真・恋姫無双 未来から来た子達 董卓√ 火編 後編 |
未来才のストレートによってノックアウトされた楊奉。それをみたゴロツキ達が一歩引き下がった
「さて・・・サシでの勝負は俺の勝ちだが・・『飛!お前何をやっている!』」
「あ・・姐御!」
才が振り向くとそこには候成が立っていた。服はかなり露出のある服装だった。胸はさらしで巻いており、長い髪はポニテールにして結わいてある。正直、門番の時の服装の方が目のやりどころに困らずに済んだ。長安でも、霞に会うたびに目のやりどころに困る。
「候成・・・こいつらの知り合いなのか?」
「知り合いといえば知り合いだが。覗き魔に知り合いはいないな」
才が候成の手元を見るとボコボコにされた宋憲がいた
「覗き?」
「才殿。この者たちの愚行お許しください!」
候成は宋憲の頭を地面に押し付けて頭を下げた
「いや・・話が読めないのだが」
「要するに、ワイと兄ちゃんが喧嘩している間、そこの羅金が姐御の着替えを覗いていたわけや・・・バカやなあんな貧乳のどこがいいんやr『ドス!』・・がは!!」
楊奉が説明すると余計なことまで口が滑ってしまい、鞘に収まったままの剣が顔面に直撃した
「候成・・・姐御ってどういう意味だ」
「・・・・それは」
「それはもちろん。この候成こそこの邑の裏を牛耳る者だからな」
「羅金!それを言うな!」
候成は顔を赤らめて宋憲の顔を地面に突き付けた
「ああ・・分かった。大体の事は分かったから落ち着け」
「さ、才様・・・私はまだ混乱しているのですが」
「・・・私の家で説明します。どうぞ中へ」
そう言って、候成達は家の中に入った
候成の家は小さかった。家というよりは部屋。アパートの部屋みたいだ。余計な物はなくただ服をしまう棚と小さな台所(?)らしき場所があるだけだ。
「なるほど、着替える場所がないから俺たちを外で待たせていたのか」
「申し訳ございません」
「いや、構わない。そういう事情なら仕方ない・・・まあ、もう少し覗き対策はした方が良いかもしれないがな」
「それじゃ、姐御の肌が見られないじゃないか!」
「この変態が!」
候成のアッパーが見事に決まった
「さて・・候成。説明を頼む」
「・・・分かりました」
候成の話によるとこの邑は昔、今ほど荒んではいなかったそうだ。当時の何顆も民の事を考え、小さながらも邑としてはそこそこ平和に暮らしていた。しかし、黄巾の乱など様々な盗賊が現れると自分の身を守るため防衛の強化にあたった。そこまでは良かった。しかし、黄巾の乱が終わった後も民から金を巻き上げ、自分の屋敷の改築につぎ込んだ。候成たちが住むあたりはすでに無法地帯となってしまい、次第に不良たちの溜まり場として荒れていった。その生活に耐えられなくなったこの辺りを取り仕切っていた候成は邑の門番となり、後を継ぐように楊奉と宋憲はこの邑のチンピラを束ねる存在となったのこと。
「なるほど・・・才様。これは董卓様に報告すべきです。そうすればすぐにでもここの当主を入れ替えることができます!」
「・・・確かにそのやり方は可能だ。しかし、証拠が足りない」
「・・・董卓?・・・兄ちゃんたち、もしかして董卓軍の者か?」
「ん?ああ・・・そういえば言っていなかったな。俺は董卓軍、『火』部隊副隊長、未来才だ」
「同じく董卓軍、姓は成、名は廉です」
才と水晶は三人に自己紹介をした
「董卓軍ってことはもしかして嵐を知っているのですか?」
「・・・魏続の事か?」
「あ・・・やはり。あの子、しっかりやっていのですか?!男と間違われて暴れていたりしていないですか?」
魏続を知っているというといきなり候成に質問攻めされて才は戸惑った
「落ち着けや姐御!・・・スンマヘン兄ちゃん。姐御、嵐の事になるとものすごく過保護になるもので」
「いや・・しかし、魏続と知り合いだったか」
「それで、才殿!嵐は大丈夫なのですか?嫌な武将の下で働かされていないですよね?・・・まさか、すでに純情な体が!」
「「いや、それは無いだ(や)ろww」」
暴走する候成に楊奉と宋憲が笑いながらツッコミを入れる。しかし、一瞬の無駄な動きもなく候成の拳は二人の顔面に直撃した
「「(なんか・・・自然な風景になってきたな)」」
そして、その光景を見ていた二人はいつもの光景のように見ていた
「おい・・・話が逸れているぞ」
「・・・////すみません。あの子の事を考えるとつい暴走してしまいまして」
「まあ、それだけ大切な奴なんだろうな・・その辺は安心しろ。魏続はしっかりやっている。今は第二部隊の副隊長だ」
「そうですか・・・よかった」
候成は安堵と共に胸を撫で下ろした
「「・・・撫で下ろすような胸は無いけどな(笑)・・・ガハ!」」
そしてまた候成の拳が飛んだ
「さて・・・本題に入るが、俺はしばらくここに留まってあのバカ太守の情報を集めようと思う」
「それは良い考えだと思います・・・しかし、それは少し危険なのでは?」
「俺はな・・・こう陰で何かをしている奴が嫌いなんだよ」
才の迫力は強まった
「そこでだ、候成、楊奉、宋憲。お前ら三人に協力してもらいたい」
「私たちがですか?」
「そうだ、この作戦を成功させるためにはそこそこ腕のある奴とこの邑の事を良く知っている奴が必要だったんでな」
「・・あ、だから先にここに来たいと言っていたのですね」
「ああ・・最初は腕ずくでも従わせようと思ったが予想外だったな、候成がここの裏を仕切っていたなんて」
才が少し意地悪に候成を見た
「//才殿!からかわないでください!今はもう、この邑の一般兵です。ここにいる楊奉と宋憲がまとめています」
「いや姐御が声かければこの邑の半分は集まると思うで」
楊奉の言葉で候成は何も言えない状態になった。どうやら彼女にとって裏を仕切っていた過去は黒歴史のようだ
「さて、三人とも。俺に協力してくれるか?」
「「「もちろん!です!(や)!」」」
「なら、最初の目的は達成だな。俺たちはこれから宿に戻る。明日、またここに来る」
そう言って、才と水晶は宿の方へ向かった。二人は見送るように三人は才の後姿を見ていた
「なんか、変わった奴やな」
「・・・お人よしのようだが何か違う」
「あの方ならもしかしたら変えてくれるかもな・・・この邑を」
そして、二人が入ったのはボロイ宿だった。ボロイのは構わなかった、元々節約のために入ったのだから。だが二人に問題が起きた
「だから、部屋は二つでいいだろ!」
「いえ!私は護衛です!部屋は一つで一緒にいた方が良いです!」
「俺は一人で十分だ!」
「この邑は危険です!いつ才様の身に何かが起きたらどうするのですか!」
才と水晶は部屋を二つ取るか一つにするかを話し合っていた。節約と言っても才の資金はしばらくは十分といえるくらい充分の金がある。二つの部屋を取るくらい平気なのだ。しかし水晶は自分が護衛だと言い張り部屋を一つにして一緒に寝ると言った
「さっきも見ただろ!喧嘩には慣れている!元々護衛は大丈夫だったんだよ」
「刺客など来たらどうするのです!」
「あ・・あの〜」
「「なんだ!」」
「すみませんが、部屋は一つしかないのですよ」
勝者は水晶だった。才はそのままよつんばいになり、水晶はガッツポーズを決めた
「・・・・」
「・・///」
二人が部屋に入ると小さな部屋に布団が二つ並んで敷いてあった
「・・・やっぱ宿を変えy『才様は寝ていてください!』・・・っく」
才はただ上着を脱ぎ、そのまま布団に入った。男女が小さな部屋に二人っきり。ものすごく緊張する。別に才は期待などしていない。ただこういうことに慣れていないだけだ。しかし、水晶ははっきり言って美女の類に入る。褐色の肌にツインテールの黒髪、巨乳に加え露出の高い服装。大抵の男なら耐えなれないだろう
「(平常心!理性を保て!)」
才が眠りについたのは考え込んでから一時間後だった
翌日、才が目覚めるとすぐ隣に水晶が才に抱き着いた状態だった
「・・・こういうフラグは壊れないのか?」
才は己の能力が何故こういう時に発動しないかを呪った
「おい、水晶・・起きろ」
「ん〜才様〜///」
起きそうではなかった
「・・・仕方ない」
才はゆっくりと水晶から離れようとした瞬間
「いや」
メキメキボキボキ
「ぐあああ!骨が!!!」
水晶の抱き着きの締め付けが強まり・・・いや強まり過ぎだった。どこからそんな力が出るのか分からないくらいの強さだった
「むぅ・・・いっちゃいや」
「分かった!分かったから緩めてくれ!でないと音!・・骨が!!!!!」
「むにゅ〜」
才が水晶の頭を撫で安心したのか水晶の力が緩んだ
「・・・とんでもない護衛だなオイ!」
才が護衛である水晶の恐ろしさを知った。それから水晶が起きるまで才は一歩も動けず布団に座った状態を一時間ほど続けた
「ふぁああ。才様おはようございます」
「あ・・ああ、おはよう」
「っは!才様が先に起きるとは!すみません!護衛でありながら寝てしまって」
「いや・・・構わない」
「・・才様?なんか疲れていませんか?もしかして、ちゃんと寝なれなかったのですか?」
「・・・・いや大丈夫だ・・それより出る準備をするぞ」
才は恐る恐る立ち上がり、畳んである上着を着て外に出た。外に出るとあの三人がいた。しかし、様子がおかしかった
「お前らどうしてここに?」
「才殿・・大変です!先ほど兵士の情報で邑の近くまで賊が来ていると聞かされました!」
「賊って・・・太守と長老たちはどうした?迎え討っていないのか?」
「・・・それが、兵士の話によると朝早くに金目の物と兵士を連れて逃げ出してしまいまして。今残っている兵は百未満。賊は約三百です」
「・・っち!あのクソ太守!おそらく長安に向かいやがったな」
何顆たちの話を思い出した。何かと必死に董卓のためとか建て前ばかりの忠誠心を語っていたがあれはもし自分たちが何かあった時は長安に逃げられるようにしようとしたのだろう。金目の物とかは董卓のために献上するとか言いだすに決まっている。という事は太守たちは賊が近くにいることを知っていたという事なのか?
「候成、賊の情報は今日聞いたのか?」
「某は今日聞きましたが、兵士の話によりますと、数日前、太守に報告したようですが・・・どうも動いてくれなかったようです」
「・・・下種が・・・・」
才は状況を頭の中で処理した。そして、自分がやるべきことを考えた
「候成、兵士ってのは太守の警備している奴等の事か?」
「は、はい」
「楊奉!宋憲!お前たちは裏通りのゴロツキ達を集められるだけ集めろ!楊奉は警備兵たちに武器庫にある武器を出来るだけ持ち出せ」
「・・・才殿」
「今から俺が仕切る!この邑を守りたいって思っている奴を片っ端から集めろ!!」
才の命令で三人は持ち場へ急いで行った。楊奉と宋憲は裏通り、才と候成たちは屋敷に行き、残った兵士達に指示をだし武器を集めさせた。
太守の部屋に才は地図を広げた
「・・・才様、本当にやるのですか?」
「やるしかないだろ・・・水晶、お前は逃げたければ逃げても構わないぞ」
「御冗談を・・・私は才様の護衛です。才様が戦場に出られるのであれば私もお供します」
そして太守の部屋に楊奉たちが入ってきた
「兄ちゃん!裏通りのゴロツキ達を集めたで!」
「ざっと百人だ!・・・盗賊の数にはまだ足りないが」
「十分だ!・・・ゴロツキ達は広間に集まっているか?」
「ああ」
才は急いで広間に向かった。広間に行くとガラの悪い男や女が集まっている
「おうおう、いったい何が起きてんだ?!説明しろやコラァ!」
「そうだ!俺たちはアニキ達に連れてこられただけだ!納得いくように説明しろ!」
「・・・お前ら、説明してなかったのか?」
才が二人に目を向けると二人は目を逸らした
「ハハハ、ワリィ急いでいたもんで」
「・・・ふぅ、まあいい。聞け!お前ら!もう何人か気付いているかもしれないがすでにこの邑の近くまで賊が来ている!あのバカ太守はお前たちを見捨てて長安に逃げた!」
「・・・・・ふざけるな!俺たちはどうするんだよ!」
「テメェ!今すぐあのバカ太守を連れてこい!」
「静かにしろ!!!!!!!!!!!!!!!!」
ゴロツキ達が騒ぎ出すと才の怒号で静まった
「お前らの言いたいことは分かる。あの太守を憎む気持ちも分かる。だがな、今はやるべきことは違うだろ!」
「・・・・・・」
「賊と戦うか、この邑を捨てるか。お前たちが選べ!」
才は兵士たちが集めた武器の山の前に立った。すると、候成がゴロツキ達の前に現れた
「・・・某はこの邑で生まれ暮らした。そして、心から言える。私はこの邑を守りたい!いつかあの子がこの邑に戻って来た時、胸を張れるように!」
候成は武器の山から一本の剣を掴んだ。
「「俺(ワイ)も!」」
そして、楊奉と宋憲も掴む。この時は空気を読んだのか、おそらく心の中では『張る胸も無いだろう(笑)』とか思っている。それを直感したかのように候成が二人に睨み付ける。
その後次々とゴロツキ達が武器の山に立ち武器を一つずつ取った
「これより賊の討伐に出る!お前たち準備はいいか!!!!」
「「「「ウオオオオオオオオオオオオ!!!!!!!!」」」」」
兵士とゴロツキ達の雄叫びは邑中に響いた!
そして、戦いが始まった
「楊奉!宋憲!お前たちは奇襲部隊だ!合図と共に左右からぶつかれ!」
「「御意!」」
「候成と水晶は本隊として敵の足止めをしろ!」
「「御意!」」
「陣形は『地獄の番犬』とでもつけておこうか!」
「「「「応!」」」」
その頃、盗賊側では
「なぁアニキ・・・何であんな邑を襲うんですかぁ?」
「俺は一度あの邑に入ってとんでもない豪邸を見たんだ。あそこには大金がたくさんあるぞ!」
「なるほど・・・さすがアニキ!」
「伝令!邑から兵士たちが出てきたようです!」
「今さらか?・・数は?」
「およそ二百」
「こっちは三百!数では勝っている!野郎共!戦闘準備!」
盗賊側の士気はかなり上がっていた
「来たか!弓兵!構え!」
候成が賊が突っ込んでくるのを確認すると、警備兵たちに指示を出した
「放て!」
数十本の矢は一斉に放たれたがどれもがまともに飛ばない。何本かは賊にあたったようだがそれほどの被害は出ていない
「どこを狙っている!お前たちそれでも兵士なのか?」
「そ、そんなこと言われても俺たちまともに鍛錬していなくて」
警備兵たちの技術力の低さに苛立てるが、怒鳴っても仕方ない。候成は急いで才の部隊に声をかけた
「っく!・・・もういい!才殿!」
「・・・分かった。第二陣!俺に続け!」
才を先頭にゴロツキと警備兵たちの部隊が盗賊に向かって走る
「(さすがに編成したばかりの部隊じゃ連携は難しいな。警備兵たちの実力も酷い。となるとやはりでっかい一撃を入れてそこを突くしかないな)」
「才殿!ここは私に任せください!」
「水晶!・・・無茶はするなよ」
「御意!」
水晶は先頭を走り盗賊たちの前で巨大な斧を振り回した!
「我が名は成廉!外道な盗賊を今成敗する!」
「この女いったいどこからこんな力が出るんだよ!」
予想外の攻撃で盗賊たちは混乱し始めた
「やるな水晶。よし!銅鑼を鳴らせ!」
才の指示で銅鑼がなると左右に分かれていた楊奉と宋憲の部隊が盗賊に突撃した
「よっしゃ!ワイらの出番や!羅金!ヘマするんじゃねえぞ!!」
「うるせぇ!分かっている!」
二人が掛け合うと絶妙なタイミングで盗賊に切りかかった
「っぐ!何をしている!数では俺たちが勝っている!こんな奴らに負けるか!」
「見事なフラグだな!」
「な!」
盗賊の頭が上を見た瞬間、頭上には巨大な手裏剣が飛んできた
「ぎゃあああ!」
盗賊の頭は武器で何とか防ぐがいきなりの攻撃に耐え切ることができずそのまま武器を手放した。そして才はそれを見逃さず、大剣を頭の喉に突き付けた
「ま・・・参った。降参だ」
「盗賊の頭、この未来才が討ち取った!全員武器を捨てろ!!!」
才の指揮の下、盗賊団を最小の被害で抑えることができた
一方、逃げ出した太守は言うと
「まだか!まだ長安には着かないのか!」
「もうすぐでございます」
「早くしろ!・・ったく、この財宝を手放すのはもったいないが董卓の影で力を付けなければ。そしていずれ私が長安を乗っ取って・・・フフフ」
太守が考え事をしている時、一人の兵士がやってきた
「ご報告します。董卓軍の者が太守様に御会いしたいと」
「何?・・・分かった、すぐに連れてこい。向こうから迎えに来るとは。私は天に愛されているようだ」
太守の目の前に現れたのは董卓軍の詠だった
「初めまして、何顆殿。私は董卓軍の賈?文和です。先日、未来才からの報告を受けました」
「そうですか、それは何より。それで賈?殿、申し訳ないのだが我々を董卓様の下で保護してくれないでしょうか?実は私の邑で賊の大軍に襲われてしまいまして。何とか逃れたのですがさすがに行く宛ても無いのです。当然ただとは言いません!我々が持ってきた財宝を全て董卓様に差し上げます」
詠が後ろの積み荷を見ると沢山の財宝や金貨が積まれていら
「なるほど、そちらから出向いてくれてこちらの手間が省けました」
「それで、我々を保護してくれるのでしょうか?」
「・・・やっぱり、才の報告通りの男ね・・・恋!こいつ等を全部やっつけなさい!」
「・・・分かった」
「何?!」
何顆が気が付いたころには遅かった。一人の武人によって兵士たちは次々と吹き飛ばされていった。そして逃げてきた長老たちは次々と縄で縛られていく
「何顆!貴様の愚行はすでに調べさせてもらった!貴様には太守としての資格は無しとみなした」
「な!何故だ!私は董卓様のためにこれだけの財宝を持ってきたのですよ!」
「財宝?それは民から巻き上げた物だろ!この金品は全て我々が没収する!」
「な!ふざけるな!何故私がこのような目に!・・・くそ!邑に戻るぞ!」
何顆は急いで引き返した
「恋!追わないでいいわ。どうせ戻ったとても無駄よ」
詠は何顆の哀れに逃げていく姿を見ていた
そして、詠の言う通り何顆が戻ると数人の門番たちが何顆に睨み付けていた
「私はここの太守だぞ!すぐに私を入れろ!」
「何が太守だ!ここの太守は未来才様だ!」
「何!!」
あの戦いの後、候成たちの要望で才を新たな太守になることになった
「あのガキ!よくも私の豪邸を!・・・許さん!許さんぞおお!!!!」
何顆が叫ぶと門が開き、中から候成が現れた
「太守殿・・・いや何顆。その様子だと董卓に追い返されたようだな」
「候成!おお、お前か・・・頼む!私を救ってくれ!ここは私の邑だろ?中に入れてくれ」
何顆は候成に拝むかのように跪いた
「お前の?・・・笑わせるな、ここは某『たち』の邑だ。そして、ここの太守は未来才様だ!
「未来才・・・・ふざけるな!認めぬ!私は認めないぞ!!!!何故あの男なんだ!あんなガキに太守が出来るか!」
何顆が叫びながら候成を襲おうとしたが鞘に収まったままの剣が何顆の腹を突いた
「がはあ!」
「もう二度とお前の好きにはさせん!即刻この地から出て行け!」
そう言って、候成は食糧が入った袋と投げつけた
「それくらいあればどこかに着くだろ・・・まあ、お前が好きに出来るわけないだろうがな」
そして、候成は何顆を後にして邑に戻った
「クソ・・・私は・・・・・・こんな所で・・・」
何顆は食糧を拾いブツブツと呟きながら邑から離れた
その頃、邑の中では宴が行われていた
「よっしゃああ!ワイらの新たな太守!未来才を祝してもう一度乾杯や!!!!!」
「「「「カンパーイ!!!」」」」
太守の屋敷に保管されていた食料は全て邑の者たちに配られ、今邑の中では宴で騒いでいた。あの太守が出て行ったこと、盗賊の討伐に成功したこと、そして新たに未来才が太守になったこと
「おいおい、俺はお前たちの太守になった訳じゃないぞ」
「でも、この邑のために頑張ってくれるんやろ?・・もう太守になれや!」
「あのな・・・」
「才様!太守になられても私は才様の護衛を務めます」
「水晶まで・・・お!候成!いいところに!こいつらを何とかしてくれ」
「・・・ふ、才殿。某もこの邑の者です。当然、才殿の太守任命に一票入れますよ」
候成の笑い顔で才は自分の周りに味方はいないのだと悟った
「・・・しょうがない。ならなってやろうじゃないか!太守に!」
「「「「おおおおぉ!!!!」」」」
「ただし、董卓が新しい太守を出して来たら変わるからな!それまでは俺がここの太守になってやる!」
「「「「「「えええええぇぇぇ!!」」」」」」
「うるせえ!今董卓は忙しい。新しい太守が決まるのはかなり時間がかかる。それまでは俺が見てやるってことだ」
この宴は邑の者にとって何年振りかのような大きな祭り気分で騒いだそうだ
そして数週間後
才は太守の部屋を使って書類を書いていた。正直、才はあまりこの部屋を使いたくないらしい。あの太守が使っていたという事もあるが、あまり派手な場所で仕事をすることを好まない。しかし、太守になったため太守らしくしっかりした場所で仕事をしなければならない。早い内にこの部屋を改装したいと考えている才であった。水晶は才の新しい報告書を届けるため長安に戻っている。彼女自身は別の兵に任せたいが才の命令のため全力で長安に向かった。そんな時、三人の影が見えた
「おい。いったいどうしたんだ?三人集まって?」
才の目の前には候成、楊奉そして宋憲が立っていた
「改めて名乗らせてもらいます。性は候、名は成。真名は((梅麗|めいりー))。本日より董卓軍の未来才殿の配下にしてもらいたいと願っています!」
「性は楊、名は奉。真名は((飛|ふぇい))。候成同様、未来才の配下になることを望んでいます」
「性は宋、名は憲。真名は((羅金|らこん))。同じく未来才殿の配下になることを望んでいます」
三人は膝をついて頭を下げた
「お前たちが俺の配下に?」
「はい、一般兵として扱っても構いません!どうか我々を使ってください!」
候成たちの強い意志が才に伝わった
「・・・まあ、人手が足りないのは事実だし。使ってやらないわけではない」
「それでは!」
「俺は人使いが荒いぞ!特にこんな忙しいときはな。・・・早速だが仕事だ。羅金は復興部隊の指揮を取れ。設計図は完成させたからこれを持って行け。飛は食糧の詳細資料を集めて持って来い。あと、開拓部隊の詳細も。梅麗は支給部隊の指揮を取れ。全員平等に分けるように。」
「「「御意!!」」」
三人は急いで持ち場に向かった。そして、ちょうど三人が出て行った後に一人の男性が入ってきた
「まさか本当に太守になるとはね・・・これは僕も予想外だよ」
「・・・望。ああ、俺も正直こうなるとは思わなかった。まあ、こういうのは慣れているが」
「でも、忘れないでよ。僕たちには帰るべき場所があるんだから」
「・・・・ああ、分かっている」
二人の間には深刻な空気が漂っていた。いつか自分たちの世界に戻らなければならない。それがいつなのか分からない。明日かもしれないし十年後になるかもしれない。だた、彼らは家族そろって自分たちの家に戻りたい。それは皆同じ気持ちだ
「っま、好きにやってみたら?才ならこの邑を絶対良くしてくれるだろうし」
「・・ああ。それより設計図ありがとうな。おかげで作業が思ったよりも早く済みそうだ」
「弟が邑の太守になったんだから。兄として協力しないわけにいかないよ」
望はニッコリと笑いながら才の頭をワシャワシャとかき回し、才はムスッとした顔をした
「お前、楽しんでいないか?」
「まあ、確かに楽しんでいるね。少しだけ僕たちがやるべきことが見えたから」
「そうか」
「それよりもさ・・・成廉ちゃん可愛かったね〜。才に対して一途で献身な態度、加えにあのな純粋さ」
「あのバカが」
水晶の名前が出てきて才の表情が変わった
「・・・・もう抱いた?」
「テメェ・・・いつか絶対に土下座させてやる!」
才はすかさず剣を握った
「ははは、冗談だよ」
「ったく、お前は冗談なのか冗談じゃないのか分からないからメンドイ」
「そうそう・・・さっき資料を見せてもらったけど凄いねこの邑。資源の山って言えるくらい豊富。今までよく出なかったかが不思議なくらいだよ」
「そうなんだよな。あの太守、金と銀にしか目がいかなかったみたいでその辺ほったらかしにしていたみたいだ」
才が資料を取り出すとそこには邑付近にある鉱山の事が書かれており、金、銀は掘りつくされているが鉄の量が半端ではなかった。そのほかにも自然豊かな地が多く存在し、これを利用しない手はなかった。
「も石材や木材も充実、川を使えば水の資源も大丈夫だ。本当、あの馬鹿、何でこんなことをしなかったのか不思議だぞ」
「何顆のこと?そうとう酷い太守だったみたいだね」
「ああ・・・そうだ、今度光たちを呼んでくれ。候成が魏続に会いたがっていた」
「分かった、話しておくよ」
「悪いな、勝手にこんなことして」
「才が謝るなんて珍しいね・・・・でも、さっきも言ったでしょ『やるべき事が見つかった』って。才はここでやるべき事をすればいいでしょ?」
「ああ・・ありがとう」
「近いうち華雄さんを派遣するよ、あの人がいたら心強いでしょ?」
「おいおい、火部隊の隊長を送るのかよ?火部隊はどうする?」
「霞さんたちがやってくれるから大丈夫。ここの警備兵の強化をするなら華雄さんがいいでしょ?」
「・・・分かったよ。お前に任せる」
「了解♪」
その後、望は資料を置いて部屋を出て行った。残された才は外を見上げる
「・・・いい天気だな。今日はのんびり月見が出来そうだ」
あとがき
はい、今回は未来から来た子達 火部隊の才が主人公の話でした。ここで一様、才の設定を書いておきます。
未来 才 19歳
武器:カラクリ式大剣(無形)
未来才
未来家の次男。董卓軍、「火」の部隊の副隊長を務め、その後、長安付近の邑の太守を任される。兵をまとめるカリスマ性が非常に高く、元いた世界では英才教育を受けていたため幅広い知識も持っており、それに加えて料理も非常に上手。どこに出しても一流の武将と名乗っても恥ずかしくない人物。一刀と比べるとカリスマ性は劣るもの、持ち前のスペックの広さはダントツで一番。仲間意外の名前を呼ぶ時は基本的に字で呼ぶ。『フラグ踏み倒しスキル』というスキルを持っており、『死亡フラグ』、『負けフラグ』などマイナスフラグの効果を消す力を持っている。
以下は新たに仲間となった三人の詳細です。才の部下となったため、三人とも才と同じ『災』のマークを身体のどこかに付けている。ちなみに前編の水晶のイラストにも『災』のマークが付いています。
候成(こうせい)
真名:梅麗(めいりぃ)
武器:木刀、刀「無骨」
長安付近にある邑の門番。木刀の使い手で、その実力は達人級。家庭的な一面も持っており、料理などが得意。元々は楊奉たちと一緒に邑の隅で暮らすチンピラだったが、邑を守ることを決意し邑の門番となった。候成と宋憲の喧嘩のストッパーでもある。妹分でもある魏続に対しては過保護とも言えるほど大切に思っており、彼女が関わっていると暴走する。現在邑にいる将の中では真面目な方。魏続同様俎板クラスの胸の持ち主。胸ネタで楊奉と宋憲を殴ることは邑ではお約束となっている。
宋憲(そうけん)
真名:羅金(らこん)
武器:トンファー「銀河」
前髪に赤いメッシュがかかった髪を持った青年。候成と同様に、元チンピラ。実力的には候成と同じ。才の事を「若」、一刀の事を「殿」と呼んでいる。大のロリコンで巨乳好きの飛とは自分の好みで張り合う。その度に梅麗に鉄拳を喰らっている。
楊奉(ようほう)
真名:飛(ふぇい)
武器:薙刀「巨人包丁」巨大なナイフの形をした薙刀
長安付近の邑に住むチンピラを束ねるリーダーだったが才に一瞬で倒された。賊との戦い後、董卓軍に正式入隊。才の事を「若」、一刀の事を「殿」と呼んでいる。宋憲とはよく好みで口げんかをするがいざという時は協力し合って絶妙なコンビネーションを発揮する。大の巨乳好きで幼女好きの羅金とはいつも張り合っている。そのたびに梅麗から鉄拳を喰らっている。
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はい、少し間が空きましたが後編を投稿します 後編はかなり長いです 温かい目で見てください |
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