SAO〜菖蒲の瞳〜 第二話 |
第二話 〜 少女との出会い 〜
【アヤメside】
「――シッ!」
体当たりを仕掛けてきたイノシシのようなモンスターに向かって《ペック》を放つ。
相手の突進の勢いと、当たりどころが良かったのとで、半分くらいあったHPは一気に0になる。
そして、パンッ、とガラスが砕けるようにポリゴンが弾け飛んだ。
「やっぱり、最初の頃のモンスターはまだまだ弱いな…」
今の戦闘で、俺のHPバーは減っていない。
最初こそ、攻撃パターンやレンジ、剣技を使う際のタメを作るタイミングが分からず、掠るくらいはしていたが、慣れてしまえばあとはワンサイドゲームだった。
攻撃が単調だから、面白みが少ない。
だが、自分の体を使って戦闘するというのは爽快だった。
欣喜雀躍である。踊りはしないが。
「…そろそろ帰るか」
視界右下にある時計を確認する。
予定よりは早いが、まあいいだろう。涼も待っている。
俺はその場に背を向けて始まりの街へ歩みを進める。
しばらく進んだとき、少し離れた場所で少女が戦闘をしているのを見つけた。
相手は俺がさっき倒したイノシシである。
「………」
俺は何となく、その戦いを見物することにした。
「…それにしても、あれだな」
緊張しているのか、それとも怖いのか、どうにも動きが堅い。
筋が悪いわけじゃない分、余計にもったいない。
それに、剣技に頼りすぎているようにも思える。
………。
「はぁ…」
俺は少女の方へと歩き出す。
どうやらお節介が発動したようだ。
【?side】
イノシシのようなモンスターが、私に向かって突進してくる。
動きは直線的だから、それを避けるのはとても簡単なことだった。
でも私は、それがとても怖くて、足が竦んでしまい、いつも危なっかしい避け方しか出来ないでいた。
「きゃっ!?」
そしてついに、私は足がもつれて転んでしまった。
それを好機と見たらしいイノシシは、迷わず私に突進を仕掛けてきた。
ここはゲームの中で、怪我はしないし痛みも無い。
それでも、恐ろしさだけは現実と全く一緒で、私は竦んでしまい動くことが出来なかった。
イノシシがすぐ側まで迫ってきて、私は目を、ギュッ、と瞑った。
(お父さん…お母さん…!!)
――ドガッ!!
そんな鈍い音が鳴り響いた。
でも、衝撃は私には伝わって来なかった。
「大丈夫か?」
そう声を掛けられてゆっくりと目を開けると、綺麗な菖蒲色の瞳と目があった。
【アヤメside】
少女が転んだのを見た瞬間、イノシシは少女に突進をしかけた。
(マズい…!)
俺は少女を助けるべく全速力で走るが、少女の下へたどり着くには僅かに距離が足りないようだった。
(たどり着けないなら…先に倒す!)
だが、リーチの短い短剣では届かないし、投げては効果を発揮しない。
そう思った俺は、ほぼ無意識のうちに飛び蹴りを放っていた。
――ドガッ!!
偶然にも、その飛び蹴りのモーションが規定のものと検出され、剣技が発動した。
紫色の輝きを持った蹴りは、イノシシの横っ腹に命中。
残りHPを吹き飛ばし、イノシシは消滅した。
「いつの特撮ものだよ…」
取り敢えず、ツッコミは入れておいた。
それに、果たして《蹴り》を《剣》技と呼んでいいのだろうか……。
「…と、それよりも」
俺は未だ目を瞑り、座り込んでいる少女に声を掛けた。
「大丈夫か?」
そう声を掛けると、少女はゆっくりと目を開ける。
すると、目があった。
「………」
少女はマジマジと俺を見つめ続ける。
居心地が悪い。
「……どうかしたか?」
そう言うと、少女はハッとした表情になり、手をわたわたと振り回した。
このゲームの感情エフェクトがオーバー気味なためか、顔が真っ赤である。
「先ずは落ち着く」
あまりの慌て振りだったため、俺は凉にやっていたように、ぽんぽん、と頭を優しく撫でた。
「あ、はい…」
呆気に取られながらも、少女は頷いて落ち着きを取り戻した。
依然として、顔は赤いままだが。
「先ずは自己紹介。俺はアヤメ。君の名前は?」
「えーと、綾…じゃなくて。私、シリカって言います」
オリジナル設定
《スキル》
・スタート時は装備武器スキルと格闘スキルのみ。
説明 | ||
二話目更新です。 Q.定期テスト期間中なのにこんなに更新してていいんですかね? A.手が動いてしまったんだから仕方がない。 今回はついにあの子が登場します。 あえて言おう。作者はロリコン予備軍です。 |
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コメント | ||
了解しました。そしてロリコン予備軍…ふっふっふっ…俺はすでにロリコンですっ!(ネフィリムフィストに戦慄走った) その認識で大丈夫です。体術スキルは格闘スキルの派生スキルということでお願いします。体術スキルは《エクストラスキル》ということなので。(bambamboo) スキルについてですが、格闘スキルと体術スキルはこの作品内では違うものという認識でいいのでしょうか?(ネフィリムフィストに戦慄走った) |
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