外史を駆ける鬼・IS編 第007話
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外史を駆ける鬼・IS編 第007話「海と食べ物と・・・・・・嫉妬と新作と?」

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千雨「{はい、こんにちは。私の名前は結城千雨。恋に生きる、15歳の少女です。只今、臨海学校で止まるはずの旅館”月見荘”に、3組のバスに乗って向かっています。私だけ一人二席・・・・・・重昌さんの席も使って}」

 

彼女のこの気持ちの落ち具合について説明しよう。

以前話したが、重昌は学園の女子には”頼りになる男性”というより、どちらかと頼りになる”お兄さん”として見られているっと説明した事を、覚えているだろうか?

しかし織斑一夏程人気はないが、”ブラコン、ファザコン気質の女性”の方々には好評である。

そして何故か3組にはその気質の女子は少し多いらしく、バスの席座席を決める時、席争奪戦になった事は言うまでもない。

千雨としては彼(重昌)が余計な毒牙にかからない様にと、副代表[仮]としての責の為、この争奪戦争に勝ち残ったのである。

そして臨海学校初日。

愛する人の隣となり、どんな話をしながらバス移動を満喫しようかと思っていたところ、担任のフランにより『重昌は別行動で、先に現地に向かった』との報告を聞き、今回の行事の最初の楽しみを奪われ、只今項垂れている。

クラスの女子も、彼女(千雨)があまりにも気の毒過ぎて、そっとしている状態だ。

 

千雨「{神よ!私が一体何をした!?ただ愛する人とにゃんにゃんしようとしただけだ!!それのどこが悪い!!}」

 

彼女は頭を抱えながら『プルプル』する動きに、流石の皆も引け目を感じてきたが、一人の女子が千雨の隣に座り、励まそうとする。

 

???「千雨ぇ、元気出しぃ。まだまだチャンスはあるからぁ」

 

千雨「・・・琴葉ぁ」

 

彼女の名前は山梨琴葉。

千雨のルームメイトであり、茶道部仲間。

 

琴葉「大丈夫。つい先日もデートに連れてって貰ったんでしょぉ?それにぃ、その数珠かt「わーわーわー、そんな事を今言わなくても!!」」

 

恋バナ?の匂いを駆け付けるのが女の子。

忽ち千雨の下には、落ちた食べ物に群がる蟻の如く、クラスの女子が群がる。

 

3組女子A「え!?何々?デート?」

 

3組女子B「ちょっとー、初耳なんですけどー?kwsk」

 

3組女子C「何処まで!?何処まで行ったの!?キスまで!?それ以上!?逝(イ)ったの?・・・・・・ねぇ、逝(イ)ったの!!?」

 

千雨はクラスの女子たちの質問攻めにあい、慌てふためく。

 

千雨「――えっ、ちょ、待って!」

 

琴葉「あらあら?ウチ・・・・・・なんか、悪い事したんやろか?」

 

千雨「こ、琴葉ぁぁぁぁぁ」

 

琴葉の出身は京都でのほほんとした性格。

頭脳も運動神経も抜群の才色兼備。

ただ、どことなく抜けているところがあるのが、珠に傷と言ったところだ。

 

やがて目的の場所”月見荘”に到着。

バスでの質問攻めで疲れた千雨は到着するなり、休む間も無く1組の宿泊場所”花月荘”に向かい、ある人物を探し始め、そしてその人物を見つけ。

ちなみに一つ説明を加えておくと、3組の宿泊場所である”月見荘”は”花月荘”の別館である。他にも、”月欠荘”や”花吹雪荘”などがあり、”花月荘”は本館である。

 

千雨「織斑先生!」

 

この合宿中の全権限者であり、1組担任の織斑千冬である。見つけた場所は、千冬の泊まる部屋前。

 

千冬「結城か。どうした?」

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千雨「しg・・・・・・影村さんは一体何処に?」

 

千冬「場所は知らない。最初は、何かこちらでしたいことがあると言ってきたから、別に止める様な無茶な内容でもないので、許可した。教師よりも先にこっちに来させて、今その用事に取り掛かっている」

 

千雨「そうですか。ところで・・・・・・何故、先生は織斑君と同じ部屋なのですか?」

 

彼女(千冬)の部屋の扉には、”教員室”に加え、”織斑千冬・一夏”と書かれた紙が張り出されていた。

 

千冬「最初は織斑の個室にしようかと教師達で話し合ったのだが、それだと就寝時間を無視した女子が押しかけると思い、私と一緒の部屋にした訳だ」

 

千雨「でも、影村さんは個室ですよ?」

 

千冬「あの者は、その辺はしっかりしているから問題ない。だから今回の単独行動も許したのだ」

 

千雨「なるほど」

 

千冬「勿論・・・・・・お前は私のクラスの生徒ではないが、”しっかりしている”と話は聞いている。だから間違っても、就寝時間を破って遊びに行くなどという、暴挙は働かないだろうな?」

 

千雨「もっ、ももも、もt、勿論じゃないです、かっ、かか。あっ、あた、あた、当たり前ですよyoyo」

 

自分の行うであろう行動を見透かされ、千雨は言動不審に陥る。

もしバレた時の千冬の制裁を恐れて、今夜行う行動リストより、”それ”を削除する。

彼女(千雨)は仕方なく、準備をして海に向かった。

着替えも終え、借りてきたビニールシートの上に膝を抱えて頭を垂れ、パラソルで陰を作り、日焼けを防ぐ。

彼女が着ているのは・・・上より羽織っているのは、薄い生地の白いヨットパーカで、下には腰のラインなどがくっきり浮き出る、水色で横に黒い線の入ったスポーツ水着。

最初は重昌を魅了する為に、ビキニでも着ようと考えたのだが、風呂場の一件依頼、どうも彼に肌を見せることが恥ずかしくなり、今に至るというわけだ。

一応、ビキニも持って来ているらしい。

 

千雨「{・・・・・・あぁ。重昌さんにオイル塗って貰いたかった。重昌さんとビーチバレーしたかった。重昌さんと浜辺で追いかけっこしたかった。重昌さんと・・・・・・ハァorz}」

 

バスの移動中以上に落ち込んでいる彼女(千雨)に、またもや琴葉が宥めに近づいてくる。

 

琴葉「千雨ぇ、落ち込んだあかんよぉ。ほら、これでも食べてぇ〜」

 

千雨「う、うん。ありがt・・・・・・!!」

 

琴葉に貰った焼きそばの匂いを嗅いだ時、彼女の頭にビックリマークが浮かび上がる。

 

千雨「こ、この・・・匂い!それに『ズルズル』この味は!?――琴葉!この焼きそばを一体何処で!?」

 

琴葉「これはなぁ。向こうの海の家で出されていた焼きそばを買(こ)うたんやけど。焼いとったのがなぁ、しg・・・・・」

 

琴葉の指差した方向に、千雨は走り出した。

 

千雨「{この焼き加減!母の様な温もり!豪快な揚げ方!この先にいるのは!!!}」

 

ものの2分程で海の家に着くと――

 

重昌「はい、いらっしゃい!安くて、新鮮で、美味しいよ!」

 

千様「{誰にも負けない料理を作る・・・彼(重昌)の姿が!!}」

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・・・・・・・・・

 

暫く経ち、重昌の休憩時間中。

 

千雨「で、何故重昌さんはここで焼きそばを焼いているのですか?」

 

重昌「ん?バイト」

 

千雨「『バイト』ではありません!黙っていなくなるなんて。心配した者の気持ちにもなっt・・・ブツブツ――」

 

重昌「ははは、ごめんごめん。私がここにいる理由。簡単に言えば、新しい料理の追求の為だね。この地方独特の、海の幸を使った料理を私のレシピメニューに加える為。私の作る料理が増えれば、食堂のおばちゃんに教える事も出来る。そして食堂のメニューが増える・・・っと、この様な感じだ。そこで織斑先生に許可を貰い、私だけ朝早起きして、バイクで来たのだよ」

 

海の家の裏にある駐車場には、重昌のバイクが止めてあった。

そんな事を2人で話し合っていると、水着姿の1組+鈴のIS学園一年専用機持ちの面々が顔を出してきた。

 

シャル「あれ?重昌さん、こんな所で何を?」

 

重昌「バイトだ」

 

セシリア「・・・・・・重昌さん。そこまでお金に困っていらしたので?」

 

重昌「そんな事ない。これでも国代表だ。金は一人では有り余る程ある」

 

鈴「でしたらどうしてここに?」

 

重昌「料理の探求の為にここで働いている」

 

ラウラ「――お言葉ですが・・・・・・レーラァの料理は達人の領域。これ以上の探求など」

 

重昌「いいか我が弟子よ。限界は自分で作る物ではない。一度原点に帰ってみて、自分を振り返る事も、立派な自分磨きの一つだよ。――さて何にする?見たところ昼食は食べた後みたいだし、軽い物を作ろうか?」

 

鈴「なら、私はチンジャオr「言っておくが、ここは海の家だから、ちゃんと”メニューに載っている物”を頼むこと」・・・焼きそばの小を5つ」

 

彼は鉄板に油をひきはじめ、焼きそばを焼く準備に取り掛かる。

 

千雨「・・・・・・そういえば、箒さんは――?」

 

一夏「そうなんですよ。箒の奴、さっきから探しているけど見つからなくて。泳ぐのは得意だったはずなのに――」

 

千雨「{お!聞きました?織斑君は、箒を探していたと。これは後でからかいに行かなければ♪}」

 

そんな悪い事を考えている千雨と共に、昼の穏やかな日常は終了した。

 

夕食時。

一年全員は、各館ごとに大広間に集まり、夕食タイム。

いつものメンツで一組では・・・・・・一夏はシャルとセシリアに挟まれ、また一悶着を起こして千冬に注意されている。

ラウラは箒に、日本流の食べ方の指導をされている。

ホントは重昌が指導するはずだったのだが、館も違うので彼(重昌)は箒に任せている。

2人は同じ者(一夏)に好意を寄せ、同じ者(重昌)に弟子入りしている身なので、何か通じ合う物があるのであろうか、以前の様なギスギスした関係では無くなっていた。

2組の”月欠荘”では・・・鈴は2組の仲間と楽しそうに夕食を食べている。

3組の”月見荘”では・・・料理の味付けについて、旅館の女将に熱心に話を聞く重昌と千雨の姿があった。

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さらに時は過ぎて、夕食後・・・・・・。

各クラス代表は就寝前に学年代表である重昌の部屋に集合し、合宿中の予定を話し合って解散。

 

千雨「お疲れ様でした」

 

重昌「お疲れ。さて、明日の事を確認して寝るか」

 

肩を『コキコキ』と鳴らす彼を見て――

 

千雨「重昌さん。マッサージしてあげましょうか?」

 

彼女はひかれた布団の上を、『ポンポン』と叩きながら彼に提案する。

 

重昌「いや、もうすぐ就寝だからそれは悪い」

 

千雨「大丈夫です。後30分はあります。いつもいろいろお世話になっていますし、これくらいはさせて下さい」

 

少し考えた後、彼も素直に布団にうつ伏せで寝転がる。

彼女のこういう所は引かない頑固な性格を熟知してきた証拠である。

千雨は重昌の上に、体重をかけない様にのしかかり、指と拳に力を入れ始める。

 

千雨「うわ!凄く凝っているじゃないですか!?」

 

重昌「そうか?自分では、良く判らないものだが」

 

千雨「こんなに筋肉を固くして。少しは体を休める事を覚えて下さい」

 

重昌「いや、恐らくそれはただの鍛えすぎだ。凝っている事も・・・・・・多少はあるかもしれないがな。しかしいいものだな。この様にゆっくりすることなど、忘れかけていた」

 

千雨「そうですか、それは良かった。それにしても、相変わらず大きな背中ですね」

 

重昌「そうだろうか?私のガタイは、比較的普通だと思うが?」

 

千雨「なんと言いますか・・・・・・見ていたら、安心出来る。そんな背中です――」

 

重昌「千雨みたいな可愛い女の子に言われれば、男名利に尽きるな」

 

『可愛い』と言われ、千雨は顔が赤くなる。

暫くマッサージを続けていると、彼女はあることを思い始める。

 

千雨「{・・・・・・まてよ?今この部屋には2人。しかも、私は重昌さんに褒められ、良い雰囲気。これは・・・・・・告白のチャンスでは!?常日頃、重昌さんを取り囲んでいるのは、私と1組と2組の専用機持ちの面々+箒。専用機持ちの面々は、織斑君に好意を寄せているとはいえ、ありえないが・・・・・・いや万が一、重昌さんに乗り換えるかもしれないか判らない!やるのだ千雨!乙女になりきるのだ!}・・・・・・あのぉ、し、重昌さん。私・・・わたっ、私・・・・・・私貴方のことg「――ぐ〜〜zzz…」あ、あれ?寝て・・・・・・る?」

 

やっとの想いで、自身の気持ちを打ち明けようとするも、既に想い人は夢の中。

彼女はどっと疲れるものの、普段・・・自分や箒、ラウラの為に時間を割いて、面倒をかけているので、その気持ちを汲み『仕方ない』と思ってしまう。

彼を仰向けにし、布団をかけて、部屋を暗くし、寝ている事をいいことに、頬にキスをして重昌の部屋を後にして自分の部屋に戻った。

部屋に帰ると、ルームメイトの琴葉が満面の笑みで出迎えた。

 

琴葉「・・・・・・っで、どないやったぁ?告白はしたん?」

 

彼女(琴葉)も何だかんだ言って、気になっている。

仕方ないよ。

だって・・・・・・女の子だもん。

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合宿二日目。

今日は午前中から夜まで丸一日、ISの各種装備試験運用とデータ取りに追われる。

千雨は誰よりも早起きして重昌を呼びに行き、彼の部屋を訪れるが、部屋には奇妙な光景があった。

何故か布団の上には、背中を丸くした長い髪の、裸Yシャツの女性が正座しており。

外の景色が見える間取りの椅子には、重昌が黒いオーラを出し、鬼の様に目を光らせ、正座している女性を睨みつけている。

本来ならば、ここで『この女性は誰か!?』と問い詰めるところであるが、彼の気迫の様なものに圧倒されて、言うに言えない。

やがて彼が、今になって気づいたかの様に重い声で千雨に声をかける。

 

重昌「・・・・・・千雨」

 

千雨「は、はぃいぃ!」

 

重昌「今はコイツを説教中だ。悪いが教師共には遅れそうだと。”特に”織斑千冬には、『不思議の国の紫ロン毛の馬鹿セ・・・・・・”アリス”を説教中』だと伝えてくれ」

 

千雨「は、はひぃ!失礼しました!」

 

普段は誰に対しも、丁寧語である彼。

教師の・・・・・・特にあの織斑千冬を呼び捨てにしたので、彼は相当頭に血が昇っている事を確信し、直ぐにこの事を千冬に知らせようと決める千雨であった。

 

そして場所はIS試験用ビーチ。

一年全員は皆ISのデータ収集に取り掛かっている。

千雨は手を動かしながらボーッとし、今朝起きていた事を考えていた。

 

千雨「{――あの美人さんは・・・・・・一体誰だろう?まさか!重昌さんが招き入れた!?・・・でもそれだったら、何故重昌さんはあんなに怒っていたのだろう?招き入れたとしたら、あの人・・・・・・(胸が)大きかったなぁ。スタイルも抜群だったし・・・・・・ハァorzそういえば、織斑先生にこのことを伝えた時に、あのクールな先生が苦い顔していたなぁ?あれも何か関係しているのかな?}」

 

???「ちーーーーーちゃ〜〜ん!!」

 

そんなことを思い出していると、千雨が先程見たと言う美人さんが、物凄いスピードで千冬に突っ込んで来る。

その格好は青と白のワンピースで、さながら不思議の国のアリス。重昌が『アリスを説教中』と言った意味を、彼女は今理解できた。

それでそのアリスさんは、只今千冬のアイアンクローを決められているが、暴走は止まらず。

近くに居た真耶に気付き、彼女の豊満な胸を鷲掴みにする。

※忘れた方に一応説明。真耶とは1組副担任、山田先生である。

 

暴走はさらに勢いを増そうと思いきや、何処からともなく投げ縄が飛んできて、アリスに巻き付く。

そのままアリスは一本釣りされ、釣られた先には重昌の姿があった。

 

重昌「ん〜あ〜、その〜・・・・・・皆スマナイ。この馬鹿の名前は篠ノ之 束。箒ちゃんの姉で、ISの基礎理論と実証機を完成させた、残念な天才だ」

 

束「むぅ〜ぅ。酷い重ッチ!私の処女と言う名の純白を奪ったのは遊びだったのn『ゴスッ!』――」

 

束の脳天に、重昌の熱い拳が炸裂する。

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重昌「・・・・・・次、何か余計なでたらめを言えば、その口を針で縫い付けるからな」

 

束「むっふっふっふ〜。今朝、私の裸を見たくせに。――私の体は高いよ。なんなら、この事を世界中のネットに情報を流出させt「そうか。口を針で縫う前に、そのお喋りな口の中にある、舌を抜き取って。手を五寸釘で打ち付けないとダメらしいな」ゴメンナサイ、チョウシニノリスギマシタ(ごめんなさい、調子に乗り過ぎました)」

 

千雨「――あ、あの?重昌さん。この人は・・・・・・」

 

重昌「あぁ、大丈夫。千雨、こいつには関わらない方がいい。バカが映るから、無視に限る――」

 

束「あれれ?重ッチが優しい!何、この可愛い子は!?それに豊富そうなおっぱい・・・・・・揉みくだしt『ゴスッ!ゴスッ!ゴスッ!』」

 

重昌「い・い・か・げ・ん・に・し・ろ!!」

 

束「うぅ。人間は殴られると脳細胞が5千個死ぬんだよ。特に重ッチの拳骨は重いから、2億は死んでるよ〜〜。私、天才から馬鹿になっちゃうじゃん!お嫁にいけない――!」

 

重昌「大丈夫。お前は元々”馬鹿”だ。それにお前なんかが嫁に行けるはずもないだろ」

 

後ろの方では千冬が腕を組みながら、『ウンウン』と頷いている。

他の何の事情を知らない面々は『ポカン』としているが、千雨だけは違った。

自分の好きな人が、他の女性に自分以上に親しくしている事を歯痒く感じ、その光景を見るのがだんだん辛くなってきた。

 

千冬「で、影村。夫婦漫才はその辺にして、早く本題に移りたいのだが?」

 

重昌「そうですね。おい、束!自分で立て」

 

束「立たせて。ダぁーリン(ハート)」

 

重昌「『ブチッ!』」

 

ついに彼の何かが切れて、束の顎(あご)を蹴り上げて立たせる。

 

束「もうっ、仕方ないな。・・・・・・大空をご覧あれ!」

 

いきなり大空より銀色の塊が落ちてくると、直陸するなり、塊は機械音をたてて開いてくる。

中には真紅の装甲に身を包んだ機体が姿を現す。

 

束「じゃじゃーん!これぞ箒ちゃんの専用機こと”赤椿”!全スペックが現行ISを上回る、束さんお手製ISだよ!」

 

重昌「さて、箒ちゃん。フィッティングとパーソナライズを始める。私が補佐するから、装着しなさい」

 

束「ちょっと、ちょっと。重ッチ、それは私の役m「お前に任せると、何されるかたまったものじゃない。私のISのメンテナンスをさせてやるから、しばらく黙ってくれないか」ほほ〜い♪」

 

重昌は手に付けている数珠を束に投げつけ、彼女はご機嫌で受け取る。どうやら、これが重昌のIS”戦鬼”の待機形態の様だ。

※ISの待機形態とは、専用機持ちは常日頃ISを携帯しているが、待機時はアクセサリの様な状態を保っている。例えば、セシリアのはイヤリング。シャルのはネックレス。鈴はブレスレッド。ラウラはレッグバンドといった形だ。一夏のはアクセサリと言うより、ただの篭手だが。

 

束「いっくん。いっくんのIS見せて。束さん興味しんしんなのだよ」

 

一夏「あ、はい」

 

一夏は慌てて自分のIS”白式”を展開する。

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束が一夏のISの装甲に『ブスリ♂』とプラグを刺し込むと、ディスプレイが空中に浮かぶ。

 

一夏「何か音がおかしいような――?」

 

束「気にしない気にしない♪――なんだろ?見たことのないパターン。いっくんが男の子だからかな?」

 

一夏「束さん、そのことなんだけど、どうして男の俺がISを使えるのですか?」

 

束「そのことは、私もさっぱりぱりなんだよ。ナノ単位まで分解すれば、何かわかるかもしれないけど・・・いい?」

 

一夏「・・・いいわけないでしょ」

 

束「にゃはは、そう言うと思ったよ」

 

一夏「・・・それじゃあ。重昌さんのが動いているのは?」

 

束「ん?それh『ゴォ!』!!!」

 

突如、束の後ろから一陣の風が吹き、彼女が振り返ると、黒いオーラを全開にしている重昌の姿があり、束はブルブル震え、一夏の顔は青ざめる。

重昌の顔を見ている箒は・・・・・・彼(重昌)自身は笑顔なのだが、箒は涙目で震えており、これはただ事ではないと思い、一夏は別の話をふる。

 

一夏「い、いや、それより。どうして束さんは、重昌さんと知り合いなのですか?というより、束さんが俺と箒と千冬姉ぇ以外に、親しくしている事自体、不思議なんですが?」

 

束「まぁそのことは、また気分がのればちょろんと話すよ」

 

そんなことを話していると、1人の女子が束に声をかける。

 

セシリア「あ、あのっ!篠ノ之博士のご高名は、かねがね承っておりますっ。もしよろしければ、私のISをみていただけないでしょうか!?」

 

話しかけてきた女性はセシリアである。

有名人である、束を目の前にして興奮しているのか、その目はキラキラしているが・・・

 

束「はぁ?誰だよ君は。金髪は私の知り合いにいないんだよ。いっくん、箒ちゃん、ちーちゃん、重ッチと久しぶりの再会に、水を刺さないでくれる。っていうか、君は誰だよ?」

 

セシリア「え、あの」

 

束「うるさいなぁ。あっちに行きなよ」

 

セシリア「うっ・・・」

 

先程なフレンドリーな束とは違い、セシリアは明確に拒絶されて、少し涙目になり離れていく。

実は束は一夏が言う様に、自分が親しい者以外は寄せ付けない正確であり、これでも反応するだけマシである。

その昔、親しい者以外は、誰が声をかけてもガン無視。本人曰く、人間として認識しているのは、一夏、箒、千冬、ついでに両親+叔父、叔母ぐらいで、重昌は一番最近このリストに入った者で、他の人間はどうでもいい以前に、ホントに興味がないのだ。

 

束「それより、いっくん。白式改造してあげようか?」

 

一夏「え。えっと・・・・・・ちなみにどんな改造を?」

 

束「うん。執事服になるってどうかな?あるいはメイド服」

 

一夏「いいです」

 

束「いいです!おぉ、許可が下りたよ。それじゃあ早速――」

 

一夏「わざとやってるでしょ!?だから、改造なんていりません」

 

束「じゃあじゃあ、女の子の姿になるなんどうかな!いっくんが!」

 

重昌「何を馬鹿な事をやっている。束、フィッティングとパーソナライズを終えた。後の事は私も判らないから、頼む」

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束「んじゃ。試運転もかねて飛んでみせてよ。箒ちゃんのイメージ通り動くはずだよ」

 

箒「ええ。それでは試してみます」

 

すると箒は自分のイメージに沿い、物凄いスピードで飛翔する。

イメージ以上の力を出されしばし困惑するが、束がオープン・チャンネルで箒に指示を出して、”赤椿”の武器の説明に移り、箒のISの腕の装甲の近くより粒子と共に2本の刀が構成された。刀の名前は、右が”雨月(あまづき)”左が”空裂(からわれ)”。

“雨月”は対単一仕様の武装であり、打突に合わせて刃部分からエネルギー波を放出、連続して敵を蜂の巣にする武器であり。

“空裂”は対集団仕様の武装であり、斬撃に合わせて帯状の攻性エネルギーをぶつけ、振った範囲に自動でぶつける。

箒は試し切りとばかり、空に”雨月”で連続突きを放つと、刃からエネルギー波が放たれ雲に所々穴が空く。

次に束が十六連装ミサイルポッドを呼び出す。光の粒子が集まり、形を成すとポッドは箒に一斉射撃を行うが、”空裂”のひと振りで全ての放たれたミサイルは撃墜された。

皆がその圧倒的なスペックに驚愕し、魅了され、言葉を失っているが、重昌だけは別の事を考えていた。

 

重昌「{・・・・・・束め。なんてものをプレゼントしてくれた。確かにこの機体は、文句の付け所なく完璧だ。だが、今の箒ちゃんにはまだ荷が重すぎる。いきなり力を持つと、人は変わってしまう。慎まねばならない!慎ませねば!}」

 

真耶「たっ、た、大変です!お、おお、織斑先生っ!」

 

すると真耶が突然慌てて千冬に声をかける。

いつも慌てて、忙しない真耶であるが、しかし今回のは尋常ではないようだ。

彼女は千冬に小型端末を渡すと、その画面を見て千冬の表情が曇る。

彼女達は小さな声でやりとりをし、途中から軍事用の手話に変更する。

手話を見ていた重昌もただ事では無いと思い、2人の話(手話)に参加して――

 

千冬「全員、注目!」

 

真耶は『他の先生に伝えに行く』と言って走り去り。

残った千冬が手を叩き一年を、自分の方に注目させる。

 

千冬「現時刻よりIS学園教員は特殊任務行動へとうつる。今日のテスト稼働は中止。各班、ISを片付けて旅館に戻れ。連絡があるまで各自室内待機すること。以上だ!」

 

その言葉を聞き、女子一同は『ざわざわ』と騒がしくなるが――

 

重昌「君達!特殊任務行動だと言っただろ?今の君達には手に負えない物だ。判ったらさっさと戻れ!――それとも、いつも一夏君がもらっている、織斑先生の熱い出席簿、または拳を貰いたいのか?」

 

それを聞き女子一同は直ぐに移動を開始する。

1組以外の面々は、『この一撃を食らうと、脳震盪を起こし、頭がクラッシュする』と噂があるので、こちらも行動は早かった。この噂を広めたのは重昌自身であり、こういう時の場合に備えて広めていたのである。

噂は噂。勿論これは職員室にも響くが、彼(重昌)の考えを考慮して、千冬もこの件は手を出さなかった。

 

千冬「専用気持ちは集合しろ!織斑、オルコット、デュノア、ボーデヴィッヒ、凰(ファン)!――それと、篠ノ之も来い」

 

重昌はその場に呼ばれていなかったので、帰ろうとするが――

 

千冬「影村、お前も残れ」

 

重昌「しかし、私のISは束にメンテナンスを頼んで、今しばらく動かす事は不可能ですが?」

 

千冬「いや大丈夫だ。お前にはもっと”別のこと”をしてもらう」

 

説明
こんばんは。ザイガスです。
今日のバイトでイライラしたので、気分転換に投稿です。

今回のISは臨海学校編ですが、合宿所の場所の設定は原作重視からの少し+αしておりますので、ご了承下さい。

それではどうぞ。
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コメント
破滅の焦土さん〉そない?(IFZ)
いろいろカオスですねww(破滅の焦土)
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