閑話 終わりと始まり |
―side三人称
「ふむ、あやつもかなり動いているようだの」
そう呟く人物の視線の先にはある映像が映っている。そこに映し出されているのは百人規模の集団を率いる、かつて自分が映像に映っている世界に送った人物がいる。
元の世界の今を否定し、未来に退屈(絶望)していた男は、その世界では新しい可能性(道)を作る為に奔走している。
「まったく、あの時は流石のワシでもヒヤヒヤしたわ」
――
「此処どこだ?つーかなぜ裸?誰かいないのかよ?」
そう呟きつつ、周りを見渡す青年の視線がある一点で止まった。そこには…
「スマンの。お主死んでもうた」
土下座しつつ、軽い口調で死亡宣告を告げる老人がいた。
「はぁ?意味が分かんねーんだよ。俺はこうして生きてるしな。つーかお前誰よ?」
「ワシか?ワシはおぬし達のいう神という存在じゃ。あ、後、道具とか服とかはイメージしたら出てくるからの。自由にしてくれ」
その老人(神)の言葉を疑いながらも、青年はイメージをすると、本当に服が出てきた。
「うわっ、マジで出てきたよ。他にも出せるのか?
……おっ、出てきた。楽しいな。じゃあ次は……」
「……あのーじゃな。そろそろ話を進めてもかまわんか?流石のワシでも土下座をし続けるのはかなり厳しいのでな」
「ん?ああ、そういやそうだな。悪かったよ。
その前にちょいっと質問するがいいか?」
そう言いつつ、コツを掴んだのか、椅子をイメージ(出)し、老人(神)の前に座る。
「順応性が高すぎとか、簡単にイメージを具現化出来るの。とか色々言いたいことはあるんじゃが……
まぁ、いいわ。かまわん、なんなりと質問してこい。」
「ありがとよ。オッサン。で、オッサンは神様らしいが、名前あるだろ?なんなんだよ?」
「ふむ、名前か。お前達はゼウスとか、オーディーンとか色々呼んでおったが…あぁ、他に神様なんておらんから。というかよく信じるの?ワシが言っといてなんだが」
「そりゃな、イメージしたら出てくるなんて滅茶苦茶見せられたら、少しは信じたくなるわ。おもっきし質量保存を無視しやがって……
ということは何か?神話とか聖書とかでやったのは全部お前がやったのか?」
「もちじゃ」
さすがにノアとかソドムとゴモラとかはやりすぎたのー。
とか気楽にいう老人(神)に若干引きつつ、青年は話を続ける。
「オーケー、お前がかなりいかれてる神様ってのは分かった。
で、俺が死んだってどういうことだ?つーか此処何処よ?」
「此処は言うなれば、現世とあの世の狭間と言ったとこじゃな。そして、ワシが存在する場所でもあり、世界の狭間と呼ばれる場所じゃ。まあ、説明するのがめんどいのでカットするが。
それとな、死んだのはワシのミスじゃ。
いや、これは本当にスマン。ちゃんとやったと思ったんだがの。
言い訳にすぎんが、リストのもうすぐ死ぬ奴のすぐ下にお主の欄があってな、間違ってこっちに連れて来てしもうた」
「つーことはなんだ?俺はミスで此処に連れられたのか?
ふざけんな!俺は帰るぞ。好き好んで、なんでこんな場所にいなきゃならない!とっとと戻せ!このくそ神!」
やはりというか、青年は激昂する。
しかし、老人(神)にとっては予想通りの怒り、そしてそれの答えも一つしかない。
「残念だが戻れんよ。お主はあっちの世界では死んでおる。いくらワシでも、それをなかったことは出来ん。」
「ちっ、やっぱそうか畜生。
……そういや、イメージが具現化するんだよなだったら…全長39cm、重量16kg、装弾数6発、純銀製マケドニウム加工弾殻に法儀式済み水銀弾頭、装薬にマーベラス化学薬筒NNA9を用いた専用の13mm炸裂徹鋼弾を使用……」
途中から青年は呟きつつ、右手にイメージを集中させる。求めるのは化け物をも殺し切る化け物用の銃、空想の世界でしか出てこない銃を具現化される。それをどのように使うかなど一つしかない。
それに気付いた老人(神)は恐れながらも一応質問をする。
「一応聞くのだがの、その銃、どうするつもりじゃ?」
「決まってるだろ、俺がこんなことになった原因に怒りをぶつける」
そして銃口を老人(神)に向ける。自分勝手に殺した奴に制裁を加えるため。
「いや、少し落ち着くのじゃ。ワシは神じゃぞ、つまりは不老不死じゃ。だからそんな物で攻撃しても、痛み……はあるかもしれんがそれだけじゃぞ!老人虐待反対!」
「誰が老人だ。てめえ。
せめて痛みだけでもと思ってイメージしたらこんなキ○ガイ銃しか思い浮かばなかったんだよ。」
そして、復讐(バレットダンス)が始まった。
そして、十数個のマガジンを使いきり、青年はなんとか押さえこんだ表情で銃撃をやめ、もといた椅子に座りなおす。
「はあ、はあ。まあこのくらいで我慢してやるよ。
で、なんか話があんだろ?」
対する老人(神)は銃痕を治しながら正座をする。本来ならば老人(神)の方が上なのだが、今は青年の方が立場が上になっている。
「まったく、少しは老人を労らんか。
まあ、否があるのはこっちじゃし、しょうがないのじゃが……また、おもむろに銃口を向けるでない!!ワシが悪かったから!!
まったく、少しはワシを崇めてもいいじゃろうに……まあよいわ。お主、前の世は退屈じゃったろ」
「まあ、確かにそうだったがそれはどういう関係がある?」
「結論から言えば、条件付きで違う世界で暴れて欲しいのじゃ。」
「……所謂転生とかいうやつか?なんでまた。」
「平行世界の数が多くなってきて、流石のワシでもきつくなってきたから、管理者というのを置いたのじゃがその一部が過激派になっての。気に入らん流れになる世界を消そうと企んどる」
「……つまり、俺が暴れて流れを変えて、管理者が出てこなきゃいけない状況にして殺せと?
しかし、いいのか?無理矢理流れを変えたらヤバイことになりそうだが」
「確かに普通ならばそうなのだが、その平行世界は外史と呼ばれておってな。その外史というのは認識(願い)されて初めて発生し、その認識(願い)が多くなればなるほど確定されていくひどく不安定な存在じゃ」
「だから俺というイレギュラーを取り込めると?」
「うむ。で、引き受けてくれるかの?」
「……どういう世界なんだ?そこは」
この返答に老人(神)は小さく拳を握る。この返答はつまり興味を示したということで、かなり脈ありなのがわかる。
「聞いたことがあるじゃろう。三國志という中国の歴史の外史じゃ」
「三國志、ねぇ……」
そして、青年は考える。
三國志つまりは中国の歴史を変えることが出来る。
これはつまり周辺の国の歴史を変えることが出来るということ。
このまま死んで泣き寝入りするか、転生して自分の命を賭け金にして歴史を変え、未来で自分が退屈していた世界を回避出来る可能性を作るか。
そして、自分が選ぶ方など一つしかない。
また、老人(神)がそれを知ってたようにも感じられ、少し不愉快になる。
「てめえ、始めから俺がどんな答えを出すのか分かって呼んだな?」
「まあの、この外史に行くにイエスと言う者の中から選んだからの。……最後の最後にミスってしまったが……」
「ちっ、行ってやるよ。
で、俺がこのまま行ってもなぶり殺しになりそうなんだが」
「そうだの。だから普通授ける能力はこっちで勝手に決めるのじゃが、此方の落ち度もある。なにか好きな能力を言ってみろ。
所々外史にあわせて修正していくかもしれんが、そう変わらんはずじゃ」
「じゃあ、俺が選ぶのは『FATE』の…」
そして、思い浮かべるのは赤い槍を持つ、誇り高き槍兵。
「ランサー、真名はクーフーリン」
「なっ、本当にそれで良いのか?」
「当たり前だろ。
なんだ?意外か?」
「うむ、大体は『FATE』で選ぶ能力と言えばエミヤ、ギルガメッシュじゃからの」
「いいじゃねえか。俺は慢心もしたくないし、人を救って絶望もしたくない。悔いがない生き方をしたい。だからクーフーリンを選んだ。それでいいじゃねえか。……まあ、他にも理由はあるが、まあそんなことはどうでもいい。
で、修正はどうなるんだ?」
「……うむ、まずルーンが使えん変わりに気を全般的に使えるようになる。後、運を少し上げよう。
そして、宝具じゃが制限をかけさせてもらう。外史の住人には宝具は使えん。ただ、決して折れず、使用者の意志で現れるぐらいじゃ。
ただし、身体能力に関してはそこに至れる資質を与えるのであって、いきなり、あのようなことは出来ん。つまり、しっかり鍛えておけということじゃ」
「それぐらいは想定内だし、俺的には槍に関しても後者の性能で十分なんだが……宝具の使える状況は?」
「理(ことわり)の外におる者に使える」
「理(ことわり)の外、ね。どんな奴らなんだ?」
「会えば分かる。そうとしか言えん。
お主が暴れておれば会うことになろう」
「……納得出来ねえが、分かった。俺は好き勝手生きる。オーケー?」
青年は覚悟を決めた笑みを浮かべ、老人(神)はそれに応じるように頷き、扉を出す。
「うむ、ではその扉をくぐれば外史に行ける」
「あいよ。じゃあな神さん」
そして、青年は扉の向こうへと旅立った。
――――
「あの時はこやつで本当に良かったのか、少々不安じゃったが、今は安心して見れるわい」
老人(神)は昔を思い出しながら、外史を好き勝手に動いている元青年(李高)を見る。
「さて、もうすぐ物語は動き出す。
お主はどういう可能性(みち)を作るのか、楽しみに待っておるぞ」
説明 | ||
前回、閑話とキャラ紹介と書きましたが、そのすぐ後に分かったニュースが原因でキャラ紹介はまたの機会とし、10月20日に個人的に出したい閑話を出せる状況まで、駆け足で投稿していく予定です。 というわけでまず一つ |
||
総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
3416 | 3140 | 9 |
タグ | ||
魏√ 恋姫無双 テンプ のんびり | ||
ACEDOさんの作品一覧 |
MY メニュー |
ログイン
ログインするとコレクションと支援ができます。 |
(c)2018 - tinamini.com |