魔法少女リリカルなのは DevilStrikerS ー自分の中に潜む悪魔ー |
ギルバー達が悪魔化した バルダと戦っている同じ頃、バルダはどこかの精神世界にいた。
「ここはどこだ?俺はたしか……「ここはあなたの精神世界だよ」!?お前は…」
バルダはいきなり現れた人物に驚愕した。
「俺!?」
自分と瓜二つの人間がいた………
「お前は誰だ!」
あまりの出来事に困惑しながらも、バルダは自分と瓜二つの人物に問いただす。
「私はあなた、あなたは私だよ」
「そんなもんわかるか!」
「はあ、わからないの?あなたの精神世界だというのに何故[私]が存在しているのか…」
その言葉にようやく気付くバルダ。
「………まさかお前は…!!」
「そう。私は悪魔の方の人格だよ。…やっと会えたね」
「だけど俺に何の用だ?」
バルダが怪訝そうに聞く。
「まあこれを見てよ」
そう言ってモニターより映像を出す。
モニターには赤い翼に大きな大剣を持った赤い悪魔がいた。そしてその悪魔に必死に呼びかけるスバル達フォワードの姿があった。
「なんだ…あれ……!?」
呆然とするバルダに悪魔の方のバルダが驚くべきことをいった。
「あれは私だよ」
「なに!!?」
―――だったら何でここにいる?―――
バルダはそう疑問に思った。だが悪魔の方のバルダはそんなバルダの心情を察したかのように言った。
「私が何でここにいるって言いたそうだね…それは、あなたが私を認めないからだよ」
「俺がお前を認めない?一体どういうことだ?」
さっぱりわからないといった様子のバルダを見て溜め息を吐く悪魔の方のバルダ。
「状況自体をわかってないようみたいだね。いい?モニターに映っている悪魔はあなたの憎しみを具現化したものなんだ。そしてそれが私の悪魔の力をより強くする。あなたが私の力をコントロールしたければ、私を認め、受け入れること。…あなたにとってそれは厳しいだろうけど…」
「俺が悪魔であるお前を受け入れる?ウケイレル?……ふざけんな!!父さんや母さん、村のみんなを殺したてめぇら悪魔を認めろってのか!!!」
怒り狂うバルダ。その眼はもう復讐者その物である。
「奴らを認めるのではなくて…[私]を認めろと言ったの」
悪魔の方のバルダは力強く、何か決意した眼で言った。
「お前を、認める?お前だけをか??」
「うん、そうだよ。大丈夫、心配しないで。私もあいつ等のやり方には気に入らなかったし、見下されたくないからね。私はあなたと共に行くよ…これが私の答えだよ。それで?あなたはどうするの?」
「俺は…」
バルダは悪魔の方のバルダの言葉に困惑しつつ、こう言った。
「俺は……俺はお前ら悪魔を許さない。絶対にな…!だが、お前なら、なんだか信頼できそうだ。共に行こう…[ホープ]」
バルダは何時の間にか名前が無いもう一人の自分の名前を決めていたらしい。
「ホープ(希望)、か……悪魔の私には不向きな名前なんじゃないの?」
自嘲気味に言うホープ。 バルダは笑いながら
「ならその名前に相応しくなればいい。それに俺は似合うと思ってつけたんだぜ?」
と言った。それにホープは何故か顔を赤くして、
「あ、ありがとう///」
と言った。バルダは怪訝そうに
「どうかしたか、ホープ?」
と聞くが、
「何でもないよ///」
と、返される。そこでバルダは話題を変えてみる。
「しっかしあれだな。自分と瓜二つの人間がいると、なんか不思議な感じだ」
「そうだね。じゃあ変えようかな♪」
そう言って、ホープの体を光が包み込んだ。
「うっ…」
あまりのあかるさに目をつむるバルダ。
光が止んで目を開けると……
「ふう、これならよしっと♪」
白いワンピースを着た女の子がいた……
「あ……あ…あ」
「?どうかした?バルダ」
呆然としているバルダを不思議そうに見ている。
「お、おま…いやいや…君、女だったの?!」
「あー!ひどーい!もしかして私の事男だと思ってたのー!?」
バルダの爆弾発言を聞いて頬を膨らまして怒るホープ。
「ご、ごめん!悪かったって。ほら、怒ったまんまだと可愛い顔が台無しだぜ?」
「/////そ、そんな事言ったって……いや…その」
突然しどろもどろになるホープ。そして……
「と、とにかく…これからもよろしくね!」
強引に話を終わらせた。 バルダはキョトンとしていたが、
「ああ、よろしくな」
共に手を取り合った。すると、世界が歪み始め、それに困惑するバルダ。
だがホープはわかってたみたいに肩をすくめる。
「なあホープ。これは一体何なんだ?」
「ふう、どうやら時間が来ちゃったみたい。バルダが私を認めてくれたおかげで現実の方のあの暴走も時期に終わるよ」
そしてホープの体が消えていき、最後に、
「忘れないで…私とあなたはいつだって共にいるってことを……」
そう言って、ホープは消えていった。
「グオオオオオオ!!」
「くっ、ヤバいな…こっちはそろそろ限界ってのに、あっちはまだまだ余裕って感じだな…」
バルダの巨大な力と計り知れないスタミナに劣勢へと追いやられるギルバー達。
「(まずい…カートリッジがもう少ししかない……スバル達もギルバーももうかなり来てるみたいだし。どうする?)」
少し焦り気味なティアナが策を必死に模索しているとき、遂に変化が現れた。
「グウ…ヴウウ」
突然バルダの動きが止まり、バルダの体が悪魔の姿になったときと同じようにスパークした。
スパークが治まると、
「ふう、ただいま。みんな」
そこには元の人間の姿のバルダが立っていた。
「「「おかえり。バルダ」」」
それに対してフォワードメンバーは優しく、包み込むように言った。
「ふっ…まあ、もう少し早くても…よかったんじゃないのか?」
そう言うギルバーは見ていて痛々しい姿になっていた。
たとえ悪魔の治癒能力をもってしても、立て続けにダメージを受ければ完全に回復しきれないからだ。
まあフォワード陣も負けずにボロボロだが…
「ごめんごめん。ホープと話し込んじゃってなぁ。時間がかかっちまった…」
バルダはばつが悪そうに言うが、皆バルダが言ったホープとは誰なのか疑問詞を抱いていた。
「ねえバルダ。ホープって誰?」
皆が代表してスバルが聞いた。
「ああ、ホープはもう一人の俺…まあ悪魔の方の俺だ」
「それで…お互いに認めあえたの?」
キャロがオドオドと聞いてきた。
「もちろん。認めたよ…そうじゃなきゃこうして話してはいないよ」
バルダが苦笑いしながらそう言った。そしたらギルバーが
「さて、もうここに長居しても意味はない。外へ行こう」
と、言った。
「そうね。みんな、外へ出るわよ」
「「「了解」」」
こうしてバルダ達は、テメンニグルの外へと向かっていった。
だがバルダ達は一つ見落としてはいないだろうか?
――魔界への扉は開かれたのだと…――
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二十一話目です。 | ||
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