真・恋姫無双 黒天編 裏切りの*** 第10章「黒天」 後編2 飛将軍推参
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真・恋姫無双 黒天編 裏切りの*** 第10章「黒天」 後編2 飛将軍推参

 

 

 

華琳「答えなさい!!北郷一刀!!!」

 

華琳の声はあたりの静寂な空気を一気に切り裂き、囲まれた丘からその声の反響が返ってくる。

 

しかし、一刀はそんな声も聞こえてはいないようでヨロヨロとした足取りながらもゆっくりと愛紗の方へと近づいていく。

 

額からは血が流れており、ツーっと鮮血が頬を流れていった。

 

愛紗「どうして、あなたが・・・」

 

愛紗は少し放心した様子で一刀の方を眺めている。

 

偃月刀の矛先は今まで一刀をとらえていたが、その先端が徐々に震えていく

 

そして、愛紗は自らの意思関係なく戦闘体勢を解いてしまっていた。

 

一刀は愛紗から少し離れた位置で立ち止まると、頬に流れている血を閻王を装備した手で拭う。

 

その後、一刀は後方にいるカガミの方へと顔を向ける。

 

カガミ「・・・・・・・・・」

 

カガミはそれに気付くとゆっくりと二回、首を横に振る。

 

一刀はそれでもカガミから目を背けることはせず、ジッとカガミのほうを眺めている。

 

カガミ「・・・・・・・・・・・・」

 

カガミはまたゆっくりと首を横に振った。

 

少し間が空いた後、一刀はそれに答えるように首を縦に一回コクリと頷くと再び愛紗たちのいる方へと向き直った。

 

愛紗「ご主人様・・・どうして・・・私は・・・私はっ!!心配していたのですよ!?」

 

愛紗は一刀に訴えかけるように言葉を紡いでいく。

 

愛紗「急にいなくなったあの日から私は・・・心配で心配でたまらなかったのですよ!?お怪我はされていないだろうかとか!!無事でいられるだろうかとか!!いろいろとっ!!なのに・・・」

 

愛紗は眼に涙をいっぱいに溜めながら、頬も真っ赤に染めながら、今まで一刀がいなくなってどれだけさびしかったのか、心細かったのかを語っていく。

 

愛紗「なのに・・・なぜ!!あなたはそちらにいて・・・私に拳を向けるのですか・・・」

 

そして、最後の言葉はかき消えるほどの細い声を絞り出すように発する。

 

一刀「・・・・・・・・・・・・」

 

しかし、一刀は愛紗の感情にまかせて述べた言葉でさえ何も返事を返さない。

 

カガミから目線を外した後の一刀の視線は定まっておらず、目に光も宿っていないようだ。

 

何を考えているのかさえ分からない。

 

華琳「・・・一刀も・・・」

 

愛紗「えっ・・・」

 

華琳はいつの間にか手に絶を携えて、愛紗のそばにまで来ていた。

 

華琳「一刀の様子・・・心ここに非ずって感じじゃない?」

 

愛紗「・・・・・・まさか、凪たちのように!?」

 

華琳「その可能性は十分ありうるわね・・・」

 

愛紗「貴様らぁ!!ご主人様に何をしたぁぁ!!!」

 

先ほどの声のトーンから一変して、覇気のこもった怒声をカガミたちにぶつける。

 

しかし、それに気圧される様子もなく、カガミとツルギは悠然とその場に立ち尽くす。

 

カガミ「さぁ・・・どうでしょうか?」

 

カガミは手を口元にあて、妖艶な笑みを浮かべる。

 

ツルギも両手を組みながら何も話さず、ただジッと一刀の方を見ていた。

 

カガミ「感動の再開はお済になりましたか?ふふふっ・・・では、続きをはじめてください。わかっていますよね?」

 

カガミの声を背に受けたまま、一刀は再び頷くと両拳を握り締め、戦闘態勢へと入った。

 

愛紗「ご主人様っ!!!」

 

愛紗の声が響く中、一刀は一直線に愛紗の方へと突進していった。

 

 

 

 

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蓮華「か・・・ずと・・・」

 

蓮華は横たわる雪蓮の肩を抱きながら、目線は一刀から離さない

 

蓮華「あれ・・・一刀じゃないですよね?・・・ねぇ!!」

 

雪蓮「私もびっくりしちゃったわね・・・さすがに・・・」

 

思春「・・・・・・・・」

 

雪蓮も表情を硬くし、動きにくい体に鞭を打って首だけを動かす

 

思春は言葉にはしないが、完全に目は見開いている。

 

春蘭「ほんご・・・う?」

 

流琉「春蘭様?」

 

春蘭「北郷?あそこにいるの・・・北郷じゃないかっ!」

 

呉の面々とは違い、春蘭だけが違った表情を浮かべていた。

 

春蘭「私の目が曇ったわけじゃない・・・いるっ!よかった・・・いなくなってない・・・よかった・・・」

 

春蘭は一刀がカガミ側にいることへの驚きよりも、一刀が目の前にいることが喜ばしかった。

 

流琉「やっぱり・・・兄様・・・ですよね。・・・あれっ?」

 

流琉も春蘭の目線の先にいる一刀へと見やる

 

その時、頬に冷たいものがスッと通り過ぎる感覚を味わう。

 

流琉はその正体を確かめようと頬へ手をやると、頬には一筋の涙の通った跡があった。

 

後を追うように手を眼の方へやると、その手に水滴がまた一つ落ちてきた。

 

流琉「あれっ・・・なんで、私も泣いてるんだろ・・・」

 

別に悲しみの感情はない。

 

泣きたいとも思っていない。

 

しかし、心の中は安堵でいっぱいだった。

 

何に対して安心したのかはわからない。

 

一刀が敵側にいるという事実

 

そのことが、なぜか流琉に安心感を与える。

 

(いなくなってなかった・・・)

 

心の中で流琉は無意識に心の中でぽつりと呟くのであった。

 

 

 

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一刀は閻王を赤々と滾らせながら、愛紗の方へと突進してくる。

 

愛紗「華琳殿!!一先ず下がってください!!」

 

華琳「・・・・・・ちっ」

 

愛紗の言葉に納得はしていないようではあるが、今の一刀と自分とでは渡り合えないと感じ、すぐに蓮華たちの方へと引き返す。

 

愛紗は一心不乱に突撃してくる一刀に向かって刃先を向ける

 

愛紗「ッ!」

 

刃先を向ける。

 

刃は潰していない。

 

触れれば切れる。訓練ではない。

 

愛紗(私は自らの主に・・・刃を向けている・・・)

 

先ほどと今とでは訳が違う。

 

相手を・・・知ってしまった。

 

そう考えたとたん、また刃先が揺らぎ始めた。

 

狙いが定まらない。

 

様々な思いが愛紗の心の中をかき乱す。

 

愛紗「ハッ!?」

 

そう考えているうちに一刀が眼と鼻の先まで突進してきていた。

 

拳を引き絞りながら・・・

 

黙ってくらってしまうわけにはいかないと、愛紗はすぐさま防御姿勢に入る。

 

そして、拳を柄でがっちりと受け止める。

 

 

 

重い・・・

 

一刀が放っているとは思えない重さだ。

 

 

 

そう考えている間にも一刀は次の攻撃へ移っていた。

 

そして、愛紗に対して拳の残像が見えるほどの乱打を浴びせかける。

 

それを一つずつ、確実に受け止めては、討ち落としていく。

 

 

 

しかし・・・反撃に移れない。

 

主に刃は・・・向けられない。

 

一刀は・・・

 

(ご主人様は・・・ご主人様は・・・)

 

攻撃しなければ、こちらがやられる。

 

それは分かっている。

 

スキもあり、そこを打てばいいだけだ。

 

斬らなくてもいい。

 

刃の側面で叩けば、または石突きで突ければ傷つけずに・・・

 

 

 

無数の乱打を打ち終わったかと思うと、半歩だけ後ろに下がって腰を落とす。

 

そして強く地面を蹴り込み、赤い“気”が纏った右拳を鳩尾目掛けて放った。

 

愛紗は今までのリズムを崩されて、タイミングが少し遅れたもののなんとか防ぎきった。

 

 

 

重い・・・

 

今のご主人様相手に・・・手加減などできない

 

すれば・・・やられる。

 

でも・・・傷つけられない。

 

刃の側面を当て込むなんて・・・無理・・・

 

やめてください・・・

 

愛紗(もう・・・やめてください・・・)

 

 

 

愛紗は一刀の強打を受けきった後、心の乱れと目の前の現実に耐えられなくなり、一瞬だけ眼をつぶってしまう。

 

だから、気付けなかった。

 

一刀の左拳が黄色く光っていたことに

 

右の強打を打ち終わった一刀は、すぐさま左の掌底を愛紗に繰り出した。

 

左の掌底は偃月刀の柄に当たり、直撃は避けられた。

 

しかし、その衝撃により愛紗の偃月刀は大きく跳ね上がり、その隙を突いた一刀の右前蹴りが腹に抉り込んだ。

 

愛紗「ぐはっ!!」

 

愛紗は勢いを殺しきれず、後ろに大きく吹き飛ばされる。

 

偃月刀もクルクルと宙を舞い、愛紗から少し離れた地面に突き刺さった。

 

 

 

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華琳「愛紗ッ!!」

 

華琳の言葉があたりに響き渡る。

 

雪蓮「あれを私も食らったのよね。でも、愛紗らしくないわ。直撃だなんて」

 

蓮華「一刀が・・・愛紗を・・・」

 

蓮華は手で顔を覆いながら、信じられないと眼を見開いている。

 

愛紗は必死に立ち上がろうとしている。

 

しかし・・・

 

雪蓮「眼から戦意が無くなってる。これ以上は・・・」

 

春蘭「クソッ!!」

 

春蘭は右側に寝かせていた七星餓狼に両手をかけ、地面に突き刺し、杖代わりにして立ちあがろうとする。

 

しかし、両足は小刻みに震えており、いつものような力強さは微塵もない。

 

流琉「春蘭様!無理はなさらないでください!!」

 

流琉は今にも崩れ落ちそうな春蘭に肩を貸してやる。

 

春蘭「ちっ・・・思い通りに動かぬ体など・・・」

 

華琳「春蘭、無理はするものではないわ。今、行ったって足手まといになるだけよ。それに、一刀に刃を向けれるの?」

 

春蘭「・・・・・・造作もないことです」

 

少し間が空いた後、そう言う春蘭であったが、華琳は見逃さなかった。

 

目線が一刀の方へ向けられた後、すぐに逸らされたことを

 

華琳「春蘭もダメ、雪蓮もダメとなると・・・私しかいないわね・・・」

 

そう言って手に握られている“絶”を軽く振って見せた。

 

流琉「華琳様!!何を!!」

 

華琳「決まってるでしょ?私が出るのよ」

 

流琉「華琳様が出るなら、私が・・・にい・・・さまと・・・」

 

流琉の言葉の勢いが徐々に減退していき、最後に紡がれる言葉は聞き取れないほどの小さいものであった。

 

華琳「戦えるっていうの?」

 

華琳の言葉に流琉は俯いて、何も返す言葉が出ない。

 

華琳「あなたはここで春蘭を見ておいてちょうだい。いいわね?」

 

華琳は流琉のもとへと近づき、肩を軽くポンポンと二回叩く。

 

やさしい心を持つ流琉が一刀に武器を振るえるとは思わない。

 

流琉は顔を上げず、小さく一度だけコクリとうなずいた。

 

思春「華琳殿が出るまでもなく、私があ奴の・・・」

 

華琳「駄目よ。あなたがいなくなったら、誰がこの場を誰にまかせるというの?」

 

思春「しかし・・・」

 

華琳は流琉のもとから離れ、思春の方へ行くと他の者には聞こえないように小さな声で言った。

 

華琳「蓮華の様子が少しおかしいこと・・・気づいてるのでしょう?」

 

思春「!」

 

華琳「それに流琉と春蘭・・・傷ついた雪蓮もいる。今この場を任せられるのはあなただけなのよ」

 

思春「・・・・・・・・・」

 

華琳「今、一番冷静なあなたにしかできない仕事よ。いつでも撤退できる準備はしときなさい。いいわね?」

 

思春「・・・・・・承知した」

 

そして流琉にしたように思春の方にも軽く一回だけ肩を叩いた。

 

“今、一番冷静なのはあなた”

 

華琳は思春にそう言った。

 

そう、華琳自身の心の中は今、大きく波打っていた。

 

一刀に会えた。

 

しかし、自分が望んでいた展開とは違う。

 

なぜ、あちら側にいるのか。その真意を聞きたい。

 

直に触れ合って聞きたい。それが武器と武器とのぶつかり合いであったとしても・・・

 

たとえ敵わないとしても・・・

 

華琳「それじゃ、いってく―――」

 

華琳の言葉が言い終わる直前、華琳の真横を凄まじい深紅の突風が吹きぬけた。

 

 

 

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愛紗「くっ・・・」

 

愛紗は倒れたまま、右手を偃月刀へ向けて懸命に伸ばす。

 

しかし、あと指先少しというところで偃月刀が急に遠のいた。

 

間近まで来ていた一刀が偃月刀を取らせまいと蹴り飛ばしたのだ。

 

愛紗は地面に突っ伏したまま、顔だけを上げて一刀の方を見る。

 

一刀は偃月刀の行方を追った後、ギロッとした目線で愛紗を見下した。

 

そして、少し腰を落とした後、右拳を振り上げる。

 

その時、まるで心地よくない風が辺り一帯に吹きすさぶ。

 

愛紗の黒髪と一刀の黒髪が一緒にたなびく。

 

その時、一瞬だけ愛紗は一刀と眼があったような気がした。

 

その眼には光がない。

 

本当にその眼に自分の姿が映っているのだろうかと疑ってしまうくらい曇っている。

 

しかし、その目尻にはその表情から似つかわしくないものが溜まっているようにも思えた。

 

 

 

 

一刀は引き絞った右拳を振り落とそうとした瞬間

 

心地よくない風が一気に暴風のごとく吹き荒れる。

 

何事かと思い一刀は愛紗から目線を外す。

 

その瞬間、深紅の暴風が一刀の周りに纏わりつきながら上昇気流を発生させた・・・ように見えた。

 

その影響で一瞬だけ一刀が怯むと、その風は次に愛紗に纏わりついた。

 

すると、その風がふわりと愛紗の体を持ち上げたかと思ったとたん、凝縮されたものが一気に解放されたかのような暴風が巻き起こる。

 

その間わずか数秒の出来事

 

愛紗は自分に何が起こったのか理解できずにいた。

 

それは、一刀も同じようであった。

 

愛紗は自分の体の状態を確認すると、誰かに腰のあたりと膝裏を抱えられており、いわゆるお姫様だっこの状態になっていた。

 

自分をかついでいるのは誰かと目線を徐々に上に上げていくと、その者の顔にたどり着く前に深紅の赤い二本の触角のようなものが風にたなびいているのが見えた。

 

愛紗「恋ッ!!!」

 

恋「大丈夫?」

 

恋は相変わらずのマイペースな話し方で愛紗の顔を覗き込んだ。

 

愛紗「なぜこんなところに?五胡討伐隊から抜けてきたのか?」

 

恋「うん。心配だったから。お城に着いたら“愛紗の所に行ってきて”って言われた」

 

愛紗「いや・・・どうしてここが分かったのだ?」

 

恋「・・・におい?」

 

恋は首をかしげながら、そっと愛紗を地面に下ろしてやる。

 

恋「愛紗・・・ご主人様、喧嘩はダメ」

 

愛紗を下した後、恋は数歩歩いて一刀のもとに向かう。

 

その言葉に愛紗は今の状況を恋はあまり把握していないことに気づく。

 

愛紗「恋!!待てっ!!」

 

恋「ご主人様はこんなもの持たなくていい」

 

愛紗の言葉と同時に恋は背中に手を回すと、その手の上には手甲があった。

 

一刀「ッ!?」

 

一刀はあわてた様子で自分の両手をみると、そこには装備されていたはずの炎閻の姿が消えていた。

 

恋は愛紗を抱える直前に一刀に近づき、本人にも気づかれない速度で閻王を奪い取るという神業をやってのけていた。

 

これには愛紗も驚きを隠せなかった。

 

愛紗「れ・・・恋?」

 

そこで初めて愛紗は恋の様子がいつもと違うような感じがした。

 

別に見た目や外見が何か変わったというわけではない。

 

雰囲気もいつもの恋そのものだ。

 

しかし、恋の体から溢れんばかりの“気”が漂っている。

 

まるで今まで抑えられていたものが解放されたかのような

 

メラメラと燃え上がる何かを感じる。

 

別に感情が高ぶっているということでもない。

 

なぜなら、恋は愛紗にいつも通り感情はあまり表に出さない顔だけを向け“何?”というふうに首をかしげている。

 

恋は愛紗を見た後は再び一刀の方へと向きなおし、ジッと一刀を眺める。

 

そして、一言こういった。

 

恋「ご主人様?悲しいの?」

 

もちろん一刀は答えない。

 

しかし、体が少しだけピクッと動いたような気がしないでもない。

 

答えがなかったため、恋は一歩ずつ一刀のもとへ近づいていく。

 

恋「ご主人様、きっと疲れてる。恋とセキトと一緒に・・・休もう」

 

一刀は一歩後ずさったが、二歩目の足が出ないらしく、そのまま固まっていた。

 

徐々に恋と一刀の距離が近くなっていくが、そこに再び突風が吹き荒れる。

 

そしてその突風は恋の周りに纏わりつくかのように大きく渦を巻いた。

 

恋「・・・邪魔」

 

恋はどこからともなく方天画戟を取り出し、その風を横一線に切り裂いた。

 

風が斬撃により霧散すると、辺り一帯に吹いていた風が一瞬で収まった。

 

そして、恋は一刀の方を見やると、今までいなかった男の姿が一刀の横にあった。

 

ツルギ「バカが・・・とられたことにも気づかないってどういう神経してんだって話だ。ったく・・・ほらっ、もう取られんじゃねぇぞ」

 

ツルギは押し付けるような形で一刀の胸にドンと何かを突きだした。

 

ツルギの手には今まで恋が持っていたはずの閻王があった。

 

それを見て、恋は閻王をしまった懐に手をやる。

 

そこには先ほど話をしながらしまったはずの手甲の姿はなかった。

 

ツルギが先ほど恋がやったことをやり返したのだ。

 

しかも、飛将軍と称される恋相手に・・・

 

ツルギ「ほらっ、下がりやがれ。あいつの相手はオレの仕事だ。お前は続きしとけ。オレらに巻き込まれんなよ?」

 

突き出されていた閻王を受け取った一刀はそのまま一度コクリと頷いた後、ツルギと少しだけ距離を置く。

 

ツルギ「アンタが飛将軍呂布奉先で間違いないな?」

 

その問いに恋は首を縦に振る。

 

恋「ご主人様と話してる。お前は邪魔」

 

ツルギ「こいつはお前に話なんてねぇってよ。それに、俺がお前に用があんだよ」

 

恋「恋にはお前とする話ない」

 

ツルギ「いやいや・・・言葉で話す内容なんて俺にもねぇよ。ただ・・・こいつで語り合おうじゃねえか」

 

ツルギは腰から愛刀“月白”を抜刀する。

 

ツルギの雰囲気が変わったことを敏感に感じ取った恋も方天画戟の刃先をツルギに向ける。

 

ツルギ「ったく・・・やっと、俺の仕事が出来んぜ・・・長すぎだっつーの。どれだけ待たされたと思ってんだ。おいっ!!カガミ!!全力でやっていいんだなっ!?」

 

カガミ「構いませんよ。“規格外”相手ですからね。ただ、潰さないでくださいよ。大地を・・・」

 

ツルギ「そいつは分かんねぇーな」

 

ツルギは月白を肩に担ぎながら、今までで一番凶暴な表情を浮かべた。

 

恋「お前・・・恋と同じくらい強い」

 

ツルギ「当たり前だろうがぁ・・・ふひひっ・・・楽しみだぜぇ・・・。自然と笑みがこぼれやがる。アンタも全力で来なっ!抑え込んでやるぜぇ!!」

 

恋「お前を倒せば、ご主人様と話できる?」

 

ツルギ「ああ!!いいぜぇ!!好きなだけしゃべんな!!つーか、あんたが俺に勝てたら一刀を返してやんよっ!!」

 

恋「分かった」

 

そう言ったとたん、恋から発せられる気の質が急に変化した。

 

方天画戟の刃先が深紅に一気に染め上げられ、まるで燃えているかのように気が纏い始める。

 

刃先の周りからはパチパチと火花が散ったような音を上げている。

 

愛紗「れ・・・恋」

 

愛紗は恋の後ろでただただ恋の様子を見ることしかできなかった。

 

同時に恋から発せられる闘気の膨れ上がり方に驚愕した。

 

一体、恋の身に何が起こったというのか

 

ツルギ「設定の緩みが呂布の力を引き上げてんのか。・・・こりゃ、お遊びってわけにもいかなそうだな」

 

今までヘラヘラとしていたツルギであったがここで急に真剣な顔つきにかわる。

 

そして、ツルギは今までの戦いでは見せなかった独特の構えを取る。

 

ツルギ「この外史での初仕事・・・ワクワクするね」

 

そして最後に小さくそうつぶやく。

 

すると、月白の周りに恋の方天画戟の色にも勝るとも劣らないほどの赤の閃光が光り輝く。

 

そして、大きく息を吸い込んだ後、あたりを振るわせるほどの大声で叫ぶ。

 

ツルギ「まぁ、初めてだし、名ぐらい名乗っておこうか。オレの名は外史の剪定者第一席クサナギ=ツルギ!!アンタの足止めをさせてもらおうっ!!」

 

恋「ご主人様の最強の矛・・・呂布奉先・・・行くッ!」

 

三国最強の矛が遂に振るわれる時が来た

 

 

 

 

 

END

 

 

 

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あとがき

 

お久しぶりです。はじめましての方は初めまして

 

Sulfaと申します。

 

えっと・・・

 

仕事の方が6月からこの時期にかけて忙しくなるので、書く暇がありませんでした。

 

そして正直な話・・・自ら考えた設定なんかも少し忘れかけてたりもします。

 

更新はできれば続けていきたいとも考えておりますので

 

お付き合いしていただける方は、次回の更新もよろしくお願いします。

 

 

 

タイトルだけは決まってますので次回予告をして失礼します。

 

次回 真・恋姫無双 黒天編 裏切りの*** 第10章「黒天」後編3-1 衝撃

 

では、これで失礼します。

 

説明
どうもです。後編2になります。
だいぶ期間が開いていますが、お楽しみいただければと思います。
リハビリも兼ねていますので少し短めです。
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真・恋姫無双 黒天編 愛紗 雪蓮 蓮華 華琳 オリキャラ 

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