ViVidに転生した。うん、そのはず………。 その9 |
夏休みが終わり、新学期が始まった。
今日は九月八日。授業が終わった後のホームルームで、四日後に迫った公開意見陳述会の話が出ていた。
公開意見陳述会っていうと原作では管理局がスカリエッティ一味にすっかすか……じゃない、ぼっこぼこにされた日である。特に機動六課はスバルさんの姉のギンガさんは拉致られるわ隊舎は壊滅するわヴィヴィオはさらわれるわ……相当悲惨だった。
重要な話だからよく聞いておくようにとのことでウチの学校………すなわちザンクト・ヒルデ魔法学院はその日は休みとのことだった。ひゃっほぅ。どんなときでも休みは嬉しいものだ。
アインハルトもこの日は修練をせず、真面目に陳述会の様子を見ているつもりらしい。
放課後、鼻歌でも歌いたくなるような気分で帰っていると、通信が入った。……ってあれ?なのはさん?
『もしもーし、レーヴェ君?』
「あ、はい」
って背景が………うん、あえて言うなら死屍累々って感じでフォワード陣がボロボロになって全員ぶっ倒れてる。後ろでにこやかな笑みを浮かべているのはシグナムさんと……見覚えのある人物。
「あれ? シスターシャッハ、何故そこに?」
『ああ、私が頼んだのだ。フォワードメンバーの模擬戦とかかり稽古を中心にな』
シグナムさんがなんかすっきりした顔をしている。その後ろでスバルさんが『うう……』と俺に向かって手を挙げかけ………途中で力つきてパタンと下ろした。
『まあ、それはともかく』
スルーですかなのはさん。さすが魔王。そこにしびれない憧れない。
『今シスターシャッハから聞いたんだけど、公開意見陳述会の日、君の学校ってお休みなんだよね?』
「え? ええ、まあ」
まさに今それが嬉しくて小躍りしてたところですとは言えない。シスターシャッハの訓練が倍プッシュになる。
『私達ね、そこの警備に行かなくちゃ行けないから、ヴィヴィオ、寂しがると思うんだ。だから当日こっち来てくれないかな?』
………え? 何この死亡フラグ?
と、取り敢えず言い訳!
「あ、でも先生がちゃんと見ていろいろ考えるようにって……」
『ロングアーチは残るから、色んな意見を聞かせてもらえるんじゃないかな。シャーリーとかこういうのにも詳しいよ。執務官補佐資格持ってるし』
「で、でもいろいろ迷惑なのでは………?」
『大丈夫、何かあった時にはちゃんとお願いするから』
「ええっとぉ……」
参った、これ死ななくても確実に大怪我する。あいつを見捨てるとか出来そうにないし。
『何か用事でもあるの? 多分夜まで待ってもらっちゃうことになりそうだけど………』
「いや、ないですけど………」
『来てくれたらあの子喜ぶと思うな』
だんだんとイライラしてるような声になってる気がする。まずいこれは砲撃を撃たれ……
「い、行きます! いつ行けばいいですか!?」
ヘタレた。しょーがないだろ!? なのはさん滅茶苦茶怖かったんだから!
『あ、じゃあ朝から来てくれると嬉しいな』
「わっかりましたぁ!」
もう自棄である。今砲撃を撃たれるか、後でぼろぼろになって大怪我するかだ。どっちでも対して変わんない。
………ぶっちゃけ前者と後者では相当な差があったのだが、そんなこと当時の俺は知る由もなかった。
で、公開意見陳述会、当日。
朝、そりゃもうとんでもない勢いで早起きして、六課隊舎へ向かう。
「え? いない?」
「おう、前線メンバーはもう全員警備に入ってるぞ」
俺にそう言ってきたのはおもしろヘリパイ兄ちゃんのヴァイス・グランセニック陸曹だ。
「………マジっすか」
「マジだ」
あれ? じゃあこんなに気合い入れてくる必要なかったかな?
「レーヴェー!」
とてとて、と危うい感じでヴィヴィオが走ってきた。
「別にそんな急がなくても俺は逃げたりしねえってば」
「えへへ……」
はにかまれた。超可愛い。
頭をくしゃくしゃ撫でてやりつつ、
「今日は夜まで一緒にいてやるからなー」
「ほんとー!?」
「あったり前だろー」
そんな会話をしつつ、隊舎の中、部屋の方へ向かった。
まずはアニメ。今日は進化を強要して主人公のパートナーが骨になった回だった。ヴィヴィオ涙目。
………なんかスッゲー不吉な予感。
で、昼。
食堂に向かう途中でシャーリーさんとばったり会った。これから昼食です、と告げると、
シャーリーさんはにっこり笑った。
「私もなんだ。交代で休憩貰ったの。一緒に食べよ?」
「はい」
「うん!」
俺達は同時に頷いた。
「今回の公開意見陳述会、確か目玉はアインヘリアルがどうとかって話だったと思いますけど、アインヘリアルってなんでしたっけ?」
スパゲッティをフォークに巻き付けつつ俺がシャーリーさんに質問する。シャーリーさんはサラダをもっきゅもっきゅ食べて飲み込んだ後、「うーん」と少し考えてから、
「地上を防衛するための大口径の魔力砲って考えればいいかな。詳しいことは機密だから知らないけど、対空砲撃とかも出来ると思う」
「はむ………。何だってんで本局はそれを止めようとするんですかね? 皆の安全を守るためだから別にいいじゃないですか」
スパゲッティを食べた後のお気楽とも言える俺の素朴な疑問に対して、シャーリーさんはやや神妙な顔をして答えた。
「力が大きすぎるから不安になるんだよ。もし地上本部が暴走して、人々に向けるようになった場合とか、奪われた場合、暴走………強い力にはそれだけ危険性が伴うものなんだ」
「へぇ……。アルカンシェルとかも大して変わんない気がするけど」
というかアレの方が遥かにヤバい気がする。百数十キロに及ぶ殲滅って何だ。
俺の心を察したのか、シャーリーさんは苦笑した。
「アレはアレで普段は相当な封印がかかってるからね。よほどの事態じゃない限り使えないんだよ」
「うーん………」
横でヴィヴィオは困った表情で首をひねっていた。それを見てシャーリーさんはやや申し訳ないような表情になる。
「あ、ごめんね、ヴィヴィオ。話分からなかったよね」
「うん……」
「まあ、大人はいろいろ大変ってこった」
「そうそう」
「そっかぁー」
俺達の丸め込むような言葉にヴィヴィオは何となく頷いた。
ご飯を食べ終わった後、腹ごなしに運動。
格闘の修練を誰もいない普段の訓練場でやることにする。
拳が、掌打が、蹴りが、鋭く空を裂く。
「ふっ!ふっ!」
「ほええ……」
ヴィヴィオはそれを目を丸くしながら見ていた。
一通り終わった後、薄い汗をタオルで拭きつつ俺はヴィヴィオに謝った。
「ごめんな、退屈だったろ?」
「ううん!」
ヴィヴィオは懸命に頭を振った。
「じゃ、シャワー浴びてくるから、その後部屋戻ろうぜ」
「うん!」
それから夕方までトランプをしていた。仕事の合間合間にアイナさんも参加していた。
ちなみに現在の状況……俺の二十三勝零敗一分。
「むぅうー…………」
ヴィヴィオが膨れっ面になっている。ハムスターのようになりつつあるな。
「じゃあそろそろ他のゲームに………」
「や! 勝つまでやる!」
そんなことを言うから勝たせてやろうとするのだが、手を抜くとバレて怒るのだ。
そんな風にまったりと過ごしていると……
ビィーッ!ビィーッ!ビィーッ!
耳障りなサイレンが鳴り響く。ヴィヴィオが不安な表情で身をすくめた。
『六課に敵影接近! バックヤードスタッフは至急避難してください!』
………来たか
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なにこの死亡フラグ……。 | ||
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〇〇を応援・支持するHPってなんか今見れませんよね、なので今後はこちらのサイトで連載するんですか?(000xi) | ||
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