超次元ゲイム ネプテューヌXWorld -episode27- 【魔剣の闇】
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――side フウ――

 

 

 

「…………」

 

夢を、見ていた。

わたしがまだ【フウ・スティル】という名ではなく、レーレと言う名で、守護女神だった頃の、過去の記憶。

目の前の私は、楽しそうに談笑する自分の妹やシュヴァルツハート、シスター達から少し離れた場所で一人立ち尽くしていた。

 

別に、彼女達と不仲、と言う訳では無い。

ただ単に、他者とどう接して良いのかが分からなかったのだ。

 

過去の私は、姉を亡くしてから人が変わったようだ、と言われていた。

事実、姉が亡くなってから私は国の為にすべき事、女神について、女神の担う仕事についてを独りで必死に学び、覚えていった。

同時に、今まで仲の良かった他国の同期の候補生との交流も少なくなり、私は友人との交流よりも仕事を優先するようになっていった。

自分の国に仇名す者には情など一切かけず、ただひたすらに、国の為にと頑張り続けた。

その結果、気付いた時には私は、孤独になっていった。

 

今ではロム、ラム、アリス、フウカなどの沢山の人に囲まれている私だが、たまに一人きりになったりこういった夢を見るたびに過去の事を思い出し、考える事がある。

 

「どうして私は生きているんだろう」

 

と。

本来なら私はあの時に死んでいたはず、それなのにこうやってのうのうと生き延びている。

 

…どうして、わたしは…

…死ねなかったんだろう…

 

 

 

「…………」

 

と、なんの前触れもなく目を覚ます。

目の前には未来から来たという女神が眠っている。

あれからアリスが追跡者であるユニちゃんを"穏便"に撃退してから、わたし達はフウカさんが住んでいたマンション(とはいえこの世界では空き部屋だったけど)を一室に身を隠し、アリスとフウカさんは情報収集、わたしはネロさんの様子を見る役としてここに残っていた。

……前々から思っていた事だけど、ネロさんを見ているとやっぱり、どうしても彼女の事を思い出してしまう。

――他国の女神なのにわたしと仲良くしてくれて、マジェコンヌとの戦いの時も自分を犠牲にしてまでわたしを逃がしてくれた女神、シュヴァルツハート。

性格は……そこまで似てるという訳じゃないけど…でも、思い出す。

 

「…………」

 

 

なんて思っていると、目を覚ましたのかネロさんが瞳をゆっくり開いた。

 

「あ、起きた。大丈夫?」

 

そんな彼女の顔を覗き込むようにしながら声をかける。

しばらくこうなった過程を思い出していたのか、ネロさんはぼーっとした後突然目を見開き、

 

「ユニねーさんは!?」

 

と叫ぶ。

……シュヴァルツシスター、つまり未来のラステイションの女神だ、姉を心配するのは普通の事だろう。

 

「あー…うん。アリスが穏便に追い返したよ」

 

言葉選びの為に少しどもってしまったが、まぁこれで間違ってはいないだろう。

結果的に傷は負わせていないし。

 

「そうか……」

 

それを聞いて安堵のため息をもらすネロさん。

かと思うと、今度は表情を曇らせる。

…………

 

「…ネロさん。…ネロさーん?」

「!? ……何だ?」

 

普通に呼んだだけなのに少し驚いたような反応。

何を考えてたのかな。

 

「えーっと……ネロさん、未来の女神候補生って言ってたよね」

「ああ。この時代からどれぐらい未来かはわからんがな。少なくともユニねーさんとノワねーさんはわたしは知っている」

 

そうか、まぁそうだろう。

だとしたら今の沈黙は、姉に向けられた殺意についてなにか思っていたのか。

……わたしの所為、だよね。

 

「うーん、何か悪いことしちゃったかも…。ユニちゃんとこんなことになっちゃったのわたしの所為っぽいし……」

 

わたしが、わたしがあそこであんな行動にでなければ……

そう考えるだけで気分が沈んでくる。

 

「気にするな。結局はあのがすとっつう奴の陰謀だろう。わたしらは女神だ、誤解もすぐに解けるだろ」

「だといいけどなぁ…」

 

ユニちゃんはともかく、ケイさんがなぁ…正直言って面倒な事この上ない。

はぁ…どうしてこんな目に遭わなきゃいけないんだか…

 

「何にせよ行動は必要だろう」

 

そう言って立ち上がるネロさん。

……その時、微かに嫌な気配を感じた、気がした。

 

「……フウ、今、何か言ったか?」

 

突然ネロさんがそんな事を聞いてくる。

 

「んー?何もー?」

 

勿論、わたしは何も言ってないのでそう答えるしかない。

一体どうしたというんだろう。

 

「…少し、外で涼んでくる」

 

それからもどうも調子が優れない様子で、ネロさんはわたしにそれだけ言って扉の方に歩いていく。

 

「はーい。あんまり遠出しちゃだめだよー。今アリスとフウカさんが情報収集に行ってくれてるからー」

 

流石に一人でどこかに行ったりはしないだろうと思いつつ、一応それだけ言っておく。

それにしても、なんだろう。さっきから感じるこの、嫌な感じ…

…ううん、本当の事を言うとそんなに嫌だとは思わない。むしろ…少し心地良いような…。

……知っている、この感じ…これは…

 

「………?」

 

ふと、ネロさんの気配が物凄く薄れていっている事に気が付く。

もしかして、一人でどこかに行った…?

いや、それは無い。事前に注意しておいた事を無視するような人には見えなかった。

だとしたら…?

 

「…ネロさん?」

 

ネロさんの出て行った扉に呼びかけてみる。

が、反応は無い。

 

「…あれ? ネロさーん?」

 

不審に思い、扉を開けながら呼んでみる。

だが、そこにいないどころか辺りを見回してもネロさんらしき人の気配は全く感じられなかった。

代わりに……

 

「……この感じ……これは…」

 

さっきよりも強く感じるようになった感覚。

絶望、憎しみなどからなるエネルギー――負の力。

しかも、ここに残留してるものだけでも相当な量だ。

ネロさん…なわけ無いし、だとしたら…何者…?

 

『あら…くすくす……貴女も面白い力を持っているんですね』

「っ!?」

 

突然、頭に直接語りかけるような声が聞こえてくる。

咄嗟に杖を取り出し辺りを見回すが、近くに誰かがいる気配はない。

 

「…誰? ネロさんをどこかにやったのはあなたなの?」

『ふふ…彼女はわたしに力を貸して貰うためにわたしが預かりました』

「力を貸す…? 何を言ってるの!?」

 

虚空に向かってそう叫ぶ。

傍から見たら危ない人に思われる行為だけど、元々この世界事態が狂ってるから特に問題はないだろう。

 

『その言葉の通りですよ。…貴女も面白い力を持っているようですけど』

「力…? 何を……ッ!?」

 

何者かがそう言ったかと思うと、急に自分の身体からドス黒い何かが溢れ出てくるような感覚に襲われた。

 

『わたしにはわかっているんですよ…。貴女がその小さな身体に秘める、絶望、憎しみを糧とした負の力……闇の力を持っている事を』

「う…ぐ……あぁ…っ…!」

 

頭に声が響く、が、それどころではなかった。

わたしの内から真っ黒な"ナニカ"が、わたしを蝕むように広がっていく感覚。

その感覚はとてつもなく嫌なもので、そして……とてつもなく、怖いもの。

一瞬でも気を抜いたらその"ナニカ"に飲まれてしまいそうで、どうしようもない恐怖がわたしを襲っていた。

 

――イヤだ、コワい、タスけて――

 

 

「あ…ぐ、ぅ……」

 

身体中を駆け巡る嫌な感覚のせいで、全身から力が抜け落ちるような感覚に陥り、わたしはその場に膝を付いてしまう。

 

『くすくすくす……これは…予想以上ですね。まさか短期間で二つも面白いものをみつけられるなんて…』

 

なにか言っている…。

わからない、きこえない。

 

『…丁度、良い所に彼も来てますし…ふふ…では少し拝見させてもらいましょうか…』

 

そんな言葉が聞こえてきたかと思うと、わたしの意識は――闇に堕ちた。

 

 

 

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――side 三人称――

 

 

 

「…見つけやした」

 

一人の男――エスターが上空から一人の少女の姿を捉えながら小さくそう呟くと、懐から小銃を取り出し不気味な色の空に向かって緑色の信号弾を放つ。

それと同時に目にも止まらぬ程の速さで少女の背後に回り込み、少女――フウの首筋に鎌を突きつける。

 

「動くな。動けば胴体と頭がさよならでさァ」

 

そしてフウを脅すように低い声で言い放つ。

 

「…………」

 

彼からしたらここでフウが泣きそうになって怯えるのを期待していたのであろうが、少女は彼の期待を裏切るが如く顔色一つ変える様子もなくただ立ち続けているだけだった。

 

「…チッ…つまんねぇでさァ。…おい((小娘|ガキ))、死にたくなけりゃテメェの知ってる情報を言え」

 

何の反応も示さないフウに興味が失せたのか、殺気を込めながらフウに言う。

が、なおもフウは黙ったまま。

エスターもそんな反応のフウに、徐々に苛立ちを見せ始める。

 

「……おい、ガキ。聞いてんの「……さい……」…あぁ…? …ッ!!」

 

と、ようやくフウが何かを小さく呟く。

何と言ったのか、と不審に思うエスターだったが、突然彼女から異常な気配を感じとり咄嗟にフウから距離を取る。

それとほぼ同時に、フウの身体に禍々しい紫色の光が集まりはじめる。

そしてフウは、その光の無い虚ろな瞳でエスターを見据え、

 

「……うるさい…消えて…!」

 

小さくそう言いながらエスターに向けて黒いカマイタチを放つ。

 

「はっ、やろうってんですかィ? 上等でさァ!! 」

 

それを見たエスターはニヤリと笑みを浮かべると、鎌を持ち直しカマイタチを躱しながらフウに肉薄する。

その勢いを殺さないまま鎌を振り上げ、

 

「おらぁッ!」

 

フウ目がけて振り下ろす。

…が、その刃はフウに届く事は無かった。

 

「…っ! なんでィ…?」

 

エスターは、確かにフウ目がけて、少しの狂いも無く鎌を振り下ろした。

ならどうして攻撃が届かなかったのか。それはその一撃がフウの周りにある不気味なオーラに弾かれたからだ。

 

「…厄介な障壁でさァ」

「…………」

 

めんどくさそうな顔をするエスターなど気にする様子も無く、今度はフウからエスターに攻撃をしかける。

エスターに向けて突撃しながらフウは右手に紫の光を集め、光を一振りの剣の形に形成し斬りかかる。

 

「ヘッ、そんなトロい攻撃当たる訳が…」

 

挑発するようにそう言いかけたエスターだったが、フウの持つ剣を見て真剣な顔つきになる。

 

(あれは…確か……しかし、なぜこんなガキがこれを…)

 

フウの攻撃を避けながら彼は思考するが、それもすぐにやめ現状の事に集中することにした。

 

「ほらほら、そんなちんたらした攻撃じゃ、いつまで経っても当たりっこねぇですぜッ!」

 

攻撃を避けながら負けじと鎌で攻撃しようとするエスターだが、すべてが黒い障壁により弾かれてしまう。

そんな状況も、挑発に乗ったのかもわからないフウによって崩されることになる。

 

「…! 消え…ガッ!?」

 

突然、フウの姿が消えたかと思うと、次の瞬間にエスターの身体が背後からの衝撃により吹き飛ばされる。

吹き飛ばしたのはいつの間にかそこにいた、フウ。

見ているだけで虚無を思わせるような瞳で、彼女はエスターを静かに見つめている。

 

(ッ…今のはなんだ? 高速移動か瞬間移動か…?)

 

受け身をとりながら何が起きたのかを考えるエスター。

彼もその素早さを生かして戦うタイプで、並大抵の速さでないと彼を出し抜くのは難しい。

だが、相手は彼も姿を見失う程……とはいえ、彼の苦手な昼間というのと明らかに異常なあの黒い力で差ができてしまっただけであろうが。

 

「…気に食わねぇ…」

 

不機嫌そうに顔を歪ませるのエスターだが、その間にも彼女の攻撃が止む気配は無い。

流石の彼もそろそろヤバいかと思い、一旦退こうかと考えたときだった。

 

「………!」

 

突然、フウの足元の影が彼女の足を掴むように形を変えたかと思うと、一瞬の間に彼女を影の中へと引きずり込んでいってしまった。

 

「…チッ…逃げらやしたか…」

 

一瞬の出来事だったがためにエスターも何をする間もなく取り残され、仕方無く何処かへと飛び去っていった。

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――side アリス――

 

 

 

「さて、流石にこんな所に情報なんてなさそうですが…」

 

と、言う事で、現在私は都市から少しだけ離れた森へとやってきています。

気絶してしまったネロさんはフウちゃんと一緒に隠れ家――と言っても私達の世界でのフウカさんの家だった空き部屋ですが――に待機させています。

女神であるお二人を置いていく、というと何を考えているのかと言われそうですが、その辺はしっかりと私の分身に見張らせているので異常があれば何かしら連絡が来るでしょう。

まったく、この異質な世界に来てから働きっぱなしですよ……現状で1,2…5人くらい分身出して活動してますね。大変です。

 

「…ったく、鬱陶しいですねぇ…こちとらアンタ等に構ってるほど暇じゃないんですよ」

 

背後から飛びかかってくるモンスターには見向きせずに影を操り、モンスターを串刺しにする。

流石に今回は遊んでられるほど余裕も無いですし。

 

「……おや、こんな所に家…ですか」

 

暫く森を進んでいると、一軒の家が見えてきました。

こんなモンスターのいる森に家、ねぇ…

それと先程から思っていたのですが、この周辺でエンカウントしたモンスターもなんとなくですが、この地域に元々住んでいた感じがしませんでしたし、この森は色々とおかしな場所のようです。

 

「中に人がいるとは思えませんが…一応、調べていきますか」

 

そう思い、手に影で拳銃を生成し、ゆっくりとその家の扉を開け、中に侵入する。

影に溶けて浸入すればいいだろうと思われるでしょうけど、まぁ、気分ですよ気分。

さっきはああ言いましたけど、やはり自分が楽しめるような状況でも作らにゃやってられませんからね。

っていうか思ったんですが、この家鍵掛かってませんでしたね、不用心な。

いやまぁそれ以前に人の気配がしないんですけどもね。

 

「で、明らかにヤバ気な扉発見です」

 

室内を奥へ進むと、自分で言った通りヤバいオーラを放つ扉を発見。

所々赤いのは……これは…血、ですかね。

 

「ま、いいです。折角ですので私はこの赤い扉を選ぶぜ!」

 

そんな冗談を言いながら扉を思いっきり蹴り開けました。

中にあったのはこの家の住人だったモノか、真実は知る由もありませんがとにかく人だったモノ――死体が横たわっていました。

正直な話口も利けない死人に興味などありませんし、何より目の前の惨状の方が気になりますし。

 

「なんでこの部屋、半分近くが消し飛んでるんでしょうか」

 

そう、部屋の大半が何があったのか消し飛ばされていて、森の向こう側が見えるような状態だったのです。

それ以上に何か爆発でもあったのか、と思われるような状態ですし。よくこの家崩れませんでしたね。

 

「……ん…?」

 

と、その惨状をよく観察してみると、その中心辺りに誰かが倒れているのを発見。

生命反応は感じないのですが…なんでしょう、この違和感は…

なんとなく気になったので、手に持った拳銃を投げ捨てて倒れている男性へと近寄る。

 

「……やはり、死んでます、よね…。…だとしたらこの違和感の正体は一体…」

 

なんて、違和感について一人で考え込んでいると、不意にその倒れている男性が目を開きました。

 

「…!?」

「ッ…はぁ…よく寝た…」

 

そして何事も無かったかのように起き上がる男性。

……化け物の類何でしょうか? あ、私が言えた事でもないですか。

 

「……ん? 君は…?」

「あ、と…失礼しました。こんな森の中に家があったので少し気になって見に来てみたら貴方が倒れていたもので…」

 

とりあえず、警戒しつつここへ来た理由みたいなものを言ってみる。

…街外れの時点で苦しいですかね。

 

「そうなのか…」

「…ここで会ったのも何かの縁ですし…私はアリス・シャッテルハイトと申します、どうぞお見知りおきを」

 

こんな状況ですし、できるだけ味方となりうる存在は多い方が良いですしね。

 

「えっと、ご丁寧にどうも…? 俺の名はゼロだ」

「ゼロさん、ですね」

 

ふむ、ゼロさん、ですか…

…なんでしょう、この人には親近感みたいな物を感じます。主に白とか光的なのに追われる立場的な意味で。

 

「えぇと、それで、ゼロさんはこんな所で一体何を?」

「え? えっと…それは、だな…」

 

? なんでしょう、言いにくい事でもしてたのでしょうか。

ゼロさんの反応に少し不信感を抱いていると、突然頭の中に声が響いてきました。

 

『アリス、聞こえるかしら』

「わっ! な、なんですか突然!?」

「な、なんだなんだ?」

 

って、ゼロさん思いっきり驚いてますね。

そりゃ、目の前にいる方が突然大きな声を上げたら驚きますか。

 

「と、ちょっと失礼しますね」

「あ、ああ…」

 

ゼロさんに断りを入れ、少し離れた場所で影で携帯を生成(見た目だけ)し、電話をしているような恰好をしつつ聞こえてきた声……フウカさんに返事をする。

 

「唐突過ぎてびっくりしてしまいましたよ…!」

『知らないわよ、何かあったら連絡しろって言ったのは貴女でしょう?』

『あー、フウカちゃんっ、早く要件伝えちゃお?』

『ん、そうね』

 

そこでもう一人、違う声が聞こえてきます。

多分私の分身体でしょうけどね、何故か自我を持った。

名前は…ジャバウォックでしたっけ? 私って不思議の国、好きなんでしょうか。自我持った分身体までそんな名前名乗るなんて…

 

『ちょっとアリス、聞いてるの?』

「あ、失礼しました。それで、何かあったので?」

『全く…。…ラステイションの街を歩いていたら、アイツ等を見つけたのよ』

「アイツ等…と、言いますと……彼女達ですか」

 

恐らくフウカさんの言う"アイツ等"と言うのは、我々がこの街に来た際やフウカさんが武器屋に言った時、教会で面倒な状況に陥れてくれちゃった(あれはフウちゃんがちょっと喧嘩早かったのも原因でしょうけど…)あの二人組…の事でしょうね。

 

『えぇ。しかもその二人、誰かを捕まえてるようなのよね』

「捕まえている…?」

 

なんでしょう、別のイレギュラーでも発見したのでしょうか。

 

『えっとね、捕まってる…というよりホールドアップされてるって言う方が正しいんだけどね』

「細かい所はこの際良いですから、その捕まっている方の外見詳細を」

『了解ー。…えっと、特徴的なのは薄紫で長い髪、白いコートを来た女の子…かな』

「薄紫髪の長髪、白コートの少女…ですか」

「……なんだって?」

 

と、フウカさんとジャバの二人と話していると不意に背後からそんな言葉が。

 

「わああああっ!! ちょ、ゼロさん!? 盗み聞きは良くありませんよ!?」

「い、いや、ごめん。…じゃなくて、それよりも今なんて言った…?」

 

本来ならここで小一時間程説教と言いたいところでしたが、そう言うゼロさんの目は本気の物で、その少女についての話が気になっている様子。

 

『ちょっと、どうしたのよ突然大きな声を出して』

「…いえ、なんでもありません。その三人がいる場所、教えて貰えます?」

 

ゼロさんに「声を出さないで」というジェスチャーをしながら、フウカさん達にその三人のいる場所について聞いてみる。

 

『どうしたのよ突然…いえ、また何か企んでいるのでしょ? 詳しくは聞かないでおくわ』

「そうしてもらえると助かります」

『じゃー、ここに影を落としとくね』

『私達はまた情報収集を再開するわ。それに気付かれて面倒な事になるのも嫌だからね』

「ありがとうございます。それではそちらはお任せします」

 

そう言って通信を切り、ゼロさんに向き直る。

 

「…今言った、薄紫の長髪に白いコートの少女について、教えてくれるか?」

「……少し前に私達を面倒な目に遭わせてきた連中が、その少女を拘束しているようです。何をしているかは不明ですが…」

 

面倒事ばかり引き起こすからそういうイメージを持ちやすい彼女達ですけど…はぁ、何をしているのかまで分かれば上出来だったんですがね…

 

「…! すまないが、その連中のいる場所まで連れて行ってくれると助かるんだが」

「やっぱり、そういう展開ですか。先に言っておきますけど、道案内だけで構いませんか? 私としてはあまり彼女達に関わりたくないので…」

「それで構わない」

「そうですか、分かりました。ではしっかり付いてきてくださいよ?」

 

ゼロさんにそう言て、ラステイションに向けて走り出す。

…正直な話、彼女達を仲間にしよう、と言う気はさらさらないんですが…こんな状況ですし、できる事なら協力はしたいんですがねぇ…

今そんな事を考えても仕方のない事ですね。とりあえず目的の場所に急ぎましょう…

 

『ま、マスター! 報告です』

「ああもう! 今度はなんですか!」

 

走ってる最中にまた別の分身体から連絡。これはフウちゃんとネロさんを見張っていた個体ですか。

これ以上の厄介ごとは勘弁してくださいよ、ホントに…

 

『は、はい…、見張るように言われていたお二人なんですが…ネロ様は姿を消し、フウ様は何があったのか魔剣の力に飲まれ暴走状態に…』

「はぁ!? …アンタは何をしていたんですか!!」

『も、申し訳ありません…素早く確保に入ろうとはしたのですが、正体不明の力に阻まれて少し手間取ってしまって…』

 

チッ…次から次へと…!

 

「…それからフウちゃんはどうしたんですか」

『途中で何とか回収し、今は眠っておられます…。ただ…』

「ただ…? なんです?」

『…回収する際、何者かと戦闘していたようなのです…』

 

戦闘…? まだ他に面倒なヤツがいるってんですか…ホントに、もう…

 

「…今は少し手が離せないので、しばらくフウちゃんを頼みます。こっちの用事が終わったら戻りますので」

『了解です!』

 

はぁ…これはSPチャージが必須になりそうですね…

 

「…どうかしたのか?」

「いえ、なんでもないです。さぁ、急ぎますよ」

 

そう言ってまた少し走る速度を上げる。

…一体何があったんですか、フウちゃん…

説明
書いてて思った事。このストーリーのアリス、やけに万能な気がする。
そんな事は置いといて、フウが面倒な子になって来てます。ごめんなさい。

後クロ様、クリケット様。ゼロ君やエスターのキャラ違ったらごめんなさい。
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コメント
リアおぜ様>アリス「ですのでゼロさんにどんな目に遭わされようと自業自得という事で。私はただ道案内しただけに過ぎませんから」 フウカ「貴女はまずあの子をどうにかしないといけないものね」 アリス「そうですねぇ…」(風音ツバキ)
フロム「私ら嫌われるようなことしたか?」がすと「寧ろそれしかしてない自覚があるですの。」フロム「だよなー」ネロ(こいつら、次死にそうなのに気楽だな・・・・・・)(リアルではおぜうタイプ@復帰)
クロ様>アリス「はい、私と合流ですよー」 フウカ「でも白ニーヴァの所についても手助けはしないのでしょう?」 アリス「えぇ、案内したらフウちゃんの所に戻らないとですし」 フウカ「そういえばそうね」(風音ツバキ)
燐様>黒フウ「…その気になれば複数本生成できなくもない。…でも個人的に鎌の形状にするのが良い」 アリス「刀身が紫の鎌ですね分かります」 フウカ「空って人、ああ言ってるけど…」 アリス「えぇ、お前が言うな。ですね」(風音ツバキ)
ME-GA様>アリス「ウチじゃ鬱ルート回避(予定)した結果がこれ(フウによる魔剣管理)です」 フウカ「そんなもの持ってるのに心の闇とか煽られたらおしまいよ」 アリス「その結果がこれですからねぇ。もう黒フウとでも呼べば良いんじゃないですかこれ」(風音ツバキ)
ゼロ「やっと他の作者さんのキャラクターに会えたよ」おめでとう。やったなb ゼロ「しかし・・・お前早く下書き開始しろよ?」ん〜、今は書きたくない ゼロ「いや・・・見とれずに早く書けよ!」うるさい!俺はしばらくこの小説見続けるからな!! ゼロ「俺以上に感動してるやつがいた」(クロ)
空「………(空亡にボコボコされた記憶を思い出して顔面蒼白)」レイス「あの時は魔剣のオンパレードだったからな」紅夜「その上、自分の手を全て真正面から破壊される落ち」空「チートだよ……卑怯だよ」レイス&紅夜「(お前が言うなよ…)」(燐)
おお!アリスサンとゼロクンが合流ッスか! テラ「なるほど、こんな合流方法が…つーか、魔剣て」 あれだよね、トラウマ テラ「あのルートは鬱だったな…」 もう俺その一日やる気が出なかったよ… テラ「…そうだな」(ME-GA)
藾弑様>フウ「……わたしはいつも通り、変わってない。…犠牲になんかなってないよ…?」 アリス「オリ女神達は大変です」 フウカ「貴女も今まで以上に働いてるけどね」 アリス「暫くはSPチャージのお世話になりそうですねぇ…」(風音ツバキ)
クァム「ふ、フウちゃんまで犠牲になった…」助けりゃいいのだよ クァム「簡単に言うなよ」スマソ クァム「まあこれからの展開が楽しみだな」だね。(駆蘭)
クリケット様>フウ「……こっちの台詞。…次は仕留める」 フウカ「ふざけたいのに苦労人よね、貴女」 アリス「全くですよ…なんで白女神なのに闇属性なんですか…」 フウカ「でも犯罪神誕生の地よね、ルウィーって」(風音ツバキ)
エスター「まぁ今回は逃がしやしたが、次こそは仕留めまさァ。」 氷室「エスター、たかが小娘1人に手こずるのかよ…。」 レオン「いくら昼のハンデ差し引いてもアレはねぇわ。」 エスター「てめえ等表に出ろや…。」 ライ「夕飯までに生きてたら帰って来いよ?。」(クリケット)
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