ある転生目録 |
「次の人どうぞ」
前に進み出た男の魂魄から情報を読み取る。
「HENO-000006番……あなたはハルケギニアに転生ですね。
転生される世界については前の者が説明したとおりです。
あなたはある程度能力を選択することが可能です。希望する能力はありますか?」
俺は転生先の決まった魂に能力を付与する役目をしている。
「選択できるのか?それでは、ズバ抜けた身体能力をくれ。
それから精霊魔法というものは使ってみたいな。
それとは別に目からは任意で光線が出せるようにもしてくれ。
前は女性と縁がなかったので魅惑的な外見も欲しいな。
後はスクウェアクラスの裕福な大貴族 ― 」
ああ、またしょうもない願いの羅列、仕事じゃなければ相手をしてられん。
早く終わらせて、妻子とゆっくり過ごしたいわ。
「 ― 大貴族の『使い魔の猫』にしてほしい」
「何ですと?」
思わず聞き返す。
「ぬこだよぬこ。ぬこは((正義 | Justiz))なんだ」
「本当に猫でいいのですか?」
再度確認する私に男は滔滔と述べる。
「生前、私の目はぬこの姿を愛でる為だけに存在し、
私の耳はぬこの鳴き声に聞惚れる為だけに存在し、
私の鼻はぬこをクンカクンカする為だけに存在し、
私の口はぬこを舌を鳴らして呼ぶ為だけに存在し、
私の手はぬこをモフモフと撫でる為だけに存在し、
私の足はぬこを膝の上に座らせる為だけに存在し、
私の体はぬこを肩に攀じ登らせる為だけに存在したのだ」
「あなたはどこの枢機卿ですか」
こいつどうするよオイ。
「転生の機会を得た今、ぬこぼでーを望むが、無理か?」
いや権限の範囲内ではあるが……。
人外なら竜とか吸血鬼を望んだ奴はいたけどなぁ。
「いえ、可能です。それでは、まあ、良い転生を」
前世を見るに軍人になっての栄達に興味があると思ったんだがな。
それとも、もう懲りたのか。
まあいい、次だ次。
「次の人どうぞ」
次の男は2回目の転生で今度は次元世界の地球、海鳴市か。
そして能力の希望のやり取りのあと男に尋ねる。
「どうしてあなたの求める転生特典は、すべて猫に関連しているのですか?」
「猫ポと、猫語と、膝猫キープと、猫登攀身体と、カリカリ限定複製程度ですよ?」
私の質問に意外そうに答える男。
「猫以外にはないのですか?」
「勿論ありません。あとサイヤ人の素質を下さい」
言い切ると新たな能力を告げてくる。
「やっと猫から離れましたか」
「ラディッツ程度の能力があれば、巨大仔ネコにじゃれ付かれても大丈夫。
((月村家 | 猫専門畜生道))攻略に充分ですし、後々に猫科の魔法生物にも対応できるでしょう」
離れてなかったか。
「本当に魔法能力はいらないのですか?」
「はい。私の攻略を待つ猫は他にもいますから。人間ばかりに構っていられません。
でもそうですね、猫を使い魔にしたいので、一応、魔導士の素質も下さい。 Dランクでいいです」
「Dランクだと使い魔は人化できませんよ?」
「何か問題が?」
また不思議そうに尋ねてくる。
俺が間違っているのだろうか。
「猫の何があなたをその行動に駆り立てるのか」
「生前、私の目はぬこの姿を愛でる為だけに存在し、
私の耳はぬこの鳴き声に聞惚れる為 − 」
「わかりました、前の人の同類ですか」
男の言葉を遮る。
「おお、閣下も転生されたのですか」
「ハルケギニアだから会えませんよ」
「結構。 道は違えど志は同じ。 それが分かれば十分です」
「以上ですね。さっさと行って下さい」
彼は月村すずか と強い縁があるんだが、猫ばかりに構う幼馴染をどの様に扱うのやら。
まあ、俺の知るところではない。
本日の転生業務は猫の記録が多いようだった。
.. _, ._ ∧ _ ∧ ∧ _ ∧
(;゚ Д゚)cat log? ( ´∀`) (´曲` )
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春に猫の発情する声を聞いて書いたもの2つをまとめました。 | ||
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