IS学園にもう一人男を追加した 〜 79話
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投稿者SIDE

 

 

【コンピュータールーム】

ラウラ

「それで、ほかにこの基地に居る奴は?」

 

リリヤ

「ちょっと待ってくださいよ・・・えーと、結構いますね。モニターに出します」

 

ラウラ

「・・・って、映らないじゃないか!」

 

フラン

「いや〜、安物ですからね〜。軽〜い衝撃でボンッと・・・」

 

ラウラ

「チッ・・・隔壁は?」

 

リリヤ

「ダメです。全てが閉鎖されていて、手動でしか・・・」

 

ラウラ

「なら、私が行く。お前は先に脱出しろ!」

 

そう言って、コンピュータールームを出たラウラは、ISを展開して各隔壁の操作盤の元へ飛び出す。

 

リリヤ

「・・・博士、あなたはこれからどうす

 

フラン

「ん?」

 

リリヤが振り向く先には、いち早く身支度を整えていたフラン。しかも昔ならではの螺旋状の模様がある深緑の小包に、それと同じ小包を頭に巻いて鼻の下に結び目をかけている。

 

リリヤ

「アンタ、何もう逃げる気になってんのよっ!! ってか、いつの時代の格好よ、それ!?」

 

フラン

「一応、私はしょーわの人間ですよー!」

 

リリヤ

「昭和でも、そんな格好する奴がいるかぁ!!」

 

フラン

「なら、私が"初"という事ですねー!!」

 

リリヤ

「ぐぬぬぬぬ・・・はぁ」

 

怒るだけ無駄だと判断したリリヤは、これ以上、怒りを沸騰させないように話題を変えてみた。

 

リリヤ

「そういえば、あの貨物室にあった"テニスボール"は何なのよ?」

 

フラン

「? あっ、あーれですか!・・・核爆弾ですけど、それが何か?」

 

リリヤ

「・・・・・・核爆弾!?」

 

驚愕したリリヤ・・・それに合わせて、基地全体が爆発音と同時に大きく揺れた。

 

[ゴゴゴゴゴゴッ!!]

 

リリヤ

「こ、今度は何!?」

 

フラン

「誰かが、動力炉を爆破したみたいですね〜・・・さぁ! さっさとたーいさんしますよー!!」

[ダーーーーーッ!!]

 

リリヤ

「ちょ、ちょっと! さっきの核爆弾って!?」

 

フラン

「たーだの核爆弾ではあーりませんっよー! 放射線能を限りなくゼロにした"人にも地球にも優しい"爆弾で

 

リリヤ

「いやいやいやいやっ! "爆弾"の時点で地球に優しいっておかしいでしょ!!」

 

 

 

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[ゴゴゴゴゴゴッ!!]

 

レーア

「イーリスの仕事・・・終わったみたいね」

 

箒を担いだレーアは、低速飛行で器用に次の角を曲がる。

 

レーア

「あっれれ〜・・・ここさっきも通ったよね・・・?」

 

若干、冷や汗をかきながら今まで通った道を頭に描き、模索するレーア。だが、そんな事が出来るなら最初から迷子になる訳がない・・・

 

レーア

「こうなるんだったら、イーリスに基地内部のデータを

 

イーリス

『地図があったって、迷子になるのがお前だろうが』

 

秘匿回線からイーリスの声。『雷神』が発する妨害電波のせいでレーダーは効かないが、2人(+ラウラ)の機体には特殊な回線が備えられている。だが、この状況下ではお互いの距離がそれなりに近くなければ使用できない。

 

レーア

「さ、さすがに、そこまで方向音痴じゃ・・・って、どこにいるの?」

 

イーリス

「お前の後ろだ」

 

ガシッと、レーアの頭を掴み上げ、自分の方に無理やり向けさせるイーリス。

 

レーア

「あ、あはは・・・顔が怖いよぉ・・・」

 

イーリス

「ったく、やっと見つけたぜ・・・んで、そのお荷物は何だ?」

 

レーア

「え、えと・・・篠ノ之さんの妹、です」

 

イーリス

「はあ? そんな奴がこんな所に居やがんだよ?」

 

レーア

「私が知るわけないでしょ・・・それよりも、そろそろ手を離してくれない?」

 

イーリス

「おっ、そうだな・・・って! ここで油売ってる場合か! さっさとここを出るぞ!!」

 

「ち・・・ちょっと、待って、下さい・・・まだ」

 

レーア

「ん?」

 

「まだ・・・いちかと・・・のほと、け・・・が・・・」

 

言いたい事を完全に言い切れなかった箒は、またレーアの肩にぐったりと垂れる。

 

イーリス

「お、おい・・・今のコイツの言葉・・・」

 

レーア

「ええ。まだ、この基地内にこの子と同じ境遇の子がいるらしいわね・・・ちょっと、この子お願い」

 

イーリス

「てめぇが行ってどうする!? また迷子になる気か!?」

 

レーア

「でも、ほっとく訳にはいかないでしょ!!」

 

イーリス

「だから、てめぇが行ったってしょうがねぇだろ!! 私が行くからさっさと脱出しろ!!」

 

レーア

「・・・イーリス」

 

イーリス

「いいか! ここから道を真っ直ぐ行って、2つ目の角を右だ! 絶対、間違えんなよ!!」

 

そう言ったイーリスは、レーアに背を向け、広くはない通路を最大出力で飛んでいく。

 

イーリス

『真っ直ぐ行って、2つ目の角を右だぞ!! 分かったな!? 忘れるなよ!!」

 

通信で二度と忘れないように叫び続けるイーリスに、レーアはため息をつく。

 

レーア

「真っ直ぐ行って、右でしょ・・・余裕余裕・・・」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

レーア

「ごめん、イーリス・・・」

 

肩に担いだ箒を落とさない体制で、壁に手を付いて落胆するレーア。

そこに・・・

 

山田

「こっちだよ、お姉ちゃん・・・」

 

レーア

「え?」

 

ユウキ

「zzz・・・」

 

ギギッと重苦しい音を出して現れたのは、大量に積まれたゲーム機と、その脇で寝ているユウキを荷車で引く山田だった・・・

 

 

 

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本音SIDE

 

 

[ゴゴゴゴゴゴッ!!]

 

ハナ

『・・・ん、んぅ』

 

本音

「あっ、ハナちゃん・・・」

 

 

ハナ

『ん〜・・・あれ? 本音さん? ここh

 

本音

「助けてよ〜! もうあっちがあっちでこっちがこっちで意味が分かんないの〜」

 

ハナ

『は、はぁ・・・』

 

本音

「ひっく・・・うぅ〜・・・え?」

 

ラウラ

「・・・お前、何でここにいる?」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獅苑SIDE

 

 

楯無

「zzz・・・」

 

獅苑

「・・・どうしよう」

 

楯無さんが腰に引っ付いて離れない・・・強引にやれば、引き剥がせるんだけど・・・

 

楯無

「♪〜」

 

・・・俺には無理だ。

いや、状況が読めてない訳ではない。実際に上の階が騒がしいし・・・やっぱり、心を鬼にしt

 

ラン

「ワンッ!」

 

獅苑

「ぶっ・・・!」

 

突然、顔に飛び掛かってきた『ラン』。脇を抱えて顔から退かすと、口に『死戔』の待機状態である"黒いチェーン"を咥えている。

それを指で摘むと、咥えていた『ラン』は尻尾を盛大に左右に振って、顔を舐めてくる。

 

コウ

『ん、ん〜・・・ふぁあああぁ』

 

『ラン』を撫でている逆の手に握られた『死戔』から懐かしく思える声が・・・

 

コウ

『ねむ・・・あれ、ここ、どこ?・・・あっ、おはよう』

 

獅苑

「お、おはよう・・・」

 

・・・寝惚けてるのか?

 

ラン

「ワンッ」

[グイグイ!]

 

獅苑

「おい、どうし、た・・・」

 

W

「・・・」

 

瓦礫であぐらをかいている俺を、遠くから眺める影が一つ。その表情はとても寂しそうだった。

 

W

「・・・じゃ、ね」

 

獅苑

「ぁ・・・」

 

その人影は、俺から背を向けて遠ざかっていく・・・。

 

獅苑

「ありがと・・・"姉さん"」

 

W

[ピクッ]

 

一瞬、肩をビクッと震わせた姉さん・・・すると、何故か身を反転し、俺の方に歩み寄って・・・

 

W

[ギュ〜〜〜〜〜〜!!!]

 

獅苑

「っ!?」

 

飛び掛かってきた・・・それも器用に、着地地点を楯無さんに当たらないようにしている。

 

[ギシギシッ・・・!!」

 

背骨から軋む音が・・・!

 

楯無

「むっ・・・」

[ギシギシギシギシッ!!]

 

こ、骨盤にも・・・ってか、寝てるんじゃないのか?

 

ラン

「くぅ〜?」

 

ルン

「zzz・・・」

 

ロン

「ふぁあああぁ・・・がう」

 

コウ

『なになに? 現状が読めないよ〜!』

 

イライライライライライライライライライライライラ・・・!

 

獅苑

「っ!」

[ガツンッガツンッ!!]

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

獅苑

「お前にはやってもらわないといけない事がある」

 

一夏

「お、お前、どうし うぉっと・・・」

 

担いでいた楯無さんを上半身を上げている一夏に投げ託す。

 

一夏

「え? 楯無さん?」

 

獅苑

「気絶しているだけだ。別に心配しなくていいと思うぞ」

 

一夏

「そ、そうか・・・」

(このタンコブは、一体・・・?)

 

一夏がタンコブを凝視している。気づく前に帰さないと・・・それに

 

B

「っと・・・」

 

上の階からお客さんが来た事だし・・・

 

獅苑

「一夏、さっさとここから離れろ」

 

一夏

「なっ!? お、俺はまだっ! それに、2人居た方g」

 

獅苑

「頼む・・・目障りなんだ」

 

一夏

「っ・・・」

 

少し、言い過ぎただろうか・・・俺の言葉に反発する事無く、楯無さんを抱きかかえて傍から離れていく。

 

一夏

「・・・」

 

一夏は一度だけ、俺の方を振り向いたが、すぐに正面を向いて去っていった。

 

獅苑

「・・・」

 

B

「くくっ、ひでぇ奴」

 

獅苑

「・・・うるせぇ」

 

B

「"ここはお前に相応しくない場所"ってか? 回りくどい言い方するな〜」

 

獅苑

「お前だって、含みのある言い方をしたんじゃないのか?・・・"目障り"って」

 

B

「さぁな・・・んで、お前は"人に戻った"のか? それとも、"まだ人形のまま"なのか?」

 

獅苑

「さぁ・・・俺もまだ記憶の整理が出来なくてな。未だに、自分が自分である自信がない」

 

朝霧獅苑だった時の記憶・・・『亡国企業』のテロリストだった時の記憶・・・実際、後者である自分が本来の姿だ。でも、前者の自分はあまりにも幸せ過ぎた。そして、ここで過ごした"本来の自分"も・・・

捨てたくない・・・どちらの自分も・・・

 

獅苑

「でもさ・・・今、関係ない話をしてもしょうがないだろ。どうせ、戦うのは俺とお前だ」

 

B

「へいへい。そうですね〜・・・ほらよっ」

 

っ・・・コンタクト?

 

B

「その目じゃやりずらいだろ。俺は、"お前らしいお前"と殺り合いてぇんだよ・・・"ディストンション"」

 

青白い電磁波が、この室内一帯を包み込む。瓦礫もフィードに呑み込まれ、悶絶した姉さんを運び帰ってきた『ラン』達も呑み込まれる。

 

ラン

「キャンキャンッ!!」

 

獅苑

「お〜よしよし・・・こいつらも入れていいのか?」

 

B

「お前と引き離すと面倒だからな・・・それに、その一匹はともかく、ほか二匹は邪推なマネなんてしないだろ」

 

ルン

[ボケ〜・・・]

 

ロン

「zzz・・・」

 

獅苑

「・・・確かにしないな」

 

端から興味なさそうだもん・・・

 

獅苑

「ちょっと、あっち行っててな」

 

ラン

「ワンッ!!」

[ダーーッ]

 

B

「従順だな〜・・・羨ましい[ボソッ]」

 

・・・あっそ。

 

[ゴゴゴゴゴゴッ!!]

 

B

「何か、騒がしくなってきたな・・・こりゃ、最初から全力でいかねぇとな。出し惜しみなし来い!」

 

獅苑

「ほら、コウ! 眠ってる場合じゃねぇぞ!」

 

コウ

『え!? あ、は、はいっ!!』

 

B

「あん時より粘れよ、兄弟っ!!」

 

獅苑・コウ

「『アフタリミジン ランカン』」

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インフィニット・ストラトス 朝霧獅苑 のほほんさん 

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