SAO〜菖蒲の瞳〜 プロローグ |
プロローグ 〜 The present from my sister 〜
2022年11月6日は俺、《((浅居正武|アサイ マサタケ))》の十七回目の誕生日である。
「はい兄さん。誕生日おめでとう!」
そしてその日のお昼前、俺は中学二年生生の妹の((涼|スズ))から誕生日プレゼントを貰った。
「涼、ありがとな」
「空けてみてよ兄さん!」
そう涼に言われ、俺はプレゼントの包みを丁寧に剥がして中身を取り出す。
「お前、これ…」
「手に入れるの大変だったんだよ?」
包みの中に入っていたのは、本日発売のVRMMORPG――《ソードアート・オンライン》だった。初回ロット数一万本と言う少ない本数なのに、よく手に入れることができたものだ。
「えへへ〜。凄いでしょ?」
眼鏡の奥の瞳に、得意気な色を灯して涼は言った。
俺はこのゲーム存在を知ったそのときから、((このゲーム|SAO))をプレイしたいと思っていた。
そのSAOが今目の前に、しかも誕生日プレゼントとして手に入れることができた。
こんな素晴らしい誕生日が、今まであっただろうか。
朝がやや苦手な俺は、今日買うことを半ば諦めていたが、まさに『果報は寝て待て』だ。
兎にも角にも、今はこのゲームを手に入れてきてくれた涼に精一杯の感謝を伝えよう。
「ありがとう涼。大変だったよな? 本当にありがとう」
「兄さんが喜んでくれたなら、私はそれで十分だよ!」
普段は無表情な俺だが、この時ばかりは、頬が緩むのを抑えることはできなかった。
午後1時。SAOの正式サービスが始まる時間になった。
俺は自分の部屋に戻り、SAOのゲームハードである《ナーヴギア》を頭に被った。
ベッドに腰かけ、そのベッド横ある椅子に腰かける涼に声をかける。
「5時くらいには帰ってくるから、母さんによろしく」
「分かった。楽しんできてね兄さん」
「帰ってきたら、お前にもやらせてやるからな」
「ホント!? やった!」
二本の三つ編みが揺れ、その場で飛び上がりそうな勢いで喜ぶ涼の様子を見て、苦笑をする。
「じゃあ、行ってらっしゃい兄さん」
「行ってきます」
それから俺は、ベッドに横たわってナーヴギアの開始コマンドを呟く。
「《リンク・スタート》」
途端に、視界が黒で埋め尽くされる。
そして、その暗闇の中央にある虹色のリングを期待一杯で潜り抜けた。
しかし、俺を含む一万人のプレイヤーは知る由もなかった。
このリングの先に待ち受けているのが、己の命をかけた《デスゲーム》だということを。
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初めまして。バンバンブーと申します。 TINAMIでの投稿はこれが初めてになります。 中途半端な文章力ですが、よろしくお願いします。 2013年2月22日 加筆修正。 |
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