IS-インフィニット・ストラトス ネクサス 優しさと技術と演奏とーTenderness, technology, and a performance ー
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 とある日の放課後、職員室で山田先生はため息をついていた。そこに千冬が声を掛ける。

「はあ〜〜〜〜。」

「どうかしましたか、山田先生?」

「あ、織斑先生。実は例の五人が・・」

「またあの五人ですか・・・・で、今度は何を?」

「地面に突っ込んだんです。」

「・・・・・・・・・・・は?」

 山田先生の言葉を上手く飲み込めない千冬。それもそうであった。国の代表候補生達が地面に突っ込んだにだから。

「やっぱりそうなりますよね。」

「ああ・・・・だがどうしてだ?」

「本人達に聞いたら織斑君のように上手くなりたいって言ってました。」

「そうか。」

「でも何度も思うんですけど、織斑君って何者なんでしょう。」

「それは私も思ったことだ。中学の頃なんかすごかったぞ。」

「織斑先生がそんなこと言うなんてどんなことしたんですか?」

「そうだな。ガスや水道管を直したり、バイトのシフトが通常の人間じゃ出来ないくらいに入れてあったりしてたな。」

「・・・・それ・・・・本当ですか・・・」

「まあな。近所の人に聞いたときはさすがの私も内心驚いたな。」

 そんな話をして二人の時間は過ぎていった。

 

 所変わって食堂。一夏達は食事を取っていた。だが、五人は落ち込んでいた。

「そんなに落ち込むなって。」

「しかしだな、お前のように出来ないのが悔しいんだ。」

「同感ですわ。」

「別に俺みたいに出来なくても・・」

「アンタ気楽ね。あたし達は代表候補生なのよ。」

「そうだよ。一夏と違って立場があるんだよ。」

「だが、一夏より劣っているのは事実だな。」

「「「「うっ!!」」」」

 ラウラの言葉にザクッと来た四人。ラウラは一夏に尋ねる。

「一夏、どうしてあんな飛行が出来るんだ?」

「ちょっとしたイメージをしてんだよ。」

「前も言ってなかったか?」

「そうですわ。」

「大体あんた、自分がどんだけすごいかわかってんの?」

「そうだよ。複数対一で勝ってるんだから。」

「あら。敵にわざわざおねだりするの?代表候補生ってのは?」

 一同驚き、声のするほうを振り向く。そこには緑色の髪をした女子生徒がいた。セシリアはその生徒の名前を言う。

「フレイ・ルラーノ。」

「知ってるのか、セシリア。」

「ええ、私と同じ代表候補生の候補メンバーの一人でした。」

「そのとおり。私はあなたとの競争に負けてティアーズを奪われた身よ。でもあなた、男に負けたのにのんきにお食事なんて笑わせてくれるわ。」

「おい!」

「!」

「言いたいこといって勝ったつもりか?」

「あなた、男のくせに歯向かうの。」

「そうだな。」

「意外とあっさり言うのね。」

「まあ、お前はセシリアだけじゃなく他の皆も侮辱したからな。」

「事実でしょ。こんなカスどもが代表候補生だしかも専用機持ちなんて笑っちゃうわよ。」

「お前・・・怒らせたいのか?」

「は?」

「お前は俺を怒らせたいのか!!」

「!以外に怖いのね。」

「そうさせたのはお前だ!!」

「いいわ。決闘しましょう。」

「なに!?」

「あなたが勝ったら謝ってあげるわ。でも、私が勝ったら・・・・あなたの身柄はイギリス政府のものにさせてもらうわ。それとブルー・ティアーズは私の物にしてもらうわ。」

 ルラーノの言葉に一同驚く。

「何を言っている貴様!」

「そうよ!第一そんなこと出来るはずが無いじゃない。」

「いえ、出来ますわ、ルラーノなら。」

「セシリア、どういうこと?」

「ルラーノは政府関係者とコンタクトがありますの。政府関係者にこのことを通告すれば・・・」

「なるほど。自分の立場をよく考えた上での申し出か。」

「そういうこと。どう?受ける?受けない?」

「もちろん・・・・・・・受ける!」

「そう言うと思ったわ。」

「これも計画通りか?」

「さあ、どうかしら?でも確かに聞いたわよ。明日の正午、第二アリーナにて対戦よ。逃げたりしたら負けとみなすわ。」

「逃げたりしない。」

「そう。では明日の正午に。」

 ルラーノはその場を去っていった。

「一夏、正気か!」

「マジじゃなきゃ言わないよ。」

「でもなんでよ!」

「皆を侮辱したからってのが理由だ。」

「で、でも・・」

「なに、勝てばいいんだよ。」

「簡単に言うな、一夏。」

「ボーデヴィッヒの言うとおりだ。」

「「「「「「織斑先生!!」」」」」」

 突然出て来た千冬に驚く一同。隣には山田先生もいた。

「全くお前は、面倒を増やさせるな。」

「すいません。」

「でも言ったからには勝負をしろ。そして勝って来い。」

「はい!」

「でも良かったですね。」

「?何がですか?」

 山田先生の言葉に疑問を持つ一夏。

「第一アリーナじゃなくて。」

「「「「「うっ!!」」」」」

「それは言わないのが優しさですよ。」

「織斑君の場合は優しすぎるんですよ。」

「そうなんですか?」

「そうです。」

 山田先生の言葉に皆は頷いた。だが一夏にはそれがわからなかった。

 

 翌日の正午、第二アリーナ。観客席は生徒でいっぱいであった。とういのも昨日のことが口コミで広がったためである。

「しっかし、女子の情報網はすごいな。」

「そうだな。これを軍で役立てられないだろうか?」

「いや、さすがに無理があるだろ。しかも女子限定だし。」

「そうか。」

 ビットで待機している一夏は五人と話していた。

「一夏さん。」

「何だセシリア?」

「先ほど聞き入れた情報なんですけどこの対戦は世界各国の政府関係者、ならびに軍に生中継されているそうです。」

「!マジ!?」

「きっとルラーノの仕業よ。」

「いや、ルラーノに加担している政府関係者の仕業だろ。」

「どっちにしろ原点はあいつよ。」

「一夏、やっつけてきてね。」

「ああ。だが・・・」

「「「「「だが?」」」」」

「あういうやつに限ってセコイことしそうな気がする。」

「考えすぎじゃない。」

「そうかな?」

「そうよ。」

 そのときピピピッとアラームが鳴る。

「!そろそろ時間だな。じゃ、行って来る。」

「ああ。」

「御武運を。」

「行ってらっしゃい。」

「絶対勝ってきてね。」

「信じてるぞ。」

 ビットのハッチが開き、一夏はアリーナに出る。目の前にはラファール・リヴァイヴに乗ったルラーノの姿があった。

「逃げないのね。」

「あの時言っただろ。」

「ふっ、そうね。」

『それでは両者、所定の位置についてください。』

 一夏とルラーノは所定の位置に付く。

『それでは・・・・・始め!』

 刹那、ルラーノはマシンガンをコールし一夏に攻撃するが一夏は回避する。

「まだまだ。」

 ルラーノはミサイルランチャーに切り替え連射する。一夏はそれを回避しつつ切り裂く。

「甘く見られては困るな。」

「そうね。」

「今度はこっちの番だ!」

 一夏はパーティクル・フェザーを放つ。ルラーノは移動しつつ盾をコールし回避。そして防御をしつつアサルトライフルに切り替え応戦する。

「なかなかやるな。」

「そちらも。」

 

「やるわね、あいつ。」

 モニタールームで一夏の戦闘を見ている五人。千冬と山田先生も一緒に見ていた。

「でも織斑君、変ですね。いつもだったら雪片で先攻しているのに。」

「いつもの一夏ならな。だが今回は慎重に行動を起こしている。正しい判断だ。」

 山田先生の疑問に千冬が応える。

「ですがなんでしょう・・・・この違和感は・・・」

「そうだな。なんだか嫌な予感がするな。」

 一同かたずを呑んで見守るしかなかった。

 

「なかなかしぶといわね。」

「そりゃどうも。」

 一夏とルラーノの戦闘は続いていた。双方全くダメージを受けていなかった。

「そろそろ・・・ん!」

 一夏は気付く。ルラーロの顔に微表の笑みが見えた。その時であった、四機のISの反応が突如として出現した。

「!これは!」

「私があなたみたいな人とまともに戦闘するとでも思ったの?」

「予感的中かよ!!!」

 四人はそれぞれ打鉄二機、ラファール・リヴァイブ二機に乗っていた。四人は一本の紐状の物を持ち、一夏の両手、両足に絡みつかせる。

「!これは!」

「それは『死者の鎖』と名付けられてるイギリスのテスト段階の武器よ。」

「くっ!この!」

「言っとくけど無駄よ。それは切れないわよ。それは特殊合金で作られているから切れもしない、とぎれもしない、よほどの高温でないと溶けないわよ。」

 そう言ってルラーノは両手にサブマシンガンを持つ。他の四人も射撃系の武器をコールする。

「喰らいなさい。」

 一斉掃射される。

「ぐああああああ!!」

 

「なによあれ!!卑怯じゃない!!」

「こんなことって!!!」

「あいつら、正々堂々と言う言葉を知らんのか!」

「今すぐ中止に!」

「無理ですわ!」

 モニーターで見ていた全員はその光景に驚愕した。山田先生が中止しようとしたところをセシリアが止めた。

「どうしてよ、セシリア。」

「!そうか!」

 ラウラは気付く。

「あいつは政府にこのことを既に報告しているはずだ。でなければ、こんなことはしない。」

『そのとおりよ。』

「!ルラーノ!」

『どう、セシリア?こんなことされて?でも私もそこまで鬼じゃないからあなたにチャンスをあげるわ。』

「チャンス?」

『あなたがブルー・ティアーズの所有権を私に渡すことよ。』

「!アンタ何言ってんの!」

「そうだ!大体こんなことをしておいて!」

『あら?私はあの時こいつと戦うとは言ったけど一対一とは一言も言ってないわ。それよりいいの?このまま無様にこいつが負けてしまっても?』

「・・・・・・・・・わかりましたわ。」

「!セシリア!」

「ブルー・ティアーズの所有権を・・・・」

『セシリア!!』

「!一夏さん。」

『そんなこと言うな!』

「し、しかしこのままでは一夏さんが!」

『実を言うとな、さっきの悲鳴は演技だ。』

「!そんな!でも弾は一夏さんに!」

「そうよ。あんたこんなところでふざけてるんじゃないわよ!」

『ふざけてないって。セシリア、俺のシールドエネルギーを最初と今を比べてみてみろ。』

「は、はい。」

 セシリアは一夏の言われるままにシールドエネルギーを見る。それを見た途端セシリアは驚愕した。

「こ、これは!でもどうして!」

「な、なんだセシリア!」

 箒も含めて一夏の言った事が気になった。その答えにセシリアは驚くべきことを口にする。

 

「シールドエネルギーが・・・・・・・ほとんど減ってないんです。」

「「「「「「え!」」」」」」

『な!』

 ルラーノも驚いた。普通ならば半分にでも減っていてはおかしくないシールドエネルギーがほとんど減っていなかったのだから。

『ど、どうして!どうしてシールドエネルギーがほとんど減ってないの!』

 ルラーノの疑問に一夏が答える。

 

「教えてやろうか。ISは操縦者のイメージで飛行、コールを行うことが出来る。だが・・・」

「だが?」

「それだけしかイメージできるとは限らない。」

「どういうこと!?」

「シールドエネルギーはダメージの威力と面積に比例して減る。だったらそれをイメージで小さくした。」

「そんなことが!で、でもマシンガンは一点に集中して当たるわけでは・・・まさか!」

「お察しのとおり。ハイパーセンサー使ったんだよ。それともうひとつ!」

「!」

「弾、そろそろ切れるぞ。」

「「「「「え!」」」」」

 その途端に全員の銃の弾が切れる。

「そんな!な、何でわかったの!?」

「数えてたからな。今度はこっちの番だ!」

 雪羅の胸のYが光、両手に力が送り込まれる。

「気をつけろよ、お前ら。」

「「「「え!?」」」」

 一夏は両手を振り下ろし、クロスさせる。両手を引っ張っていた二人の生徒は引っ張られ

足を拘束している二人にぶつかる。

「「「「きゃあああああああああ!!」」」」

 一夏は拘束から開放される。

「お返しだ!」

 一夏はクロスレイ・シュトロームを放つ。それを回避しようと三人が動く。一人、ラファール・リヴァイブを操縦している一人の生徒はそれに気付くのが遅れて直撃を喰らいシールドエネルギーは0になる。

「きゃああああああ!」

「よくも!」

 打鉄を操縦している二人の内の一人がブレードをコールし特攻してくる。一夏は左手のアームドネクサスで受け止める。

「くうううう、え!」

 その生徒は気付いた。自分の使っているISのシールドエネルギーが0になっていることを。その生徒は一夏の右手を見た。右手には雪片をコールし、ビームの刃を自分に突きつけていた。

「悪いね。」

 一夏はその生徒から離れる。その生徒は地上にゆっくりと地上に降りていく。

「はああああああ!!」

 後ろから打鉄を操縦する生徒が突っ込んでくる。一夏は構えようとするがセンサーに突撃してくるもう一機の反応があった。振り向くとそこには右手に『盾殺し』を装備しているラファール・リヴァイブを操縦している生徒の姿があった。一夏は左手を胸にかざし、振り下ろす。雪羅はジュネッスに変わる。

「色が!」

「変わった!!」

 二人は驚く。

「はあ〜、お前らな〜。」

 一夏はため息をつきながら二人に言う。

「武器の特性を織斑先生から一から学べ。」

 そう言って一夏はマッハムーブを使い上昇する。

「「あ!」」

 気付いたときには遅かった。二人はぶつかり、互いにダメージを与える。

「「きゃあああああああ!!」」

「ついでにこれを喰らえ!」

 一夏はネクサスハリケーンを使い二人を地上に叩きつける。

「「きゃああああああ!!!!!!!」」

 二人は地上に落ちる。二人のISのシールドエネルギーは0になる。

「残ってるのはお前だけだな!」

「そうね。でも・・・」

「!!」

 一夏はルラーノの方を向くとそこには大型の砲台を持っているルラーノの姿があった。

「これはイギリスがテスト段階で開発している高出力のビーム砲よ。」

「不細工だな、それ。」

「私もそう思うわ。でもこれで・・・・・終わりよ!!」

 ルラーノはビーム砲を一夏にむけて放つ。一夏はそれを右手で受け止める。

「あなた馬鹿?そんなことし・・・・・・え!」

 ルラーノは自分の目を疑った。ビームが吸収されているからであった。

「ど・・・・・どういうこと!?」

「こいつの能力だ。」

 それはネクサスの技・スピルレイ・ジェネレードであった。

「そろそろ発射も終わるな。」

「え?あ!」

 ルラーノは気付く。そろそろ撃つのを止めないとシールドエネルギーが切れるだから。ルラーノは撃つのを止め、実弾に切り替えようとするが一夏はそんな有余を与えない。

「喰らえ!」

 一夏は両手を突き出し、ルラーノにビームを返す。ルラーノは盾をコールするが、あまりの威力に盾は解けてルラーノはダメージを喰らう。

「き、きゃあああああああああああああ!!!!」

 ルラーノは攻撃を喰らい地面に落ちた。シールドエネルギーは0になった。

『勝者・織斑一夏。』

 観客の歓声が上がった。一夏はビットに戻っる。ビットに戻るとそこには箒達が出迎えてくれていた。

「よくやったな、一夏。」

「すごいわねあんた。」

「お疲れ、一夏。」

「見事だったぞ、一夏。」

「皆、ありがとう。ん!セシリア!」

「あ、あの一夏さん。あ、ありがとう・・」

「セシリア。」

「は、はい!」

「ただいま。」

「!おかえりなさい。」

 セシリアは笑顔で言った。

「何で皆してそんなに睨むんだ?」

「「「「別に!!」」」」

 そこへ千冬が来た。

「織斑。」

「!織斑先生。」

「よくやった・・・と言いたいところだがお前はやつに怪我をさせてかったのか?下手をしたらおまえは・・・」

「大丈夫です。」

「!?」

「さっきのはあのビーム砲の五分の一の威力を還したんですよ。」

「!なんだと。では残りはどこへ!」

「映像をよく見たらわかりますよ。それとあの武器は使用禁止になると思いますからそっちのほうもよろしくお願いします。それじゃあ。」

 そう言って一夏はその場を去って行った。

 

 夜のIS学園モニタールーム。箒達と千冬と山田先生は一夏の言っていたことが気になっていた。

『映像をよく見たらわかりますよ。』

 その言葉が気になって皆で様々な角度から映像を見ていた。が、何処にも見当たらなかった。

「一体どこに映っているのだ!」

「全くわかりませんわ。」

「アイツ一体どこでエネルギーを排出しているのよ。」

 全員一夏が攻撃を弾き返す映像ばかり見ていた。

「見つからないね。」

「そうだな。」

「これだけ探して見つからないとなると・・・・・・・あれは嘘か?」

 さすがの千冬も嘘かと思ってきだした。そんなときセシリアが気付く。

「放出・・・・・・はっ!」

「どうしたのセシリア?」

 鈴がセシリアに聞く。

「雪片、雪片を使ったのですわ!」

「で、でも撃ち返したときに一夏は片手に雪片を持っていなかったわよ。」

 確かにそうであった。あの技を使うときに両手に武器は持てない。そこでセシリアはそれより前の映像を見てみた。

「!ありましたわ!」

「どこ!?」

「ここ。ここですわ。」

 そこはルラーノのビーム攻撃を受け止めている映像であった。皆はその時ビームに夢中で見ていなかったからその時わからなかったが、左手に雪片握り締められている映像が映っていた。

「こんなところで・・・」

「織斑君・・・優しいんですね。」

「「「「「え?」」」」」 

 山田先生の言葉に驚く五人。その理由を千冬が言う。

「そうだな。相手には前もって謝り、攻撃には手加減をしている。優しすぎるな。」

「でもそれだから強いのかもしれませんね。」

「そうだな。」

 

 一夏は学校校舎の屋上で星を寝転がりながら眺めていた。

「綺麗だな。だがそろそろ戻らないと。」

 一夏は立ち上がり扉を開け、階段を降りてゆく。その時であった。どこからかピアノの音と歌声が聞こえてくる。一夏は音楽と声がするほうへ行く。そこは一階の音楽室であった。

「ここって・・・音楽室だよな。」

「!誰!」

 気付かれた一夏は姿を現す。

「何だ、織斑君か。よかった。」

「えっと・・・確か名前は・・・・・弥生さんだっけ?」

「よく覚えててくれたわね。そうよ、緋時弥生よ。」

「どうしてこんな時間に。てか何をしてたんだ?」

「歌の練習をしていたの。」

「でもなんでこんな時間に?」

「夢中で練習してたらね。」

「そっか。で、なんて曲を練習してたんだ?」

「三枝夕夏さんの『飛び立てない私にあなたが翼をくれた』って曲のピアノ版よ。」

「!知ってる。あの人の曲ってなんていうか意味深くていい曲だよな。」

「そうそう。わかってんじゃない。」

「ああ。それを練習してたんか、すごいな。」

「でも私は歌うほうでピアノはしないの。私、メロディーがないと歌えないタイプだからピアノ弾いてみたんだけど出来なくってね。」

「だったら俺が弾こうか?」

「・・・え!」

 一夏の言葉に驚く弥生。

「・・・弾けるの?」

「ああ。楽譜読めるし、弾けるぞ。」

「じゃあ・・・・・お願い。」

「おう。」

 

 一夏の言ったことがわかった皆は廊下を歩いていた。

「一夏があんなことしてたなんて・・・」

「すごいですわ。」

「ほんとだよね。」

「流石私の嫁だな。」

「「「「嫁じゃない!!」」」」

「むう〜。」

「お前ら、校舎に誰もいないからといって騒ぐな。」

「そうですよ。ん!」

 山田先生が何かに気付く。

「どうしかしましたか、山田先生?」

「いま音楽と歌声が聞こえて・・」

 皆耳を澄ませる。山田先生の言ったとおり音楽と歌声が聞こえてくる。

「そうですね。」

「どこからでしょう?」

「ピアノがあるってことは・・・・」

「音楽室だな。」

「よし。全員行くぞ。」

「「「「「「はい。」」」」」」

 千冬の指示で全員音楽室のほうへ向かう。そして音楽室の前に来た。その時弥生と一夏の話し声が聞こえてくる。

「織斑君上手だね。軽音部に入りなよ。」

「いや、ピアノだけじゃ無理だしそれにまだ部活は・・・」

「え〜、勿体無〜い。でも無理して入部させるのも悪いし・・・・気が向いたらでいいよ。」

「考えておきます。」

「それじゃあもう一曲お願い。」

「時間も時間だからこれで最後だぞ。」

 その会話を聞いていた五人はふてくされていた。

「弥生さん・・・ずるい。」

「そうですわね。」

「あの馬鹿。」

「一夏・・・」

「一発絞めようか。」

「こらこら、お前らえげつないことを言うな。それにただピアノを織村が弾いてるだけだ。」

「織斑君ピアノ弾けるんですね〜。」

「そういえば弾が言ってたわね。あいつ何曲かピアノの曲を弾けるって。」

「弾?確か一夏さんのご友人の・・・」

「そう。そいつよ。」

「静かにしろ。そろそろ始まるぞ。」

(俺には聞こえているからな・・・・・皆)

 ピアノのメロディーが流れる。これを文章で表現しようとすると時間と労力が掛かるのでYou Tubeで「main piano〜飛び立てない私にあなたが翼をくれた〜」で検索してください。

 ピアノの演奏が終わり、一夏は席を立つ。弥生は一夏にお礼を言う。

「今日はありがとうね、織斑君。」

「どういたしまして。でも今度からこんな時間まで練習するなよ。」

「どうして?」

「ふたつ。練習のしすぎは体を壊す元だ。」

「もうひとつは?」

「織斑先生。」

「・・・・・・なるほど。」

「じゃあな。」

「うん。ありがとね、織斑君。機会があったらまたピアノ弾いてね。」

「機会があったらな。」

 そう言って一夏は音楽室を出て行った。

「どうしますか、織斑先生。」

「今回は織斑に免じて見逃すことにしておく。だが次は無いぞ。」

「ふふふ。」

「?なんだ急に笑って。」

「やっぱり姉弟だな〜と思いまして。」

「まったく。何を言うかと思えば・・・・・・ふっ。」

 千冬も小さく笑い、皆は寮に戻った。

 

説明
職員室でため息を突く山田先生に話し掛ける千冬。その理由は・・・
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コメント
ご意見ありがとうございます。本文を直しましたがまだ間違ってあるようであれば行数で教えてください。あと言葉が違う場合は教えてください。まだまだ未熟者ですので。(ザルバ)
誤字脱字が多い。一度見直しすることを勧める。(西湘カモメ)
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インフィニット・ストラトス IS ため息 山田 先生 理由 職員 and ネクサス 技術 

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