ワルプルギスの夜を越え 8・表と裏の二人
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 石造りの聖堂の壁には微かな揺れが幾度となく伝わっていた。

夕刻を過ぎた頃から城塞都市周辺は強い風に晒されて、本格的な冬の到来を全ての家屋が実感する揺れだったが、聖堂に響く振動はそれとは別の冷たい者達が奏でる風だった。

 

 石と石の間を軋ませる砂粒を転がし、響く打撃音はグラス・マレライを何度も揺らす。

見えない魔女が作る、裏側の楽園で歓喜の祭りが始まっていた。

そこで繰り広げられる戦いの息吹は確実に外の世界に、聖堂の隅々にきしみとして伝わっていたが、外の風と合わさる事でまだ人々に変化を知られるには至っていない。

 

 夕方に合流したヨハンナとイルザ。

イルザはヨハンナの持つ力を確かめたいと思い聖処女への変化を促したが、それが失敗だった。

聖処女に変わる芽吹きの花の生命力を、聖堂に巣くった魔女は誕生の産声に変えてしまったのだ。

 

 最早悠長に相手の技を鑑賞する時間は無くなった。

二人は聖堂へと走り、魔女の結界に飛び込んだ。

誕生したばかりでも、相手の魔女は完成品である。

薄暗く、細い隧道に変わった道を警戒し歩みを緩めイルザとヨハンナは気を張った。

 

「できるだけ、気配を殺して近づきたいわ……変化(へんげ)は最後の扉に入ったところで…」

 

 イルザの息は上がりながらも、周囲の影を見る目は極めて冷たく冷静な輝きに満ちていた。

 

「ヨハンナ、二人で一斉にかかれば、使い魔に足を掬われる事はないわ。私に付いてきて、必ず。魔女を狩る時は一緒でないとダメよ」

 

 少ない時間で、出来る限りの最短の勝利。

イルザがこの日の内に考えられた戦略はそれしかなかった。

ヨハンナは聖処女になって1日……しかし聖処女の持つ技は多分に魔女を懲らしめ、死に至らせる十分な威力は必ずある。

 

「急に明るくなるってパターンね……ちゃんと聞いてる? ヨハンナ!」

 

 睦言のように静かな指示を続けたイルザの横、ヨハンナは空洞の屋根、その梁に目を見張っていた。

 

「骨…なんですか?」

 

 話は聞いているが……前この場所に来た時は気がつけなかった物を見るに、鮮度の高い驚きで目は泳いでいた

 ヨハンナが見ていた天井は聖堂の高い屋根の作りそのものだ、内側から尖塔へと押し上げる石の尾根と梁の並び、いつも荘厳に高く見せる尾根は奇怪なもので作られて見えた。

その部分、魚の骨に見える所。

同じく繋がる橋梁もまた、様々な生き物の骨に見える。

手でばらした鳥の羽や魚の骨の形が細かくびっしりと輝きのグラスを覆うように付けられているのに、驚いていた。

歩きながらも、顔色を悪くし半開きになった口を晒しているヨハンナに、イルザは低めの声で告げた。

 

「骨よ、全部…外の生き物を誘い込んで飾るのよ…魔女はいつだって下品で下劣で…残酷な事を喜ぶ者なの、こういう神の聖堂を自分の好きなように下品に現し変える」

 

 言い終わると強くヨハンナの手を引いた。

解って居てもそんなものに見とれてばかりでは困る。

 

「誘い込んで……あんな風に……どうやって飾るんですか?」

「どうやって……そうね、甘く囁くように人を誘い込み、罠に落ちた人の肉を毟って飾るのよ。そういう残酷な魔女なのよ。これから私達が倒さなくてはいけない相手は」

 

 肉を毟る。

鶏の羽根を毟るように、人の皮と肉を毟って、尾根の梁として飾る……

ヨハンナは小さく首を振った。

寒さに丸めかかっていた背筋を、もっときつく丸めてしまいそうな程に前のめりになってた。

 

「怖いです……そんな」

「怖いわ、誰だって……でもね聖処女になった貴女は戦わないといけない。今更な事よ……怖いだなんて」

 

 ここで逃げたされては困る。

魔女はもう自分達がテリトリーの散策をしている事を知っているし、前に個々に来たことでヨハンナの香りもイルザの音色も憶えているだろう。

ただ、イルザには安直に励ます言葉が出てこなかった。

こうなりたくなかったら……そんな脅し文句みたいな説法しか出来ない事を悔やみながらも、逃げられよう強く手を引いたが、同じぐらいの強い意志は返事として戻った。

 

「大丈夫です。私絶対逃げたりしません」

 

 自分の手にこもる熱、ここから後ろはないという警告を伝える目に答えた。

 

「私聖処女です。この町に巣くう魔を、必ず倒します!!」

「そうよ……この町の聖処女ヨハンナ、私は貴女を助けて戦うわ」

 

 二人がお互いの覚悟を再確認したのを見計らったように、骨に掲げられていた一粒のガラス玉は落下して砕け散った。

それは魔女の、客を導くための挨拶。

これから骨をも砕こうという悪意のファンファーレだった。

 

「来るわ!!」

 

 繋いだ手をイルザは離す。

空洞の道に連なっていた骨の梁が音を鳴らす、風を通し石がぶつかり合う雑音の開宴。

青き騎士は変化へと走った。

 

「行きます!!」

 

 同じく手を離しされたヨハンナも指輪に口づけた。

 

「マリア様!! 貴女の聖堂を穢す魔女を打つ力を!!」

 

 飾り立てた骨を鳴らす突風の中で二人は、聖処女へと変化を遂げていた。

円弧を描き、護りの盾を舞わし青の軌跡を纏ったイルザと、誅罰への道を指し示す炎を込めた宝玉の錫杖を片手に、白を基調とした聖衣服に赤い十字の紋章を細かくあしらったショートストールのヨハンナ。

 

 輝きの存在は黒く渦巻く尾根の道を走り魔女が居座る間に向かう。

「ヨハンナ!!! 最初が肝心よ!!」

「わかってます!! ちゃんと付いていきます!!」

 

 二人の後を忙しい片足のカラス達が追い立てるが、一突きも触れさせぬ早さで飛ぶ。

そしてそれは、前回鍋の縁を作っていた中央に作った穴の中にいた。

王冠を飾るクリスタルのように、他面に削られた粗々して姿。ラフカットのひずみの蕾に浮かぶ真っ赤な唇は、優しく甘く微笑んでいた。

 

「盾よ!!」

 

 壺の底に。

光り物を敷き詰め、真ん中に立つ鏡の魔女

カットされない素体の石は、四方の欠けた出来損ないで歪な菱型にのまま突然の侵入者に向けて、自らを大きく震わせた。

それはゆっくりと、そして突然駒のように回転を速めて花開いた。

蕾の菱型の中から光を探す花は菱型は開き世にも異様な花だけの、台もなければ青葉もない一輪が二人に向かって顔を合わせ、花心の内に潜む唇は奇妙に歪んで微笑んだ。

笑みに揺れる花弁、震える身体から欠片を吐き出して。

挙げられた欠片は軽く花びらの上に浮かぶと、次に跳ねる石礫となって横一線に並べた盾を持って上空から突撃するイルザに向かって来た。

 

「いい!! 最初の攻撃を防いだら、盾を返すわ! そこから貴女の錫杖による攻撃を掛けて、私は左から行く!!」

「はい!!」

 

 口を開いて指示すれば、自分の舌まで斬り飛ばして終いそうな振動。

跳ねる石、欠けたダイヤは激しくイルザの盾にぶつかってくる。

本物の戦場で甲冑騎士達がぶつかり合う音、石に石をぶつけ、無理に押し込もうとする事で金属の盾を押しつぶそうとする幾重もの投擲。

一枚だけ巨大に作った盾の中で二人は耐えて、降下する。

 

「いくわよ!!」

 

 何度も、隙間無く飛ぶ石礫、少しの隙を縫うようにイルザは先に左の小楯に乗り移る。

まずは自分が示さねばという責任感もあったが、鏡の魔女もそうだが、今まで狩った魔女を見るにあれらは比較的単純な攻撃を続けるという癖を見つけていた。

 

 ヨハンナもイルザの移動を見て足を踏み出した。

真横に並ぶ盾の裏側を、小船を飛ぶように走り最初の位置につく。

 

「返すわよ!!」

 

 出足の揃ったところを見て取り、イルザは盾の先、尖った側を舌に一斉に向ける。

このまま魔女に向かって鉄製の盾はピックを刺すように殺到する形。

さらに一枚の頭に乗って。

 

「剣よ!! 断罪の剣よ!! 魔女の頭(かしら)を討ち取れぃ!!!」

 

 切っ先のない剣を両手に持ち、刺した盾の上から魔女の頭に当たる花芯のクリスタルに斬りかかった。

 

 同じ時、ヨハンナも返しの盾の頭にのり、魔女のクリスタル、ちょうど花びらの奥に潜む歪んだ唇の見えるところに降り立ち構えた。

 

「光よ!! 悪しきを宿らせる宝石を打ち砕け!!」

 

 錫杖を、玉の中に赤い炎を踊らせる先端を真っ直ぐに打ち付けた。

 

 次の瞬間、二人は吹き飛ばされていた。

同時に内かかった戦いの果ては、突然の衝撃を体の各所に伝えていた。

四肢の各所に細かく崩された、クリスタルの欠片が刺さっている。

魔女を中心のトーチとするのなら二人は左右に大きく引き離された形で、壁まで突き飛ばされ、そのまま前のめりに倒れていた。

 

「何?どういう事」

 

 寝たままでいたら使い魔に啄まれる。

攻撃に慣れもあるのならば、ダメージを制御する心も慣れとして持っているイルザは先に立ち上がると、新たな盾を突き立て、自らの剣を振り下ろした魔女の姿に目を見張った。

 

「光ってる……どうして?」

 

 四方を盾で抉り自らも叩ききったクリスタルは確かに、部分で刻まれ、塔になっていた部分は千切り撮られたようになくなっているのに……

むしろ壊れたところの方が光りの強さを増しているという状況。

 

「ヨハンナ!! 無事?」

 

 敵の姿を確認しながら、反対側に飛んだ盟友の状態を知る為に頭の中に声を掛ける。

 

「まだ……まだです……」

 

 たどたどしく息も荒いまま、負傷のノイズが張る頭中に返事は来る。

ヨハンナは、返された攻撃に受け身などとれるハズもなく、初めての衝撃に飛ばされ頭から落ち敷き詰められたガラスの床に体を叩きつけるという悲惨な状態にあった。

胸から背中に、体の中にある骨を突き抜けるように引っ張られる痛み。

また体中に刺さった小さなクリスタルの欠片に、四つん這いになって体を起こすのがやっと。

真新しい衣装もすでに血の飾りを負うほどの状態だが……

錫杖の炎は負けぬ心を写すようにより赤く燃え上がっていた。

 

「負けません!!! 光よ!! 今ひとたびの力を!!」

 

 掲げた錫杖を真横に振る。

燃える宝玉は光の欠片を、鋭利な飛礫と変えて魔女に向かう。

低く、そして子鹿が跳ねるように直前で飛び上がり、魔女の赤い唇を包むクリスタルに舞い降りたが……

破片は障壁の花びらに食われていた。

形容しがたい図だった。

溶けるというよりも、刺し貫くためにぶつかった光を、当たった箇所から棘の波紋を広げ内側へと押し込める。

そして、クリスタルの中に運ばれた光の礫は、刻まれ解かされ崩れ花びらの中を駆け巡っていた。

魔女のデザートとして、砂糖菓子のように食い尽くされ、体を巡る養分のように光の粒が回る。

 

「なんで……マリア様の光を……なんて事を……許さない!!!」

 

 ヨハンナには状況判断が出来ていなかった。

逆にイルザは驚愕の目で事態を見つめ、そして何が起こったのかを瞬時に考えていた。

クリスタル、光り物を集める魔女、鏡の魔女。

愛すべき宝を食い尽くす者……

暗い壺の中で、自らは輝かず、ひたすらに光りを求めて微笑みを見せるこの魔女が欲しているものは……

剣を片手に叫んだ。

 

「ヨハンナ!!! 引くのよ!!」

 

 同時に盾を現すと自分とヨハンナを護るように並べたが、寸間の差で弾かれた。

ヨハンナの発する光の礫は、残念な事に魔女にとって好物そのものだった。

魔女はひび割れた複数面の花びらに、いくつもの唇を見せて踊る。

喜び、暗闇に沈みながらも常に輝く物を欲し続けた狂気の笑みは自分に向かって飛ぶ光の石を愛していた。

 

 イルザの盾が飛ばされたとき、ヨハンナは魔女の震う黒い矢に片腕を射貫かれていた。

激痛と振動、転げ落ちるように壁まで飛ばされた後の絶叫。

左腕は焼け落ちそうな程の痛みを発し、二の腕に刺さった矢は脇腹をかすって燃やしていた。

 

「いっいっ……痛い……痛いよ…」

「ヨハンナ!! 止まってはダメ!! 走って!!」

 

 前回と同じく壁をぶち抜く膂力で走るイルザはヨハンナを視界に捉えていた。

魔女は光り輝く物を持つヨハンナに急接近している、もっともっとと軟体のようにクリスタル花びらをよじっている。

歪む身の中から複数の黒い矢を吐き出しながら。

地面に響く様に、もっと、もっと光をくれと。

 

 ヨハンナはイルザに向かって走った。

錫杖こそ落とさなかったが、左手の感覚はまったくなくなっていた。

ただ今度は痛みより、恐怖で体は動きイルザの手にすがりついて走っていた。

 

「どうして? どうしてなの……」

 

 勇気に満ちていた目の光はすっかり影に染められてしまっていた。

イルザは半ばヨハンナを抱える形で走りながら、考えていた事を伝えた。

 

「たぶんだが……光は魔女の好物なんだ。ヨハンナ、魔女はお前の技を食べている。光る石礫は魔女にとってご馳走にしかならなかったんだ」

 予測での話だったが、イルザの言葉にヨハンナの目は涙を溢れさせていた。

 

「私が弱いからですか…どうしてマリア様の力なのに」

「泣くな!! 取りあえず今は引くしかない」

 

 泣く事で脱力し、涙の分だけ重みの嵩を増やそうとするヨハンナを叱咤する。

こんなところで弱られたら、今以上に足手まといになってしまう。

 

「ヨハンナ!! 弱いままでは倒せない、強くなり対策を立て直すためにも走って」

 

 イルザの叱咤は半分以上が言い訳になり始めていた。

「好物である光」

鏡の魔女と光の聖処女ヨハンナは相性の悪すぎる相手だった。それもヨハンナの未熟さ、経験のなさが無遠慮にたたき込んだ礫の分だけ、魔女は狂気の唇を晒し追い落としをかけたいと思わせる程になってしまっていた。

 

 もう魔女は遠慮しないだろう。

今日ここで逃げ切ったとしても、明日魔女はより大きな結界と、赤くつややかに誘う口づけで贄を増やし、光の素である聖処女を狙って来るだろう。

聖処女である以上自分だけ見逃されるという事も……ないだろとイルザは眉をしかめた。

明日なら勝てるのか?それは暗中模索の質疑だった。

 

 

 戦いの中を走り、知恵を絞るイルザだったが、体と心にかかる負担が思考を痺れさせ限界が近づいていた

走って逃げて……そして、どうなる? という危機の邂逅。

尼になるためにも……、後ろ盾の必要な身。ここで主を失ったら……父親の元に戻らなくてはいけな。い……、何もかもを放り投げてどこかに逃げられる身分もない……そんな事になれば今までしてきたことは全部に無駄なってしまう。

しかも解決の糸口は1つしか無い。

この鏡の魔女の殲滅しかないという現状。

そしてその現状は果てしなく遠く険しい山となっていた。

二人がかりで倒せないどころか、相性の結果1人は贄にしかならず。

 

不幸な事に、イルザは一人でこの魔女を倒せないという現実にぶつかっていた。

 

 懸命に走っていた足に痛みが走る。

考えながら走った足は単調な動きを晒してしまっていた。

魔女の黒い矢は見事にイルザの足首を射通していた。

 

「ああああああああ」

 

 歯がみする痛みと、肉を燃やす熱。

抱えていたヨハンナともども二人は崩れ、転がって倒れた。

 

「こんなところで……死にたくない」

 

 転がったまま起きられないヨハンナを尻目にイルザは立ち上がろうともがいた。

最早仲間であるヨハンナを見捨てる事も、悪いペースで頭の中を巡っていた。

先のない将来であっても、死への恐怖に本能だけが前に進もうと体に檄を飛ばしていた。

 

「私、負けません。町を護ります……」

 

 イルザが混迷の考えに沈みそうになった時。

ヨハンナは転がった所で錫杖に体を預けながら顔を起こしていた。

目の前に迫る、使い魔達と踊る鏡の魔女を睨みながら。

 

「そのために聖処女になったの、みんなを護るの……私がアルマの代わりをするの!!」

「ヨハンナ……」

 

 お世辞にも立派な言葉を吐く状況ではなかったが、イルザは悪い考えに没頭し始めていた自分を恥た。

 

「そうね、行くも戻るも……後悔はもうたくさんだわ」

 

 手を引く、立ち上がり足を引きずりながらもヨハンナを起こし。

「やりましょう……盾よ!!!」

 手をかざし、数枚の大盾を並べると。

 

「たたき込むのよ、ヨハンナ。何度食われても相手の腹を食い破るまで、それまで私が貴女を守るわ」

「はい!!!」

 

 決意の言葉で二人は先端を切った。

向かい合う聖処女と魔女。

 

 静謐の戦いの間にグラスの割れる音が響き。

次の瞬間、二人の体は熱を帯びた炎に飛ばされ何もかもが真っ赤に染まっていた。

熱風は逆巻く渦となり、使い魔達を枯れ木のごとく燃やし、鏡の魔女の花びらは全てが炎に晒され赤く黄色く熱く輝いた。

 

 魔女が住む、釜の底へ一直線に落ちた火の玉は、着地の振動を響かせ壁から床から、至る所のガラスを割っていた。

熱風と破片のグラス、シルバーの凶器舞踊る炎の下に、小さな影は悠然と立ち続けていた。

 

 一方で熱風に巻き上げられたヨハンナはそのまま地面に叩きつけられ。

イルザもまた、追衝の風におされ壁にぶつかり前のめりに崩れた。

何が吹き出したように、炎の花は燃えて渦巻くのを喉の中まで熱く枯らした二人はやっとで目を開けて見つけた。

 

 魔女と自分戦達の間一線に走った炎の中に揺れる影、ヨハンナの前に立つ小さな影はエーラインの外套の下に灰鉄色の甲冑を着けていた。

十字軍の騎士?深い藍色のコートに赤い装飾ライン。手に付けられたガントレット。

足下から見上げる相手に、ヨハンナは絶え絶えの声をかけた。

 

「ダメです……騎士様……ダメ」

 

 灰鉄の具足を付けるのは騎士の証、この騒ぎに駆けつけた騎士の一人ではとヨハンナは思い。

普通の人では魔女に対する事はできないと、助けの手を伸ばそうとしたが。

 

 

「下がってヨハンナ」

 

 

 返事は男の重々しい声ではなかった、聞き覚えのある声は手の平を見せて下がれと指示を続けた。

「……ナナ?」

 見覚えのある赤毛、顔を覆う兜、目線のラインで二つのプレート組んだ物の下にある唇はナナのものだった。

 

「ナナ、どうしてここに」

 

 ナナは問いに答えなかった。

そんな時間はなかった。

最初の一撃を食らい、半壊の炎にあぶられた魔女は怒り狂い。

地響きを鳴らせ、彼女の苦痛を代弁をするように使い魔達は大きなくちばしを開けて殺到していた。

その群れに向かってナナは一直線に走っていった。

 

 それは無謀な特攻にも見えていた。

何故ならナナの手には武器がなかった。諸手の拳を構え進む姿は聖処女というよりも、酒場で殴り合いをする無法者だ。二人かがりで倒せない魔女にただの少女が甲冑を着けた程度では、何も出来ずに啄まれるのが目に見えて、イルザは首を振って制止の手を挙げた。

 

「止まりなさい……無茶よ……」

 

 小さな背中が雄叫びを開けて飛び上がる。

イルザの心配は次のシーンでは吹き飛ばされていた。

ナナは自らの体を使い魔にぶつけ、殴り倒し、拳の触れた箇所に次々に炎を巻き起こしていた。

集まっていた使い魔は黒い羽根を焼き、奇声を発して走り回る。

お互いをぶつけ合い炎の渦を拡大していた。

 

「炎よ!!! 獣たちを打ち倒せ!!」

 

 ガントレットの裏表に輝く黒い石。

身をぶつけ、かするたびに火花を挙げて次々と出火を起こす。

ナナは使い魔の羽根を掴み、大きくスイングさせると火を付けた状態で鏡の魔女の前に投げ飛ばした。

 

 暗闇の壺は、炎に照らされ地獄の釜に変化していた。

離れた所でヨハンナとイルザはお互いを支え合ってその様を呆然と見ていた。

互いの頬に熱気の風をうけながら。

あまりに強い火力、魔女の周りは既に火の海と言っていい程に、大波小波の炎が揺れ地鳴りの鳴き声が最後の時を迎えようとしていた。

 

「どういう事なの……剣も槍もないのに……」

 

 戦うナナの姿にイルザはため息とともに零した。何も持たない諸手は次々と炎の刃を作り相手を焼殺していく。

 

 足運びは左右を切り替える軸回転で、打ち付け離れ、さらに回り込んで殴り倒す。

規則正しく、細かく刻み込む正確な打撃。

ヨハンナはナナが何で戦っているのか直感し、イルザはその足裁きがアルマの戦い方だったのだと初めて知った。

 

「あれは火打ち石……野の獣を畏れさせる神が与えし炎……」

「炎……火の化身……いいえ火の聖処女」

 

 同じ空間、魔女が作る世界で戦えるのは聖処女であるという確信。

「ナナ…」

 戦う友の背中に、やっと落ち着いたヨハンナ。

一方でイルザは苦笑いと、悔しさを滲ませていた。

 

「あの子……そう、アルマが望んだ聖処女、そうなのね」

 

 キュゥべえは言っていた、ナナこそアルマが望んだ聖処女だと。

だが会見した彼女の心身共に見窄らしい容姿から、それは望めないものだと失念していたが目の前の破壊を見れば納得せざる得ない。

魔女はすでに断末魔に近い身震いを何度も響かせているのだから。

見かけではない魂、それをアルマは見切り、見切れなかった事に望まずに聖処女になった自分の限界を感じていた。

 

 立てない二人を尻目に、猛然と真っ直ぐに魔女に向かうナナの戦いは最終局面に入っていた。

魔女のクリスタルは炎の前に崩れ始めていた。

熱風は何度も火の鱗を立たせ、クリスタルの花びらを溶かし割り続けていた。

四方を焼かれ、本体である大きな花びらに亀裂を走らせた鏡の魔女のは、奥深くで微笑んでいた唇から真っ赤な血を吐き出していた。

外側を焼かれ、表面は泡を吐いては小さな破裂音を立てて崩壊し、内側は高まった熱に茹で上げられていた

燃えて暴走しぶつかり合う使い魔達の間からナナはゆっくりと魔女の前に立つと、両手の拳を左右合わせぶつけて。

 

火花散る合掌の下で牙を持って吠えた。

 

「畏れろ、野獣。腐れた望みと共に燃え尽きろ!!」

 

 左右の拳を抉りこむように、クリスタルを粉砕、砕けた所からは火が拭き上げる。

たたき込まれる拳の音に合わせ、魔女は悶えも身をよじって崩れる。

芯の奥にある真っ赤に染まった吐血の結晶を両の拳が打ち抜いた時。

壁のグラスは全て一斉に爆ぜて割れ、使い魔達は紙のように燃え尽き灰に変わった。

壺の各所に亀裂を入れる悲鳴が鳴り響き、魔に堕ちて自分のテリトリーを遊んだ鏡の魔女は消滅した。

 

 

 赤く煌めく流星の雨。

ガラクタになった骨は全て落ち、大きな歪みの渦を起こして魔女の結界は消滅した。

主の死を冥府の縁に連れて行くように、小さく吸い込まれて。

そして終わった空より、魔女は悲しみの実を落とした。

宙を儚げに落ちる黒い軸をナナは受けてると、無造作にコートのポケットに投げ込んだ。

戦いはあっという間に終わってしまった。

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 先ほどまでの喧噪が嘘のように静かに、ただ吹き付ける風の音が雪を運び寒さと振動をそこかしこに響かせる聖堂の中に三人はいた。

何事もなかったかのように、高くそびえる尖塔の中に風切りの音が幾重になも響く。

普段なら、嵐を伴う予兆の風を畏れるヨハンナだったが、疲れに押された事で鈍った潮力と、現世に戻れた安心からただゆったりと床に腰掛けたままでいた。

 

 一方でイルザは未だ騎士の聖処女としてその姿を保っていた。

理由は、聖堂の前に立つ影に習っていた事。

火の聖処女に挨拶をするためだ。

 

「ナナも聖処女だったんだね……ありがとう助けてくれて」

 

 左手に刺さっていた矢は消え、傷口は熱を上げながらも傷を塞いでいた。

ヨハンナは立てない状態ながらも赤く頭を下げて感謝を伝えたが、ナナは礼を受け取る気配はなかった。

むしろ、戦っていた時と同じようにシャーレルン(サーリット)*1にバイザーを下ろしたまま首を鳴らすと

ヨハンナではなく対面に立つイルザの側に向かって歩き出した。

挨拶をしようと立っていたイルザは身構えた。

経験が告げる警戒、ナナの口は歪み噛み砕かん勢いの歯がみしながら告げた。

 

「おまえは……おまえだけは勘弁ならない」

 

 怒を込めた歩みに、ガントレットのにオーバーナックルを下ろすと両手を何度かたたき合わせて。

 

「覚悟は出来てるだろうな。このペテン師聖処女。おまえがヨハンナをこんなものかえやがった事を私は許さない」

 

 言うなりナナは走り飛び、殴りかかった。

石畳を削り取るほどの踏み込みで。

イルザの反応は早かった。戦闘で傷を負うの初めての事ではない、熱を挙げながらも回復した足を使い後ろに仰け反って打撃を避けると、手を前に縦を具現化させたが、鋼の盾はいとも簡単にへし折れた。

 

 圧力を小さく纏め一気に放出したような拳に、盾の中央部分は大きく凹み紋章を食う形でへし折れた。

イルザは後ろに立っていたが、折れる前に走った衝撃でさらに後ろに、自力とは違う力に押されて飛んだ。

構え、戦いの形に入った二人の姿にヨハンナは声が出ない。

なんでそんな事が急に行われているのか、ただ手を振って掠れる声で呼ぶ。

 

「やめて……ナナ、イルザさんは魔女じゃないよ……」

 

 声は届かない。

ナナの打撃は聖堂の密封された中を大きく響き渡り、外の吹雪も合わさる事でとどかない。

後ろに飛んだイルザは肩で息をしながら。

 

「……仕方ないでしょ、貴女は首を縦に振らないし……でも魔女は確実に誕生していたし」

 

 飛んだ場所で足首を回して回復を確認する。

 

「ふざけるなよ!! アルマだったら一人でやっていた!! 一人で出来ないからってヨハンナ巻き込んだ!!! 私達を巻き込んだ!!」

 

 回復に努めたイルザの寸間で距離を詰めたナナはそのまま盾ごと相手の腹部に重い一撃を食らわした。

ナックルガードが付いているせいか、火は出ないが当たれば腹を折られる衝撃にイルザは吹っ飛び倒れた。

転がり、血反吐を散らす姿にヨハンナは鳴き声混じりに叫んだ。

 

「ナナ!! 止めて!! どうしてイルザさんと争うの!!」

「黙ってろ!!」

 

 右手を挙げて指を鳴らす。

「次は燃やす……糞女」

 

 腹を押さえたイルザもやられたままで燃やされるのは勘弁ならなかった。

唇を彩った血を散らせながら反抗した。

 

「ふざけないでよ!! 元々あんた達の町でしょ、アルマはその責務を背負いそして死んだ。あんたはアルマに望まれたのにそれを放棄して逃げたんじゃないの!! 代わりに私が手を貸して。ヨハンナがアルマの代わりになって何がいけないのよ!! あんたこそ最初に逃げた糞女じゃないの!!」

 

 ヒステリックなひび割れた反抗の後を、涙で潤った声が続いた。

ヨハンナもまたナナに向かって反論する。

 

「アルマが居なくなって……町に魔女がいるのに誰かがやらなきゃいけないでしょ、ナナは聖処女だったのならどうして町を護ろうとしなかったの?」

 

 ヨハンナはナナがいつ聖処女になったのかを知らない。

だがあまりに戦闘巧者であるナナの姿を見るに、そしてイルザの言葉を聞くに、力を持っていたのに逃げていたのではという疑念を持ってしまっていた。

それでも、友が駆けつけられなかったのは。

 

「わかってるよ、外に追い出されちゃってるから……すぐにはこれなかったって事、でもね私達は聖処女なんだよ。お互いをそんなふうに罵り合うものじゃないよ。魔女は滅びた今……手を取り合って……町を護っていこうよ……」

 

 懸命に語るヨハンナの声にナナは大笑いをした。

風の音に同調する響きで、自分の膝をたたいて笑うと。

 

「このアバズレた私が聖処女……こんなものをありがたがってやるなんて気が狂ってるんだよ!! 町を護る? そうしたら私達に何か良いことがあるのか?」

「ナナ……なんて事を言うのよ」

 

 いつになく尖るナナの言葉は、抉るように二人の心に刺さっていく。

 

「だいたいなんでそんな都合良く考えられるんだ? むしろ都合は悪くなってるハズなの……マリア様がいるなら、なんで自分の手で魔女を退治しない? そう思わないか? 願いの代償と引き替えに魔女を狩ったとして……町で祝福を受けるわけでもない、町の人に宣伝する事だって出来ない身になるんだ。下手すりゃ見つかって魔女狩りの的にされるかもしれないのに……なんでそんな者に有り難がってなっちゃったのさ!!」

 

 いつもアルマに「言ってはいけない」と言われた聖母への非難。

かつてはそれを止めていた、尊敬する姉がいたが目の前で食われたアルマに救いの手はなかった。

矛盾だらけの聖母の願いとその力のあり方。

裏表の激しすぎる聖処女という牧者の立場。

何もかもに納得がいかないナナは強く吠えた。

 

「為体の知れない力に頼って、自分や他人を救ったつもりになるなんてイカレてるんだよ。こんな事にかかわって良いわけないだろ!! 私達に報いや祝福は絶対にない、この先来るのは絶対の後悔だけ……」

 

 絶対の後悔。

激しく聖母の力を非難するナナの意見に、イルザは素直に納得してしまっていた。

最初はもめる二人を止めようと、傷ついた体を起こしもしたが……ナナの主張を聞くに力は抜け座り込んだまま聞いていた。

 

「まったくだ……割に合わない代価だ」

 

 俯いた顔でイルザは呟いた。

吠える相手を必死になだめようとするヨハンナの方がおかしく見えてしまうほどに、高い代償で生涯を魔女を駆逐する者として働かなくてはならないなんて……しかも最終的な危機にも神の救いはない……心に刺さる言葉は、本当に欲分かる真実に聞こえていた。

 

 だが、ヨハンナはそんな言い分を聞くわけにはいかなかった。

切羽詰まった選択だったとはいえ、アルマの抜けた穴を塞ぎ、魔女を駆逐し、そして羊小屋の平穏を護るためにハンスを働き手として回復させたという誇りがあった。

 

「酷い事を言わないで!! 黙ってよナナ!! 私はマリア様に誓ったの……アルマの代わりを私がやるって」

「その代償がハンスだったんだろ……」

 

 引き替えの祝福、自分の身を投げ打つという価値への全面否定。

願った者の回復さえも、矛盾であるように唱える声をヨハンナは振り切った。

 

「そうよ、ハンスが働けるようになれば丈夫な体を得る事ができれば。みんなを楽にできるでしょ。それの何がいけないの!!」

「バカ!!ハンスはヨハンナの道具かよ。そんな都合のいい話があるわけないだろ!! 私達はそんな事がなくたってみんなで……」

「やっていけなくなってた!! みんなバラバラになり始めてた。アルマいなくなって、エラが家長になって、シグリが一生懸命ご飯作って、ロミーが泣いても誰も支えられなくって……こんな辛い事が起こってるのよ、目の前に、これを護りたいって思って何がわるいのよ!!! 護るためにハンスを丈夫で元気な体にして頂き、みんなの助けてとなってくれるのならば、その願いで私がアルマに変わって町を襲おうとする魔女を狩るのは当然の責務なんだから!!!」

 

 怒った事のない、ヨハンナの涙の叫びにナナは首を傾げた。

 

「どうしてわからないんだよヨハンナ……追い縋って得られるものはきっと裏切りなんだよ。今までどおり、有るままでもやっていけた事を信じられないの?」

 

 完璧に二人の主張はずれていた。

深くマリアに信心するヨハンナは、与えられた奇跡でみんなを救えると信じていた。

逆にナナは、信じる者達の裏表を知りすぎていた。叶えられもしないのに祈りや奉仕を要求する者を恨みさえしているのでは合わせる話もないというものだ。

 

 イルザはその事を端から見ていて感じた。

ヨハンナは、やはり自分と同じで「弱さから聖処女になった者」で、ナナは「強いが故に拒んだ者」であると見抜いた。

 

 風と雪を運んだ本格的な冬の訪れた日。

魔女を駆逐した聖処女達の心は石畳の床よりもずっと凍り付いた結果に向かって走り始めていた。

-3ページ-

 

 

 

 

 

 

 

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とあるワルプルの無駄知識

 

私の中でナナの登場シーンで流れる音楽は「レクイエム」です、ええ、爆ホーですよ。ちょっと間違えるとプロレスになってしまいそうだけど…ナナを良く現している詩がいいんですよー

まるまる全部が戦闘という話は……本当に凄く疲れる作業と思い知りました

 

*1 シャーレルン(サーリット)

 

鉄兜の事

西洋甲冑の中でもフルフェイス型と、ハーフタイプの物がありますがナナが着用しているのはハーフ

こういう物も基本フルで付けるのは上位階級で、傭兵御用達なのはもっぱらハーフの方でした

ただ当時は顎をかち割るためのハンマーという武器もあったので、防備が手薄なタイプでもありました

 

 

 

今回は*印は少ないけど世界観について少し

魔法少女(ここでは聖処女)はおそらくだけど、初戦で命を落とした者が圧倒的に多かったのではと私は考えています

やはり魔女は無為でありながら強い存在です

突然そんな所に投げ込まれたら普通に戦死でしょう

 

 

 

ところで中世代の頃の女性というのは身分によってかなり見方や扱いが変わった人種でもありました

基本的に日焼け止めもない世界です。色白美人なんてそうそういませんよ

農婦の妻の条件は「丈夫で長持ち」であるが一番に上がるほど、男と変わらない労働力として扱われていました

商家になるとこれが少しだけかわります

ただ商人も、組織内部や家柄によって大きく身分を分けていた時代ですから一概には言えないのですが

そこそこ日焼けし元気であり、少しの学を持ち合わせる事を必須されたものでした

(中世の頃は基本的に女性に文字を教えない、勉学をさせないというスタンスでしたが、年が下るほどに女性にも知識を持つ者が現れます)

(もちろん農婦も文字など与えられませんでしたが、旦那は取引もあるのでそこそこの学を持つ事を許されていました)

 

このことをふまえてナナとヨハンナ、イルザの差というものを見ると面白いかもしれません

 

ナナは無法者達と共に暮らす中に産まれた子でした

だから戦い方や相手を死に至らしめる方法をいくつもしっていたと思われます

何故かといえば、すんでいるところで必要な事を学ぶのが普通だったからです

学校なんてない時代なんです。実際にはありましたが、それこそ神学校のように地位を持った者達しか入れない所だった事を顧みるに、この時代の個々の人が学ぶのは過酷な環境からの生きる道でした

ナナが望む望まないを別に、自分を護るために身につけた戦闘スキルは有るという事です

そういう世界に生きてきた

その上ナナはアルマの戦いに何度も参加しています

自分の幼い頃培った生存スキルの土台の上に、アルマの行った聖処女の戦い方も見て覚えていた

だから、今回出るどの聖処女よりも戦闘巧者として描かれています

 

イルザは前にも書いたように、傭兵がうろつく仮にも騎士の家に育っているため戦闘をする者達のスキルは多少の憶えがあったのでしょうが

作中にあるよにう、積極的に戦い体と考えたことがなかったため遅れをとりました

また、当時騎士の家の女の仕事というのは、仲間の足ふきというけっこうに乱暴な仕事も含まれており、女が騎士のようなスキルを身につける事はほとんど有りませんでした

普段は農婦と変わらなかったというのも実状です

それでも少しは剣技を身につけていたのが彼女の強みでした

 

そしてヨハンナ…

彼女はまったくずぶの素人で聖処女になった者でした

いくら聖処女は丈夫な体を持つといっても、熟練の魔法少女として戦ったマミさんは一口で魔女に食われている事からも、致命傷を負えばあっけなく死ぬし、隙を突かれればポロッといくわけですから

ヨハンナのような状況判断の甘い者は本来ならば初戦で戦死は免れ得ずです

それにヨハンナはそもそも少しばかり裕福な商家の小娘で、信仰心だけが人一倍という戦死には程遠いところにいました

唯一ヨハンナ強くしていた信仰心も、実際の戦いにはあまり訳には立たなかったというのが本音でしょう

 

私の小説の魔法少女(聖処女)は選ばれた者という認識が強いとしています

選ばれなければ魔とは向かい合えない…こういう特殊な思い込みに彼女達は支配されていたともいえます

 

 

二人の差

信仰心で聖処女になったヨハンナだけど、信仰心故に、力はマリア様頼みで自分の戦闘スキルを見返る事が出来ない

信心を見ず、生きる事の苦難を越えて今を歩くナナでは、レベルが違っても仕方の無い事なのでしょう

 

 

ああまどかの栄華がはじまっちゃったよー!!

始まる前に終わってしまいたかったのに??

 

さてさて、残り4話

頑張っていきますよーい!!!

 

なんでもよろしいですから、ご意見ご感想下さると踊ります!!

説明
ワルプルギスの夜になった少女のお話。その捏造過程の物語。
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