デジモンクロスウォーズ 絆の将と魔道の戦士 |
タイキ達が聖王教会の本部に行った次の日、目覚めたなのはは気が付いた。自分の寝ているベッドにヴィヴィオとフェイトと一緒に何かがいる事に。
見ると、青色と白色の体に小さい角を持った竜のようなデジモンが寝ていた。
「ねえ、起きて。」
なのははヴィヴィオ達を起こさないように配慮し、慎重にそのデジモンを揺り起した。
「うう、もう食べられないよ。」
そのデジモンは寝言でこう言った。仕方ないので、なのははうまくそのデジモンをベッドから引きずり出し。鼻をつまんだ。結果、三秒ほどでそのデジモンは起きた。
「うう、なんだぁ。」
そのデジモンが頭を振りながら言うと、
「別に何かしようとかいう訳じゃないの、ただあなたが何者が訊きたいだけ。」
なのはは優しい口調で言った。万が一敵の鉄砲玉だった場合、かなりの命拾いをした事になる。
「俺はブイモン。ところでここはどこ?」
ブイモンと名乗るデジモンはこう言って、
「ところで、俺の持ってきたクロスローダーしらない?」
と、なのはに訊いた。
「え?そんなものは見ていな……」
なのははそういって周りを見渡し、ヴィヴィオの所を見た時、目が点になった。ヴィヴィオが赤と青のツートンカラーのクロスローダーを持っているのだ。
「あ、俺のクロスローダー。」
その事に気が付いたブイモンは、ヴィヴィオを起こさないよう慎重にクロスローダーを取り上げようとしたが、クロスローダーは手から離れなかった。
「ダメだこりゃ、完全にこの子のになってる。」
ブイモンはこう言って、ヴィヴィオの元から離れた。困ったなのはは、少し考えてから。
「仕方がないし、フェイトちゃんが起きるまでここに居て。」
ブイモンにこう言うと、新人たちの訓練に向かっていった。
そして、新人四人とタイキ達の集まった訓練場では、
「本日より、ナカジマ陸曹が機動六課に協力してくれる事になりました。」
なのはが、皆にギンガが機動六課に来ることを紹介した。皆が簡単に挨拶した後、ギンガも一緒に訓練を開始した。
スバルとギンガ、シャウトモンはヴィータから、ティアナとキャロはなのはから、エリオはナイトモンと一緒にシグナムと訓練を行っている。
最後に、隊長チームとフォワードチームで模擬戦を行い、結果的には隊長チームが勝った。そして、フォワードたちが今回負けた理由を話し合っている時、ヴィヴィオがブイモンと一緒に訓練場にやって来た。
「あ、ヴィヴィオー。」
と、なのはが呼んだ時である。ヴィヴィオが転んだ。傍にいたブイモンはすぐに起こそうとしたが、なのはが目配せする事で止めると、
「ヴィヴィオ、自分で立ってここまで来てみよう。」
と、ヴィヴィオに言った。ヴィヴィオ自信は半ば嫌そうだったが、頑張って立ち上がろうとしている。しかし、結局いい所でまた倒れてしまった。
「ママ。」
ヴィヴィオは涙ぐみながらなのはを見ている、
「うん、ママはちゃんとここにいるよ。」
いずれにしてもなのはは、この場でヴィヴィオが自分で立てるようになるのを待つらしい。
「ダメだよ、ヴィヴィオはまだ小さいんだから。」
でも最終的には、傍にいたブイモンがヴィヴィオを立ち上がらせた。
「もう、ブイモンはヴィヴィオに甘いよ。」
「なのはが厳しすぎるの、厳しくするのはもっと後でも十分だと思うよ。」
なのははブイモンに文句を言ったが、ブイモンは見事に切り返した。
(でも良かった、ヴィヴィオ、ブイモンと仲良くなれたんだ)
それでも、なのはは心の中でこう思った。思えば、昨日もデジモンを見てあまり驚くそぶりを見せなかったので、この手の適応力があるようだ。
(というか、ママって?)
様子を見ていた連中は一様にこう思った。彼らは昨日の夜、なのはがしばらく自分がヴィヴィオの親代わりになるとヴィヴィオに告げた時、ママと呼んでいい、となのはに訊ね、それをなのはが了承した一連の行動を知らなかったのだ。
その後、アインハルトもやって来たところで、再び訓練を再開した。スバルはアインハルトと格闘技のスパーリングをやっている。エリオはスパーダモンの変化した槍を持って、ナイトモンと接近戦の訓練をしている。ティアナはリボルモンと早撃ちの勝負をして、キャロはシャウトモンとの連携の練習をしている。そしてギンガは、
「タイキ君、ちょっとスパーの相手してくれる?」
と、タイキに声をかけた。
「え?いいですけど。」
そしてその後、タイキがアインハルト戦でも見せた天賦の才と言ってもいいほどの格闘術を見せ、ギンガから自分の流派に弟子入りするようにと、散々勧められたのはいい思い出である。
「みんなの調子はどうかな、フェイトちゃん?」
なのはは、テリアモンとブイモンと遊んでいるヴィヴィオを横目で見ながら、隣にいたフェイトに訊いた。
「いい感じだと思うよ。間違えなくみんな強くなってる。」
「それにデジモン達との連携も取れるようになったし。これなら何の問題もねぇよ。」
フェイトと一緒にヴィータがこう答えた時である。突然訓練場に、隕石のような勢いで何かが落ちてきた。
「なのはさん!訓練場に巨大な魔力反応が発生しました!!」
ロングアーチスタッフの連絡を受け、みんなでその場所を見に行くと、まるで未来からきた殺人ロボットのように一人の少年がその場にいた。ただし、ちゃんと服は着ている。
「あーあ、転送装置を使ったけど肝心の着地に大失敗とかありかよ。」
少年は、少女のような可愛らしい見た目には似合わない、乱暴な口調でこう言った。
「あー!!あいつは!!」
砂煙が収まり、少年の姿が明確に見えると同時に、ヴィータは声を上げた。何故なら、彼は以前ヴィータ達が出くわした立てこもり事件の現場に登場し、見事な手並みで事を収めた少年だった。また、アインハルトと路上喧嘩を行った少年も彼である。
「あの時の!!」
ヴィータがこう叫んだと同時に、
「えーと?誰?」
少年はこう言った。
「つーか!人に名を聞くならまず名乗れ!!」
ヴィータは、自分の事を知らないと言われ腹が立ったのか、乱暴な口調でこう告げた。
「俺はキサキ、えーっと、竜王とでも名乗っておこうかな。」
少年はその場にいる皆にこう言った。その瞬間、タイキ、なのは、フェイトは驚いた。カリムの予言の中に、真偽二つの勢力で出てきた「竜王」が目の前に現れたのだから。
「転送装置の着地に失敗したって言ったよね、何しに来たのか”お話”聞かせてもらえる?」
なのはが少年「キサキ」にこう訊いた。
「そうだね、今まで”復習”かな。」
キサキはこう言って、今にも走り出そうとする陸上選手のような態勢になった。
「気を付けて下さい。来ます!!」
アインハルトが皆に合図すると同時に、キサキは飛び出した、訳ではない。飛び出すと見せかけて、すぐさま立ち止まったのだ。このフェイントで、この場にいる全員の間合いがくるった。
キサキは、右手の人差し指と中指を立てて挑発を行った。これを見て、
「馬鹿にしてんのか!!」
一番最初にヴィータが飛び出した。ハンマーを構えて突進して言ったが、
「この間も言いましたよ、頭に血が上った状態での行動は成功しないって。」
キサキはこう言うと、ヴィータのハンマーを回避する動きと同時に掴んで、巧みな動きでヴィータに隙を作り、渾身の蹴りをお見舞いした。
「うわぁぁ!!」
ヴィータはうまく防御することが出来たが、それでも凄まじい衝撃を受け大きくふっ飛ばされた。
「次!!」
キサキはお化けと火の玉を合わせたような魔力弾を一瞬で作り上げると、渾身の力を込めて投げつけた。しかし、魔力弾は見当違いな方向へと飛んで行って爆発した。
「あれ?」
これには、その場にいる者は全員、当然キサキも驚いた。
「はあ、驚いた。」
なのはの傍でヴィヴィオを守っていたブイモンはため息をついてこう言った。しかしなのはは、
「当てることが出来なくてもあんな複雑な魔力弾を一瞬で作り上げるなんて。」
キサキの芸当に驚いていた。
「でもとにかく、早く何とかしないと!!」
スバル達はこう言って、キサキに飛びかかって行った。
「四人同時ね。いいよ、来なよ。」
キサキはこう言うと、最初に柔道の要領でスバルを投げ飛ばし、続いて遠くから銃撃を行おうとしていたティアナを、素早い動きでスープレックスで投げ飛ばし、エリオをヴィータにやったのと同じ要領で転ばせた後、上空を飛んでいた巨大フリードを地面に激突させた。
「飛竜の焼印押し!!」
その様子を見ていたタイキは、
(なんて奴だ、仮にも普段から戦闘訓練を積んでる魔道士四人を一度に相手して無傷、その上息も上がってない)
と、思っていた。
しかし、問題のキサキは、
「あーあ、やっぱ手を抜いてればこの程度か。」
と、言い放った。
(どういう事だ?ただの見栄ならいいけど)
キサキの言葉を聞いたタイキがこう思っていると、キサキは腰から水色のマイクのような機械を取り出した。
「あれって!クロスローダー?!」
皆が驚くと同時に、
「リロード!エクスブイモン!スティングモン!」
キサキはクロスローダーを掲げて、こう叫んだ。すると、クロスローダーから発せられた光の中から、頭に大きな角を生やし、腹部に「X」のマークが付いた水色の竜型デジモンと、深緑色の昆虫のような姿のデジモンが現れた。
「え?スティングモン?」
現れたデジモンに、タイキ達は驚いた。スティングモンとは以前会ったことがあるのだ。
「む、君たちは俺を知っているのか?済まないが、俺は君たちとはあったことがない。」
スティングモンはタイキ達にこう言った。驚くタイキ達に、
「タイキ、アイツはきっと私たちがハニーランドであった個体じゃない。きっともっと他のデジモンよ。」
メデューサモンが言った。
「んで、今回の相手は奴らなのか?キサキよ。」
そしてエクスブイモンがキサキに訊くと、
「ああ、それに今回は本気だしてもいいぞ。奴らを相手にするとなると、お前らだけじゃ少なすぎるかもしれないしな。」
キサキはこう答えた。
「そうか、そういう訳じゃ。観念して私と戦いなさい。」
エクスブイモンはこう言うと、腹部のXマークから光線を発射した。
「エックスレイザー!!」
皆はそれを間一髪で回避すると、最初にシャウトモン、バリスタモン、スパロウモンが向かっていった。
「ラウディロッカー!!」
「アームバンカー!!」
シャウトモン、バリスタモンは得意の打撃技でエクスブイモンに襲い掛かったが、エクスブイモンはそれを簡単に受け止めた。
「ナンテイウ馬鹿力ダ。」
「まさかこの程度ではなかろう?」
「当然だ、このまま終わると思うなよ。」
また、スティングモンとスパロウモンの方は、
「うう、速いうえに硬い。」
スパロウモンは自分の攻撃が当たらず、当たってもそんなに効いていないために困っていた。
「お前も凄いよ。ここまでのスピードは到底追いつくやつはいるまい。」
スティングモン自身も、スパロウモンの素早さには苦戦しているようだが。
そして、ジェネラルは本陣で傍観していた訳ではない。キサキは戦いが始まるや否や、真っ先にタイキに襲い掛かった。
タイキ自身、戦闘中にジェネラルへ直接攻撃をするジェネラルに出会ったのはこれが初めてなので、対応にてこずった。
五発目の蹴りをなんとか回避したところで、シグナムが助太刀に入ってくれた。
「少なくともタイキは礼節をわきまえた人物だが、お前は違うようだな。」
と、シグナムがキサキに言うと、
「恋愛と戦争にはあらゆる戦法が使える、って言葉知ってます?」
キサキはこう言って、シグナムと距離を取った。
(あの子はここに来た理由を復讐って言ったけど、タイキに何か恨みでもあるのか?)
クロスローダーの中にいるジジモンは、タイキと繰り広げたこれまでの冒険を思い出していた。しかし、キサキと言う名の人間は、彼の記憶のどこにもなかった。
(それにしてもあ奴、誰に復讐しに来たんじゃ?)
ジジモンは心の中でこう思った。
そしてエクスブイモン達と戦うタイキ達は、いったん相手との距離を取った。
「あはは、お主たちやっぱ強いなあ。気にいったよ。」
エクスブイモンはシャウトモン達にこう言ったが、当のシャウトモン達は、
(強いだと、あれだけやりあって息も上がらず、汗もかいてないなんて)
「奴らの実力は俺たちより上か?」
と、みんなで考えていた。そんな中、
「キサキ、でいいんだよね。」
なのはが前に出て、キサキに声をかけた。
「一体誰が目的でここに来たの?」
対するキサキは、
「ここに来たのはただの景気付け、俺の討伐対象はもっと大規模ですよ。」
と、答えた。その後、
「さてと、ここからが本気だ!!」
と叫んで、クロスローダーから赤い翼を持つ巨大な鳥「アクィラモン」、白い猫のような生き物、古代に生きた草食恐竜のような生き物、背中に六枚の翼を持つ天使型デジモン「エンジェモン」を出現させた。
「な!テイルモンにアンキロモンだと?!」
「それにあのアクィラモン、この間ヘリを襲撃した奴だ!」
「しかもこの布陣は。」
タイキ達クロスハートの面々は皆驚きの声を上げた。そんな中で、キサキはクロスローダーを掲げると、
「エクスブイモン、スティングモン、デジクロス!!アクィラモン、テイルモン、デジクロス!!アンキロモン、エンジェモン、デジクロス!!」
と、叫んだ。結果、体中を武装した竜型デジモン、白と赤の混ざった羽を身に着けた人型デジモン、土偶のような形のデジモンが現れた。
「パイルドラモン!!」
「シルフィーモン!!」
「シャッコウモン!!」
これにあわせタイキも、ディアナモン、メデューサモン、グレイモン、メイルバードラモンを出すと、
「グレイモン、メイルバードラモン、デジクロス!!」
グレイモンとメイルバードラモンをデジクロスさせた。その後、
「シャウトモン、バリスタモン、ドルルモン、スターモンズ、スパロウモン、スパーダモン、デジクロス!!」
元々出ていたシャウトモン達もデジクロスさせた。
「メタルグレイモン!!」
「シャウトモン×5S!!」
そして、それぞれのデジモンが向かい合ったところで、再び戦いが始まった。
シャッコウモンとメタルグレイモンが組み合い、それに続いてシルフィーモンがディアナモン、メデューサモンと交戦を開始した。また上空では、シャウトモン×5Sの剣と槍の攻撃に、パイルドラモンが両手のスパイクで対応している。
その様子を見ながら、ティアナは思った。
(どうしたのかしら?シャッコウモンはともかく、パイルドラモンとシルフィーモンはあまり派手な事をしていない)
シャッコウモンとメタルグレイモンの戦いである押し合いでは、両者ともに一歩も譲らず、メタルグレイモンが飛び道具を使おうとしても、シャッコウモンが目から発射する光線で阻止するという五分五分の勝負を繰り広げているが、シルフィーモン、パイルドラモンの戦いは、相手の攻撃を防ぐか避けるかどちらかしか行っておらず、シャウトモン×5Sやディアナモン、メデューサモンはやりづらそうなそぶりを見せている。
そんな中、キサキはどうしていたかと言うと、
「悲しみの声は天を侵し、怒りの血は大地を蝕む。」
古代ベルカ語で、こういう意味になる言葉を紡いでいた。
「我が暴威はケイリスを包み、我が怒りは戦乱を惑わす。」
古代ベルカ語が分からないタイキ達やなのは達は、何言ってんだ、と思っていたが、アインハルトは、
「この言い回し、まさか!」
唯一古代ベルカ語が少しわかったので、彼の言っている言葉の意味が分かった。
「ゆえに我は狂王、なれば我は暴君。竜王エイリーンの名の元、卿が絶望の底に沈む事を所望す。」
キサキがここまで言ったとき、場の空気が変わった。
「気を付けて下さい!彼は…!!」
と、アインハルトが言った時、キサキはクロスローダーを掲げると、
「パイルドラモン、シルフィーモン、シャッコウモン、デジクロス!!」
と、叫んだ。結果、巨大な翼を六枚持ち、白い色をした聖竜型デジモンが現れた。
「セイントドラモン!!」
そして、変化はキサキにも現れた。体中の彼方此方が変化を始め、次の瞬間、光輝く青い竜になっていた。
「な?変身した?」
「あんな魔法、今まで見たことが無い。」
ヴィータとシグナムがこう言うと、
「今は失われた魔法の一つです。古代ベルカ時代、ケイリスという国に君臨していた暴君、通称「竜王」はあの魔法のために竜王と呼ばれているんです。」
アインハルトが、自分の中にある覇王の記憶を頼りに皆に説明した。
「あの姿になればあらゆる身体能力が強化されま……」
アインハルトがこう言った瞬間、竜となったキサキの姿が消え、アインハルトがふっ飛ばされた。
「あのスピード、フェイトの三倍はあるな。私にも見えなかった。」
シグナムはこう言うと、愛用する剣レヴァンティンを鞭のような形状に変化させ、振り回した。
「よし、広範囲に攻撃すれば速いほど回避が難しくなる!!」
ヴィータがこう言った時、キサキはレヴァンティンを掴むと、投げ縄のように振り回した。結果、レヴァンティンはシグナムの体に巻きついた状態になった。
「さてと、このまま引っ張れば身体的にいろんな意味で拙い事に。」
キサキが面白そうに言うと同時に、
「ハーケンセイバー!!」
フェイトの投げつけた斬撃が飛んできた。キサキはそれを紙一重で避けると、上空へあがりフェイトと戦い始めた。
「スリービクトライズ!!」
「アロー・オブ・アルテミス!!」
「スレイ・エレイン!!」
「ギガデストロイヤー!!」
四体のデジモンは、セイントドラモンに渾身の攻撃を放った。だが、
「ホーリースパーク!!」
セイントドラモンの体から迸る聖なる電流に阻まれ、攻撃は一発も当たらなかった。
「アラミダマ!!」
続いて、目から発射した光線で、ディアナモン、メデューサモン、メタルグレイモンを倒してしまった。
「ビクトリーブレイブ!!」
シャウトモン×5Sは一瞬の隙を付いて、槍で突こうと突進した。しかし、攻撃は簡単に防がれてしまった。
「テメェ、ほんとにデジモンかよ!」
「それもそうじゃ、それに私に手こずっていては、私の仲間のもっと強い奴も勝てんぞ。」
シャウトモン×5Sの言葉に、セイントドラモンはこう返した。
そして、超高速の空中戦を繰り広げるキサキとフェイトは、
(凄いスピード、まともにやっても勝ち目は無い)
フェイトはソニックフォームとなってキサキと戦っている。しかし、
「いいんだ、そんな状態で俺の攻撃を喰らえば一撃必殺だよ。」
キサキはフェイトにこう言って、口から青い炎を吐き出した。至近距離からの攻撃だったため、フェイトは炎に巻き込まれ、墜落した。
「リロード!ベルゼブモン!!」
その様子を見ていたタイキは、ベルゼブモンをリロードしキサキに当たらせた。これまでやったことが無い、人間にデジモンをあてがうのには抵抗があったが。
「デス・ザ・キャノン!!」
ベルゼブモンは「ベレンヘーナ」から発射される固い弾丸をキサキに打ち込んだが、キサキは右手から発生させた光の剣ですべての弾丸を斬り落とした。そして、長い尾の一撃でベルゼブモンを叩き落とした。
「ベルゼブモンでもダメか。」
タイキがこう言った時である。突然キサキが動きを止めた。
「あ、あれ?」
見ると、キサキの体に罅のような物が発生していた。
「ちぇ、残念、もう五分か、あと十秒は持つと思ったんだけどな。」
キサキはこう言って、人間の姿に戻った。その時、彼の体は傷だらけになっていた。
「セイントドラモン!終わらせろ!!」
キサキにこう言われたセイントドラモンは、シャウトモン×5Sにめがけて突進した。
「ホーリーインパクト!!」
その時、セイントドラモンは「ホーリードラモン」を思わせるドラゴンの幻影を身に纏っていた。
「コスモビクトリー!!」
シャウトモン×5Sも、左手の槍を突き出して突進した。
結果、両者共に胸に大きな傷を作って終わる事になった。
「飽きたし帰るぞ!!」
キサキはこう言って、タイキ達の前から去ろうとした。
「待て、お前は何のために復讐を?!」
最後にタイキがこう訊くと、
「それはいずれ分かるよ。それに、次は俺に絶対勝てないと思い知るがいい。」
キサキはこう言い残して、セイントドラモンと共にこの場から去った。
「しかし、なんだったんだあいつ?」
ヴィータがこう言うと、
「どこまでも分からないやつではあるな。」
シャウトモンがこう言った。
(なんだあいつ、まるでダークナイトモンみたいな奴だな)
「でもどういう事だ、次は勝てないって?」
タイキがこう言うと、
「もしかしたら、彼がホテル・アグスタの襲撃、リリスモン襲撃時の救援を行った人物だと考えると。」
と、ティアナが言った。その時、この場にいる皆が凍り付いた。
「そうじゃん、インペリアルドラモンやセラフィモン、ガイオウモンがまだいるじゃん。」
この時キサキがまるで本気じゃなかった、と考えると、物凄く恐ろしい事である。それよりも、
「訓練場がメチャクチャに。」
メチャクチャになった訓練場を見ながら一様に思った。
(今度請求しとこ)
と。
カットマン
「カットマンと。」
モニタモンズ
「モニタモンズの。」
全員
「デジモン紹介のコーナ―!!」
カットマン
「さて、今回のテーマは「ポーンチェスモン」ポーンチェスモンはネット上のチェスゲームのデータから生まれたパペット型デジモン。必殺技は持っている槍で敵を突く「ポーンスピアー」円形の盾で敵に体当たりする「ポーンバックラー」だ。」
モニタモンA
「味方と一緒になって組む「ピラミッドフォーメーション」を行うと、大抵の敵は攻撃を躊躇いますな。」
モニタモンB
「出世一番に考えていますから、口癖は「前進あるのみ」味方は全員ライバルですな。」
モニタモンC
「ちなみに、クロスハートに所属するのは白いポーンチェスモン。いつでも先制攻撃が出来ますな。」
全員
「それじゃあまたね。」
次回予告
ついにやって来た管理局の意見陳述会。警備にかり出された機動六課の面々やクロスハートの面々、陳述会に臨む者たちや裏で動くものたちが何をしていたか。
次回「嵐の前の静まり」
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第十五話 絆の将と暴君の激突 タイキVSキサキ | ||
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