勇者伝説セイバスター 第15話「帝王君臨」
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第15話「帝王君臨」

 

 ソルダーズとゴルヴォルフを倒してから数日がたった。

 あれからデストメアは目立ったことを全く行なっていない。魔物での侵略、レクイスト自身による破壊など、一切行なっていない。

 石橋らの推測によれば、策が尽きたと言うことになってるが、それも定かではない。

 だが、空人たちには願ってもいない休みを取ることができた。

 

 

 HBFトレーニングルーム。

「………………」

 何もない部屋の中で、ただ一人ファントムが目を閉じてたたずんでいる。

 その瞬間、

 

シュッ!

 

 四方八方からものすごい勢いで何かがファントムに向かって飛び出してきた。

「ッ!」

 ファントムは目を思い切り見開くと、自分に向かって飛んできた何かを次々と持っていた木刀で叩き落とした。

 その叩き落されたもの―ゴムボール―は勢いよく弾んでファントムから離れていく。

「………………」

 ファントムが木刀を腰に納めるように戻す。すると、安全のために張られている強化ガラスの向こう側から拍手が聞こえてきた。

 ファントムが振り向くと、そこには笑顔で拍手をしている空人と晴香の姿があった。

「お前たちか」

「すごい、すごいや! あんなにたくさんのボールを一瞬で落とせるなんて、僕にはできないよ!」

 当然だろう、とファントムは思ったが言うのも野暮だと思い、口にするのを止めた。

「どうやってそんなに強くなったんですか?」

 晴香の質問に、ファントムは少し顔をこわばらせる。

「これは、もともと私の力ではない」

「あっ……」

「そっか……」

 ファントムの強さは、レクイストの強さのコピーなのだ。勇者たちがてこずった相手の力と全く同じなのだから、強いのも納得ができる。

 が、同時に悪いことを聞いてしまったと空人たちは表情を曇らせてしまう。

「気にするな。お前たちが悪いのではない」

「はい……」

「あっ、そうだ。ねえファントム、ファントムは地球で人間として暮らしていたんだよね?」

 暗くなったその場の雰囲気を変えるために、空人は話題を変えるために一つ質問をした。

「ああ、その通りだが……」

「昔の話、聞かせてよ!」

「あ、私も聞きたいです」

 ファントムは一瞬どうしようかと悩んだが、二人の純粋な目の輝きに負けて話すことにした。

「……分かった。だが、ここは話すのに適した場所ではない」

「だったら、すぐ近くの公園に行こうよ!」

 そういうと、空人は晴香と共にファントムを連れてトレーニングルームを出る。

「そ、そんなに引っ張るな……」

 ファントムは少し困ったように言うが、表情はまんざらでもないといった顔をしていた。

 

 

 一方、瞬治と誠也はというと。

「………………」

「いくぜ……」

 道場で道着を着て向き合っていた。

 これから、試合を行なうらしい。

「でやあっ!」

 先に動いたのは誠也だった。

 誠也は瞬治に向かって思い切りかかる。だが、瞬治はいとも簡単にその拳をよけた。

「!」

 だが、その瞬間にもう片方の拳が瞬治の顔めがけて襲い掛かってきた。

 

ガシッ!

 

 瞬治はとっさに腕で拳を止め、誠也との間をとる。

「さすが瞬治、そう簡単にくたばるはずがねーな……」

 瞬治の見事な防御に感心する誠也。

「けど、ケンカ暦ならこっちの方が上だぜ!」

 そして、すぐに再び瞬治に攻撃を仕掛けてきた。

「おぉりゃあっ!」

 誠也は、今度はキックを放ってきた。

 瞬治は誠也の脚の軌道からローキックと判断し、防御の構えを取る。

「!」

 だが、その読みは外れた。誠也のキックは突如軌道を変え、瞬治の脇腹を狙ってきた。

「ぐっ……!」

 さすがにこれをよけることはできず、瞬治はそのキックを受けてしまう。

「もらったぁ!」

 次の瞬間、誠也はよろけた瞬治の顔面に向かってパンチを繰り出し、ヒットさせる……はずであったが、瞬治の顔面手前まで来て突然止まってしまった。

「……さすがだな、誠也」

「ンなこと言ってる瞬治こそ、なかなかやるじゃねーか」

 誠也の拳が止まった理由は、瞬治にあった。

 誠也の拳が顔面をとらえようとした瞬間、瞬治は誠也の腹部に向かって拳を突き出していたのだ。

「まあ、どっちにしろ殴るつもりはなかったけどよ」

 そういうと、誠也は拳を戻し自分の道着を整えた。

「それより、休みの時にやる事ってこれしかなかったのか?」

「まあいいじゃないか。どうせヒマだったんだろ?」

「せめて静かに読書とかはできないのか?」

「俺が読書だなんて、似合わないだろ?」

「……確かに」

 誠也のその言葉に、瞬治は納得してしまった。

 

 この、なんでもないごく平凡な休みは、直後に現れた者によって打ち砕かれるのであった……

 

 

 とある街にて。

 人々がいつもと変わりなく過ごしていた。だが、

「……?」

 突然、あたりが急に暗くなった。

「お、おい、あれは何だ!?」

 その時、街を歩いていた一人が空を指差した。

 そこには、巨大な人影……いや、人ではない。ロボットだ。ロボットの影が街をおおっていたのだ。

「うわあぁぁぁぁぁっ!?」

 その姿に人々は驚き、逃げ惑う。

「これが『青の星』か……なかなかのものだな」

 街の影となっているロボットが、突然しゃべり始めた。

「だが、このままにするのは非常に惜しい。この『帝王ヘルゲイズ』自らが闇の世界へとこの星を導こうではないか……!」

 ヘルゲイズと名乗ったロボットは、次の瞬間に自らの体から閃光を放ち、街を破壊する。

 そう、そのロボットこそ、宇宙帝国デストメアの帝王『ヘルゲイズ』なのだ―

 

 

ドオォォォォォォォン!!

 

「うわあっ!?」

「きゃっ!?」

「!!」

 ちょうど同じ頃、空人達は爆音と共に激しい揺れを感じた。

「な、何!?」

「……どうやら、『奴』が原因らしい」

 ファントムはいち早く『原因』を察し、その『原因』に向かって目を向けていた。

「な、何ですか、あれ?」

 晴香はその『原因』を見て、ひどく驚いた。そこには巨大なロボットがいたからである。

「分からない。だが、一つだけ分かっている事がある。それは、『奴』もデストメアだという事だ」

 ファントムはデストメアの者特有の気を感じ取り、デストメアの者だと察知した。

「ファイナル、街にものすごく大きなロボットが現れたんだ!」

『分かった、すぐに向かう!』

 空人は急いでファイナルに連絡すると、ファイナルブレスの向こうからファイナルの快い返事が返ってきた。

「私が勇者達の来るまでに足止めをしておこう……」

 ファントムはそういうと空の彼方から現れた戦闘機と融合し、巨大なロボットに向かって飛び去っていった。

 

 

「ム……?」

 ヘルゲイズは、自分に向かって飛んでくる戦闘機に気づいた。

 すると、戦闘機が自分の目の前で変形し、ロボットとなる。

「街を破壊する前に、まずは私と戦ってもらおう」

「なるほど、貴様がファントムか」

「!?」

 ヘルゲイズが自分の名前を知っていたことにファントムは驚く。

「なぜ、私の名を知っている?」

「これから死にゆく貴様に、理由を話している暇はない……!」

 次の瞬間、ヘルゲイズが手のひらをファントムに向けて黒いレーザービームを放ってきた。

「くっ!」

 ファントムはとっさにかわし、

「ハッ!」

 同時にヘルゲイズに向かって手裏剣を投げる。

 

ガスッ!

 

 手裏剣は確かにヘルゲイズに命中した。だが、

「これが貴様の攻撃か? 虫が止まったかと思ったぞ」

「なっ!?」

 ヘルゲイズにダメージは全くない。例えダメージがあったとしても、それは微々たる物であろう。

「虫は虫らしく、おとなしく消えるのだな……!」

 ヘルゲイズは再びファントムに向かって黒いレーザービームを放つ。

「くっ……!」

 目の前で腕を交差させ、直撃は何とか免れたものの、ダメージは少なくない。

「ファントム!」

 そこに、すでに合体を終えた勇者達がやってきた。

「な、なんだこいつは……!?」

「やけにデカイ……」

 そして、ヘルゲイズの大きさに驚く。

 ヘルゲイズのその姿は、グレートファイナルセイバスターをはるかにしのぐ大きさなのだ。おそらく、グレートファイナルセイバスターの三倍はあるだろう。

「これで勇者がそろったか……」

「お前は一体誰だ!?」

「我は宇宙帝国デストメアの帝王、名をヘルゲイズ……」

 瞬治に聞かれ、名乗るヘルゲイズ。

「帝王……?」

「やっと、大ボスのお出ましってわけか」

「我の計画を邪魔する者共よ、滅ぶがいい……!」

 ヘルゲイズがそういうと、最初に出現したときと同じように閃光を放った。

「ぐっ……!!」

 閃光に包まれた瞬間、勇者たちの全身に激しい衝撃が襲ってくる。

「このっ……! レオンクロー!!」

 その衝撃に耐え、レオンセイバスターはヘルゲイズに向かって手の甲に装着された爪で攻撃する。

「!!」

「ぐわっ!!」

 しかし、突如目の前に現れ、自分に殴りかかったヘルゲイズの拳によってその攻撃は無効化されてしまった。

「フェザーキャノン!!」

「ヴァリアントバルカン!!」

 その時、ヘルゲイズに向かってグレートファイナルセイバスターとヴァリアントセイバスターが同時に攻撃を行なった。

 

ズドォン! ドォン!

 

 二人の攻撃も、ヘルゲイズのバランスをわずかに崩すのみで終わってしまう。

「弱い者がいくら集まったところで、私を倒せるはずがない」

 ヘルゲイズに表情と呼べるものはないが、勇者達はヘルゲイズがあざ笑っているように見えた。

 そして、

 

ズガアァァァァァァァァァッ!!!

 

「ぐわあぁぁぁぁぁっ!!」

 三度閃光を放ち、勇者達をはねのける。

「ぐっ……!」

「まだまだぁ!」

 それでも、レオンセイバスターはあきらめず攻撃を続けた。

「レオンクロー!!」

「無駄だ……!」

 レオンセイバスターの攻撃をわざと受けるヘルゲイズ。その姿はどことなく余裕が感じられる。

「フェザーキャノン!!」

「ヴァリアントバルカン!!」

「ハッ!」

 他の勇者達もあきらめずに攻撃を続ける。瞬治は同時に弱点を探していた。

「あきらめというのを知らんのか……!?」

 ヘルゲイズは勇者達の攻撃にわずかながら怒りを感じ、

「ムン!」

 手刀で空を切った。すると、黒い刃が発生し、勇者達にダメージを与えていく。

「ぐわああっ!」

 再びはねのけられる勇者達。

「弱い……」

「く……」

 ヘルゲイズのその強さに、勇者達は少しばかり恐れを感じる。

「弱い……なぜこうも弱い者が我にはむかってくるのだ……?」

 ヘルゲイズは疑問を抱いていた。自分より弱い存在―この場合、勇者達の事である―が、何故ここまで自分にはむかってくるのか、理解できないのだ。

「何故我らの計画を妨げる? 闇の世界こそ真の世界。夢や希望などに苦しむことなく、ただ絶望や恐怖に体を打たれる日々。これこそが、この世界でもっとも極楽な姿……」

 ヘルゲイズは勇者達に力説した。自分たちの望む闇の世界がどれほどすばらしいものかを。

「だからって……」

 その時、空人が口を開いた。

「だからって、街を壊すなんておかしいよ! 勝手に地球に来て、それで勝手に壊すなんて、おかしいよ!」

 空人は自分の中にたまっていた怒りを噴出させる。

「それに、夢や希望で苦しんでる奴なんて、この地球には一人もいない……」

 空人の言葉を聞き、瞬治も自分の思いを口にした。

「もし苦しんでる奴がいたとしても、その夢や希望を達成した瞬間、全ての苦しみがなくなるものだ」

「だいたい、世の中暗く生きてるなんて、人生を無駄にしてるようなものだぜ!」

 誠也もヘルゲイズに向かって言葉をぶつける。

「そうか……貴様らはそのくだらぬ感情を持って我にはむかうのか……ならば、そのくだらぬ感情を壊してやろう……!!」

  ヘルゲイズが言い終えると、あたりに震動が走った。

「来るぞ!」

「ハアァァ………ハァッ!!」

 ヘルゲイズが全身から勇者めがけてレーザーを放つ。

 

ズドドドドドドォォォン!!

 

 全てのレーザーが勇者達に直撃したかと思われた。

「ハァッ!」

 だが、巻き起こった煙の中から、両手の甲にレオンクローを装着したレオンセイバスターが現れ、

「レオンクロー・ダブル!!」

 ヘルゲイズの肩に向かって攻撃した。

 当然、先ほどと同じようにヘルゲイズにダメージは無い。

「うおぉぉぉぉぉぉぉっ!!」

 それでも、レオンセイバスターはあきらめることなく攻撃を続ける。

「何を今更無駄なことを……!」

 ヘルゲイズはレオンセイバスターを手でつかもうと手を伸ばした。

 レオンセイバスターはそれを察知し、攻撃を止めて上空へ舞い上がる。

「行くぜ! うおぉぉぉぉぉっ!!」

 そして、レオンセイバスターがヘルゲイズに向かって全力をこめたレオンクローで攻撃した次の瞬間、

「ぐっ……!?」

 ヘルゲイズの肩は粉砕され、動力となっているメカがあらわになる。

「どんな硬い装甲でも、ダメージが蓄積されりゃ必ずぶっ壊れるんだよ!」

 レオンセイバスターは誇らしげにヘルゲイズに向かって叫んだ。

「ぐう……」

「ヴァリアントエッジ!!」

 続けて、ヴァリアントセイバスターが右腕をヘルゲイズに向かって突き出すと、V字の刃がヘルゲイズに向かって飛んで行く。

「ムン……!」

 ヘルゲイズがそれに気づかないはずも無く、簡単に叩き落されてしまう。

「ハアッ……!」

 そして、ヴァリアントセイバスターに向かってレーザービームを放とうとした瞬間、

「ファイナルブレード!!」

「!」

 グレートファイナルセイバスターが剣でヘルゲイズの腕をはじき、レーザービームの軌道をそらした。

 レーザービームは空の彼方へと消えていく。

「ハッ!」

 すかさずヴァリアントセイバスターは叩き落されたヴァリアントエッジを拾い、

「ヴァリアントボウガン!!」

 取り出した銃に装着し、ヴァリアントボウガンにする。

「VALIANTBOWGUN、MACHIN GUN MODE!!」(ヴァリアントボウガン、連射モード!!)

 

ドォン! ドォン! ドォン!

 

 ヴァリアントセイバスターはそのボウガンで、グレートファイナルセイバスターによって隙のできたヘルゲイズに向かって連射した。

「ぐぅっ……!」

 ヴァリアントセイバスターの放った雷の弾は、今までダメージを受けても痛むこと無かったヘルゲイズに痛みを与えた。

「例えどんなに装甲が厚くても、必ず弱い部分が存在する。そこを確実に狙えば、ダメージを与える事ができる」

「グレートドラゴンバーン!!」

 ヴァリアントセイバスターが言い終えるか終えないかのうちに、グレートファイナルセイバスターがヘルゲイズに向かって炎の弾を打ち出す。

「ぐあっ……!!」

 炎の弾がヘルゲイズに当たった瞬間、ヘルゲイズはその威力によってこの戦いで初めて後ろによろけた。

「そして、我々の何よりの武器は、『勇気』だ。絶望や恐怖に負けることのない、勇気が」

「ぐ……」

 勇者達の猛攻に、ヘルゲイズは少し焦りを感じ始める。

「!!」

「ハァッ!」

 そこに、ファントムが手裏剣を投げ、ヘルゲイズにダメージを与えた。

「我々には力を十二分に引き出してくれる仲間がいる。単独の力にしか期待しない貴様らに負けるはずがない」

 ファントムも他の勇者同様に、ヘルゲイズに言葉をかけた。

「フ、フハハハハハハハハ……!!」

 その時、ヘルゲイズが急に笑い始める。

「!?」

「な、何がおかしい!?」

 突然のことに、驚く勇者達。

「なるほど、これが貴様達の力の源か。だが、こんなもので私は倒せぬぞ……!」

 ヘルゲイズが言い終えた瞬間、

 

ドガアァァァァァァァァッ!!

 

「ぐっ!?」

「くっ!!」

 突然勇者達に衝撃が襲ってきた。ヘルゲイズが新たな攻撃を行なったのだ。

 それに勇者達は何とか耐え、

「みんな、行くぞ! ファイナルブレード!!」

「ヴァリアントボウガン!!」

「レオンクロー!!」

「ハッ!」

 それぞれの武器で再び攻撃を始めた。

「はぁっ!」

「!!」

「でやあっ!」

「ハッ!」

 四人の勇者の攻撃が同時にヘルゲイズにヒットする。

「そんなものは効かぬ……!」

 だが、ヘルゲイズは先ほどと同様に全くこたえていない。

「くっ!」

「だあっ!」

「無駄だおいうのが、まだ分からぬか……! ……っ!?」

 再び攻撃を行なう勇者達。しかし、結果は全く同じであったと思われた。

「ぐ……!?」

 なんと、グレートファイナルセイバスターの剣がヘルゲイズの体に食い込んでいるではないか。

 いや、グレートファイナルセイバスターだけではない。ヴァリアントセイバスターの雷の弾も、レオンセイバスターの爪も、ファントムの刀もすべてヘルゲイズの体に傷を与えている。

「ば、馬鹿な……!?」

「言ったはずだ。絶望や恐怖に負けることのない『勇気』が、我々の武器だと」

 そういうと、勇者達は一斉にヘルゲイズから離れた。

 ヘルゲイズは傷ついたことにより、まともに動くことができないでいる。

「そうか、これが貴様達の『光』の力か……!」

「あの世でこの地球を襲ったことを後悔するんだな! トライアングルフィールド!!!」

 レオンセイバスターはヘルゲイズの真上にジャンプし、手からバリアを発生させてヘルゲイズをバリアの中に閉じ込めた。

「ヴァリアントボウガン!!」

 そして、ヴァリアントセイバスターは銃を構え、

「ムン!」

 ファントムは二本の刀を縦に構え、

「ファイナルブレード!!」

 グレートファイナルセイバスターは剣を持ち直して構えた。

「行くぜ……」

 瞬治は照準をヘルゲイズに合わせる。

「THUNDERARROW,FIRE!!!」(サンダーアロー、発射!!!)

 瞬治がそう叫ぶとヴァリアントセイバスターはすかさず引き金を引いた。

 

ズキュゥゥゥゥゥゥゥン!!

 

 その瞬間、銃声と共にヴァリアントボウガンから雷の矢がヘルゲイズに向かって飛んでいった!

 

ズドオッ!

 

 サンダーアローがヘルゲイズに深く突き刺さる。

「幻影の……」

 残像を残しながらヘルゲイズに近づき、

「太刀!!!」

 眼にも止まらぬ速さでヘルゲイズを両断した!

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

 グレートファイナルセイバスターは剣を上にかざし、激しく咆哮すると空高くジャンプした。

「フィニッシュフレア!!!」

 真上から斬ると同時に腕のバスター砲から炎を噴き出し、剣と炎でヘルゲイズを一刀両断する!

「フ………!!」

 その刹那に、ヘルゲイズは一瞬笑みを浮かべた。だが、

 

ドオォォォォォォォォン!!!

 

 直後に爆発し、この場から消滅した。

 

 

「…勝った………」

「〜〜ぃやったあ!!」

 空人たちを含む勇者達全員はこの戦いに勝利したことを喜んだ。

 それも当然である。レクイストを除いて、最後の敵である帝王ヘルゲイズを倒したのだ。

「あとはレクイストだけだな」

「大丈夫だって。あの大ボスを倒したんだぜ、それに比べりゃあんな奴なんてちょろいちょろい」

 勇者達が安心しきっていたその時、

「フハハハハハハハハハ……!!」

「!!」

 どこからともなくその場に、いや、世界中に響くような低い笑い声が聞こえてきた。

「この声……」

「まさか……!?」

「我は宇宙帝国デストメアの帝王、名はヘルゲイズ……」

 そう、あのヘルゲイズの声が響いてきたのだ。

「そんな……!?」

「ヘルゲイズはついさっき俺達が……」

 先ほど倒したはずのヘルゲイズが何故生きているのか、勇者達は全員疑問に思った。

「我の力の10分の1にも満たない『分身』を倒したのがそんなに嬉しいか……?」

「何だと!?」

 そうなのだ。先ほど倒したヘルゲイズはヘルゲイズの分身なのだ。しかも、ヘルゲイズの力の10分の1にも満たない分身。

 次にヘルゲイズが口にした言葉は、勇者達にとって信じられないことだった。

「勇者達よ、聞くがいい。我ら宇宙帝国デストメアはこれから青の星に総攻撃をかける……!」

「何!?」

 ヘルゲイズの言葉に、勇者達は驚愕する。

「その時こそが、この星、そして勇者達の最後だ。覚えておくがいい……!」

 それっきり、ヘルゲイズの声は聞こえなくなった。

「………………」

 あまりにも突然の出来事に、言葉を失う勇者達。

「…どうやら、本当の最終決戦はまだのようだな……」

 ファントムはそういいながら空を見上げた。ファントムに見えていたのかは分からないが、その先にはデストメアの戦艦があった……

 

第16話に続く

 

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次回予告

 

瞬治だ。俺たちの次の任務を教える。

 

とうとうデストメアが総攻撃を宣言した。

デストメアの本拠に向かうために、宇宙へ飛んだ俺達。

だが、そこにまたしてもレクイストが立ちはだかる。

最大の力を出して戦う俺達とレクイストだが、戦況は俺たちにとって不利に運んだ。

!? 何をするつもりだ、ファントム!?

 

次回、勇者伝説セイバスター『決戦の時』

 

行くぞ! 「VALIANT、Let’s go!」

説明
アニメ『勇者シリーズ』を意識したオリジナルロボットストーリー。中学生の頃に書いていた作品なので、文章の稚拙さが著しいのでご注意を。
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オリジナル勇者 連載 勇者伝説セイバスター 

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