オフライン2  NAISEI TUREEEE
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ある貴族領の城館図書室にて。

 

俺は学院の休みを利用して帰省している。

調べ物をする為だ。特に地球の科学技術関係の。

日本語で書かれた本は割と簡単に見つかった。

俺は期待をこめてその手記に目を通す。

梅酒と((酢漬け | ピクルス))のレシピだった。

……今度料理人に作らせよう。

 

次は英語か。これならそこそこ読める。

『DemonLord of Karanda - Book Three of Malloreon』

これは……ファンタジー小説か。

前世で愛読してたシリーズだけど途中の一冊だけじゃなぁ。

 

さらに本を手に取る。

タイトルは『Metal technology』

おお、金属の技術か!?

期待をこめて本を開く。

ハングル文字だった。

……うん。転生者が日本人だけじゃないって分かってたのにね。

でもここはご都合主義で来て欲しかったよ。OTL

 

気を取り直して次の本をとる。

手作りの皮革カバーに書かれたタイトルは『薬品』。よし日本語だ。

ページを開くとアラビア文字が並んでいた。

「前世にて((波斯 | ペルシア))語を覚えたることが役立つとは夢にも思わず」

表紙の裏には流暢な毛筆でそうあった。

注釈は日本語だったが慰めにもならない。

(地球の)錬金術っぽいのでそこそこ役立ちそうなんだけど……

お願いだから和訳かハルケギニア語訳しといて……。

 

今度こそと別の本を取る。

知らない文字で書かれているのに何故か読める。

「約束の1:教団の教えにそむく者は光の国へたどりつけないだろう」

「約束の2:大教祖イブールを信じる者は神に愛されるだろう」

『イブールの本』かい!!

取り敢ず床に叩きつけておいた。

 

そろそろ諦めた方が良いかと思いつつも次の本を手に取る。

地図帳のようだがあまり精密でない絵地図だ。

その中の一枚に日本語の覚え書きがある。

『見えざる魔神の地図』

い、いやぁー! もう堪忍してェ!!

メタルなスライムはウチの((使い魔 |鬼軍曹))だけで充分よ!

フゥハハハーハァー。ゆうぼう の訓練はホント地獄だぜ!!

 

もう俺のHPはゼロだが敢えて次の本を取る。

『男のワンダーランド』

……ウチの家系が代々女好きなのはこいつのせいか。

いわゆる『エッチな本』です。

随分と手垢がついてるが、きっと『あいどくしょ!』なんだな。

性格が変わらない内に本棚に戻した。

 

結局まともに俺が役に立てられる本は見つからなかった。

『錬金釜レシピ完全版』なんてどうしろと……

ただ漢文の白文があったのでお爺様のところに持ち込んだ。

前世が9世紀生まれの漢人だそうなので一縷の望みを託す。

一通り目を通したお爺様は湯のみから茶を飲み干すと答えた。

「ふむ。大躍進や文化大革命とやらへの恨みが書き連ねてあるの」

 

その日俺は自分の部屋に篭って不貞寝した。

 

結局役に立ったのは梅酒とピクルスの作り方のみ。

「ああ、内政チートの夢が……」

「たわけ。そんなものがあったら疾うの昔に私がやっておる」

((父上 | オヤジ))殿の尤もな仰せに俺は梅酒を呷った。

「ですよねー」梅酒旨えな畜生。

 

「マスターがそんな甘い事を考えていたとは嘆かわしい。

 奥様。今回の件のマスターへの注意は私にお任せ願えませぬでしょうか」

「ええ。使い魔とメイジは一生を共にするもの。貴女の良いようになさい」

「はい。実は最近すべての((精神力 | MP))を解放する『渾心の焔』を覚えまして」

「あら。貴女の精神力では些か気になる事になりませんか?」

「問題ありません。『地獄の雷霆』や『始原の閃光』に耐えるマスターですよ?。

 そのように私が鍛え上げたのです。うふふ……」

「あらあら。それは楽しみですわ。おほほ……」

 

そして俺の迂闊な行動は((微笑む母 | 大佐))と((使い魔 | 軍曹))にOSHIOKI判定されていたのだった。

説明
濡れ手に粟の目論見。
しかし、そうは問屋が卸さぬのです。
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