デジモンクロスウォーズ 絆の将と魔道の戦士 |
地上本部に向けて進軍するデジモンの大軍が確認された時、機動六課隊舎では、
「なんだあれは?」
グラウンドラモンは遠くを見て言った。彼の目線の先には、アンドロモン、メタルティラノモン、メガドラモン、エクスティラノモン、メタルマメモンを始めとする、機械系のデジモンが大量に向かってきていた。先頭には黒い鎧を身に着けた竜人型デジモン「ブラックウォーグレイモン」がいる。
「きっとムルムクスモンが差し向けたんでしょう!」
最強の武装形態になっているアインハルトは、少年風の容姿をした戦闘機人の少女「オットー」を捕まえながら言った。
「それで、あれもお前たちの主の作戦の内か?」
ナイトモンは、先ほど倒したディードに訊いた、
「知りません!」
ディードは即答と言えるタイミングで答えたが、嘘をついている感じは無い。
そして、タイミングを同じくして、隊舎の中からメデューサモンがルーテシアたちを抱えて出てきた。その後ろからはヴィヴィオ、ブイモン、テリアモンが付いてきていた。
「三人は隠れていて、今からさっき以上に危険になるから。」
メデューサモンは後ろの三人に言ったが、
「ううん、俺も戦う!」
「僕だって戦えるんだ!!」
ブイモンとテリアモンはこう言って聞かなかった。
そして、キサキはビルの階段を駆け上がっていた。目指すはディエチが砲撃の為に居座っている屋上である。二段飛ばしで駆け上がり、屋上に着くや否や、
「やめろ!!」
得意のジャンプでディエチの傍に行くと、ブレーンバスターをディエチにかけた。ディエチは驚くと同時に気絶した。いきなりふわりと浮いたと思うと、突然激突したのだから。
その後、彼は地上本部の方向とは反対の方向を見た。彼の目線の先には、グレイモン、ガルルモン、カブテリモン、デビモン、イッカクモン、クワガーモンと言ったデジモン達で構成された大軍が迫ってくるのが見える。この位置から分かった事だが、軍の中央に一体、全身を金属で武装した黒いガルルモンのようなデジモン「ブラックメタルガルルモン」がいるのが見えた。
「大体1000体かな、少なくとも300体は削らないと、奴の力を使う前に。」
キサキはこう言うと、水色のクロスローダーを掲げると、
「リロード!メタルガルルモンX、ガイオウモン、ホーリーエンジェモン、エンジェウーモン、パロットモン、アンキロモン、エンジェモン、テイルモン、アクィラモン、ディアボロモン、ケラモンズ。」
二足歩行の狼型サイボーグデジモン、全身を鎧でかためた竜型デジモン、八枚の翼を持つ大柄な大天使デジモン、八枚の翼としなやかな体を持つ女性天使デジモン、オウムのような姿に両手の生えたデジモン、全身が棘棘した恐竜型デジモン、六枚の翼を持つ天使デジモン、白い猫のような姿のデジモン、赤い翼を持つ巨鳥型デジモン、悪魔のような姿の謎のデジモン、大量にいるクラゲのようなデジモン、を出現させた。
「進撃!敵軍を迎え撃て!!」
キサキの指示と同時に、デジモン達は敵軍に向かっていった。エンジェウーモンとパロットモン、ディアボロモンとケラモンズが上空から牽制し、他のデジモンが地上から攻撃を仕掛ける。そして、ブラックメタルガルルモンはメタルガルルモンXに向かっていった。
「コキュートスブレス!!」
「コキュートスブレス!!」
二体のメタルガルルモンの放った冷気は、上空でぶつかると氷の雨を降らせた。
「ところでキサキ、我らの出番は無いのか?」
キサキの持つクロスローダーの中で、エクスブイモンがキサキに訊いた、
「まだ、削れるだけ削ったら出番になるから。」
キサキはこう答えると、遠くの戦線を見た。デジモン自体の力では自分たちの方がはるかに上だが、数では相手の圧勝である。どんどん地上本部へと近づいてきている。
そして、地上本部内部のクラウドはと言うと、
「ああ、すみません。ちょっと通してください。」
人をかき分け人を探していた。しばらくしてから、目的の人物を見つけた、
「高町なのは一等空位と、フェイト・T・ハラオウン執務官ですね。」
彼の目的の人物は、なのはとフェイト、そしてはやてである。三人固まっていてくれたのが幸いした。
「えーと、確かクラウドさんでしたよね。」
はやては思い出しながら訊いた、
「はい、そうです。」
クラウドはこう答えると、先ほど地上本部の建物の屋上で見てきた様子を報告した。
「それで、今あなた方の部下がここに向かっていますが、あいにくエレベーターは動かない、非常シャッターが閉まってる状態なんです。」
クラウドはここまで言うと、
「俺に付いて来てください。皆と合流します。」
と、三人に言った。
そして、外でクワットロと対峙していたワイズモンは、クワットロの魔法技術に手こずっていた。
「どうですか、殴り合いは苦手ですけど、この手の事は得意なんですよ。」
クワットロの様子は余裕と言った感じだ。
(仕方ない、あれをやるか)
ワイズモンは心の中でこう思うと、
「パンドーラ・ダイアログ!!」
と叫んだ、
「あらぁ、今度はどんな手品ですか?」
(まあ大丈夫でしょう、しっかりバインドはかかってますし、ここまでの距離も十分、大したことには)
クワットロはいかにも余裕と言いたい様子でワイズモンに言った。しかし、すぐにその表情は絶望に染まった。目の前に黄金の巨人がそびえ、至近距離から今にも攻撃を行おうとしているのだ。
「あ、あああ…」
次の瞬間、容赦の無い砲撃が放たれた、
「いやあぁぁぁぁぁ!!!」
クワットロは砲撃に飲み込まれ、墜落した。ワイズモンの技である「パンドーラ・ダイアログ」は、自分の記憶している攻撃を再現する技であり、今再現したのは「シャウトモン×7」の「セブンビクトライズ」だ。
「ふむ、少しやりすぎたか。」
ワイズモンは目を回しているクワットロを見ながら言った。だからと言って、かの「デジタルブロンコ」の必殺技では一部地味なのがあるが再現が難しいという弱点がある。あまり彼が戦う所を見たことがないのだ。
一方その頃、地上本部の中のクラウドは、エレベーターの扉を開けるため扉を調べていたが、クワットロの制御が無くなった為、突然扉が開いて、クラウドはエレベーターホールに落ちて行った。
「ほんとに分からんやっちゃな。」
その様子を見ながらはやては言ったが、
「でも急がないと、彼が言ったことが本当ならかなり大変な事に。」
フェイトがこう言ったので、エレベーターのロープを伝って降りて行った。半分降りて行った所で、先に落ちて行ったクラウドに止められた、
「ここで停止、敵が来ます。」
クラウドがこう言うと、何かがこちらに上ってくるような音が聞こえた。
「すいません、ちょっと真上を向いててくれません。」
クラウドにこう言われ、三人は仕方なく真上を見た。その時、まるで断末魔のような叫びと何が飛び散るような音が聞こえた。恐る恐る目を下に向けると、
「ああ、もう大丈夫ですよ。」
クラウドが少し下に下がって呼んでいた。
そんなこんなあったが、何とか三人は新人四人と合流出来た。
「隊長大変です、キサキがここに来ているみたいです!」
スバルは大慌てでなのは達に報告したが、
「は?キサキは今頃賭け事してると思うけど。」
クラウドはこう言った、流石にストレートに競馬と言うのは気がひけたらしい。
「はい?」
その場にいる皆がこう思っていると、突然クラウドに連絡が入った。クラウドが出ると、
「やっと出た!今までなにしてのさ!!」
怒り心頭なキサキの声が聞こえてきた、
「そういうお前はどこにいるの?」
クラウドが訊くと、
「現在敵の進軍を止めてるけど、壊滅寸前です!」
と、キサキは言った。
「何かよく分かんないけど、突然グレイモンとかガルルモンがデジクロスして、変な奴になってんだよ。」
そして、その様子をモニターごしに見せた、するとそこには、デジモン達が次々と吸収され、一つの怪物となって行くようすが映し出されていた。
グレイモンを基準にしているが、頭部の角はカブテリモンのようになり、デビモンやクワガーモンの腕を付けた、足腰にガルルモンの毛を生やしているデジモンである。
「なるほどキメラモンか、だったらあれを使って全力で叩き潰せ、あいつが残っていると後々まずいことになる。」
クラウドがこう言うと、
「言われなくても!」
こう叫んだキサキは、クロスローダーからエクスブイモンとスティングモンをデジクロスした姿「パイルドラモン」の状態で出すと、
「パイルドラモン!超進化!!」
と、叫んだ。結果、パイルドラモンは強烈な光に包まれ、強靭な四肢を持ち、巨大な赤い翼を生やしたドラゴン型デジモンに変化した。
「パイルドラモン超進化!!インペリアルドラモン!!」
インペリアルドラモンは一回翼をはばたかせて飛び上がると、キメラモンに向かっていった。
「うわぁ、また変わっちゃった。あれもデジクロスの一つなの?」
スバルはその様子を見て驚いたが、
「なるほど、あれは超進化した姿なのか。それならあの力も肯けるな。」
突然背後に現れたバリスタモンとドルルモンにさらに驚いた、
「それより、超進化って?」
と、なのはに訊かれると、
「超進化と言うのは、特定のデジモンが特定の力を受けて、その姿を一時的に劇的に変える物だ。あいつの場合、キサキの竜王の力を受けて超進化するんだ。」
何故かクラウドが説明した、
「そういえば、タイキ君は?」
はやてがバリスタモンに訊いた、
「今ハ別行動ダ、タイキハ外デ戦闘機人ヲ探シテイル。」
バリスタモンがこう答えると、
「シャウトモンもここのどこかにいるんだ。」
と、ドルルモンが言った、
「そういえばギン姉も。」
スバルも思い出したように言った。
と言う事で、なのは、スバル、ティアナがシャウトモンとギンガを探し、フェイト、エリオ、キャロが隊舎を防衛するメンバーの援護に行き、はやてはバリスタモン、ドルルモンと共に外へ向かった。
そして、チンクの相手をしていたシャウトモンは、新しい敵の相手をしていた。緑色の骨の棍棒を持った鬼のようなデジモン「オーガモン」がどこからか現れ、襲い掛かって来たのだ。
「くそ、デジクロスも超進化もできないと。」
シャウトモンはオーガモンのパワーに押され、苦戦気味だった。彼の後ろでは、最初に挑みかかって秒でやられたチンクが倒れている。
「おい!ギンガを連れて早く離れろ!」
シャウトモンはチンクにこう告げた、
「何?!私は敵だぞ!」
チンクは驚いて、シャウトモンに訊いたが、
「今動けるのはお前だけだろ。」
と、シャウトモンは言って。オーガモンに「ロックダマシ―」を放った。しかしシャウトモンの攻撃を、オーガモンは簡単に跳ね返した。
「ぐわ!!」
跳ね返された攻撃を受け止めたシャウトモンは、大きくふっ飛ばされた。
また、機動六課の隊舎でも「アンドロモン」「メガドラモン」「メタルティラノモン」「エクスティラノモン」「メタルマメモン」が合体し、「ムゲンドラモン」となっていた。
「トライデントアーム!!」
「ブースタークロー!!」
メタルグレイモンの手甲と、ムゲンドラモンの爪がぶつかり合い、火花を散らす中、グラウンドラモンは、
「メガトンハンマークラッシュ!!」
「グレートトルネード!!」
ブラックウォーグレイモンと戦っていた。しかし、威力はともかく鋭さで負けてしまい。グラウンドラモンは右の腕に傷を負った。
そしてブラックウォーグレイモンは、次の標的を隊舎の入り口近くでクロスローダーを持って震えていたヴィヴィオに定めた。
「まだまだガキとはいえ、クロスローダーを持っているなら始末するか。」
ブラックウォーグレイモンはこう言って、ヴィヴィオに近づいて行った。
「しまった!ヴィヴィオ!!」
「ヴィヴィオさん!!」
メデューサモンとアインハルトは驚いた、そして助けに向かおうとしたが、合体に巻き込まれなかったデジモン達に阻止されその場へ向かうことができない。シャマルとザフィーラもほかのデジモンを食い止めている最中であり、その場を動くことができない。
そんな中で、ブラックウォーグレイモンに炎の玉が飛んできた。
「ヴィヴィオには指一本触れさせないぞ!!」
攻撃を行ったのはテリアモンである。
「豆鉄砲が、効くわけ……」
ブラックウォーグレイモンがこう言って、テリアモンのほうを向くと、
「ブイモンヘッド!!」
ブイモンの頭突きをまともに喰らい、地面に激突した。
(なんだと、そもそもこいつらは二体揃って戦っても、シャウトモンの足元に届くか否かのデジモンなはずだ。何故俺が?)
ブラックウォーグレイモンは思った。
(しかも、ブイモンとテリアモンの体から発せられる黄金の輝きは何だ?あいつらは本当に「ブイモン」と「テリアモン」というデジモンなのか?)
一方ヴィヴィオは、
「ブイモン、凄い。」
ブイモンの力に驚いていた。
「でもなんでしょう。あの光は。」
アインハルトが呟くと、
「きっと、彼らは進化しようとしてるんです。」
メデューサモンが敵の包囲を掻い潜り戻ってきて、説明した。
「そんなはずあるか!デジモンが進化するには気が遠くなるほどの時間がかかるものだ!)
ブラックウォーグレイモンはこう言ったが、ブイモンとテリアモンは、
(何だこの奇跡にも等しい強力な力は、これはヴィヴィオから?)
(アインハルトの力、これがあれば)
何か特別な力が自分たちに流れ込んでくるのを感じていた。
「ヴィヴィオさん、やりましよう。」
アインハルトはヴィヴィオに告げた、
「はい!」
ヴィヴィオは決意に満ちた目で立ち上がった。一緒に戦うんだ、と。
「クロスローダーを掲げて、私の考えが正しければこれで進化を行えるはず。」
メデューサモンの説明を訊いたヴィヴィオとアインハルトは、自分のクロスローダーを掲げると、
「ブイモン、超進化!!」
「テリアモン、超進化!!」
と、叫んだ。そして、クロスローダーから発せられた黄金の輝きは、ブイモンとテリアモンを包み込み、次の瞬間、全身を黄金の鎧で武装した竜人型の聖騎士デジモン。黄金に輝くボディを持つ、プードルのような姿のサイボーグ型聖騎士デジモンが現れた。
「マグナモン!!」
「ゴルドラピットモン!!」
二体の聖騎士デジモンが現れた時、メデューサモンは思った、
(いける、これならこの状況もなんとかできるかも)
カットマン
「カットマンと。」
モニタモンズ
「モニタモンズの。」
全員
「デジモン紹介コーナー!!」
カットマン
「今回のテーマはブイモン。ブイモンは「デジモンアドベンチャー02」にて、本宮大輔のパートナーデジモンとして登場した小竜型のデジモン。そして今回はヴィヴィオのパートナーとして登場。得意技は「ブイモンヘッド」と「ブンブンパンチ」だ。」
モニタモンA
「創世記に存在していた竜型デジモンの生き残りと言われ、さまざまな形に進化する可能性を持っていますな。」
モニタモンB
「わんぱくな性格ながら、戦闘に優れた種族ですな。」
モニタモンC
「所謂、悪ガキと言うやつですな。」
カットマン
「今回は、ヴィヴィオの持つ聖王の力を受けて「マグナモン」に超進化するんだ。因みに余談だけど、進化の時には聖王「オリヴィエ・ゼーゲブレヒト」の霊が憑依する演出があるぜ。」
全員
「それじゃあまたね。」
次回予告
地上本部付近まで進軍し、破壊の限りを尽くすキメラモン。インペリアルドラモン、フェイト達も倒され、絶望的になった時、いよいよ”あれ”が登場する。
次回「逆転のオメガシャウトモン」
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第二十一話 絶体絶命と希望の光 | ||
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