そらおと/ZERO 第八章「虚構と真実」
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 大切な人だった。

 俺に色々な事を教えてくれた、偉大な先達だった。

 だからその人が世界からいなくなろうとした時、俺は大声で泣いた。

 

「泣くでない、トモ坊」

 

 今にも消えそうな声で、その人はベッドから俺に声をかける。

 

「別れは、誰にでもくるものじゃ。神様にだって変えられやせん決まり事じゃからな」

 

 子供だった俺は納得できなかった。

 そんな決まりなんて俺がやっつけてやると言って聞かなかった。

 それでも、その人は微笑みながら俺をあやす。

 

「これでいいんじゃよ。それに、別れがあるからもっと大切な事も訪れるんじゃ」

 

 俺にとって今目の前にいる人以上に大切なものなんてない、と言い張っても。

 その人は静かに首を横に振る。

 

「そんな事は無い。お前はいつかきっと、誰よりも大切な人に出会えるじゃろう」

 

 その言葉はまるで予言の様に、俺の中にすとんと落ちていく。

 本当にそんな人に会えるのかと聞くと、その人は確信を持った声でもう一度予言した。

 いや、きっとあれはその人の願いだったんだと思う。

 

「その時の為に、お前は大切な人を守れる様な男になれ。でっかい男に、のう」

 

 

 それが、俺の大切な人の最後の教えになった。

 別れは避けられず、出会いは自分が望むものになるとは限らない。

 それでも、俺は精一杯でっかい男になろうと誓った。

 いつかその人が言った様な、本当に大切な人に出会った時のために。

 

 

 

 

 

 そらおと/ZERO 第八章「虚構と真実」

 

 

 

 

 

「…久しぶりに、見たな」

 最近よく見るおかしな夢。

 ここ数日は音沙汰がなかったけど、どうやら見なくなったわけじゃないらしい。

 きっと色々あり過ぎて夢を見る暇すらなかったせいだろう。

「いてて」

 起き上がると背中がズキズキと痛んだ。その痛みで自分が気を失う前の事を思い出す。

「俺の部屋、だよな」

 どうやら俺は助かったらしく、自分の部屋で寝ているという事は勝ったのはイカロスなんだろう。

 自慢じゃないが、俺の家なんて敵に丸見えだし堅固な守りもない。

 そんなところで呑気に寝ているなんて相手にとっては殺してくださいと言っている様なものだ。

 この家の守りはイカロスがいるという前提で成り立っている。俺がここにるという事はそういう事だ。

 もし先輩が勝っていたなら、俺をどこかに隠してバーサーカーとの決着に挑んでいるだろう。

「先輩は、どうなったんだろうな」

 アストレアを失っただろう先輩の安否も気になるけど、とりあえず廊下を出て居間に降りる事にした。

 多分そこにはイカロスと見月がいるだろう。詳しい話は二人に聞いてみればいい。

「あてて」

 びしり、と包帯が巻かれた背中が痛む。

「…ニンフの奴」

 何となくだけど、あの時俺に起こった異常がニンフの仕業だという事は理解できた。

 そもそも他に心当たりがないし、心配性なあいつならこれくらいやるんだろうと思ったから。

 

 

 かなりの時間を寝ていたらしく、外は真っ暗になっていた。

 この遅れが致命的な物じゃなければいいけど、と少し不安になりつつも今のふすまを開ける。

 そこには俺の見知った人たちがいたけど、一人だけ俺の予想外の人物がいた。

「…先輩」

「邪魔しているぞ。体は大丈夫なのか?」

「ええ、大丈夫っすけど」

 先輩は俺の家に上がりこんでいたらしい。

 アストレアを失った以上、イカロスの守りを当てにするのは当然だろう。

「マスター、嘘はいけません。マスターの背中の傷は、まだ完治していません」

「う。そりゃ治ってないけど、大丈夫だこれくらい」

 いつも通り俺を最優先に考えるイカロス。

 見たところ目立った怪我は無いみたいだし、切り飛ばされた翼もちゃんと治っている。

 以前の様に自分の不調を隠すという事はしてないだろう。そうでなければ俺の怪我にいちいち忠告なんてしないと思う。

「だといいんだけど。桜井君、自分の体に起こってる異常に気付いてる?」

「そりゃ、まあ。多分ニンフの仕業なんだろうなって事くらいは」

「はあ。それ、全然わかってないのと同じだからね?」

 呆れつつも俺の身を案じてくれる見月。

 どうもニンフがしでかした事に責任を感じてるみたいだけど、俺としてはあいつに礼を言いたいくらいだ。

 問題は。

 

「桜井君ったら、会長の知らない間にモテモテになっちゃたわね〜。ハーレム王桜井でも名乗る?」

「結構っす。っつーか何でここに居るんですか会長」」

 バーサーカーのマスターに捕らえられていたハズのこの人が、なんで俺の家の居間でくつろいでいるのかって事だ。

 

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「なるほど。あいつアホっすね」

 会長が無事に戻ってきた経緯を聞いた桜井君の第一声はそれだった。

 

「同感だな。慢心もここまでくると賞賛したくなる」

 守形先輩も同じ感想だったらしく、深く頷いていた。

「でも、これからの話を聞いた後の桜井君の反応次第だと思うけど〜。ねえ、見月さん」

「…そう、ですね」

 私は曖昧に頷くしかない。

 会長の話を聞いた上で、自分の在り方を認識した私達は言い様のない不安を感じている。

 私達はある意味部外者だ。巻き込まれたと言ってもいいし、それはもう終わっている。

 当事者はあくまで桜井君とバーサーカーのマスター。

 その構図を知ってしまった私にできる事は無かった。

「くそっ、あのバカ野郎め! 会長みたいな『この世すべての悪』なんていっそ滅ぼしてくれれば良かったのに!」

「うふふ〜。桜井君ったら、冗談でもそういう事を言うものじゃないわ〜」

「そうだな。だから美佐子、その拳銃をしまえ。流れ弾が俺や見月に当たったら危ないだろう」

「俺は!? 俺は当たってもいいんですか!?」

「当然だな」

「当然よね」

 ああやっていつも通りに振る舞っている会長や先輩だって同じ不安を抱えているだろうし、

「イカロス! 家に敵が入り込んでるぞ! しかも二人だ!」

「…撃退は不可能と思われます。お覚悟ください、マスター」

「諦め早くねぇ!?」

 そしてイカロスさんの桜井君への罪の意識はきっと私の想像以上だろう。

 当事者の桜井君がどれだけ怒り、不安になるかと思うと私は気が重かった。

 

 

「まあ、ふざけるのはこれくらいにして。それで会長、話ってなんですか?」

 一通り騒いだ後、桜井君は座布団に座って会長に話を促した。

 会長の雰囲気を察してくれたらしく、その表情はさっきまで馬鹿騒ぎしていた時と違って真剣だった。

「そうねぇ、どこから話そうかしら。桜井君、そこのテレビのリモコンを取ってくれる?」

「はい。これが何か?」

 桜井君が手に取ったのはどこにでもあるテレビのリモコン。

 …いや、『今の私達』にとっては『どこにもないリモコン』なんだけど。

「それじゃあ聞くけど、そのdボタンって何かしら?」

「はぁ? そりゃ地デジ…………………あれ」

 ぴたりと、会長の問いかけに答えようとした桜井君は固まってしまった。

 丁度、数時間前の私みたいに。

「地デジってなんだっけ…? いや、そもそもこのテレビ薄過ぎねぇか…?」

 液晶テレビを色々な角度から見て違和感を感じている桜井君。

 そう、私達の時代にこんな大きな液晶テレビなんてない。それは。

 

「それは私たちの孫の物、約50年以上後のものだそうよ」

 私たちが知る事のない、紛れもない未来の代物だった。

 

「………孫」

 ぴくり、と桜井君の体が震えた。

 私も感じたこの世界と自分の((齟齬|そご))。それを今の桜井君も感じ取っているかもしれない。

「バーサーカーのマスターが言うには、今私たちがいるのは約50年後の空見町。正確にはそれを再現した仮想空間らしいわ」

「仮想、だって…? 会長、おかしなこと言わないでくださいよ」

「おかしくなんかないわ。今、桜井君が感じた事は私達も同様に感じた事。他人から言われないと気づけない一種の記憶操作だそうよ」

「記憶。それって風音が」

「ええ、エンジェロイドの風音さんがやったのと同じ理論らしいわ。バーサーカーのマスターはそれで私達全員の記憶を改ざんしている。そうなのよね、イカロスちゃん?」

「………はい」

 イカロスさんは静かに頷いて肯定した。

 そして桜井君の視線に促されて言葉を続ける。

「バーサーカーのマスター。いえ、シナプスのマスターの目的は私たちのマスター、『桜井智樹』の抹殺です」

「桜井、智樹」

「マスターならば、お気づきになっていると思います」

 桜井君の呻くような声に答える様にイカロスさんは言葉を続ける。まるで懺悔するかのように。

「マスターの見ている夢の一片は、間違いなくマスターの孫の記憶です。今のマスターは『桜井智樹の体』と『桜井智蔵の意識』で構成されています」

「それは俺達も同じらしい。俺は『守形英四郎の体』に『守形英三郎の意識』で構成されているそうだ」

「…体の方はシナプスのマスターがこの世界限定で複製したものです。オリジナルは今も現代で活動しているハズです」

「待て、待て待て。ちょっと整理させてくれ。一つ一つ片づけるから」

 慌ててイカロスさんの言葉を遮りつつ、頭をかく桜井君は明らかに動揺していた。

 それも当たり前だと思う。私も会長から似たようなやり方で現状を知ったけど、信じられない内容だったから。

 いや、今でもこれは悪い夢なんじゃないかと思ってる。

 この世界との齟齬を見せつけられた今でも、そうであってほしいと願ってしまう。

 

「一つ。今俺達がいるのは現実じゃなくて仮想の世界だ。そうだな?」

「はい」

 桜井君は深呼吸をしながらイカロスさんと対話を続ける。

 

「ここは俺達の孫がいる町を再現してる。俺達の体も同じで孫のコピーみたいなものだな?」

「はい」

 それは事実を一つ一つ噛みしめている様に見えた。

 

「…よし、納得できないけどとりあえず理解した」

 そう桜井君は頷きながらイカロスさんに質問を続ける。

「俺を殺せば俺の孫を殺せるってどういう事だ。順番がおかしくないか?」

「タイムパラドックス、という理論と聞いています。私も詳細は知りませんが、今のマスターが命を失うとマスターの意識は消失し、過去へ戻る事ができなくなります」

「うん? じゃあ俺の体は過去っつーか俺の元いた世界にあるんだな?」

「はい。シナプス科学力でも直接過去への干渉は不可能です。そこでマスターの意識だけをこの世界に召喚し、そこで意識だけでも消滅させようとしていると考えられます」

 桜井君は深く頷きながらイカロスさんと会話を続ける。

 イカロスさんと会話をしている彼は、少しづつ落ち着きを取り戻していた。

「…こっちで俺が死ねば、現実の俺は目覚めない。死んだも同じって事か」

「…はい。それにより桜井智樹が生まれる未来は消失し、彼の望む未来が訪れるという事なのでしょう」

「あの野郎、とんでもねぇこと望みやがって」

「…申し訳、ありません」

 不快感に顔を歪める桜井君に、イカロスさんは表情を曇らせた。

 それに気づいた桜井君がなだめる様におどけてみせた。

「いいよ、お前が謝る事じゃないし。それにお前たちが黙ってた理由も納得できる。こんなん、聞いても何もできないじゃんか」

「はい。だからこれは最後までマスターには内密にしようと、私達の間で決めていた事でした」

「私達ってのは、ニンフやアストレアか」

「風音さんとオレガノも含まれます。私たちの目的はマスター全員を守り、未来改変を阻止する事にありました」

「そっか。それでお前ら敵同士の割に仲良かったんだな」

「はい。誰も失わないようにすると決め、私達はそれぞれのマスターを選びこの世界へ分身を送り込みました」

 当然の事だと、断言するように頷くイカロスさんの瞳は真摯だった。

 私はその態度に少しだけ救われた気がした。この人もニンフさんも風音さんも、みんな私達を思って戦うと決めたんだと信じられたから。

「…話は分かった。要するにこの世界もこの戦いも」

 桜井君は溜息一つついて。

 

「あの野郎、バーサーカーのマスターの用意した茶番だったって事だな?」

 理不尽な敵への怒りの言葉を吐き出した。

 

「………」

 イカロスさんはうつむいたまま答えない。それは無言の肯定だった。

 私達も何も言えない。桜井君の怒りは正当な物だし、私達だってまったく怒りを感じていないわけじゃない。

 例えイカロスさん達が必死に私達を守ろうとしたとしても、こんな世界で偽物の記憶を与えられて、命をかけて無駄な戦いをする事になったのは事実なんだから。

「…マスター。いえ、もう私にそう呼ぶ資格は無いかもしれません。ですが私は―」

「…なあ、イカロス。もう二つだけ聞いていいか」

 消え去りそうなイカロスさんの言葉を遮って、桜井君は声をかけた。

 さっきまでとは180度違った優しい声で。

「この体は孫の智樹のコピーだけど。心は俺の、本物の桜井智蔵のものだ。そうだよな?」

「…はい」

「お前はどうなんだ? さっき分身って言ったけど、お前達ってこの世界で死んだらどうなるんだ?」

「私達はオリジナルから切り離されたコピーに等しい存在です。破壊されれば消滅し、オリジナルには何も影響しません」

「じゃあさ、もし最後まで勝ち残ってこの世界から帰る事ができたら?」

「それは…分かりません。オリジナルの手によって消されるのか、統合されるのか。全てはオリジナルの意志によります」

「そっか。なら良かった」

 桜井君は本当に嬉しそうに頷いて。

 

 

「世界も体も偽物でも、ここにいる俺達の心は一つきりの本物なんだ。なら、きっと大切な思い出にできる」

 心から良かったと。そう言い切れるような優しい顔で彼は笑った。

 イカロスさんやニンフさん事、そして風音さんの事、この世界での事を全部大切に抱えていけるんだと噛みしめるように。

 

 

 その笑顔を見て私もやっと気が付いた。

 ニンフさんはいつも私達の事を案じ、風音さんは桜井君の無事を願っていた。あれもきっと全部本物だった。

 会長も、先輩も、オレガノさんも、アストレアさんも。そして私も自分の意志で戦っていた。

 この偽りの世界で、私たちの気持ちだけはいつも本物だったんだ。

「マスター、私は…!」

「いいんだ。お前には散々助けられたんだ、いまさら責める気は無いって」

 瞳に涙を浮かべるイカロスさんを、桜井君は優しく撫でた。

 何も変わりはしないんだと、安心させる様に。

「…智蔵の言う通りだ。事情を知っても状況は何も変わっていない以上、やる事も変わらないだろう」

「そうね〜。どちらにしろ桜井君に勝ってもらわないと困るわね〜」

 ようやく口を開いた先輩達は、最初からこの結果が分かっていたらしい。

 一人だけ気をもんでいた私は少し損した気分だ。

「で、桜井君。ちゃんと勝算あるの?」

 なので、少々意地悪く言ってあげる事にした。

 今さらになってニンフさんの内心が少し分かったかもしれない。

「勝算かぁ。とりあえずニンフの置き土産を使ってあの野郎に一発くれてやろうとは思ってたけど」

「つまり、ノープランなんだね?」

「ちゃんと役割分担くらいは考えてる。俺がカオスの隙を作れればイカロスの切り札で勝てるかな、とか…」

「つまり、ノープランなんだね?」

「いや、だから」

「ノープランなんだね?」

「…はい」

 縮こまって頷く桜井君は大変素直でよろしい。 

 今の案なんて慢心した相手でも簡単に予想してくるだろう下策だ。これから私達で最上の作戦を練らないといけない。

「守形先輩と会長も知恵を貸してくれます? 見てのとおり桜井君じゃ頼りないので」

「ああ。元よりそのつもりだったしな」

「そうね〜。明日の夜には決戦だものね〜」

「は? なんでそうなるんすか?」

「伝言を預かってたのよ〜。明日の夜、町はずれの大桜の下で待つって〜」

「それもっと早く言うことですよね!? 先輩もやれやれ困った奴だ、みたいに肩をすくめないでくださいよ!」

 もっとも、この雰囲気で真面目な作戦会議ができるとは思えないんだけど…それこそ今更かな。

 だって私たちはいつもこういうやり方で作戦を立てていたし、それで桜井君は勝ってきたんだから。

 

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 翌日。俺はイカロスと一緒に町を見て歩く事にした。

 俺の行動に見月は呆れ果てていたみたいだけど、これにはちゃんと意味があるんだ。

 

「うーん。こうやって改めて見ると都会だなぁ」

 商店街を歩くだけで自分が知っていた土地がまるで違って見えるんだから不思議だ。

 今まで何の違和感も感じなかった町並みがとたんに異郷に様変わりした気がする。

「マスターが言うには、ここは田舎町だそうです」

 ここでイカロスが言うマスターは智樹、俺の孫の方だろう。

 ややこしい気がするが、イカロスは頑としてその呼び方を変えない。

 ちゃんと区別する時には仕方なく名前で話すが、あくまで仕方なくだ。

 どうもこれがイカロスなりのギリギリの線引きらしい。

「これが田舎ねぇ。これ以上の都会って想像もつかねぇや」

 きっと俺の想像外の有様になっているんだろう。

 もしかしたら一家に一台ででんとコンピューターがあったり、手の平くらいの大きさになった電話が蔓延してるかもしれない。

 流石に簡便だ。そんなの俺には異世界過ぎる。

 そんな感想を抱きながら歩いていると。

「あ、桜井!」

「お、竹原じゃんか」

 ばったりクラスメイトとでくわした。

 たった数日前まで毎日顔を合わせていた奴なのに、少し懐かしい気分だ。 

「てめぇイカロスさん連れて何やってんだ!? いや、ナニか? ナニなのか!?」

 …訂正、少し鬱陶しい。

 微妙に周囲からの視線を集め始めているし、ここは退散しよう。

「なんにもねぇよ、じゃあな」

 イカロスの手を取って小走りで駆け出す。

 幸い、イカロスは素直についてきてくれた。

「何もないってあるかー! くっそ、このハーレムキングがぁ!」

 失礼な。俺は女の子にモテた事なんてないっつの。

 むしろ最近は女の子と一緒に生か死の大立ち回りばっかりだ。俺の知るハーレムは死の香りしかしねぇ。

「…なあ、イカロス。あいつは」

「…彼はマスターの記憶から再現されたクラスメイトです。意識がこちらに転送されたのはマスターを含めて5人しかいません」

「5人、ね」

 という事はあいつも含まれているのか。

 そういえばあの後から顔を合わせてないけど、何やってんだろうなあいつは。

 

 

 

 

 で、それから1時間後。イカロスと少し別行動をとっていた俺は件の野郎を見つけた。

 しかもそいつは俺の予想外の所で想像外の事をしていた。

「………何やってんだ、お前」

「ああ、智蔵か。見てのとおり畑仕事だよ?」

 鳳凰院=キング=頼朝。

 俺の幼馴染でこっちに意識を呼び込まれた5人目のマスターは、風音の畑でいそいそと土を耕していやがったのである。

「お前」

「ただの暇つぶしだよ。時間だけは余ってるからね」

 俺の言葉を遮る様に切り出した鳳凰院は言葉を続ける。

「割と楽しいものだよ、これ。智蔵はよく手伝っていたんだろう?」

「…まあな。誰から聞いたよ」

 鳳凰院は風音との記憶を捨てている。

 なのにそれを知っているという事は誰かに聞いたに他ならない。

「僕の想像だよ。君ならやっていそうな事だと思っただけさ」

「ああそっか。お前、頭いいもんな」

 回答は俺の予想を超えたものだった。

「ははは。今さら何を当然の事を言うんだい? 僕の頭脳は俗人には理解できないスーパーな物さっ!」

 そういえばこいつはいつも俺より頭が良くて、それを常人の考え付かない奇抜な事に使う奴だった。

「へいへい。そーだな」

 俺の反応に満足気に頷いた鳳凰院は意気揚々と畑へ戻る。

 その間際。

 

「それで? 勝てそうかい?」

 実にこいつらしくない、信頼と羨望が混じった言葉を口にした。

 

「…まあな。昨日で最後の作戦も立て終わった。今夜で最後になると思う」

「そうか。それは何よりだ」

 お互いにかける言葉は簡潔だった。

「じゃあな」

「ああ、精々頑張る事だね。それとイカロスさんにもよろしく」

 それだけで十分だったし、それ以上は不要だろう。

 

 

 

 思えば、鳳凰院だけは俺達よりいち早くこの異常に気付いて当然だったのだ。

 風音に自分の記憶操作を解除させた時点で、こいつはこの世界の違和感を把握してしかるべきだったのだから。

 

 

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 小高い坂を少し上った所でイカロスとは待ち合わせをしていた。

 意外な珍客のせいで当初の目的は達成できなかったけど、あれはあれでアリだったと思う。

 

「待たせたな。見せたいものってなんだ?」

「…あちらです」

 ちょうど空見町の町並みを見下ろせる所からイカロスが指差した先には、歪んだ水平線が見える。

「なんだあれ? 蜃気楼じゃないよな?」

「あれは虚数空間です。この世界の再現が及ばなくなり、崩壊を始めている証です」

 うぬう、よくわからない単語がでてきたぞ。

 というわけで色々詳しく聞いてみる事にする。

「この世界、町の外は全部こんなのか?」

「はい」

「あれに触ったらどうなるんだ?」

「呑み込まれればエンジェロイドでも無事ではすまないでしょう」

「つまり逃げるって選択肢はないんだな?」

「はい」

 イカロスの返事は実に端的で無駄がない。

 そりゃそうだ。今さら逃げ道があろうがなかろうが俺のする事は変わらないし、彼女もそれを分かっているんだろう。

「実はあれ、こっちに近づいてるって事はないよな?」

「いいえ。マスター達が現状を正確に認識したため、この世界は急速に崩壊を始めています。あの歪みはやがてこの世界全てを呑み込むでしょう」

「あれが俺の家にたどり着くのはいつだ?」

「明日の午前中には」

 なるほど。イカロスが俺にこれを見せた理由がよく分かった。

「どのみち、今夜しかないんだな」

「はい」

 見月はもちろん、先輩達も今は俺の家に避難している。

 今夜を逃せば全員あの歪みに呑み込まれるという事だ。

「…ふむ。なあイカロス」

 昨夜の作戦会議と今の事で少し思いついたので提案してみる。

 俺の耳打ちに黙って相づちをうっていたイカロスは最後になるほど、と頷いた。

「はい。確かにその方が勝率は上がると思います」

「よし、じゃあこれでいこう。お前としてもカオスとの戦いは色々辛いだろ?」

 今朝イカロスからバーサーカー、もといカオスの事を聞いたけど、どうもイカロスはカオスに対して思うところがあるらしい。

 もう戦いは避けられないけど、できるだけ後味の悪くない方を選ばせてやりたい。

「お心遣い感謝します。ですが、今の私はこの戦いを忌避する事はありません」

「いいからいいから。勝率が上がるのも確かだろ?」

 俺の言葉に渋々と頷くイカロスだが、いい案だという事は分かっているハズだ。土壇場で作戦を変えることはしないと思う。

 ともあれ対カオス戦の思わぬ収穫ができた。これならイカロスも少しは楽になるだろう。

 

「マスター。私からも提案があります」

「なんだ?」

「そあらさんから預かってる物でマスターは決着をつけると考えていると思いますが、それだけでは決め手にかける可能性があります」

「そうか? 今なら結構いけると思うんだけど」

 見月から預かった身体能力を強化するリボンは、今は自分の右手に巻きついている。

 先日、先輩との戦いで使う事ができなかった点を反省し、いつでも使用できるようにしたのだ。

 ニンフの翼を借りている今ならエンジェロイドとまではいかなくても、並みの人間ならワンパンKOできると思う。

「相手は普通の人間ではありません。マスターも切り札を用意するべきです」

「そんなこと言われてもなぁ」

 見月のリボンにニンフの翼。

 俺にこれ以上の手札はないと思うし、過ぎた物だと思うんだけど。

「それは私が用意します。マスター、手を」

「ん? ああ」

 イカロスに言われたとおりに右手を差し出す。

 

「…ニンフの、真似事ですが」

 そう言いながらイカロスは俺の右手、ちょうど見月のリボンを巻いている所に浅く唇を重ねた。

 

「―――」

 ………いま、ちょっとくらっときた。

 いつも他人から鈍いと言われている俺だが、この気持ちがどういう事を意味をしているのかをようやく理解しつつあるんだから尚更だ。

「一発だけですが、アルテミスの矢を装填しておきました。能力強化と同時に発動できるように設定してあります」

「お、おう」

 落ち着け。心臓が破裂しそうなくらい暴れてるが落ち着け俺。

「これは身体能力が強化されていることが前提です。くれぐれもそのままで使うことがないようにお願いします」

「わ、分かった、まかせとけ」

 イカロスは涼しい顔をしてるじゃないか。なら俺も何でもない様に振舞わないと。

 ほら、今夜は命がけの決戦だろう。クールになれ俺っ!

「ち、ちなみにさ。体を強化しないで使ったらど、どうなるんだ?」

 くそ、まだどもってるじゃないか。いいから落ち着け俺の煩悩っ!

 そんな葛藤している俺を知ってか知らずか。

 

「右腕が綺麗に吹き飛ぶと思われますが、何か?」

 そんな使い方しないから問題ないよね、的な言い草で俺の頭に冷や水をかけてくれました。

 

「…イカロス君」

「なんですか?」

「こういうのは切り札じゃないっ! 爆弾っていうんだ!」

「爆弾ではありません。アルテミスの矢です」

「意味が違うっ! そもそもお前の矢って爆弾より物騒だろっ!」

 いやホント、どこまでも俺の心を弄んでくれる天使様である。

 その点だけにおいては、ほんのちょっとだけ未来の孫に同情しないでもないのであった。

 

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 日は落ち、夜の戸張が下り始めた。数時間後には闇がこの町を覆うだろう。

 そして、次に日が昇る時が最後だ。

 俺はこの世界と、

「なあ、イカロス」

「はい。なんでしょうかマスター」

 彼女と、別れる事になる。

「あー、えっとな」

 それが、辛くないハズがなかった。

 たった数日だけ一緒に過ごした女の子。それでも、その存在は何よりも大きかった。

 俺を守る為にこの世界で戦い続けてきた彼女を、どうして嫌う事ができるだろう。

「俺はさ、お前が」

 いや、そもそもあの夜。

 大桜の下で助けられたその時から、俺はこいつに見惚れていた。

 真摯な眼差しと自分の誓いを果たそうとするひた向きさに、いつの間にかどうしようもない程に惹かれてた。だけど。

「…この世界であった事を、憶えていてほしいんだ」

 この気持ちは俺が墓場まで持っていくものだ。

 これ以上は、きっと別れが耐えられなくなると思うから。

「お前のオリジナルにさ、そういう風に掛け合ってほしいんだよ。お互いに憶えてる思い出の方が嬉しいからさ」

 だから、俺にできるのはこれが精一杯だ。

 せめてこの思い出だけでも二人だけのものであってほしかった。

 そんな俺の我侭を。

 

 

「はい、お約束します。私も、この世界での事を忘れたくありません」

 彼女は、微かに笑って受け入れてくれた。

 

 

「…お前」

「…? どうされましたか、マスター」

「あ、いや。何でもないんだ。うん、それなら俺も頑張れる」

 いつも無表情の鉄面皮か、悲しみを堪えた涙しかなかった。

 そんな彼女の初めての微笑みを見て、俺はようやく心が決まった。

 きっと彼女自身は気づいてないだろうけど、それはとても大切なものだ。だから、俺はそれを守り抜きたい。

 その為にこの戦いを終わらせて、笑って彼女を見送ろう。

「そろそろ帰るか。見月もうるさいだろうしな」

「はい」

 

 

 

 こうして、彼女との別れは済んだ。

 やっぱり二人で町に出て良かった。

 例えこの先にどれほどの苦痛と悲嘆があっても。

 この約束があれば、俺はきっと最後まで彼女のマスターらしく振舞えるだろうから。

 

 

 

 

 

 To Be Continued

 

 

 

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 interlude

 

 

 思いのほか楽しめた。

 この戦いにおける彼の感想はその一言に尽きた。

 

「カオス、そろそろ時間だ。いくぞ」

「は〜い。今度こそイカロスお姉さまをやっつけるのね」

「そうだ、ついでにサクライトモゾウも殺す。できるな?」

「うんっ」

 自分のエンジェロイドを従え、バーサーカーのマスターは満足げに微笑んだ。

 この世界の創造主たる彼だが、自分の想像以上にこの戦いは興が乗った。

 何も知らないマスター達の行動ひとつとっても笑いの種になり、特にアーチャーのマスターの言動には笑いを堪えるだけでも苦労したものだ。

「まあ、少々期待が外れたところもあったが… こんなものだろう」

 彼としては桜井智蔵が怒りと嘆きに苛まれる姿も期待していたのだが、相手は思いのほか冷静に事態を受け止めていた。

「あのサクライトモキの祖先だ。ああいう反応をしても不思議ではあるまい」

 彼の最も忌避する存在。

 桜井智樹の祖父ならばああいう選択をする事も意外ではない。彼はそう結論づけた。

 

「サクライトモゾウは私が相手をする。お前はアルファーを破壊しろ」

「ええ、私も先にイカロスお姉さまとお話したかったの。うふふ、楽しみだなぁ」

 カオスの懐柔は予想以上に容易だった。

 最初こそ敵愾心をむき出しにしていたが、何度か優しい言葉をかけてやるとすぐに懐いてきたのである。

「ねえ、マスター。私のこと、愛してくれる?」

「当然だ。お前は私のエンジェロイドなのだからな」

「………えへへ」

 特に『愛』というフレーズへの反応は絶大だった。

 少々機嫌を損ねても、この単語ひとつで彼女は従順になった。

(対応を間違えていたのだろうな)

 現実世界でもこのような関係が築けていれば、桜井智樹も容易に抹殺できただろう。

 もっとも、彼としてはいつまでもカオスとこのような関係を続けるつもりはない。

 エンジェロイドは戦闘用の機械であり人形だ。それと心を通わせようとするなど、愚かの極みである。

 この戦いに必要だったからこういう関係を持ったが、彼にその持論を曲げる気がない以上、現実世界にまで持ち込む事はない。

「カオス、コンディションは万全だな?」

「もちろんよ、イカロスお姉さまにだって負けないわ」

「それでいい。私のエンジェロイドはそうでなくてはな」

 カオスの状態は心身ともに非常に安定している。

 バーサーカーという狂気を誘発するクラスも彼女には影響していない様に見える。

 いざというときはインプリンティングで強制的に従わせる事も考えていた彼としては少々拍子抜けしたものだ。

(元々の狂気が狂気に支配され裏返ったか? まあいい。どうせ次で最後だ)

 彼にカオスを真に心遣う気はない。この戦いが終わればまた捨て去るだけだ。

 いっその事、従順なうちに処分してもいい。

「残念だがなサクライトモゾウ。貴様の切り札など私はお見通しなのだよ」

 そして敵の作戦もすでに周知済みだ。

 五月田根美佐子に仕組んだセンサーで昨夜の作戦会議など筒抜けである事に、彼らは気づいてはいないだろう。

「確かにいい案ではあったがな。くく」

 イカロスの切り札を彼はすでに看破している。

 そもそもかつて自分の持ち物だったエンジェロイドの性能など把握していて当然だった。

 彼女のもう一つの切り札。

 確かにそれならばカオスに勝機を見出せる。しかしそれを許すほど彼も自惚れてはいない。

「ようやく忌々しい奴ともお別れか。まあいい、割と楽しめたからな」

 意気揚々とカオスを従え、勝利を確信するバーサーカーのマスター。

 しかし、彼は決して全能ではない。

 例えこの世界が彼の被造物であったとしても、そこには彼の知りえないものがある。

 

 

 

「ごめんねお兄ちゃん。でも私ね、マスターに愛されてるの。………でもおかしいの。マスターの愛とお兄ちゃんの愛は違うの」

「どうした、カオス?」

「…えっと、なんでもない」

「ぐずぐずするな、行くぞ」

 ぴょこぴょこと自分のマスターの後に続きながら、カオスは思案を続ける。

「イカロスお姉さまなら、この違いが分かるのかな…? お兄ちゃんは、知ってるのかな?」

 

 現に彼が完全に掌握したと思っている自分の相棒は、彼の支配などまったく受け入れておらず。

 彼女は今だに愛という言葉に縛られたままなのだから。

 

 

-7ページ-

 

 

 

「ニンフと!」

「アストレアの!」

 

 

 

  教えて! エンジェロイ道場!

 

 

 

「ニンフ先輩! ようやくここまで着ましたね!」

「そうね。少々予定と違ったけど、なんとか勝機を見出せる状況にできたわね。あとは二人次第かしら」

「ニンフ先輩の理想はどんな感じだったんですか?」

「そりゃもちろん、私とアンタがいた上でアルファーも全性能を発揮できる状態。これがベストよ」

「日和さんとオレガノは?」

「うーん。ヒヨリは元々戦闘用じゃないから危ないだろうし、ハッキングもカオスには通じないのよねぇ」

「…オレガノは?」

「戦力外。以上」

「…その戦力外にボッコボコにされてるくせに」

「なんか言った? そもそもオレガノの仕事は怪我をしたマスターの手当てよ。こっちはマスター全員生存が目的なんだから、少なくともアンタよりはちゃんと仕事してんのよ」

「うぐっ! と、ところでちょっと早いですけどこの戦いの感想とかあります?」

「そうねぇ。トモゾウには良くも悪くも驚かされたわ。あいつ、トモキ以上に無鉄砲でやんちゃなんだもの」

「ですねー。でも、イカロス先輩とはいい感じで相性よかったですね」

「あれは惚れた弱みっていうのよ。アルファーの方はいまいち理解してないけど、あの子も悪くない気分でしょうね」

「あ、ニンフ先輩ってばヤキモチですか?」

「ちっがうわよ! 私にはトモキがいるし! トモゾウなんてついでだし!」

「うーん、私はどっちも似たもの同士な気がしますよ?」

「全然違うわ! トモキはほら…!」

「ほら?」

「…エッチだし」

「智蔵さんもエッチですよ?」

「………かっこいいし」

「体、同じですけど」

「………………エッチだし」

「それさっきも言いましたよ? ニンフ先輩から見た智樹ってその二つしかないんですね」

「うるさいうるさいうるさーい! デルタのくせに生意気よ! パラダイスソングっ!」

「きゃー!? 困ったら爆発オチなんてサイテーですぅーーーー!!」

 

 

 

-8ページ-

 

 

各エンジェロイドステータス

*本編で解明されていない個所は伏せられています。

 

クラス:アーチャー

マスター:桜井智蔵

真名:イカロス

属性:秩序・善

 

筋力:B

耐久:A

敏捷:B

演算:A

幸運:C

武装:A++

 

スキル

飛翔:A

空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。

 

自己修復:A

自身の傷を修復する。

Aランクの場合は戦闘中にもダメージが回復し、戦闘不能に陥っても約半日で復帰可能。

ただし完全に破壊された場合、ダメージを継続的に受け続けた場合は発揮されない。

 

千里眼:A

遠距離のおける視力の良さ。

遠く離れた敵を視認し、射撃兵器の命中率を補正する。

 

単独行動:F

クラス別能力。マスターを失っても行動可能。

ただしイカロス自身がそれを望まない為、ランクダウンしている。

 

武装

永久追尾空対空弾「Artemis」(アルテミス):B

外敵を鋭く貫く殺傷力と、地球の裏側まで届く射程を併せ持つ主兵装。

可変ウイングから直接発射するので使い勝手が良く、出力調整可能。

 

絶対防御圏「aegis」(イージス):A

あらゆる攻撃を防ぐ全方位バリア。

非常に高い防御力を持ち、その特性を生かして周囲を巻き込まず攻撃する際にも併用される。

ただしAランク以上の攻撃は防ぎきれず、ダメージの軽減のみになる。

 

超々高熱体圧縮対艦砲「Hephaistos」(ヘパイストス):A

圧縮したエネルギー弾を撃ち出す大砲。

大気圏を越える程の指向性エネルギーを放出し、敵を蒸発させる。

起動と発射には数秒のチャージが必要となる。

 

最終兵器「APOLLON」(アポロン):A++

弓型のエネルギー兵器。

着弾地点を中心に大爆発を引き起こし、国一つでさえたちまち消し飛ばすほどの威力を持つ。

周囲への被害が大き過ぎる為使用には危険を伴うが、その破壊力は全エンジェロイド中でも最高を誇る。

 

 

 

クラス:キャスター

マスター:見月そあら

真名:ニンフ

属性:秩序・中庸

 

筋力:D

耐久:C

敏捷:C

演算:A

幸運:B

武装:C

 

スキル

ハッキング:A

生物、機械に干渉する能力。

対象の性能及び機能を強化もしくは低下させる。

高ランクになると対象の電子頭脳を破壊する事も可能(ただし相手の演算能力を上回る必要がある)

また、ハッキング中は自身のステータスが低下する。

 

飛翔:B

空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。

 

陣地作成:B

クラス別能力。自分に有利な陣地を作る。

ハッキングを主としたトラップ陣地を作成できる。ただし対象の選別は困難。

 

道具作成:D

クラス別能力。有用な道具を作成する。

大抵の事をハッキングで済ませしまうニンフはこのスキルの使い道を把握しきれていない。

 

 

武装

超々超音波振動子(パラダイス=ソング):C

口から発する超音波攻撃。

数少ないニンフの武装だが、エンジェロイドに対する攻撃力は低い。

 

素粒子ジャミングシステム「Aphrodite」(アフロディーテ);EX

第二世代エンジェロイドの電子戦機能を軽々と凌駕する強力なジャミングシステム。

智蔵のいる世界において驚異的な効果を発揮できるが、動力炉の出力不足により長時間に渡る展開は不可能。

その機能は多岐にわたり、敵の武装の使用権を強奪した上で強化し使用する事も可能。

現在は桜井智蔵に譲渡されている。

 

 

クラス:セイバー

マスター:守形英三郎

真名:アストレア

属性:中立・善

 

筋力:B

耐久:C

敏捷:A

演算:E

幸運:B

武装:A

 

スキル

飛翔:A+

空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。

事実上、空中戦でアストレアを捕えられるエンジェロイドはいない。

 

怪力:C+

一時的に筋力を増幅する。

感情の起伏による怪力を発動。つまり馬鹿力。

過去にインプリンティングの鎖を力ずくで引きちぎった事からも、その腕力は他のエンジェロイドと比べても破格。

 

騎乗:F−

クラス別能力。乗り物を乗りこなす。

家電の操作(テレビのリモコン等)が限界なアストレアにとってまったく有用性の無いスキル。

逆に操作を誤って事故を起こす可能性が上がる。

 

勇猛:D

精神干渉を無効化し、格闘ダメージを上昇させる。

アストレアの場合は勇猛というよりただの猪突猛進だが、結果は大差が無い。

Dランクは若干の補正値にとどまる。

 

武装

最強の盾「aegis=L」:A

携行型の盾からエネルギーフィールドを発生させ、Aランク以下の攻撃をシャットアウトする。

出力の高さ故に長時間の展開はできず、正面以外の範囲攻撃は防げない。

 

超振動光子剣「chrysaor」(クリュサオル):A+

携行型の長剣で、アストレアの主兵装。

最大出力では長大なエネルギーブレードを発生させ、イカロスのイージスをも軽々と切り裂く。

A+は最大出力時のものであり、通常はAランク相当の威力となる。

 

 

 

クラス:ライダー

マスター:鳳凰院=キング=頼朝

真名:風音日和

属性:中立・中庸

 

筋力:D

耐久:D

敏捷:C

演算:A

幸運:C

武装:C

 

スキル

ハッキング:A

生物、機械に干渉する能力。

対象の性能及び機能を強化もしくは低下させる。

高ランクになると対象の電子頭脳を破壊する事も可能(ただし相手の演算能力を上回る必要がある)

また、ハッキング中は自身のステータスが低下する。

 

騎乗:C

クラス別能力。乗り物を乗りこなす。

日和の場合 農耕機の運転経験が数えるほどあったのみなので低い。

 

飛翔:C

空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。

人間としての生活が長かった日和は飛行を苦手とする。

 

気象観測:A

農業経験による気象変化への対応知識。

気象兵器「Demeter」(デメテル)による影響を自分とマスターが受けない様にし、気象効果を上昇させる。

 

武装

気象兵器「Demeter」(デメテル):C

周囲の気象を操作する事ができる。主に気圧を操作し暴風、豪雨、落雷などを広範囲に発生させる。

応用すると人体の鼓膜などに深刻なダメージを与えることも可能。

ただしエンジェロイドへの直接的ダメージは小さい。

 

 

 

クラス:メディック

マスター:五月田根美佐子

真名:オレガノ

属性:秩序・中庸

 

筋力:D

耐久:D

敏捷:C

演算:C

幸運:A

武装:D

 

スキル

医療技術:A

シナプスで従事していた医療知識。Aランクは適切な医療器具さえあれば瀕死の重傷さえも治療可能。

ただしシナプスの器具が地上に無い為、普段は腕のいい外科医程度の能力(Bランク相当)にとどまる。

シナプス製の医療器具は彼女が保有する物のみであり有限。それを消費した時に限り本来のランクへ上昇する。

 

火器管制:C

銃火器を扱う技能。

五月田根美香子が直伝した為、拳銃から機関銃、戦車に手榴弾と豊富な技術を持つ。

ただし扱えるのは地上の火器に限り、シナプス製の兵器は扱えない。

 

飛翔:C

空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。

医療用として活動してきたオレガノは戦闘用の飛行を苦手とする。

 

単独行動:C

シナプスでは医療用としてマスターから離れて行動していた為、ある程度離れても活動に支障が出ない。

ただし現界の為にマスターの存在そのものは必要不可欠である。

 

武装

なし

 

 

 

クラス:バーサーカー

マスター:シナプスマスター

真名:カオス

属性:混沌・中庸

 

筋力:B(A)

耐久:A(A+)

敏捷:B(A)

演算:A(A+)

幸運:D

武装:A

*()内は狂化による補正値

 

スキル

飛翔:A

空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。

 

戦闘続行:B

大きな傷を負っても戦闘が可能。

精神的な高揚により痛覚が麻痺し、痛みを感じずに全力を発揮できる。

ただし自身の保身がおろそかになる為、回避にマイナス補正がつく。

 

自己進化プログラム「Pandora」(パンドラ):A++

エンジェロイドの自己進化プログラム。他の生物やエンジェロイドを取りこむ事で最適な機能を獲得する。

カオスはこのシステムに一切の制限がなく、常に最適な機能を模索する事が出来る。

これによりカオスは戦闘中1ターンごとに相手より1ランク上回る性能を獲得する。

 

狂化:B

クラス別能力。全ステータスをランクアップさせる。

元々情緒不安定な面のあるカオスだが、狂化によってさらに不安定になっている。

マスター以外の存在は敵という認識しかなく、イカロス達の事を知識で理解してもそれ以上の思考がされない。

ただし智樹とそれによく似た智蔵は例外。彼らを認識すると著しい精神的負荷が起こる。

 

武装

対認識装置「Medusa」(メデューサ):A

敵エンジェロイドの電子制御機能に介入し、幻惑する。相手の攻撃や回避にマイナス補正を与える。

油断するとニンフですら幻惑されるほどの性能があり、抵抗にはAランク以上の演算能力が必須。

 

硬質翼:A

自身の翼を変幻自在に操る。

筋力ステータスに依存した威力を発揮する。

 

炎弾:B

遠距離戦闘用の射撃兵装。

複数の弾頭を連続発射する事が可能。また、チャージする事で威力がランクアップする。

 

超高熱体圧縮発射砲「Prometheus」(プロメテウス):A

アサシンを取り込んで獲得した武装。カオスの能力に追随してランクアップしている。

Aランク以下の防御及び耐久を貫通し、同ランクの攻撃を相殺する。

 

 

クラス:アサシン

マスター:シナプスマスター

真名:ハーピー

属性:秩序・悪

 

筋力:C

耐久:C

敏捷:C

演算:B

幸運:C

武装:B

 

スキル

飛翔:B

空を自在に飛行する。ランクが高いほど空中戦で有利になる。

 

二身同一:B

二人で一つの役割を負う為の機能。

離れていても互いの意思疎通を可能にする。

 

気配遮断:C

クラス別能力。隠密行動の適正を上げる。

ただし直接攻撃をする際には大きくランクが低下する。

 

武装

超高熱体圧縮発射砲「Prometheus」(プロメテウス):B

摂氏3000度の気化物体を秒速4kmで射出する。

Bランク以下の防御及び耐久を貫通し、同ランクの攻撃を相殺する。

説明
『そらのおとしもの』の二次創作になります。
 やっと最終回までの準備が整いました。
 ぶっちゃけラストバトルとラストシーンを書きたいが為に始めたこのシリーズも、次回で終わります。

 このシリーズの目標:バトルものシリアス、および中編への挑戦。
           完全オリジナルが困難なため、某作品をオマージュ(パ○リ)して練習する。
           ただし練習といっても基本全力で。自分がどこまでシリアスに迫れるかを探究する。

*某作品を思わせる設定やストーリーがありますが、クロスオーバーではありません。
 つまり某騎士王さんとか赤い悪魔さん達は出てきません。

 これまでのあらすじ
 ある夜、桜井智蔵という少年は背中に羽を持つ少女、イカロスに命を救われる。
 かつての幼馴染であったライダーのエンジェロイドに苦戦しつつも撃退した智蔵とイカロス。
 しかし五月田根美佐子を人質にとったバーサーカーのマスターにより、智蔵とイカロスは守形達と戦う事を余儀なくされる。
 からくも勝利した智蔵達であったが、彼の体には明らかな異変が起こっていた。
  
 主な登場人物
 桜井智蔵:いわずもがな智樹の祖父。基本的に智樹と同じくお馬鹿でスケベ。契約者はイカロス。
 見月そあら:見月そはらの祖母で智蔵のクラスメイト。外来の転校生マスター。
 守形英三郎:守形英四郎の祖父で智蔵の先輩。
 五月田根美佐子:五月田根美香子の祖母で智蔵の先輩。
 イカロス:アーチャーのクラスを担うエンジェロイド。

 第一章:http://www.tinami.com/view/363398
 第二章:http://www.tinami.com/view/370300
 第三章:http://www.tinami.com/view/388794
 第四章:http://www.tinami.com/view/413461
 第五章:http://www.tinami.com/view/429352
 第六章:http://www.tinami.com/view/464974
 第七章:http://www.tinami.com/view/479416
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コメント
まあ、誤字と言うのはどれだけ見直しても出てくるときは出てくるものですよ。俺だって、あれだけ投稿してるのに誤字してますから。けど、最初のころは割と色んな人に指摘もらったのに今じゃ、自分で見返して直す状態に・・・。(BLACK)
指摘の箇所、修正させていただきました。誤字ってどうしても無くならないですね。確かに過去でも未来でもないという点では召還システムに似ています。(tk)
「一瞬の記憶操作」これは「一種」のですね。この世界はある意味サーヴァントの召喚システム自体に似てますね。それとザバーニーヤですかな。予想はできませんでしたな。(BLACK)
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そらのおとしもの fate の皮をかぶったなにか エンジェロイド イカロス カオス 

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