咲-saki-月宮編 第11局 予兆
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全国高校麻雀大会、日を空けて執り行われた決勝戦の会場には初日とは比べ物にならない数の観客が居た。そして解説席には3日前と同じく松浦と原村プロの姿があった。

『さあ!まもなく始まろうとしています、全国高校麻雀部地区大会決勝戦!本日も司会は私、松浦と、原村プロでお送りいたします』

『初日に引き続き、解説を努めさせて頂きます、お付き合い宜しくお願いしますね』

和がいい終えるとそれだけで歓声が上がる、和はその打ち筋もさる事ながら、三十を過ぎた今でも、20代どころか、それこそ高校生の中に紛れて制服を着ていたら高校生で通ってしまいそうな可憐な容姿で熱狂的なファンが多いのである。

今日の試合の観客には解説が和だから見に来たという人間も決して少なくない。

(かにゃんさんらしき打ち手は結局見つからなかった…トバされてしまって負けてしまった高校の中にかにゃんさんの居た高校があったのでしょうか…)

結局、予選の全試合を見てきた和だったが、かにゃんらしき打ち手は居なかった。

 

第11局 予兆

 

 

『さて!それでは只今より決勝進出4校が入場してきます、まずはAブロック・月宮女子!今回初出場にして、決勝戦まで駒を進めてきました!初日は先鋒、綺羅星選手の活躍により終始安定した試合運びを見せております!』

華南達の入場にあわせて解説の松浦が月宮女子の紹介を始める、やはり初日に大活躍したりりあは注目されているようだ。

『うっわぁ…人多いキンチョーするうー』

『やっぱり決勝戦となると観客も多いですね』

『単純に吾野と越谷の試合を見たいって人も多いと思うよ』

小声で話しながら入場する一同、羽衣以外は流石に少し緊張した面持ちだった。

『続きましては、Bブロック・((名細|なぐわし))高校!昨年個人戦ベスト16に入った坂上選手を擁する高校です!この辺りが一番の注目でしょう!』

松浦の紹介と共に入場する名細高校一同、大将である((坂上|さかがみ)) ((穂波|ほなみ))は昨日の準決勝、副将までに開いた4万点のビハインドをひっくり返して逆転したらしい。

『そしてそして、お待ちかねー!Cブロックは吾野!今年も順当に勝ち進んで来ました!昨年は名門、越谷女子を下し見事インターハイ出場を決めております!去年のインターハイ出場の立役者ともいえる当時1年のエース、鮫島を筆頭に今年は高校麻雀連盟会長有栖川氏の娘が大将を勤めます!見所満載のチームと言えるでしょう!中学時代は全中王者だった原村プロとしてはやっぱり同じく全中王者の有栖川は気になるところでしょうか?』

『そうですね、有栖川選手は他にも数々の輝かしい戦績を残してます、初日では一度も大将戦まで回らなかったので今日は有栖川選手の対局を見られる事を期待しましょう』

吾野高校一同も入場する、それと同時に一斉にフラッシュがたかれる、

『はいっ!ありがとうございます、さて最後はDブロック、越谷女子です!埼玉県インターハイ最多出場高校の名門、昨年度は吾野に惜しくも破れましたが、今年はリベンジできるのでしょうか!』

『今年は吾野を意識した順番構成にしたとも噂されています、その辺りの采配も注目ですね』

松浦の解説に和がそうつけ加え、最後に越谷女子が入場する。それと同時に報道陣のカメラも越谷女子の選手達に向く。

『以上が埼玉県地区大会決勝進出の4校です!インターハイ出場の切符を手にするのはどの高校なのか!それではこの後選手達には一回控え室に戻っていただいて、20分後に先鋒戦を開始します!』

 

 

---月宮女子控え室

 

『じゃあもうすぐ始まるし、いってくるねっ!』

『おーう、かっとばしていけよー』

『ガンバですっ!綺羅星先輩!』

『いつも通りで、大丈夫』

『うふふーいってらっしゃいなー』

試合に向かうりりあに4人はそれぞれりりあに言葉をかける、そして4人に見送られ、りりあは対局室に向かう。

 

『よーし一番乗りー!』

真っ先に卓の上の牌をめくる、東だった、どうやら起家のようである。

鼻歌を歌いながら席で待っていると他の選手達も入ってくる。

『よろしく』

『宜しくお願いします』

『お手柔らかになー』

『よろー』

場決めも終わり、全員が席につく。

 

東家 2年 綺羅星 りりあ (月宮女子)

南家 2年 ((喜多見|きたみ)) ((凛|りん)) (名細)

西家 3年 ((小野崎|おのざき)) ((樹|いつき)) (越谷女子)

北家 2年 ((鮫島|さめじま)) ((京子|きょうこ)) (吾野)

 

『各校選手出揃いました!それでは、対局開始です!』

 

東一局 親・綺羅星りりあ

 

(うんうん、いいかんじだねー)

りりあの配牌

 

一三(赤五)七AA678東東東北中 ドラ2筒

 

開幕からいきなりダブ東を暗刻、赤1枚にドラの対子という絶好の配牌だった。

(これはもらったかなー、これをアガって一気に突き放すっ)

 

『さて、原村プロ、先鋒戦が始まりましたが、注目はやっぱり昨年度の吾野のインターハイ出場の立役者、鮫島選手辺りでしょうか?』

『…そうですね、鮫島選手、あと綺羅星選手でしょうか、この二人は予選、準決勝終了の段階で地区予選獲得得点ランキング、暫定ですが歴代トップの((天江|あまえ))((衣|ころも))選手に次いで綺羅星選手は2位、鮫島選手は3位になっています』

『そうなんですか!確かに両選手火力バツグンの選手ですからね、これは激しい戦いが予想されそうです』

『忘れてはならないのが、越谷女子です。今年は部長の小野崎選手を先鋒に据えてきました、エースの鮫島選手が先鋒で出てくるのを意識しての采配だったと聞きます』

『なるほどー、越谷女子もエースを先鋒に持ってきて対抗しようという訳ですね!こちらも目が離せません!』

 

(鮫島は厄介だが…起家の月宮の様子も気になるな…)

小野崎樹は自分の手牌と他家の様子を見て、思案していた。

そこにりりあのカンが入る。

『カン!』

東をカンし、新ドラ表示牌は、北。

(やはり来たか、ドラ爆のカン…さて、どうする…)

『立直!』

『ロン』

りりあの立直宣言牌で、吾野の鮫島がロンする。

『平和のみ、1000点』

『えーダブ東ドラ7だったのにー』

渋々千点棒を出すりりあ。

(2筒も手牌にあったのか…まあなんにせよ鮫島に助けられたな)

 

---吾野高校控え室

 

『今回の標的は、あの子みたいだね』

『京子ちゃん、容赦ないからなあー』

『鮫島先輩の事は嫌いじゃありませんが、あの打ち方はあまり好きにはなれないです』

先輩2人は今の鮫島の和了りを見て、何かに気づいたようにそう言う、雛姫もそれに気づいたのか感想を漏らす。

 

 

『まあ…なんにしても、だ』

『月宮のインターハイ出場は、まず無くなった』

『そうだね』

説明
---月宮高校麻雀部での城山華南と麻雀部の仲間達の紆余曲折ありながらもインターハイ優勝を目指していく、もうひとつの美少女麻雀物語---
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saki 美少女 麻雀 

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