魔法世界に降り立つ聖剣の主 |
今回は前半駄弁って後半でシリアスムードに入ります。
1:別れってのはいつも突然だ
こんにちは皆さん。
転生者ことシオン・インサラウムです。
お気づきと思いますが苗字がどっかの尽きぬ水瓶と同じになってます。
ちなみに名前は前世のままで、漢字で紫苑って書きます。
何で名前がカタカナになっててしかも苗字が軽く厨二臭くなってるかって言うと。
ベルカ王族とかいうお偉いさんの血縁者兼臣下になっちゃったからです。ナンテコッタイ/(^o^)
あのさぁ神様…確かに生活には困らないって言ってたけど限度弁えようよ。
周りの人に無駄に堅苦しい仕草強要されてたまったもんじゃないよ。
しかも転生特典は要らないって言ったのに、顔がス○ロボZ再世編のユーサー・インサラウムとそっくりだし……髪の色は黒だけど。
それに生まれ持った魔力とやらが桁外れらしく、試しに軽く訓練させられたら末代の神童だとか騒がれた。
……本当に何ぞこれ?神様本当に特典つけなかったの?
このまま宝剣コールブランドとか手に入ったりしないよね?惑星一つ覆い尽くすようなエネルギーぶちまけるような環境破壊兵器なんて要らないよ!( ̄◇ ̄;)
まぁ流石にそんなことは無いだろうけど……
などと思っていた18歳の春頃。
随分前から身体の調子が優れなかった父ジェラウド・インサラウム(名前に突っ込むな)の容態が更に悪化した。
俺にとっては二人目の父親に当たる人物だが、それでも俺にとっては生みの親であり大事な家族。
別に当主の座になんて興味無い俺に口うるさく騎士の何たるかを…とか言って来て鬱陶しいって思ったこともあった。
鍛錬と言う名の拷問で立てなくなるまでシゴかれた事もあった。
けどそれらは全て不器用な彼なりの愛情なのだとも理解していた。
前世では親に迷惑ばかりかけた挙句、人生これからって所で勝手に死んだ親不孝者の俺だったが、はたして目の前で横たわる第二の父にちゃんと親孝行出来ていただろうか?
どれだけ大変な思いをさせられてもその存在は決して俺の中では小さいものではなかったのに。
ジェラウド「シオンよ。近う寄れ。」
シオン「はい。」
痩せ細り、血色も良くない父の隣に片膝をつく。
父は左右で色の違う赤と青のオッドアイでこちらの顔を仰ぎ見た。
強い目だ。今にも命の灯火が潰えてしまいそうになっても衰えることのない威厳と覇気に満ちた目。
幼子の頃からこの迫力のある目で見られるのが堪らなく苦手だったけど、今思えばそんな目をした父が羨ましかったのかもしれない。
鬱陶しくて、スパルタで、ドスが効いてて、誰よりも男らしかった父が死のうとしている。
自分でも気づかぬ内に、頬を伝うモノがあった。
悲しい…寂しい…もっといろんな事を教えて欲しい…だから死なないでくれと、そんな思いが涙となって止めどなく流れ落ちていく。
そんな俺の心境を見越してか、父は弱々しい声で告げた。
ジェラウド「シオン。今更言わずとも分かっておるだろうが、私はもう果てるだろう。故にこれからはお前がこの国の、聖王の守り手となるのだ。」
シオン「無理だよ…そんな大仰な事なんて出来ねぇよ……まだまだ足りない所だって一杯あるし…まだまだ教えて貰わなきゃならないことも残ってるじゃねぇかよ…せめてちゃんと最後まで教えていけってんだよ……!」
涙声で途切れ途切れに告げる俺の頬に父は手を添えて、涙をそっと拭う。
強面の顔に滅多に見せることのない笑みを浮かべて、父が語り掛ける。
ジェラウド「もう私が教えるべきことなど一つもない。何故ならお前はたった今、私が今の今まで一番伝えたかった事を理解したのだからな。」
シオン「え……」
訳の分からないと言った様子の俺に父は最後の力を振り絞って告げる。
ジェラウド「我が子シオン・インサラウムよ。お前はたった今己の未熟さを何の嘘偽り無く認めたのだ。それは騎士たる者がが必ず心掛けねばならんことなのだ。」
国の守護者たる騎士は己が頂点であると考えてはならない。
騎士は常に油断ぜず、傲り昂ぶらない。
いつ如何なる時も、聖王の剣としての心掛けを忘れるなかれ。
耳に耳にタコが出来る程に言って聞かされてきた言葉が鮮明に蘇る。
今の状態に満足してはならない。
向上することに無欲になってはならない。
常に上を目指し民を先導する。
ジェラウド「確かにお前は未熟かもしれん。だがそれを言うならば私とてまだまだだ。この世に絶対無欠の存在などありはしない。故に我等騎士には民や同志達がいる。その絆が王を支えるのだ。」
人は一人では生きれない、王は一人では国を守ることは出来ない。
民と臣下を蔑ろにし、己以外に信じぬ者など裸の王様でしかないのだ。
ジェラウド「お前は幼き頃より民と触れ合い、その声を聞き、それに応えて来た。臣下達と親しく接し、心を通わせていた。」
そこには確かな信頼関係があり、強い絆で結ばれていた。
己の未熟を甘んじて受け入れる心意気と民達との絆。
これがある時点でそれは王としての資質を充分に有していると、父は告げた。
最期に伝えるべきことを伝え終えて、ジェラウドは目を閉じる。
ジェラウド「母と共に見守っているぞ……この国を、そしてこの国の民を、頼む…」
シオン「親父……」
ジェラウド「フハハ……その呼び方だけは、最後まで…変わらなんだか…仕方の無い馬鹿息子だ…」
掠れた笑い声を上げた後、父は口を閉じて言葉を発することは無かった。
その意味を理解した時俺は顔を臥せて静かに嗚咽の声を漏らしていた。
十三代目インサラウム王、ジェラウド・インサラウムの死の翌日、その実子シオン・インサラウムが十四代目の地位に着き、インサラム王国は一つの時代の終焉と、新たな時代の始まりを迎えた。
後に聖王戦争と呼ばれる大戦が始まる二年前の出来事である。
あとがき
まえがきに書いたとおりなんか前半と後半の温度差が酷いですね。
しかもジェラウドさんが父親とかwww
でも、初めはジェラウドさんじゃなくてガイオウを父親に設定しようと思ってたんですけど、あれに鍛えられて狂化(誤字にあらず)間違いなくバグキャラと化しますから。まぁ既に大概な事になってるんですけど……
何はともあれ一話目終了です。次は設定ですね。
では、次回でまた会いましょ〜(^O^)/
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いきなりスパロボキャラ登場しかも設定がwww | ||
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