咲-saki-月宮編 第8局 合宿
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あの一件以来、華南と麻雀部の部員達との関係は良好なものである。特に、泉に関しては華南は本当の姉のように慕い、泉は大事な妹のように、まるで本当の姉妹のような関係になっていた。

実際黒髪の少女二人、ソファーに並んでる姿はまさに姉妹そのものである。

『あらあらー二人とも仲いいわねー本当の姉妹みたいねー』

そういって何故か恍惚の表情を浮かべながらその様子を眺める羽衣。

『茶化すなよ部長、まあでも華南は本当の妹のように思ってるよ、何かあったら私が守る』

そう言った後に、華南に微笑む泉、まじイケメンです。

『私も、泉姉も皆も家族のように思ってます。ところで部長、その手に持ってるものはなんなんでしょうか?』

『あ、これね、ネコミミカチューシャよ』

羽衣は自分が手に持ってるものの名称を答える。

『いや、それは見れば分かりますが…何で麻雀部の部室にそれを持ち込んでるのですか』

『華南ちゃんに着けて貰おうとおもってー』

『…遠慮しときます』

家族ですからね、嫌なことははっきり嫌と言わないと。

 

 

今日も月宮女子麻雀部は平和である。

 

 

第8局 合宿

 

 

『今日までみんな部内戦で腕も上がってきたし、そろそろ地区大会も迫ってきたし、最終調整も兼ねて合宿を企画しましたーぱちぱちー』

『合宿合宿ーねえねえどこいくのぶちょー?』

『合宿かぁ』

『合宿ですか、なんだかわくわくしますねっ』

『合宿ですか、何処に行くのでしょうか?』

あかりとりりあが帰ってきてから、部長は合宿を企画していたことを発表した。全員ノリ気である。

『いい質問ね、華南ちゃん!私の親戚に千葉で旅館をやってる人がいるからね、特別にタダで泊まらせてくれるらしいからお金の心配はないわよー』

実際に部屋を提供してくれるのは親戚の人なのに思いっきり胸をはる羽衣。そしてどこいくのぶちょーと行き先を聞いてたりりあの名前は挙がらない。

『千葉かあーじゃあ海あるねっ!水着用意しなきゃっ』

『旅館じゃやっぱ海鮮料理とか出るのかな、ちょっと楽しみだ』

『お父さんとお母さんのお土産なににしよう?ねって、城山さんっ』

『一応麻雀の合宿なんだけど…』

そこまで言って華南は口を閉じる、楽しそうな4人の顔を見て水を差すのはやめようと思ったらしい。

『期間は今週の金曜日から一週間、みんなそれまでにしっかり準備しといてねー』

『『はーい』』

その後は水着がどうとか千葉の観光スポットの話で部活動が終わってしまった。

 

 

『着いたーっおっじゃましまーっす』

『あらあら、りりあちゃんは元気ねえー』

羽衣の親戚の旅館に到着して一直線に自分達の部屋へすっとんでいくりりあ。

『おいおいりりあ、ちゃんと挨拶してけよ、あ、どうも折原泉です、この度は麻雀部の為に部屋を貸していただいてありがとうございます、暫くお世話になります』

『棗あかりです、部長さんにはいつもお世話になってますっ!』

『城山華南です、部員一同感謝いたします』

後の三人は羽衣の親戚の方に挨拶をして、自分達も部屋へ向かった。

 

『さてー合宿の日程を発表するわねー』

羽衣は自分で持ってきた小さめのホワイトボードを片手に説明する。

『とりあえずー、今日と明日は練習はなしっ!折角こっちに着たんだし、楽しまなくっちゃねー』

『うんうん、ぶちょーわかってるーっ』

相槌を入れるりりあ。

『でー本格的な練習は明後日から、練習メニューはこんな感じになってるからねー』

ボードに具体的な日程などをすらすら書き上げる、なんだかんだで部長である。

 

---翌日---

 

『海だーっ』

『テンションあがるなあー』

華南達は海へ来ていた、2年生2人はよほど楽しみにしてたのか真っ先に海へダッシュしていった。

『綺羅星先輩!折原先輩!まってくださいー!』

あまりの速さに追いつけないあかりはそんな声を漏らしていた。

『みんな元気ですね』

『うふふ、そうねえー』

パラソルの下でその様子を見ている華南と羽衣はそう言う。

『おーい!華南もそんな所にいないでこっち来いよー』

『ん、私もちょっとだけ、行ってきますね』

『はいはい、いってらっしゃいなー』

3人の元に向かっていく華南、華南もこの状況を楽しむことにしたらしい。

『可愛いねー、もしかして一人?』

『ねえねえお嬢ちゃん、彼氏いるのー?』

『俺達と遊ぼうよー』

数歩歩いただけでこの有様である。城山華南、恐るべし。

『すみません、部活動の合宿で来ているのでまたの機会に』

群がる男達をさらっとかわすと、これ以上絡まれたくない思考が働いたのか小走りで3人の元に向かった。

 

今日のみんなの水着は、りりあはピンクに赤いハイビスカスの絵が描いてあるパレオ付きのビキニ、泉は青い競泳水着だと思うのだが、上からパーカーを羽織っている。

あかりは黄色、華南は黒の同じデザインのビキニである、合宿の前に二人で買いに行ったらしい。

そんな彼女達に熱視線を送るものが居た。羽衣である。

『うふふー、今日の為に新しいデジカメを買っておいてよかったわぁー、やっぱ合宿先を海のある所にして正解でしたわー、華南ちゃんのカワイイ水着姿もみれたしー』

羽衣は、どこまでいっても羽衣だった。

 

3日目からは、当初の予定通り、練習が始まった。

朝から晩までひたすら対局、その中で出てきた課題をみなそれぞれ克服していった。

 

『ふあー、やっと合宿って感じになってきたねー』

『確かになあ、これだけ対局漬けだとさすがに肩凝ってきちゃうよ』

『あはは、確かにそうですねっ』

『でも…確かにみんな、確実に強くなってる』

『うふふ、そうねえーあかりちゃんなんてついこの間まで点数計算も出来なかったのに、成長したわー』

合宿最終日の夜、5人は銭湯でこの合宿の感想をいいあっていた。

 

5人は床につく、最終日だからみんな眠れないのか、横になっているが誰ひとり寝ていない。

『明日には、埼玉に戻るんだね』

『そうだね、向こうに戻ってすぐ、地区大会だ』

『楽しい時間って、あっと言う間に過ぎてくものよねー』

『本当にあっというまでしたねー今日まで』

『うん…あっと言う間だった』

しばしの静寂。

『私達、勝てるよね?』

『当たり前だ、絶対勝つ』

『最後の大会くらいー、インターハイにいってみたいかなーなんてねー』

『先輩達や、城山さんには及ばないかもですけど、私も、頑張ります』

『うん…絶対負けない、その為に私達は頑張ってきたんだから』

言って、そうだね、と笑いあう。でも5人の目は真剣だった。

『さあ寝よう、明日は早いし』

『うん…おやすみ』

『おやすみなさい』

 

そうだ、負けられない、大事な仲間、家族の為に。私は…!

説明
---月宮高校麻雀部での城山華南と麻雀部の仲間達の紆余曲折ありながらもインターハイ優勝を目指していく、もうひとつの美少女麻雀物語---
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saki 美少女 麻雀 

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