魔法少女リリカルと恋姫な物語 〜少年の数奇な運命〜 第40話 心配するのは自分だけじゃない |
―――裕樹side―――
ヴェルジュからの通信を受けた後、俺はアリサにちょっと用事ができたと告げた。
「用事ねぇ・・・それってあたし達に隠さなきゃいけないことなの?」
「いや・・・絶対ではないが・・・」
「それじゃあ話してくれる?あんたが今まで隠してた魔法の事を知った今、あたし達の間に隠し事なんてあるのかしら?」
「そうだよ。今更隠し事は無しだよ?」
「・・・そうだったな、すまん」
どうにも原作の知識が残ってるせいで、勘違いを起こしてしまったようだ。でもま、それだけじゃないんだが、こりゃもうちょっと気をつけて発言しないとへまやらかしそうだな。
「で、用事の内容は?」
「魔法関連である事は確かだ」
「はぁ・・・だったら最初からちゃんと言いなさいよ。詳しい事は聞かないであげるけど、隠し事なんてことはしないでちょうだい」
「悪い、次からは気をつけるよ」
「魔法関連ってことは、なのはちゃんも関わってるの?」
「ああ。今は神那と一緒にいないが、高町の方は問題ないと思う。だから俺は別件で動く」
正直高町の方は不安ではある。確かに原作では((ああ|・・))なってしまったが、この世界でも同じになるとは限らない。だがそうなる可能性はかなり高いだろう。
(それでも俺は俺にできる事をやらなきゃいけない。はやての方もあまり時間は残されていないだろうしな)
「神妙な顔してどうしたの?」
「いや、なんでもない」
今更だが、どこかで楽観視してた部分があったのかもな。俺達がいることで歴史が変わると思ってた。現にプレシアとフェイトが和解している。アリシアの事は俺や神那にはどうしようもなかった事ではあるが、これはこれでハッピーエンドの一つだと俺は思う。この間の事件の事を思い出していると、アリサに声をかけられた。
「何か考えているとこ悪いんだけど、急いでるんじゃないの?」
「おっと、そうだった。ありがとな」
「べ、別にお礼を言われるほどの事じゃないわよ・・・あんたがボーっとしてたから声をかけただけで・・・」
「ふむ、これがツンデレと言うやつか」
「ち、違うわよ!いいから行くならさっさと行きなさい!」
「そうするよ。それじゃ、またな!」
そう言って俺はアリサの家を後にした。さぁ、俺は俺のやるべき事をやろう。
side out
アリサside
裕樹が出て行った後、私はふぅとため息をついた。
「アリサちゃん、よかったの?」
「何が?」
「裕樹君、行かせちゃって」
「別にいいわよ・・・」
「またまた〜、強がっちゃって♪」
やっぱりすずかには分かっちゃうのね・・・。裕樹がいなくなったことで私はすごく不安になってるし、たぶんそれも表情に出てると思う。からかっていたすずかもあたしの顔を見てか、心配そうな顔をして話しかけてくれた。
「アリサちゃん、ほんとに大丈夫?」
「正直言うとね、すっごく不安・・・。だって魔法を使って戦うってことはお互いに傷付けあうってことでしょ?」
「たぶんそうだとおもうよ・・・」
「だったらすずかも分かるよね?裕樹が怪我をして帰ってこないかって・・・。ううん、下手したら死にかけるような大怪我をする可能性だってあるわけでしょ?もし裕樹がそんな状態になってしまうんじゃないかって思うと・・・」
こうやって言葉にしちゃったら、さっきまでの不安がさらに膨れ上がっちゃった・・・。
<<・・・やれやれ、女性に心配をかけるとは。マスターはもう少し気遣いというものを覚えるべきだな>>
「・・・なんでいるのよ」
<<なんでも何も、マスターが置いていったからだが何か?>>
「そうじゃなくて、何で裕樹と一緒に行ってないのかって聞いてるのよ!!」
シャルを置いていくなんてアイツ死にに行くようなもんじゃないの!?
<<まあ、落ち着けアリサ。何もマスターは戦いに行ったわけではない。とある人物達の所へ交渉と言うか、お願いに行ったのだ>>
「お願い?」
<<うむ。だからそう心配する事でもない。少しは安心したか?>>
シャルにそう言われて気づいた。さっきまで不安が少し軽くなってる気がした。
「・・・そうね、少しはマシになったわね」
<<それはなによりだ>>
「裕樹君もちゃんと伝えてくれたらよかったのにね」
「まったくよ。いくらあたし達に迷惑をかけたくないからって、話し合いに行くくらいなら別にあたし達に危険が来るわけじゃないんだから・・・」
<<それに関しては私から弁明させてもらおう>>
シャルにしては珍しいわね。基本的に自分のマスターである裕樹をからかう事を趣味としているようなデバイスが、マスターの弁明をするなんて。
<<真面目な話、マスターは二人が以前誘拐された時のことを繰り返させないよう気をつけているのだ。危険な事には関わらせないようにな。現に、二人の屋敷の周辺には常にサーチャーを放っている>>
「・・・それであたし達の私生活を盗撮なんてしてないでしょうね?」
<<それはないな。もしそんな事をしようものなら私がマスターを軽蔑する。そしてその事実を世間に公表しよう>>
シャルがここまで言うなら盗撮はしていなさそうね。でも・・・。
「ねえ、そこまでする必要あるのかな?」
「すずかの言う通りね。盗撮してないとは言え、正直やりすぎな感もするんだけど・・・」
<<確かに、私もサーチャーを放たなくとも、警護の人たちがいるのだから大丈夫だろうと思い進言したのだが、その時マスターはこう言っていた。"シャルの言う事はもっともだ。俺のやっている事はただの自己満足であり、警護の人たちを信用していないと思われるだろう。だがな、警護の人たちには悪いけど、それだと俺自身が安心できないのさ">>
あいつはほんと心配性ね。・・・まあ嬉しいけどね。
<<そしてこうも言っていた。"それにな、たとえ、周りの人たちがなんと言おうと、あの二人が危険な事に巻き込まれないようにするためなら、俺はどんなことだってやってやる。その結果、二人に軽蔑されたってな"と>>
『・・・』
シャルの言葉を聞いて私とすずかは顔を真っ赤にした。なによあいつ・・・そういうことはあたしたちの前で言いなさいよね。
「そんなこと言われたら何も言えないね・・・」
「・・うん。でもそれはそれ。そういったことをするならまずあたし達に報告するのが筋じゃないかしら?」
<<それに関してはすまない。帰ってきたらマスターによく言っておこう>>
「ええ、そうして頂戴。事後報告でもいいから、今後こういうことをする場合、必ず報告するようにってね」
<<承知した>>
でもま、今回はあたしたちのことを心配してのことだから問題はさほどないけれど、やっぱり無断でそういうことをしちゃ駄目よね。さて、シャルの言う事が本当なら、今回は話し合いということらしいからゆっくり待つとしましょうか。
side out
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ども〜。お待ちどうさまです。若干グダグダになりつつ物語を進めているレアです><いや〜アレだね、自分でも思っているんですけど、早くこの一日終われやってwというわけで今回はもう一人のオリキャラ視点でどうぞ〜。 | ||
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