武装神姫「tw×in」 第十四話 決着×認定= |
『まずは小剣で攻めるんだ』
「はいなのです!」
コナユキは小剣を持ち、カナユメへ距離を詰める。
「迎え撃つ!」
カナユメも小剣を持ち、迫るコナユキを待った。
「えぇい!」
コナユキの振るった小剣をカナユメは防ぎ、反撃に出る、コナユキはそれを防いで更に反撃。
先ほどより、コナユキの剣技が上がっている。
キィン!
一撃、カナユメの肩にかすった。
「なんだ? さっきより強くなってるのか」
別にそういう訳ではない。ただ、戦う相手が変わってるだけだ。
そう、今のコナユキはオレが動かしている。
「このっ!」
カナユメはライフルを構えた。
それを見てコナユキは後ろへとダッシュで下がる。
「真後ろに逃げてもムダだ!」
引き金が引かれた。確かにライフルは直線の弾、避けるなら左右だ。
引かれた以上、今から左右に動いても間に合うか微妙な所……普通なら。
しかし今は、右にダッシュした直後、瞬時に加速してライフルの軌道から抜けた。
「今のは……川か!」
カナユメの言う通り、現在コナユキが立つのは流れる川の上。普通に立っていては流されるその場所で進行方向にダッシュすれば普通より早くなるのは当たり前だ。
「まさかアイツがそんなことを計算していただと?」
いや、コナユキは計算してない。したのはオレだ。
『こういう風に、フィールドの地形を使うんだ』
現在コナユキには、情報の収集をさせている。
オレは初めて戦う相手は、まずその情報を集めることから始める。相手のクセや所持する武器を理解した上で、作戦を考えて指示を出す。これがオレのバトルスタイル。
まぁ基本は指示を出すだけ、って事だけどね。今回はコナユキにバトルの初歩を覚えさせるためにオレが動かしているけど。
『そろそろ変わるよ』
オレはコナユキに身体を返した。
『大剣で攻撃!』
「はいなのです!」
コナユキは大剣を構えて、カナユメに向け振るった。
「何度やっても同じだ!」
カナユメは先ほどのようにジャンプ、コナユキの後ろに回ってライフルを構えた。
『180°回転で追撃!』
コナユキはその場で真後ろに回転し、飛んできたライフルの弾を大剣で防いだ。そのまま大剣を持ち再度カナユメへ振りかぶる。
「ちっ!」
カナユメは後ろへターンして避けた。
「惜しかったな」
「むぅー! 避けてばかりでないで攻撃するのです!」
怒りと共に、コナユキは再び大剣を振るう。
すると、
スポッ
「はぇ?」
「はっ……?」
ズガン!
「うぐぅ!?」
ズシャー……
『……』
「あわわ! 大丈夫ですかカナユメさん!?」
コナユキは倒れたカナユメに駆け寄っていった。
今何が起こったのかと言えば、コナユキが怒りと共に振るった大剣が、その手からすっぽ抜けて前にいたカナユメに直撃したんだ。
ふと、アルトレーネ型の固有レールアクション、ゲイルズゲイグルを思い出した……違うけどね。アルトレーネ型で、大剣ジークリンデを投げたけど、武装が揃ってないし。
「大丈夫ですか!?」
元が大剣だから、下手な弾丸よりダメージがあるかも……
「つぅ……まさか大剣を投げつけるとは、読めなかったぞ」
うん、オレも読めなかったよ。
カナユメはターンで起き上がりコナユキとの間を開けた。
「だがこの程度では負けない。そして……負けるのはキサマの方だ!」
そう言った矢先、カナユメはレールアクションの構えを取った。
レールアクションか……移動の類い……は無いな、台詞から察するに決着をつける為の攻撃系の筈。カナユメの武装から考えるに、予想出来るのは小剣かライフル、もしくはまだ見ぬ一つの武装。或いは……
とにかく、動き出してからその軌道で予測するしかない。
カナユメが動いた。レールアクションの光を帯びて、そのまま直進して来る。
あの動きは……まさか、ハンマー?
と思った瞬間、カナユメは止まって武器を取り出した。
それは、カナユメ三つ目の武器にして、オレの予想……に反していた。
その手にあった……
『ガードだ!』
「ふぇ!? は、はいなのです!」
ガトリング:アリサノスが動き出した。
カカカカカカカ!
ガトリングの弾がシールドに当たる。
「はわわわ!」
初めて見たその光景にコナユキは驚いている。
しかしマズイな……ガトリングのレールアクションだとしたらシールドが間に合わない。
本来武装にシールドという物があり、それをつける事で防御範囲やシールドの強化がされるが、現在コナユキにはつけていない。つまり初期状態のシールドだ。
それでガトリングのレールアクションを受けきるのは……
そう思った瞬間、
パリーン!
シールドが砕けた。
「きゃあ!」
防ぐものがなくなり、無防備となったコナユキにガトリングの弾が……止んだ。
え……止んだ?
まだ半分はあると思っていたが、シールドが間に合ったのか?
と思った矢先、カナユメは光を帯びて更に前へと進んでいた。
その動きは、まだレールアクションが続いている動きだった。
「終わりだ」
カナユメは小剣を構えて体勢を低くコナユキの懐に飛び込んだ。
まさか、コレは……
ズバァ!
「きゃあぁぁ!」
だ、ダブルレールアクションか……
ダブルレールアクションとは、本来一つの武器で行うレールアクションを、2つの武器で順番に行うレールアクションの事だ。
その為には2つの決まった武器が必要なのだが、決まった時のダメージはもちろんレールアクションよりも高い。
先ほどカナユメが使ったのはその内の一つ、『ATK:小剣、ガトリング』だ。
「はぅぅ……ごめんなさいなのです、マスター……」
「大丈夫だよコナユキ、オレも予想出来なかったからさ」
ダブルレールアクションは出来てまだ間もない新しい技。オレもまだ数回した見たことが無いし、さっきの至っては初見だ。その動作から、カタログに書いてあったのを見て名前は分かったけど。
という訳で、コナユキの初バトルは負けで終わった。
「はぅぅ……」
やはり悔しいのか、しゅんと落ち込んでしまっている。
前にルミアも負けて落ち込んでいたけど、さすがに初バトルの負けは落ち込み方も凄いな。
どうにか機嫌を直さないと。
「コナユキ、負けて悔しいのは分かるけどさ、これを糧にして次は勝てるように頑張ろうよ」
と言って、コナユキの頭を撫でた。
コナユキは小さく頭を上げる。
「マスター……怒ってないのですか? 負けてしまったのですよ?」
「怒ってないよ、戦えば負けることだってあるんだからさ。それにコナユキは初めてのバトルで慣れてなかったんだから」
「マスター……」
ふぅ、どうにかなりそうだね。
なんというか、慰めるのに若干慣れている事を知った。
「オイ、キサマ」
その時、カナユメがコナユキの前に現れた。その後ろに天野、その肩の上にうらもいる。
「悪いわね宗哉、今回はアタシ達の勝ちよ」
「うん、次は負けないよ」
「いいか、キサマ」
カナユメはコナユキに何か話しかけていた。
「今回はアタシとマスターの勝ちだ。だが、アタシは納得はしていない、それはキサマのあの攻撃があったからだ」
「あ、あの攻撃、なのです?」
あの攻撃ってまさか……
「大剣を投げつけたやつだ」
やっぱり、あのまぐれか。
「あの、アレはまぐれなので…」
「型にはまらないあの攻撃、アタシのバトル経験が少ないのもあるが、キサマの戦い方は他には類を見ないものだ。それはバトルを続けていく内に変わっていくものでもあるが…」
「え、えぇっと……つまり、どういうことなのです?」
「つ、つまりはだな……」
コナユキの質問に口ごもるカナユメ。
「要は、カナユメはコナユキをライバルとして認めるって言いたいのよ」
それを天野があっさりと代弁した。
「そ、そうなのです?」
「なっ!? ま、マスター、何を言って…」
「そういうことを言いたいんでしょ?」
「た、確かにそうだが……しかしマスター…」
「カナユメさん!」
コナユキはいきなりカナユメの手をがしっ! と握った。
「な、なな!?」
「確かに今回はわたしの負けなのです! けど、次は負けないなのです!」
コナユキの目は、輝いていた。
きっと、ライバルと呼ばれたことが嬉しかったんだと思う。
「あ、あぁ……うん……っていや違うぞ!? アタシはそんなつもりで言ったんじゃ…」
「マスター! カナユメさんに勝つため、わたしを強くしてくださいなのです!」
「うん、お互い頑張ろうね」
「はいなのです!」
かくして、コナユキの機嫌は治ったのだった。
「ところでさ、結どこ行ったか知らない?」
「え?」
そういえば、真南もいない。
「皆、真南と木部がどこに行ったか知らない?」
ライドシステムの外で一緒に見ていただろうスレイニ達に訊ねた。
答えたのはエンル。
「真南さんでしたら、木部さんと一緒に筐体の予約をしに行きましたよ」
筐体の予約?
「お?い」
そこへ真南がやって来た。後ろには木部もいる。
「真南、筐体の予約して来たんだって?」
「うん、だってわたしの目的まだ達成してないんだもん。……という訳で…」
ピッ、と真南はオレを指さした。
「早速勝負だよ、宗哉!」
説明 | ||
説明ではないのですが、少し宣伝を、 少し前に投稿した、外伝。またいつか投稿しようと思っています。 |
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