武装神姫「tw×in」 第十三話 新参者×混武装= |
ゲームセンターに戻ってくると、すでに天野と木部がやって来ていた。
「悪いわね、待たせて」
「大丈夫だよ、その間に充分トレーニング出来たし」
「そう、ならお披露目会といきましょうか」
まずオレのコナユキを2人に見せた。
天野と木部は自らの自己紹介をした後、木部から自身の神姫を紹介する。
「ワタシの神姫、名は氷李」
「お初にお目にかかります、氷李といいます。以後、お見知りおきを」
「よ、よろしくなのです」
氷李の自己紹介は毎回思うけど丁寧で若干古風気味。
「次はアタシね。まずは、うら」
「うら?、うらなのうら、よろしくうら?」
「う、うら?」
うらの自己紹介は毎回思うけど若干聞き取りにくい。
「そして、これがアタシの新しい仲間よ」
天野が鞄の中から取り出すと、自ら手から飛び降りて台の上に降り立った。
後ろでポニーテールに結ばれた薄い水色の髪に水色の瞳、ボディはライダースーツを模した黒で彩られている。
へぇ……本物は初めて見たな。
「ジルリバーズ型!」
真南が声を上げた通り、天野の新たな神姫はジルリバーズ型だった。
「マスター、彼らは何だ? マスターの友達か?」
「そうよ、アタシの友達とその神姫達」
「そうか、なら相応の態度をとろう」
ジルリバーズ型はオレ達、特に真南とオレを見た。
「アタシの新しい仲間、カナユメよ」
「よろしく頼む」
腰に手を当てて尊大な態度だった。さすがはジルリバーズ型か。
オレ達も自己紹介を済ませ、続いて神姫の紹介をする。
「へぇ、神姫を四人も連れてるマスターもいるんだな。初めて見た」
紹介が終わった後のカナユメの第一声。やはり珍しいんだな。
「それでマスター、今日の相手というのは誰だ」
「わたしなのです!」
コナユキが手をぴしっと挙げて宣言した。
「アルトレーネ型か……確かまだバトルをしたことが無いと言っていたな」
「日が浅い者どうしって事よ」
「なるほど、だがなキサマ」
ビッ! とコナユキに指を突きつけるカナユメ。
「いくら初めてのバトルだからといって勝たせてやるつもりは無いぞ、勝ちたければ、全力で挑んでこい」
「の……望むところなのです! 必ず勝ってみせます! なのです!」
尊大でありながら丁寧な宣戦布告をコナユキは受けた。
「マスター、早くバトルの準備を」
「ちょっと待ちなさいカナユメ、まだ筐体が見つかってないんだから」
「? ここにあるじゃないか」
カナユメは台の隣にある連絡用筐体を指差す。
「それは練習用で、ダメージ計算がされないのよ」
「な……!」
聞いたとたん、目を丸くして驚いた。そこまで驚くことかな?
「仕方ないわよ、知らなかったんだから」
「くっ……アタシとしたことが」
「カナユメちゃんかわいい?」
「かわ!?」
真南の言葉で更に驚いた。
「あ、アタシがかわいいだと? 何かの間違いじゃないか?」
「そんなことないよー、尊大な態度だけど物知らずなところとか、ねー、ミズナ」
「あたしに振られてもよく分かりませんよ、まだ起動して日が浅いからじゃないですか?」
尊大な態度はジルリバーズ型の性格設定で、物知らずは起動してまだ日が浅いから。それが合わさって今のカナユメということだ。
「し、しかし、アタシにかわいいという言葉は似合わないだろう」
「そうでも無いんじゃない?」
「ま、マスターまで」
「アタシは思うわよ」
「うっ!?」
「わたしも思うよー」
「くっ!?」
「ワタシも思う」
「うぅ!?」
「そうなのです、カナユメさんはかわいいと思うのです」
「くはぁ!?」
天野、真南、木部に続いて、コナユキにかわいいと言われたのがとどめとなってカナユメは台の上に倒れた。
「はわ!? だ、大丈夫ですかカナユメさん!?」
とどめをさしたコナユキが一番にカナユメの元へ駆け寄る。
「あわわ!」
しかし何に躓いたのか前のめりに倒れ……て、妙なバランス感覚があるから倒れはしない…
「あう!!」
あ、倒れた。
ビタン!
「うぐ!?」
しかもカナユメの真上に。
『……』
予想外の出来事に、全員があっけにとられる。
「……そろそろ、バトルの準備始めましょうか」
「うん……そうだね」
何事も無かったかのように、オレ達はバトルの準備を始めるのだった。
「ちょ、ちょっと待てマスター! コレを無視するつもりか!?」
「あわわ! ごめんなさい、ごめんなさいなのです!」
Ride on!
「ふわぁ……また別の場所なのです」
バトルのフィールドは滝。フィールドの中央を川が流れていて、乗って止まっていると川下へ流されてしまうのが特徴だ。流れると言っても、四角に囲われてるフィールドなので端まで行けば止まる。
スタートの場所は、川の横にある河原の上。そこにコナユキが立っていた。
『コナユキ、不備は無い?』
「大丈夫なのです、武器の出し方もしっかりと覚えたのです」
現在のコナユキの武装は、三人の物を合わせたものだ。
ヘッドとアームはエンル、レッグとリアパーツはルミア、ボディはスレイニから借り、スカートをレザーシリーズの物をつけた。
有り合わせのごちゃ混ぜな武装だが、能力は割りと上がっている。
続いて武器は、まず大剣:ジークリンデ
共通武器から小剣:カットラス
そして、スレイニから借りたライフル:OS―35 AライフルEx
近接二つに銃器一つ、アルトレーネ型向きな装備だと思う。
「カナユメさんはどちらに……あ! いたのです!」
川を挟んだ向こう側、川向こうにカナユメはいた。
その武装は、ジルリバーズ型の物……を約半分。ヘッドとレッグだけで、ボディやリアは共通武装の物をつけていた。
やっぱり神姫を買ってポイントが足りなかったんだろうな。
別に武装で決まるわけではないけど、条件は五分五分ってところか。
なら、後は扱うマスター次第だな。
『コナユキ、もしもダメだと思ったら言ってね、オレが体を動かすから』
「了解なのです」
その時、開始の合図が聞こえた。
Ready…………Go!
「行くのです!」
開始早々コナユキは前へとダッシュ。
うん、まずは何も言わず、コナユキに任せてみるか。
「てい!」
コナユキはライフルを構え、引き金を引いた。
弾丸が迫るカナユメは、同じようにライフルを構えて放ち、弾丸を相殺した。
あれは……JLライトガン。ジルリバーズ型仕様のライフルか。
その後もライフルでの撃ち合いが続くが、全て相殺で終わり、弾切れとなった。
するとコナユキは近接戦に持ち込もうと、カットラスを握りカナユメとの間を詰めた。
カナユメも同じ狙いか、小剣を構えてコナユキを待つ。
小剣は、JLフォークブレード。またジルリバーズ型仕様の武器だ。
もしかしたら天野、ジルリバーズ型の武器から集め始めたのかもしれないな。そして武装を揃え始めてるなら、もう武器は揃っているとして……残る一つの予想が出来るかもしれない。
「てぇい!」
コナユキは小剣を振り下ろす、カナユメはそれを横にした小剣でガードした。
「甘いな、そんな太刀筋では当たらんぞ」
カナユメの言った通り、コナユキがその後に放った剣撃も全てガードされた。
「な、なら、これでどうなのです!」
コナユキはアタックチェインで小剣から大剣に持ち変え、上から振るった。
「はっ!」
するとカナユメは、その場でジャンプして大剣の一太刀をかわす。跳躍の力でコナユキの後ろに回り、ライフルの弾丸を無防備な背中に命中させた。
「きゃあ!」
「ふっ、やはり初心者だな、すぐに突っ込んでくるから裏を取られるんだ」
「むぅー、だったら、これならどうです!」
鼻で笑らわれて怒ったコナユキは再び大剣を振るった。
「これならとか、同じじゃないか!」
カナユメも再度跳躍してコナユキの後ろを取る。
しかし、
「甘いのです!」
コナユキはアタックチェインを使い、大剣を終ってライフルを構え、後ろに回ったカナユメの方を向いて銃口を向け引き金を引いた。
「なに!?」
驚くカナユメに、弾丸が当たった。
「どうだなのです!」
勝ち誇った顔をカナユメに向けるコナユキ。
「フンっ、たった一発当たっただけでずいぶん余裕だな、それにアタシはまだ武器を一つ使ってないんだぞ」
「関係ないのです! 当たったことに変わりはないのです!」
『でもコナユキ、さすがに一発じゃ勝てないよ』
「マスター」
『これからはオレも指示するから、頑張って勝とうね』
「分かりましたなのです! カナユメさん、覚悟するのです!」
「まるで今まではやる気じゃなかったみたいだな……マスター、アイツには絶対に勝つぞ! あんな勝負を真面目にしないヤツに、アタシは負けない!」
ジルリバーズ型の中には、勝利に執着する性格のものいるとは聞いたことあるけど、カナユメもその一人だったようだ。
『よし、行くよコナユキ』
「はいなのです!」
説明 | ||
題名の「混武装」は「こんぶそう」と呼んでください。 | ||
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