真・恋姫†無双  転生一刀劉璋録 第2話
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第2話  黄巾の乱

 

 

 

 

一刀が劉焉に言われてから数週間後、世に言う「黄巾の乱」が勃発した。

 

「父上、編成はどのように?」

「そうだな、黄忠、厳顔、魏延は防衛に回しておきたい。

連れて行ける将はお前の幼馴染であるあの三人だけだ」

「あの三人だけですか?」

「不満か?」

「父上、俺達四人は初めての実戦です。

そして相手は漢王朝でさえ、手こずっている者達です。

初めての俺達で勝てるかどうか……、せめて黄忠か、厳顔のどちらかだけでも補佐に……」

「璋、お前は人の噂を気にしすぎている」

「……っと言いますと?」

「相手は元は平民だ。確かに戦に強い者もいるではあろうが、所詮は烏合の衆。

そう判断したまでだ。それに儂はお前達の腕を信用しているのだ。

……まあその代わりと言ってはなんだが、兵は全兵力の半分はお前達に回すつもりだ。

存分に戦って、見聞を広めてこい」

「……分かりました」

 

一刀は玉座の間を去った。

 

「一刀、お前の力を見せてもらうぞ」

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一刀は中庭で待っていた将達とあった。

 

「一刀様」

「それで劉焉様はなんと?」

「紫苑、桔梗、焔耶は残して、俺と一緒に行けるのは綾、美咲、千歳の三人だけだってさ」

「ほぅ、お館もなかなかのことを言いますな」

「桔梗は反対じゃないのか?」

「確かに大いに暴れられないのは悔しいところですが、お館は若頭達の実力を信用して、そう申したのでしょうな」

「父上と同じこと言ってる」

「けど、ここも安全だとは言い切れないわよ、桔梗」

「そうじゃな、今では各地に暴徒が出てくる始末」

「桔梗様、その時は私が……」

「これ焔耶、儂の分も取る気か?」

「いえ、そのように申したのでは……」

「ははは、よいよい……、それで若頭はなんと?」

「当然了解した。父上が信用しようとしまいと俺は初めっから……」

 

一刀は綾、美咲、千歳の方を見る。

 

「お前達三人は連れて行くつもりだったからな」

「「「一刀」」」

「これこれお前達、今は一刀様であろうに…」

「あ、そうだったわ」

「いけない……」

「いや、俺はあまり気にしないさ」

「一刀様、少しはそう言うのも気にした方がいいと思います」

「注意しておくよ、紫苑」

「それはそうと……行く準備をしようか」

「はい」

 

一刀は綾、美咲、千歳を連れて兵達の待つ場所へと向かった。

 

「兵の皆!」

 

一刀が出撃待機中の兵達に号令をかける。

 

「これから俺達は大陸の中心の方へ向かい、暴徒鎮圧に向かう!

だが知っての通り、これから行く俺達将は初めての実戦だ!

至らぬところはあるかもしれないが、俺達は努力するつもりだ!

けど、それでもダメなところがあるなら、皆の方から注意をしてくれ!

中には戦いなれてる兵もいるはずだ! もしもこちらの策がうまくいってない時は現場の方で判断してくれ!

こんな俺だけど、皆、信じてくれ!」

 

一刀の言葉を聞いて兵達は緊張の糸が切れたのか顔がゆるんでいく。

 

「分かりました!」

「俺、一刀様を信じてみます!」

「頼むぞ!」

 

そして一刀達は出撃していった。

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一刀達は洛陽の方を目指して進んでいた。

すると通り道となる邑を通りがかると……。

 

「これは……」

 

邑は黄巾党に襲われており、荒れ果てていた。

 

「酷いわね」

「ええ、話に聞いていた以上に」

「これが戦のあと……」

「………」

 

一刀は嫌悪感を抱いていた。

そこに……。

 

「っひく、っひく」

「子供がいる」

「え?」

「あっちから泣いてる声が聞こえる!」

 

一刀が馬から降りてその声がする方に駆け寄る。

そこは壊れた建物の屋根は地面に落ちていた。

しかしその屋根から地面までの間には空洞があった。

 

「……」

 

一刀がそこを覗いてみる。するとそこには小さいな男の子が泣いてうずくまっていた。

 

「君、大丈夫?」

「うん……」

「今助けてあげるからね。おーい、誰か来てくれ!」

 

一刀は兵士数名を呼び、屋根をどける。

 

「大丈夫だった?」

「うん」

 

一刀がその少年を抱き上げる。

 

「……よしよし…………」

 

一刀は少し考え込む。

 

「とりあえずこの子をどうにかしないと……、誰か他にいる人いないかな?」

「ああ、兵隊さん……」

 

そこに何名かの平民達が一刀達の前に出てきた。

 

「あなた達は?」

「私達はこの邑に住んでいたものです。

ところが先ほど頭に黄巾を巻いた集団に襲われ……」

「それで他に生き残った人達は?」

「残念ですが、我々だけで……」

「そうですか……、それで当てはあるのですか?」

「何とかこの近くに別の邑があってまだ襲われてないと言うのを何とか確認できたので、そちらに移ろうと……」

「分かりました、それですみませんが、この子もお願いします。君、この中に君の親はいる?」

「ううん……」

「(いないのか……)、君、親はいないけど、この人達と一緒に移動してくれないか?

俺達もそんなに余裕があるわけじゃないんだ」

「うん……」

 

一刀は子供を邑の生き残った人達に預けた。

 

「それで兵隊さん達はこれからどうするんですか?」

「俺達はこれからその黄巾を巻いた集団と戦う。そのために蜀の方から来たんだ」

「蜀と言いますと、あの土地から……、随分苦労なさったんですね」

「はい、その苦労を無駄にしないためにも俺達はこれから戦おうと思っています」

 

するとそこに……。

 

「伝令!」

「どうした!」

「ここから北西約3キロ(本来は距離単位は違うが本作では分かりやすくするため現代の距離単位で表す)の所に盗賊の拠点と思われし、野営を発見!」

「盗賊……、その盗賊は頭に黄巾を巻いていなかったか?」

「はい、巻いていましたが……」

「もしかしたら……この邑を襲った奴らかもしれない……。

それで数は?」

「詳細は分かりませんが、確認できただけで3000。まだいる可能性もあります」

「3000か、こちらは15000。……総員! いつでも戦闘態勢に入れるように!」

『はっ!』

 

一刀の号令で気を引き締める兵達。

 

「一刀様」

「美咲、こちらは相手のおよそ5倍の兵力差があるけど……」

「ですが、このまま正面からぶつかっても無駄に兵を失ってしまうだけです」

「それでどうしたらいい?」

「……、その野営の周りはどうなっていたのかしら?」

 

美咲が伝令に尋ねる。

 

「どうなっていたといいますと……、特に変哲もない荒野にただずんでいましたが……」

「何もない荒野に……」

「そうなると物量で攻めるしか……」

「千歳、さっきも言ったけど、こちらは可能な限り兵を失うわけにはいかないの。正面から攻めるのはよくないわ。

となると……、綾、いいかしら?」

「なんだ?」

「策が決まったわ。単純だけど、相手は何も考えずに野営をしている以上、その単純でいいと思うの」

「言ってみろ、どんな策だ?」

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そして綾率いる3000の兵が黄巾党の野営の前へとやって来た。

 

「波才様! 前方に大勢の兵達がやって来ます!」

「ふん、また官軍か。蹴散らしてやる。行くぞ!」

 

波才と呼ばれたその部隊はほとんどの兵を連れて、綾の部隊を襲う!

 

「小癪な! 蹴散らしてやれ!」

 

綾の部隊と波才部隊の戦闘が始まる。

 

「はあっ!」

「ぐああっ!」

 

戦いは綾の部隊の劣勢となった。

 

「仕方ない……退け! 退け!」

 

綾の部隊は後退を始める。

 

「逃がすな! このまま潰せ!」

『おお!』

 

波才達は逃げる綾の部隊を追う。

 

「………今ね」

「全軍、出撃!」

 

美咲の指揮で隠していた兵達が一斉に現れ、波才の部隊を襲う。

 

「伏兵だと!?」

「波才様、出てきた相手の数を合わせると、こちらを遥かに上回ります!」

「止むを得ん、ここは一度陣に……」

「大変です! 陣から煙が上がっています!」

「何!?」

 

実は美咲は15000を4つの部隊に分け、1つは綾の3000、1つは美咲の5000、1つは千歳の4000、そしてもう1つは一刀の3000であり、波才達の横から現れたのは美咲と千歳の部隊であり、陣を襲ったのは一刀の部隊であった。

 

「おのれ、陽動をかけられていたとは……」

「後ろからも来ます!」

 

陣を制圧した一刀が少しの兵を連れて波才軍を後ろから襲っていた。

 

「一刀様も頑張っておられるぞ!」

「皆の者、気合を入れよ!」

『おおおおお!!』

 

一刀の参加により兵士達の士気が上がる。

そして波才に元に一刀がやって来る。

 

「お前がここの大将か!」

「貴様か? 貴様が俺の陣を!」

「勝負だ!」

「上等だ!」

 

一刀と波才は互いに走り出す。

勝負は一瞬で決まった。

波才が剣を上から振るう瞬間に一刀の抜刀術の方が早く、一刀の刀は波才を斬った。

波才は倒れた。

 

「…………」

「頭がやられた!」

「逃げろーーーーーーーー!!」

 

黄巾兵達は一目散に逃げていく。

 

「逃がすな!」

「追え!」

「むやみに追わなくていい!」

 

千歳と綾の指示を一刀の言葉で打ち消した。

 

「一刀様、何故ですか?」

 

千歳が一刀に近づく。

千歳だけでなく美咲に綾も近づいた。

そして三人はあることに気づく。

 

「一刀様?」

「泣いてるの?」

 

一刀は泣いていた。

 

「何故泣いているのですか?」

「人が死んだんだ、泣くに決まってるじゃないか」

「ですがこれは戦です。人が死ぬのは当たり前なんです」

「それは分かっているけど……」

 

それでも一刀は泣き続ける。

 

「一刀、それだとあんたは泣き疲れて、本当に悲しい時に泣けなくなるよ」

「多分……それはないと思うよ……美咲」

 

一刀は涙を拭ってその場を後にした。

 

「一刀……」

「美咲、思わず様付け忘れてるわ」

「あ………」

「けど、一刀様、少し変わってるわよね?」

「ええ、初めての戦闘で嘔吐する者も珍しくない。けれど、泣く者は聞いたことないな」

 

そんな一刀を不思議に思う美咲、千歳、綾であった。

それから一刀は敵と戦っては涙を流す。

それは死んだ味方の兵士だけなく敵の兵士に対しても弔いの意味を込めて泣くのだった。

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おまけ

 

 

作者「第2話だ」

一刀「1週間じゃなかったっけ」

作者「気分と言ったろ。それに二日くらい早くても問題あるまい。

まあ、何曜日に投稿するかは決めた方がいいかもな。

だが次の投稿は来週だと言ってやろう」

一刀「来週か」

作者「それと実はな、日曜日から俺はあるものを作っていた」

一刀「あるもの?」

作者「TCGで使うプレイマットを自分用に製作」

一刀「なんでまた」

作者「ある動画で見たことないプレイマットを見てな。

少し調べてみたらその人の自作とあってな。

そこで俺も自作してみたくなった」

一刀「どんなの?」

作者「『ヴァンガード』と言うカードゲームのものだ。ちなみに背景は『アスラクライン』の画像」

一刀「それでできたのか?」

作者「少し前に完成した。とはいっても最初にアイロンプリントが2セット犠牲になった。

そしてまた2セット作ったが、どうも色が悪かったり、紙がうまくはがれなかったりで、最後にもう1セットとして作った。多少のずれとかはあったが、一番いいできだ。

まあそれは置いておいて、紙がうまくはがれなかった奴を使おうと思う」

一刀「使用用と保存用ってところか」

作者「しかしアイロンプリントですごい金がかかったな。きついのに…」

一刀「自重しろよ」

作者「うん。それに満足したから、しばらくはそんなのはしないな。まあその気になればもう1セット残してるから作れるけどネタ切れだ。

アイロンプリントも苦労したが、一番苦労したのは『ヴァンガード』用の画像を作ることだった。

マークではないけど、そのマークを自然にするのにペイントじゃないけど、鉛筆で細かいところの塗りつぶしとかしたからな。それが一番の苦労だ。まあその結果、完全なとは言わないが満足の行くプレイマットが作れた」

一刀「よかったな」

作者「関係ないことではあるが、興味のある人は俺にも聞くといい。まあ、俺もネットとかでいろいろ見てやったりしてるけどな。

今回はこの辺で、それでは!」

説明
この作品は作者が最近見かけている「転生もの」の影響を受けて書いたものです。
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コメント
様付けの所を種付けと読んでしまった。(陸奥守)
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