夜天の主とともに 29.夢 |
夜天の主とともに 29.夢
そこは灰色な世界だった。
俺は気づくとそこにいて、何もなくただ灰色な世界に浮かんでいた。感覚的には神様がいた真っ白な世界に近いものを感じたがそれとはまた違うものだとも感じていた。
『――――――。』
ふとどこからか声が聞こえた。少し低いが透き通った声色からその声の主は女性だとわかった。俺はその声を辿った。
声を辿るたびにその声質は大きくなっていくが何と言っているかはノイズが走ったかのように聞き取れなかった。ただ、その声は悲しさを感じさせた。
さらに歩いていくとついに人影を発見した。そこには二人いた。一人は少女で眠っているのか床らしきものに横たわっている。もう一人は悲しい音を出していた張本人のようで銀色に輝く髪をした女性だった。
もっと近くで見ようとするがそこに目に見えない壁があるかのようにそこから先に進めなかった。
『ごめんなさい。』
だが声は聞こえた。どうやら眠っている少女に言っているのか涙を流しながらそうつぶやいていた。
『ごめんなさい……本当にごめんなさい。』
その姿はとても痛ましいものだった。見ていられないものだった。でも、声をかけように俺の喉からは声は出なかった。
そして女性はその赤い眼から涙を流しながらこちらを見た。
『ごめんなさい。』
―――――――――――――――
「………夢か。」
半分眠気を残した状態で俺は目を覚ました。頭を掻きながらのっそりと起き上がり直前まで見ていた夢について考える。
(いつも見ているような夢とは違う気がする。妙に頭の中に夢の内容が鮮明に残ってるし。たぶん寝てたのははやて……だよな。でももう一人の女の人は誰だろ?しきりに謝ってたけど……しかも俺にも謝ってるみたいだったし。)
しばらくベッドの上に座ったまま考えたが結局わからなかった。はやてのほうはともかくそもそもあの女性とは俺は会ったことはないから謝られるようなこともないはずだ。
(………まぁ後でザフィーラに聞いてみるか。はやてが出てきたってことは魔法関連の可能性もあるし。)
そう考えベッドから降りようとするとふいに視界が揺れ体がふらついた。胸元が苦しく耐え切れず短く数回咳をした。このまま立とうとするとまずいと感じもう一度座りなおして落ち着くまで待った。
数分後、ようやく落ち着いたところで手を見れば血がついていた。
「最近……多くなってきたな。…頼むから持ってくれよ、俺。」
完成までに体が持つかわからない。だけど、止まるわけにはいかない。俺はもう立ち止まれないのだから。
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A's編っす | ||
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2016 | 1896 | 6 |
コメント | ||
リィン・・・・・・・・・(アサシン) そうですね、学校に友達はいても招待はしたことないですね(森羅) 健一の家、八神家しか誰も知らないんじゃないか?(鎖紅十字) 管理局はどうして健一の家を見張ってないんだ?(他生) 健一が漢前すぎて感激……(蒼扇) |
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