すれば艦砲射撃もあるだろうし
「よし!このまま後退!市街地までだ!そこで防衛線を作る!」
「「「了解!」」」
3人の顔が消えたのできっと部隊に通信をしているのだろう
その間にこちらも伝えなければ
「嵐山守備中隊にもこのままついてきてもらう、全機反転!後退だ!気を抜くなよ!」
「「「了解!」」」
連隊規模の護衛を付けながら後退をしていく
ちょうど山を越えるあたりで光線級の照射を受けたが艦砲射撃によって被害なしで撤退をできた
途中やはりはぐれた部隊や崩壊しようとしていた部隊を回収して人を増やしながら後退して行った
市街地最初からできていた防衛線に合流すると最初からいた部隊をすべて補給に行かせて着いた俺たちが防衛線をしいた
「突撃級60!おい左翼!戦線あげろ!そのままだと大将が突っ込んじまうぞ!」
「高橋少佐!そんな無茶しないですよ?」
「なぁに言ってんだか〜、藤木少尉助けるために無茶したのはどこのどいつだったかな〜、ねぇ宗山中佐?」
「高橋少佐、いくら部隊を和ませるためだとしても英雄を弄ると後が大変だぞ?うちの藤木が怒ってるだ」
「な!中佐!いきなり通信を繋がないでくださいよ!」
軍代表3人とオープンチャンネルで話していると藤木少尉が会話に入ってくる
「藤木少尉!機体は無事治ったようですね」
「お!おおおおおおおかげさまで大将のおかげで生き残れてます!」
おかげさまで大将のおかげさまでって……すこし緊張しすぎでは?
「緊張をほぐすためが緊張してしまってますよ少尉」
「そそそそれは仕方ないと言うかしょうがないのです!命の恩人ですから!」
「それを言ったらココに居るほとんどの衛士がそうなってしまうぞ少尉」
「こんな会話をしているうちに大将と月詠中尉が左翼の戦線を上げたぞ、我々がカバーに入る。悪いが大将は中央の補給する部隊の穴埋めに行ってくれ」
「人使い荒いですね〜まったく」
なんて会話をしつつも戦果はかなり高い
ここにもともと居た部隊よりもいいのは確かだ
そしてなにより損耗率が低い
0出ないのが悔しいがそんな事できるとは思ってない……
自分にできることをしよう…
嵐山守備中隊は今は補給してるそうだ
そして誰も脱落者はいない
「真那さん大丈夫ですか?」
「大尉……オープンチャンネルで名前で呼ぶのはお辞めください」
「おっと、すみません」
これはやばいと急いで回線を切り替える、でもきっと後でお叱りにあうな
「私は大丈夫です、それよりも零時様こそ疲労が見えますが?」
そうかな……いやここまで疲れてないは嘘だ
むしろ一回グラっと来たことがあった
たぶん疲れすぎてわからなくなってきている?
「ご自覚なさいましたか?」
厳しい目で真那さんに見られる
「えっと……もしかして危険な状態?」
「………」
無言で肯く中尉
「もともと零時の年齢からしてここまで戦えたのが不自然なのです」
「そうですよね……」
ループのおかげで戦えてるだけだもんな…
これは早めに離脱した方がいいかな?
「ここにもともといた部隊が戻り次第嵐山守備中隊を連れて後退しましょう、連絡は私の方からしておきます」
「わかりました」
近くにいた要撃級を倒し少しずつ真那さんと後退していく
その後退中に部隊が合流
そしてまた3軍代表3人と通信がつながる
「行くのか大将」
「すみません……」
「いや月詠中尉からバイタルを見せてもらった、すぐに戻った方がいいだろう」
「大将みたいな人材を疲労で疲れて死にました……では情けないからな」
うぐ……なんだか攻められては無いんだけどしっかりしろ!って言われてる感じがする……
申し訳ないっす……
「ではまた会おう大将」
「また会えるといいな大将」
「私は自国に帰る前に会いたいものだ」
それぞれの言葉と共に通信が切れ
真那さんに通信がつながる
「準備できました、後退しましょう」
「わかりました」
後退途中補給位置に居た嵐山守備中隊と合流
そのまま市街地へと入り後退していく
目指すのは東京に決定した
市街地の中を通り
俺と真那さんを先頭に移動を開始している最中問題が起きた
突然横から要塞級が出現して隊は乱れアニメ通り
能登 和泉少尉、あのメガネの子が回避しようとしたが接触
そして山城 上総少尉の機体と接触
唯依姫も要塞級と接触し墜落
油断してた!
すぐに対処&救助するために
最優先に要塞級を早く倒し、そのあと救助に向かうために反転して要塞級に近い嵐山中隊の方へと向かうと
要塞級を接触した後の墜落しそうになっている白い瑞鶴が体制を崩した状態で近づいてきているので、墜落する近づいてバックしながら速度を合わせキャッチして自分が速度を落とし白い瑞鶴の速度も落としゆっくりと地面へと着陸させた
この間に真那さん要塞級を相手に立ち回り
嵐山守備中隊は俺の方へと向かってくる
「嵐山中隊はこの瑞鶴の護衛、それと要塞級殲滅の支援だ」
近づいてきた中隊と入れ替わりになるように要塞級と戦う真那さんの元へと駆けつける
と
「何をなさっているのですか!墜落したのは篁唯依の機体です!ここは私に任せて救助に行くのです!!」
通信越しに真那さんに怒られてしまう
1体の要塞級だけなら真那さん一人で余裕だろう
「わかりました」
要塞級へ向けていた進路を墜落したポイントに進路を向ける
レーダーを見て墜落した戦術機のマーカーを見ると落ちたのは唯依姫と山城 上総少尉機体だった
じゃあさっきのが能登 和泉少尉の機体か
そして思い出すのは戦車級に食われる山城 上総少尉
「俺が食わせてたまるか!」
あそこでは唯依姫も戦術機がなく戦車級相手に何もできず
戦車級に食われてしまったが今は戦術機がある!俺ならできるはず!
墜落したポイントからして唯依姫の方が近く接近するとちょうど墜落した戦術機から唯依姫が出てきたところだった
接近して武御雷をしゃがませハッチを開き
「乗るんだ少尉、山城少尉の墜落ポイントにBETAの反応がある、早くしてくれ」
そんな反応はないのだがこう言っておけばすぐ乗るだろうと思い言う
が
墜落した山城少尉からのデータリンクでBETA反応があることがわかった
まだ取りついていない位置の反応だが危険だ
その状態を唯依姫も見たのかハッチまでに来るスピードが上がった
「山城少尉!聞こえてるか!返事しろ!」
返事をしろ!あたりで唯依姫がハッチに入ってきたことを確認してすぐにハッチを閉めて移動を開始する
入って来てすぐ「こ、子供?!」とか聞こえたが反応してる余裕も着席させる余裕もない
網膜情報でコックピット内部が見えないが座れてもいないのに移動を開始したためか「きゃっ!」と聞こえたのでたぶんバランスを崩してるかもしれない
同じく同時にノイズのようなものが聞こえるとともに山城少尉の声らしきものとバイタルが送られてくる
精神は不安定、どこか骨折?それと出血しているようだ
強化装備を着ていて骨折ということは機体が歪んでそれに巻き込まれて骨折した可能性がある
そして姿が見えるときにちょうど一体目の戦車級が戦術機の事を齧ろうとしていた
「させるか!」
右手にに持っていた支援突撃砲を放棄して戦術機自体に群がる戦車級を手で排除していく
左手で持っていた突撃砲はこれから群がろうとしている戦車級を殲滅させる
戦術機事自体に群がっていた戦車級は数も少なくすぐに排除できた
そして山城少尉も無事だ
しかし今は無事でも出血状態があまりよくない
たぶん手術になるからこれから安全圏の時間を気にしなくていいところに移動するとなるとこの状態で戦車級の殲滅を待ってから救出をするのは厳しい
「篁少尉、悪いが降りて山城少尉の救出と応急処置をしてもらいたい!この状態で降りるのは怖いと思う…しかし山城少尉状態を考えるとこれしかないんだ!俺を信じて降りてくれないか?」
「わ、わかりました」
震える声で返答をしてくれる唯依姫
普通に考えてそんなことはしたくないだろう
でもやってもらわないと……
「頼む篁少尉!このままだと、ここで助けられても安全なところについて処置を開始しても間に合わない!この行為が軍として間違ってるのはわかる!でも俺には見捨てるなんてできないんだ!」
もはや今自分が何を言ったかわからない
唯依姫の降ろせる時間も守れる自信はあるがやはり
さっき放棄してしまった支援突撃砲がないので短刀で対処しているがもともと防衛線で戦闘をしていた時から使っていた固定格納短刀のため強度が心もとない
これだけは補給できない武器だからだ、嵐山での出撃前に取り換えたのが最後だ
「わかりました、私を下してください」
唯依姫が先ほどと違いキッパリと力のある声で決断をしてくれた
「カウント5でハッチ開けます、5・4・3・2・1・今!」
ハッチを解放
何も持っていない右手を胸に持ってきて手に唯依姫を乗せて瑞鶴へと降ろす
その際に瑞鶴の担架にある長刀を発見してもぎ取る
もぎ取ると言ってもすでに担架と機体の接合部がボロボロで手に取った瞬間にボロッと取れた
幸い長刀自体に損傷がないのが救いだ
「長刀の扱いが下手だからって持ってないよりかマシだな」
いつ壊れるかわからない短刀よりかマシだ
「さぁかかってこいよ!」
飛びかかってくる奴には斬撃をお見舞いしてのそのそと地面から近づいてくる奴には36oの弾を食らわせる
体制を低くして戦車級の高さに合わせて横なぎに長刀を振れば振った範囲にいる戦車級を排除でき
だんだんと範囲を広げて戦車級を狩って行く
「大尉、山城少尉の救出終わりました!」
予想より早い!さすがだな
「山城少尉の容態は?」
「目立ったキズはありませんが全体的にいたるところで出血があります」
「すぐに回収する」
先ほどまで使っていた長刀を戦車級に投げ捨てそれに巻き込まれているうちに
山城機に近づき降ろした時と同じように手を近づかせて唯依姫たちコックピットの中に入れる
「俺が小さくてもさすがに3人はきついか……」
それにちょっと動くと……こうやわらかいものが
いやいやそんな事思ってないで早く行こう!
周りにいた戦車級からの攻撃をさせるために高度を上げてガラス張りの天井から建物を出た
「ま…月詠中尉、こちらは2人の回収を終えたが山城少尉の容態が芳しくないようだ」
秘匿回線にしたが中に2人がいるからちゃんと月詠中尉と呼んでおいた
「こちらはすでに要塞級を殲滅後、前線部隊に市街にもBETAと発見したことを伝えた後周囲の警戒をしています。大尉が助けた瑞鶴も問題なく移動できます」
「了解、合流後は医療施設の整っている場所に移動を開始する」
レーダーを見るとこちらに向かってくる中隊を見て全員無事なことに安堵しつつ
全員で後方へとさがって行くのであった
そして無事に逃げ山城少尉も無事助かり東京へと帰ると
佐渡島ハイヴの建設に伴い長野県付近でBETAの侵攻が停滞。その間に米国は日米安保条約を一方的に破棄し在日米国軍を撤退させたことを知った
ちなみに機体をなくした山城少尉は俺の機体の中に、唯依姫は真那さんの機体の中にいる
まだ完全に治っていたい山城少尉を残して戻ってくる選択肢はもとから考えてなく
ある程度キズが治り次第帰還してきたのである
ちなみに回復を待っている間ずっと姿を隠しておけるはずもなく戦術機から降りたりもしていたが
自分が武御雷に乗る衛士だと自己紹介したわけじゃない
唯依姫はコックピットに入れた時点で顔も姿も見られたから<助けていただきありがとうございました大尉>なんて言われたりもした
あと<山城少尉を助けてくださいありがとうございます>とも……あれは俺のおかげじゃなくて唯依姫が危険なのを俺の事を信じて降りてくれたおかげなのだが……逆にこっちがお礼を言った
そんなこんなで東京へ帰ると
ハンガーの外にはたくさんの兵が帰って来たことを喜んでくれていた
なぜこんなに人が?と思い真那さんに聞いてもわからないとのことだった
なんでこんなに人がいるのかすごく気になったがCPの指示されたハンガーの中に入ると
両親や紅蓮将軍、そして嵐山で武御雷の整備をしてくれた整備兵
そして煌武院悠陽殿下がいたのであった
ハンガーを後にして会議室へと入り
部屋に会ったイスに着席する
メンバーは
悠陽・紅蓮・安部夫婦・月詠真那&真耶・唯依姫・そして
「私は技術廠・第壱開発局副部長・帝国陸軍中佐の巌谷 榮二です、よろしく頼む」
なんという豪華メンツ……
そして中佐はそっと俺の背に合わせるかのようにしゃがみ手を出してくる
やだ…この人イケメン……じゃなくて
「えっと、帝国斯衛軍所属?まだ安部?零時大尉ですです、よろしくお願いいたします」
出された手を握り返し握手をする
喋ってる間に自分がどこ所属でもう煌武院なのか安部なのかわからず何度も疑問形になってしまった
どっちなのだろうか?という目線で周りを見ると
「この後に正式に養子として迎える会見を準備しております、そこで正式に煌武院の名を名乗っていただきます」
真那さんの隣にいるメガネをかけている真那さんそっくりの人から告げられる真実
というか確か真耶さんだよな?こんなにも早く会えるとは思ってなかったよ
今日?!この後?!俺疲れてるよ?この一か月以上しっかり睡眠取ってないんですよ?
今日くらいせめて……
「この会見が終われば数日の休息の後XM3の教導を帝国軍と国連軍に行ってもらいます」
真耶さんの声GJ!!
何て言えばいいかな……
好きな声優さんの声がじかに耳に聞こえる感じ?たまらんわーって感じだよ
ゾクッ!
背筋が凍るような視線を感じてそちらを見ると真那さんがこちらを見ていた
え?どんな顔?そんなの言えない思えない見たくないだよ
この世界の脅威はきっと 真那>BETA だ
絶対にそうだ!
早く大きくなりたいですはい
「えぇっとそういうことなので安部零時です、よろしくお願いします巌谷中佐」
もう一度握っていた手を握り返し挨拶をした後手を離し
中佐はもといた場所へと移った
「久しいの零時、活躍はここまで伝わってきている。映像も送られてきたので衛士全員が見るようにと伝えておいた」
腕組みをしていた紅蓮将軍が目を閉じ肯きながら伝えてくる
「あ〜もしかしてだからあんなに人がいたんですね?でもハンガーに見知った人しかいなかったのはあくまで”大将と呼ばれた男”と”安部零時”は別人と発表したいからですか?」
「その年でそこまで悟っておると不気味だのう」
俺はどうして弾を弾けるのかの方が不気味だと思うよじーさん……
「俺としてはその年で階級と腕を抜かれてしまったことの方がショックですよ」
はぁとため息をつきながら父さんがこめかみに手を持っていく
まぁ……ループ時間合わせればきっと父さんよりも年上だと思うしね
と言おうとしたのだが視界に映った人物を見て
「そういえば……ここで話していいのはどこまでですか?」
どこまで
というのはループに関してなどの特殊なことについてである
「香月博士に許可を得て篁少尉以外は知っておりますよ」
悠陽がうふふとか言いそうな軽い感じで言うが……いいのだろうか
唯依姫をみるとガチガチに緊張してることだけはわかる
それはそうだよね、うん
「事情は後から私が伝えることになっており、この場にいるのは安部大尉の護衛に篁少尉が就くことが決定しているのでこのような会議にも慣れさせておこうということでこの場にいます」
と巌谷中佐が言うが……みんながみんな緊張している唯依姫を見て苦笑いをしている
きっとこの場で話してることの半分も頭に入ってないと思うし
今自分の事を話されてることすらわかってないと思う
「そうですか……それで?ここにこれだけのお偉いさん方が集まって何の話をしようとしてるのですか?」
前置きはこれくらいにして本題を聞こうとする
それに疲れてるから会見とかいろいろ準備が始まる前に少しでも休みたいのだ
う…眠くなってきた
「まずは武御雷の先行増産が決まった、これはおぬしたちが前線であれだけの戦果を挙げたおかげおかげじゃな。むしろすぐに正式配備しようと言う声が高まっているくらいだのう」
「あれには俺も驚いた……レーザーを避けるところを見たときは涙を流してる者だっていたくらいだからな」
「歳外にもなく私も思わず立ち上がって見ていましたからな、その日は寝れませんでしたよ」
紅蓮将軍と父さんに巌谷中佐の男性陣は褒めてくれるが
うとうとしてきてしまったので首を振って目を覚ます
「私は生きた心地がしませんでしたよ……せっかく無事なのを確認できたのにあんな無茶をしてるとこを見たのですから」
「私もです、心配で心配で夜眠れない日がありました」
「私はいつ死ぬかとヒヤヒヤしてました……えぇ……生きた心地がしませんでした」
母さんと殿下は無茶ばっかしやがって……と言い
真那さんに至っては涙を流しているようにも思える
……やっぱ眠い
「しかし今回の事でたくさんの者たちが助かったのは事実です、現にそこにいる篁少尉もそうでしょう」
事実だけをキッパリと言う真耶さん
やばい眠気が……
目を開けるのもつらくなってきた
「各国からも<あの戦術機について教えろ!>なんてこと言われてますからね」
苦笑いでちょっと怖い顔をしている巌谷中佐
それもうつろうつろになってきて話もとぎれとぎれでつながって話しを聞けなくなってきた
「この流れで殿下の復権と零時の養子いりを発表し、他国からの虫共を排除できれば安泰じゃな」
うわっはっは〜
とかいう紅蓮将軍の声を最後にプツーンと意識はそこで途絶えた
そして次に起きたとき(頬が痛いのはきっと叩かれて起きたんじゃない……と思う)は煌びやかな服を着せられカメラやマイクを持った記者たちの中に放り込まれたのであった
「起きてすぐにぶち込まれたせいで会見で自分が何喋ったか全然覚えてないぞ……」
会見が終わりここが自室ですと真那さんに案内された部屋のベットに寝転がりぼそっとつぶやく
さっきここに真那さんが連れてきてくれた時最後に<今日が何もございませんのでごゆっくりお休みください>って言ってたってことはまた寝ていいんだよね?
真那さんも疲れてるだろうに…はぁ〜…やべあくびが……
疲れた……この一か月は記憶に残る戦いに匹敵するものだった
最初にこの世界に来たと思った時は初めてマブラヴの世界を体験を体験するのだと思った
でも実際は身体は年齢に合わないがっちりとした体格
そして何かを思い出そうとしたときにその記憶を思い出す
確かにタケルちゃんもオルタではアンリミの記憶があまりなかった気がする
でも俺は完全になかった……と思う
うっすらとあったからこの世界に来てあまり驚かなかったんだと思う
実際こんなことがあったらもっと驚いていても良いと思うし
戦闘中もこのBETAの動きなら撤退して地形を利用して殲滅した方がいいなどの戦術的なことをちらほらと思いだすのだ
その頭に浮かぶ記憶を参考に1か月乗り切った
危機的状況になった他としても最善と言える行動をとれたの技術力も記憶からだ
きっとこれからもその記憶を…技術を生かしていくのだろう
記憶にある英雄の手伝いをするために……そして今はとりあえず
「寝よう」
――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
ユサユサ
「起きてください零時様」
身体を揺さぶられる感覚共に意識が覚醒してくる
うっすらとまぶしいながらも目を開けると
「起きてください零時様」
声と共にもう一度身体を揺さぶられる
だんだんと目もまぶしいのに慣れてくる
それと同時に少しずつではあるが意識もハッキリしてきた
目をしっかりと開け
声をかけてくれた人物を見ると
「おはようございます零時様」
このショートヘアの女の子誰?と一瞬思ったが
声をかけてくれたのは黄色の斯衛軍の服を着た唯依姫だった
そうか……この時代じゃまだ髪が短いのか……
仰向けで寝ていた体を起こし、挨拶を返す
「どうも……篁少尉……おはようございます……」
まだ完全になれていなかったの目を開けるとまだまぶしい
目は慣れていないが大分意識はしっかりしてきた
「ところで……なぜここに篁少尉が?」
身体を揺さぶれるほど近くにいた唯依姫は3歩後ろに下がると
「煌武院悠陽殿下の命により、本日から零時様の護衛役の命を授かりました篁唯依です。よろしくお願いしたします」
ビシ!とか音が聞こえそうなほどの敬礼をしつつなぜここに来たか教えてくれた
そうか…きっと夕呼先生もこの件には絡んでいるんだろうな
「よろしく少尉」
立ち上がり敬礼で返す
が
起きたばかりで急に起き上がったせいでバランスを崩す
「大丈夫ですか!?」
バランスを崩した時近寄ってきて身体を支えてくれてベットに座る感じで下してくれる
「あはは、起きたばっかりなのと疲れが取れなかったかな?篁少尉達だって疲れてるだろうに俺だけ情けないね」
身体も今更になって重い感じがする
身体の調子を確認するために腕を回したりしようとすると
「そんなことはありません!山城少尉は零時様に感謝していました!あそこで!あのタイミングで助けてもらえてなかったら私は衛士の道さえも閉ざされていたと!」
山城少尉は後もう少し戦術機の中で足を圧迫されていたら命は助かっただろうが足は使い物にならないものになっていただろうと
さらに長く圧迫されていれば命がなかったと……
だから医者は良い判断だったと言っていた
まぁ真那さんにはそんな危ないことを……とちょっとしたお説教はくらった
「私は零時様の戦っているところを見ていました……そして零時様のおかげで助かった衛士を見てきました。あれだけの人たちを助けるために動いたあなたを情けないと言う人なんかいません!」
熱弁、ともいえる感じで語ってくれる唯依姫……ちょっと恥ずかしい
しかしそんなに堅苦しく話さなくてもいいのに……聞いてるこっちが疲れちゃうよ
「あの…篁少尉?少尉の言いたいことはわかりましたがそんな堅苦しくしなくていいですよ?俺の方が何歳も年下なのですから」
俺がその提案をすると
「いえ零時様のお話は聞かせてもらいました、ならばそのお体がたとえ私よりも年下であろうともその心は私よりも年上でしょう」
そういえば昨日唯依姫にも教える〜みたいなことを言っていたような……
「聞いたんですね……その上で何とかなりませんか?あんまり堅苦しくされると肩がこっちゃいますよ?それに俺の護衛ってことは専属の部隊が作られたとかなんですよね?そうなると俺の仲間ってことになります、仲間に堅苦しい言葉を言われ続けると悲しいですし……」
真那さんにも何度か<堅苦しいからもうちょっと柔らかくして話しましょうよ>と言ったことがあるのだが……そのたびに般若の顔で<そのようなことは許されません>的なことを言われる……
なんかいろいろと矛盾してることも言ってたが何十回も言ってやめてくれなかったからもういうのはやめた
「なりません、零時様は昨日の会見で正式に殿下の御姉弟になられたのですから」
か!い!け!ん!
何を言ったか覚えていない会見……あとでテレビ見て何言ったか見ないとな
黒歴史になるようなことを言っていなきゃいいのだけど
今ここで唯依姫に聞いて黒歴史だったら恥ずかしいからやめておこう
「あの……部隊の事なのですけど……零時様の事情が事情でまだ私しかいないそうです、おそらくしばらくはこのままの可能性があると殿下が仰っていました」
なん……だと……!
それって実質何もできない部隊じゃん?!むしろ部隊と呼べないし
「えっと……じゃあ俺は今後何をすれば?」
「零時様には新OSの教導をしてもらいたいそうです」
その言葉を言い終わると俺に一枚の紙を渡してくる
「決定している2か月分の予定です」
その紙には日付の横のXM3教導第1グループと書いてあって2週間後第1グループ終了
その下に1日分空きがあると
第2グループ開始また2週間後第2グループ終了と書いてある
2週間教導をして次のグループに……と言った感じのようだ
「これもどうぞ」
新たに唯依姫から紙を渡される
その紙を見ると
第1グループと書いてあり、所属が書いてあった
所属は全部で3つ
斯衛軍・帝国軍・国連軍
人数は各軍より2中隊まで、つまり2大隊を教導すればいいらしい
え?2大隊……1大隊=36機だから72機……72人に教えればいいらしい……
無理でしょー!ちょっと多いような
でも一番最初に来るメンバーだからきっとエリートだから教えるのにそんな困らないと思うけど、そう思えば気が楽になるかな?そうだよねきっと(軽く現実逃避)
まずだ!今はBETA侵攻があるのに……2大隊も良いのか?
何か考えがあるのだろうか?
第1グループの教導が始まるのは3日後みたいだ
それまでは空白になってるから休み……ということなのだろうか?
それともお偉いさんめぐりとか?
養子とはいえ殿下の弟となったんだ
それなりに挨拶とかしないといけないのではないだろうか?
「3日後からですね?わかりました、2大隊規模の教導になってますが……この時期に2大隊なんてよく集められましたね?何か知ってますか?」
「どうやら京都防衛に生き残った者たちを集めるそうです。彼らの機体は限界を超えているのが多く、出撃させる訳にもいかないそうなので、ならばXM3の慣熟訓練をしてしまおうと言うことです、聞いた話ですと宗山中佐や高橋少佐を呼ぶつもりと言っておりました」
なるほど……あの人たちの能力がありながら乗る機体が無いとはいえあの実力を無駄にしておく必要はない
あの人たちの部隊人数となれば結構な数の戦術機も必要だしすぐに準備できるはずもない
だから今のうちにXM3の慣熟訓練をさせてしまうと
それに俺がちゃんと教えることが出来れば中隊規模しか来なくても部隊全員にその技術が浸透して問題ないはずだ
「ふむ……他に気になったこと出来たらまた聞いて良いですか?」
「わかりました」
とりあえず今は聞きたいことが思いつかないからまた思いついたときに聞くことにする
「とりあえずこの後の予定知ってますか?」
「教導が始まるまではお体を休めるようにと聞いております」
やっぱお休みなんだ
お偉いさんめぐり無しで助かるけど良いのだろうか?
「どっか行かなきゃいけないとか挨拶しにいかないとかは無いのですか?」
「それなのですが零時様を養子にする説得をする際に京都防衛での映像を見せることで納得させたそうです。その際挨拶は必要ないように話を持って行ったそうです」
なるほど
それは助かる
「それじゃあ3日間休暇ですね、篁少尉もですか?」
「私は零時様の護衛役ですので。それと教導が仙台の国連軍基地でお行われるそうなので今日の3時より向こうの基地へと移ってもらいます」
XM3対応シミュレーター関係で夕呼先生がいる仙台の基地に行くんだろうな
今何時なのか部屋にある時計を見ると10時だった
「わかりました、とりあえず一緒にご飯でも食べに行きましょう?昨日すぐ寝ちゃったんで何か食べた記憶ないんですよ、っと誘っといて悪いんですけどシャワー浴びてきていいですか?浴びる前に寝ちゃったんで」
「わかりました、では私はお部屋の前で待機しております」
ペコっと頭を下げた後部屋を出て行く唯依姫
「まっ!最初はこんなもんでしょ、それにアニメと違って仲間の死がなくて成長的なのがないかなぁ〜なんて思ったけど大丈夫そうだな。っと待たせないようにさっさと浴びないと」
ぱぱーっと部屋にあるシャワーを浴びる
浴び終わったときにそういえば何を着ればいいのだろうか?
と思い部屋にあるタンスを開けると青の斯衛の服が俺のサイズがあったのでそれを着ることにして部屋を出る
「お待たせ篁少尉」
「いえ」
やっぱ固いな〜
まるでユウヤにあってすぐのときの雰囲気だ
まさかトータルが始まる2年ちょっと前なのにここまで固い雰囲気だとは……
唯依姫の先導で食堂についてご飯を食べ始め食べ終わる
今は食べ終わってあったかい合成のお茶を飲んでる
ここまでの会話ゼロ!
なかなか話題が出てこないんだよ!
でも何か話さないとだよな
これからは同じ部隊、それに俺と唯依姫しかいないんだ
仲良くしないとな
「篁少尉、聞きたいことがあるんですけど良いですか?」
「どうぞ」
「少尉は俺の護衛役ってのに不満はないんですか?俺の話を聞かされ無理やりなったようなものでしょう?部隊の方へ戻りたいなら俺から言いますが?」
嵐山中隊は全員生きてる
戻りたいと言うなら全力でその手伝いをするだけだ
「私は…私は大将と呼ばれた方を尊敬しています、そしてその方をこの目で見ました」
ここには他にも食べている人がいっぱいいるから”その方”と言う言い方をしてるのだろうな
唯依姫から尊敬か……
「そしてその方から心からのお言葉を聞きました”俺には見捨てるなんてできないんだ”と。その言葉を聞いた私は世界が変わったようにも感じられました、それでなければあのような命令を昔の私が聞いて実行できるとは思えませんので」
それって山城少尉を救出するために俺が唯依姫に降りてくれって説得しようとしたときかな?
と!り!あ!え!ず!恥ずかしい!
しかもちゃんと覚えてるのかよ!
世界が変わったようにか
きっと覚悟ができたのかもしれない
でもやっぱむちゃくちゃなことだったよな
あの数がまだいる状態で下すとか
「私は大将と呼ばれた方を今でも尊敬しています。尊敬している方と一緒にいられるのは嬉しいです。それとも私がお邪魔ですか?」
唯依姫はズルい言い方をするね
「ゆいひめ…ですか?」
「あ゛」
やべ!声にだしてた?!突然唯依姫なんて呼ばれたらそりゃびっくりするわな
脳内での呼び方も注意しとかないとダメだなこりゃ
どーしよ、このまま突き通す?タケルちゃんみたいに委員長とかタマみたいに強引に行くか?
「その…零時様の記憶では私はそう呼ばれているのでしょうか?」
どうしようか迷っていると唯依姫の方から疑問が来た
ここは騙すようで申し訳ないがこれを利用させてもらうしかないな!それしかない!
「そ、そうだよ。俺以外のみんなもそう呼んでたからつい……迷惑だったかな?嫌なら直すよ?」
「いえ少しびっくりしただけですのでそう呼んでもらっても構いませんよ」
ほっ
とりあえず助かった?のかな
「じゃあ唯依姫も俺のこと様なんていわn「それはできません」……だって2人だけの部隊だよ?仲良くするためにもね?呼び捨てで「なりません」そこをなんt「ダメです、諦めてください」わかりましたよ」
くっ!なんて頑固なんだ!真那さん並みだぜ!
真那さんはちょっと頑固すぎるんだよ、もうちょっと柔らかくなってくれればいいのにガミガミとお説教もしてくるし
そうすればきっと良い人だって簡単に見つかるのに
ガシッ!
「ヒッ!」
突然肩を掴まれると同時に背後からの気配によって全身に鳥肌が立つ
決して振り向いてはならないと俺の全神経が訴えている
振り向いたらそこでゲームオーバーだと
「何か言いましたか零時様?」
この1か月一緒に居た俺には理解できる
この声は怒っているときの真那さんの声だと
何か逃げる方法は?!あるわけない!
目の前にいる唯依姫を助けを求めようとするとガクガクと震える唯依姫を発見してしまう
あぁ…目の前にいる唯依姫からじゃあ俺の背後にいる真那さんが見えるんだもんね
とりあえず振り向いてはいけない事だけは確信できた
声に出していなかったと思う、たぶん
さっきの唯依姫って言ってしまった前例があるだけに確信が出来ない!
言ってなくても真那さんならきっと見破って来てもおかしくない
「質問しているのですよ零時様、黙っていてはわかりませんよ?」
「イイエ、ボクハナニモイッテイマセン」
あまりの迫力にカタコトで即答をする
「はぁ〜、まぁ良いでしょう。篁少尉、零時様のことよろしく頼むぞ、あの戦場にいた少尉ならわかっていると思うがこの方は我々の希望なのだからな」
希望って
それなら一緒に戦ってくれた真那さんもだっての
ガシッ!っと掴まれていた肩も解放され
隣の空いている席に真那さんが座る
「はい、私の命にかえてもお守りいたします」
ガクガク震えていた唯依姫はどこへ行ったのか決意ともいえる感じで言い始める唯依姫
「一人で全部できるとは思ってなくても…守ってもらわなきゃいけないほど弱くないってば」
「相手はBETAだけ…とは限らないのです。あなたは地位を手に入れた…これに対していい顔をしないものもいるのです」
殿下の弟……義理とはいえ結局は殿下の寵愛を受けているようなもんだ
まぁ素直に喜ぶ人も少ないだろうな
それにしても……やっぱBETAだけを相手にってわけにはいかないんだな〜
「そうですね、今回はXM3教導を使って今までの技術+対人戦もできるように訓練するかな。んで生身の戦闘とかになったら申し訳ないけどみんなに頼らせてもらいますよ」
「「お任せください」」
真那さんと唯依姫が息の合った返事を返してくれる
この時期の唯依姫は少し頼りないとかまだまだかもしれないとか思っていたがそうでもないようで助かるな
「それより真那さん、どうしてここに?」
「そうでした、実は零時様の護衛にどうしてもと志願してる者がいまして」
おそらく志願者が書いてあるだろう紙を渡される
そしてやはり書いてある志願者の名前と写真が貼ってあった
「山城少尉?」
京都で助けた彼女だった
でもどうして?
前にいる唯依姫はさほど驚いていない様子から志願したい的なことをを聞いて居たのだろうか?
「彼女が?」
「はい、病院を抜け出し私の元へと連絡してきたようです」
おいおい
この世界の技術が進んでるとはいえまだ安静にしてなきゃいけないだろうに
随分無茶するんだな
彼女も斯衛だから真那さんに連絡できたのかな?
「殿下にも確認を取っており零時様次第でとなっておりますが、どうしますか?」
どうしますかって
どうしようかな
「良いんじゃないですか?真那さんも彼女の戦闘見てましたよね?彼女の支援能力は高いからし、俺が前衛で唯依姫の指揮力で中間でまとめ上げ山城少尉の後衛で人数的にはバランス3人で悪いけどチームバランスはバランスは良いはず」
「零時様が前衛ですか…まったく」
額に手を当ててはぁ〜とため息をつく真那さん
「俺が後ろでも良いんですよ?俺もホントは援護の方が上手いと自信ありますから、でもメンバー的に唯依姫と山城少尉の前衛はあり得ない、圧倒的に経験が足りない」
もちろんその援護をする相手はタケルちゃん
なんとなく”唯依姫”と言った時真那さんの雰囲気が変わった気がした
「まっ!これは今の段階でです。いずれ俺を超えてくれるでしょう」
「それも零時様次第ですね、では私はこのことを山城少尉に伝えに行きます、くれぐれも時間には遅れないようにお願いします」
伝えに行くために席を立ち去っていく真那さん
時間?と思い食堂の時計を見ると12時
実は結構話してるな〜、2時間はここにいるかも
はて?なにかあったとは思うんだけど……
「12時!急いで準備しないと!れ、零時ほら立ってください、えぇっとえっとまずはおじ様の所へ行ってえっと次は次は!」
ガタッ!っといきなり立ったかと思うとかなり慌てた様子とさっきまでの凛々しかった唯依姫の姿はどこにもない
俺何か忘れてる?
「3時にはここを出て行くのですよ零時様、さぁ準備しますよ!」
席に座る俺を立たせてヒョイっと俺を抱きかかえるとそのまま走り出す
「おろ?!おろろ!ちょ!唯依姫?!降ろして!恥ずかしいよ?!」
食堂から抱きかかえられた状態で走って行くのだから目立つのは当然
しかも山吹色が青色を抱きかかえて走ってるんだ、それと昨日会見で映った少年を抱えているのだ
目立って当然だろう
しかし役得はある!まるで俺を人形のように抱えるのだ!
胸の位置で抱えるのだ!
つ・ま・り!俺の背中にもにゅっとしたものがだな!唯依姫の発展途中のものが!
あぁ〜…俺ってこの身体でも脳内はおっさんなんだな……
「ふむ……しかし2001年が楽しみだな」
このままの背ならまたこの感触を味わえるかも!と思ってなんかイマセンヨ?
そしてそのまま周りの目線には慌てていて気付かない唯依姫は俺を抱えたまま走って行くのだった
俺を抱えて唯依姫が一番最初向かった場所は私室
俺が寝ていたところではないので唯依姫の部屋である
部屋につくと俺はベットに座らされ、唯依姫は机に向かい
机につまれてあった紙を見ては何か書き始めた
しかも俺の事を忘れているかのように無言だ
先ほどの慌てぶりはどこへ行ったのだろうか……
唯依姫の部屋って何もないような?と思ったがここに来たのは俺が来たくてこの基地に来たのだからきっと急遽与えた部屋なのだろうと思う
唯一あるものと言えば旅行に行くためのようなバックがあるだけだ
時間がなくて焦っていたのはわかっているので邪魔をするべきでもないし机の上にあった紙をちょっと見させてもらったがどうやら仙台に行くための手続き関係の書類で俺の分のまで書いてくれているのを見た
自分の分なので自分でやろうかと思ったが
どの世界でも俺は書類関係を全くしてこなかったためか机に向かって仕事をしている記憶がない
手伝ってもきっと邪魔するだけだと思い、終わるのを待つことにした
どれくらい時間がたったかわからなくなりウトウトとし始めた頃に
ガタッ!
と唯依姫が席を立つ
机の上を見るとすべて終わっているようだ
終わらせた書類をまとめて持つとドアに向かって行き何も言わずに部屋を出て行ってしまう
「………え?」
何かしらの反応があるかと思っていたせいか、付いて行くと言う行動が出来ずポカーンとしてしまう
しかしガチャ!とドアが開き中に入ってきたのは唯依姫で、ベットに座っていた俺を書類の持っていない片方の手で抱える
くっ!片腕で持ち上げられちゃうのかよ!!!
抱えたあとはまた移動を開始する
移動した先は様々な部署で、その部署の人と唯依姫の話を聞くとやはり仙台に行くための手続きをしているようだ
ちなみに各部署の人たちと話すときはさすがに降ろしてくれる、けど話が終わると再び抱えられて移動を開始する
ある程度部署を回り
唯依姫の持つ書類があと2枚と言うところまで来た
そしてその最後の2枚をもって最後に来た場所は日本帝国陸軍技術廠だった
唯依姫が来たのはもちろん巌谷中佐の所だった
部屋のノックをして部屋の中に入ると中には2人いた
もちろん1人は巌谷中佐
あともう1人は女性で誰かわからないのだが……どこかで見たことあるんだけど思い出せない
年齢は母さんより少し年上と言った感じで厳しそう
でも美人な人と自信を持って言える
誰だっけ……なんか引っかかると言うかなんというか…
何て考えていると はぁ〜 とため息が聞こえてくる
ため息をついたのはもとからこの部屋にいた2人だ
「噂は本当だったのか」
と巌谷中佐が額に手を当ててやれやれと言った感じにしていて
女性の方は近寄ってくると
まだ唯依姫に抱えられたままだった俺を解放?して地面に降ろしてくれる
「申し訳ありません零時様、私は篁 栴納(せんな)と言い唯依の母親です。娘に変わり謝らせていただきます、申し訳ありませんでした」
おお!なるほど!なんかどっかでとか思ってたら唯依姫のお母さん!モヤモヤしてたのがスッキリした!
アニメでも出てきてた気がする
ってそんなこと思ってる暇はない!
「あのゆ…篁少尉のお母さん?あのなぜ俺は謝られているかさっぱりわからないので謝ってもらっても困ります、それに篁少尉に何か問題が起きたのですか?それなら謝ってもらう必要はありませんよ」
「いえ、実は今基地内で若い山吹の斯衛があの噂の殿下の養子となった少年を抱えていると噂になっていまして、零時様は青の立場の方となっております、そのような方を基地内で抱えて行動したので娘に変わり謝罪をさせていただきました」
つまり唯依姫が俺を抱えて来たから謝罪した?
「なら謝る必要はありません、もし篁少尉が抱えて移動をしなければ俺の小さい体では3時までに間に合いません」
この部屋にある時計を見ると2時15分となっている
これから仙台行くための荷物をまとめるなどの事をすればかなりギリギリだ
「ここまで時間がギリギリになったのは俺のせいです、食事のときに時間をかけてしまったのも俺で、俺には事務的なものが一切できません、俺の代わりに書類を書いてくれたのは篁少尉です。謝らなければのは俺で尚且つお礼も言わなければいけないのです」
つまりこの時代での唯依姫も優秀だね!ってことだ
メインヒロイン補正なのだろうか……俺には記憶からの技術がなきゃただのガキだってのに…
「篁少尉が俺を運んでくれたおかげで時間に間に合うよ、ありがとう篁少尉」
唯依姫の方を向き頭を下げてお礼を言う
「い、いえ私は自分にできることをしたまでで…むしろ何も考えなしであのようなことをしてしまって……」
「もうこの話は終わりだよ少尉、書類を渡して準備をしなければせっかく少尉が運んでくれたのに時間に遅れてしまうよ?」
「そう…ですね、巌谷中佐これが出向の書類です」
最後の2枚の紙を巌谷中佐に渡す
あとは
「篁少尉、悪いが少し中佐たちと話がしたい、建物の入口で待っていてくれるかな?」
「了解しました、では失礼いたします」
ガチャ、バタン!と扉が閉まり
部屋には俺・中佐・唯依姫のお母さんの3人になった
「篁少尉のお母さん、俺の感想聞かせて頂きますか?もちろん本音でどうぞ」
きっとあの謝罪の件は俺を試そうとしてたんだと思う
いくら少年とはいえ自分の娘を預けるのだ
むしろ少年だからだろう
「とても6歳の少年とは思えない、そう思いました」
ですよね〜
「そうですよね……ですが娘さんは必ず守ります、この命に代えてでもです。きっと信じられないかも知れません、でも守りますから。それと巌谷中佐」
「なんだね?」
「俺は俺のことを篁少尉のお母さんに話して貰っても構わないと思います、中佐が最終判断をして話しても構わないと思うなら話してもらって構いません。ではこれで俺も失礼しますね」
部屋を出る前に一礼をして
先に行って待っている唯依姫のもとへと合流した
さすがにさっきの唯依姫のお母さんが謝罪をするということもあり
さすがにこれ以上は抱えて移動はできないだろうと言うことのなったのだが
時刻は2時半
しかも唯依姫の歩くスピード=俺の小走り
小走りで行くのもありなのだが結局山吹が青を走らせてる!みたいになるのでは?
となるし、じゃあ俺の歩くスピード?となるがそれじゃあ時間に遅れてしまう
なので結局仕方ないので唯依姫に抱えて貰い
強化装備を回収したりした後俺の部屋に向かい、着替えなどの最低限必要なものを一つの鞄に敷き詰めたあと
唯依姫の部屋に行き、もともと朝に準備が終わっていたバックを持ち(ちなみにさっき部屋に来たときにあったバックだ)
基地の門へと向かった
基地の門付近になると
他にココからの基地から仙台に向かう人もいるのか
戦術機が格納庫から出てきて全部同じ方向に向かって搬送されている
瑞鶴が多いから斯衛の部隊が移動してるのかもしれない
門に向かいながらも搬出されている戦術機を見ていると帝国軍カラーの撃震や新品とすぐ分かるぐらい真新しい陽炎がも同じ方向へと向かって行った
だいたい2中隊ほどの戦術機が運ばれようとしている
この基地から2中隊も?
いずれこの付近までBETAは来るだろうに……
夕呼先生の指示なのだろうか?
帝都直前で謎の転進と言う未来を知っていても手薄にして良いと言うことではないのだが……
向かっているのは仙台の方向だから夕呼先生も知っていることだと思うから俺がわざわざ考えることでも無いかな
俺が出来るのは戦術機に乗って戦うことぐらいしかできないから他の事は夕呼先生に任せてしまおう
なんて考えながら唯依姫に例のごとく運んでもらっていると
「零時様、着きましたよ」
抱えられていた状態から降ろしてもらうと
門の所に一台の車が止めてあった
その車の前には真那さんが立っていてこちらが来たのがわかると一礼をしてきた
そしてその隣にはもう一人いてその人物も一礼してきた
「お待ちしてました」
なるほど、お昼のときに真那さんが<時間には遅れないように>って居たのは自分が運転するので時間には遅れないようにってことも含まれていたかも知れない
そして一番気になることはもう一人の人物についてだ
その人物は頭には包帯を巻いているし松葉杖で体を支えてる人物だ
「京都防衛の際に命を助けて「ストップ!俺は京都防衛には参加してない、と言うことになってるんだ山城少尉」ですが……」
山城 上総少尉
アニメ版では戦車級に取り付かれて食われて戦死した
でも俺が助けた
助けたことによってこの先どうなるかはわからない
実際アニメだとあの場所には俺の青い武御雷ではない青い武御雷があそこに来ていたが周りには何の反応もなかった
もう正解は変わってしまったかも知れないな
やっぱここに居るってことは山城少尉も一緒に行くのかな?
荷物が足元にあるしきっとそうなのだろう
「山城少尉を助けたのは大将と呼ばれた人間で煌武院零時じゃないんだ、でも誰だって感謝の言葉を聞いていやな気持にはならないよ。あぁそれと山城少尉が部隊に来たいと聞いたよ、俺は歓迎するよ」
「はっ!必ずお役に立ち大将と呼ばれた方に助けて頂いた命を使い零時様を守って見せます」
用は俺に助けてもらった命を俺のために使うって言ってるのか……
別に俺にはなんの政治力もないから助けてもらうような人間じゃないんだけどなぁ
「私には零時様には皆の心を惹き付ける希望のようなものがあり、皆はそれを見てあなたについていけばと思うリーダーシップの様なものが零時様にはあると思います」
真那さんが真剣な感じで教えてくれるが……
「俺何か声に出してましたか?」
「別に俺にはなんの政治力もないから助けてもらうような人間じゃないんだけどなぁと仰っていました」
また声に出してたか……
いつの間にか声に出ているなんてちょっとやばいのでこれは本格的に癖になる前に直さないとな
「ではそろそろ向かいましょう」
車に4人で乗り
運転は真那さんにしてもらい仙台へと向かう
車の中では正式に自己紹介をして
山城少尉の事は上総と呼ぶことにした
しかもちょっと無理やり感があるやりかたで
だって山城少尉って呼ぶのはまずない、せっかく同じ部隊で立場的には俺が上になり俺の部隊なのだ
固い感じの部隊なんて許さない!
山城って呼ぶのは固い、山城さん……ん〜違和感があるしやっぱ固い
なるべく名前で呼ばれたくはないようだがやはり名前の方が固くないだろう
上総さん、かずささんでささって部分が言いにくので却下
それで上総と呼ぶことになった
上総になったときに<ほ、他のは無いのですか?>となり
いろいろ考えたのだが……
山P?やまちゃん?かず?かーちゃん?唯依姫ならぬ上総姫?などなど
やはり上総と呼ぶのが良いかぁとなった
本当に嫌なら断っても良いと言ってあったのだが最終的には上総と呼んでいいことになった
ここに居る唯依姫も上総と呼ぶことになった
真那さんは本当にプライベートの時ならば呼ぶと言ってた
呼び方が決まった後はXM3の話をした
俺の解説に足りない部分があれば真那さんの補足的な解説も入り
向かう途中の時間も無駄にせずに仙台の基地へと向かった
開始からここまでで一回の更新です
そしてここまでの内容をかなりの時間を(3〜4か月?)かけました
更新は一回一回の更新ではなくたまってから更新することにしますので続きはまた時間がかかると思います
説明 | ||
マブラヴオルタネイティヴの世界にマブラヴオルタネイティヴがゲームとしてありトータルイクリプスがアニメで放送されていた世界にいる人物がオルタの世界に行ったら? しかもその世界に行くと体はしっかりしてるしループしたような記憶があったら? しかもしかも煌武院家の養子になって殿下の弟になったら? と言った感じの無茶苦茶設定のお話です 物語の最初は1998年から始まります 基本流れはTE→オルタ TEはどこまでやるかわかりません |
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コメント | ||
更新待ってますm(_ _)m(muniyjp) 次回の更新を楽しみにしています。頑張ってください(アリアン) ケンヤさんコメントありがとうございます^^ 次回の更新は 明星作戦 もしくはXM3の教導が終わったころまでのお話を更新しようと考えてます。(ささきさん) 次の更新、心より楽しみにしています。(ケンヤ) 七曜七世 さんコメントありがとうございます!次回の更新早めにできるように頑張りたいと思います!(ささきさん) とても面白かったです。次回の更新を楽しみにしてます。(七曜七世) |
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