魔法少女リリカルみその☆マギカ 第1話
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第1話「メイドさん募集!」

 

 

 

「えーっと、いったいどうして、うちの面接を受けようと思ったの?」

 

美園はそう言いながら、手元に置かれた履歴書に目を落とした。眠たげな半開きの目と隈が目立つ宣材写真の横には、落ち着きのない、くねくねした、がさつな文字で、鹿島(かしま)瑠璃(るり)という氏名が記されている。

 

「はい!」と鹿島瑠璃は溌剌とした声を発した。「自分の趣味にこれからも打ち込み続けるには、もうどうしてもお金が必要なのです。それで、アルバイトというものに挑戦してみようと」

 

学校指定のジャージを着ていて、肩にかかる程度の髪はぼさついている。宣材写真同様、目の下には隈があった。女子高校生にしては、身だしなみに一切気を使っていない、と同じ女子高校生の美園は思う。でも、身だしなみ自体は特にメイドの仕事と関係が無いからいいや、とも思った。

 

東菫高校の校内、あらゆる階の掲示板に張り出しておいた『今田家のメイドさん募集中!』という貼り紙を見て駆けつけてきたという瑠璃は、一年生で、武器開発部という生徒会長の美園でさえ聞いたことがない怪しげな部活に所属しているという。

 

毎日、放課後に生徒会室で面接を行う、と貼り紙には書いてあり、時給も千円と平均より高い水準のつもりだが、一週間経ってもやりたいと名乗り出る生徒はいなかった。瑠璃が初めてだ。

 

割引券を持ってマッサージ店に入店するような軽々しさで、瑠璃は、何故かくしゃくしゃになった履歴書を携えて生徒会室に来た。それがどうというわけではないが、美園の自宅、すなわち今田家は大豪邸で、それは校内ほとんどの生徒に知り渡っている。もっと言えば熟知しているはずだ。もうちょっと緊張感があってもいいのではないか。得体の知れない情けなさが、蔦(つた)が絡むように、ぐるぐると足元から上半身へ、そして頭上へ、一気に抜けていった。

 

美園はプレジデントチェアに凭れかかった。目の前にいる瑠璃の仕草に意識を向ける。終始落ち着きがなく、回転椅子で、遊ぶように身体をゆさゆさと揺らしており、きょろきょろと頻りに室内の天井や壁のポスターを一瞥する。その行為はまさに矢継ぎ早で、別の場所を見た後に、その前に見たポスターを見やる。それを何度も繰り返す。

 

それが恥ずかしさから来ているのかは判然としないし、美園にしてみれば、特にどうでもいいことではあるが、瑠璃のようなそそっかしい子が、メイドとして今田家の豪邸を満足に清掃できるのか不安になる。果たして、あのだだっ広い豪邸の清潔感を保持できるだろうか。

 

「あなた、掃除、できるの?」と美園は道を尋ねるように、恐る恐る言った。やはり、掃除ができるか否かがこの面接の全てだった。

「え」瑠璃は意表を突かれたように目を見開いたが、すぐに目をこすりながら「ああ」と質問を理解したのか回答する。「いいえ。まさか」

 

さもそれが当たり前であるかのように、あっさりと否定して見せた。瑠璃の顔はいたって真面目だ。とても冗談を言っているようには見えない。

 

「でも」と続ける。「掃除がしたい、って、そう思う意志は、恐らくきっと、多分、誰にも負けないと思いますよ。だって、家(うち)、特に瑠璃の部屋、すっごくきちゃないですもん。いっつもいっつも、掃除しなきゃ掃除しなきゃ! って。それにお母さんにだって言われます。『掃除しなさい!』って。だから、その、掃除したいっていう信念っていうんですかね、それは誰にも負けない、一人前だと、そう思ってますよ」

 

なんとも間延びした、ふわふわと雲が漂うような口調だ。質問の回答よりも、自分のことを「瑠璃」と言うんだ、と愛嬌たっぷりの一人称の方が気になった。それに、「汚い」を「きちゃない」とも言った。

 

美園はデスクに肘をつき、再び瑠璃の履歴書に目を落とした。健康状態と書かれた蘭に目が行く。そこには、見ての通り、とだけ記載されていた。相変わらず汚い字だ。瑠璃に目を向ける。隈、眠たげな表情から察するに、ただ単に寝不足か。

 

「この、『フランスパン』っていうのはどういう意味かしら?」スポーツの欄に書かれていたことが気になり、質問する。

 

「ああ、それですか」瑠璃は、美園の手元を覗き込むようにし、答える。「フランスパンは非常に堅く、叩かれるととてもいたいものです」

 

「だから?」

 

「それで他人の頭を叩くと、みんな、一様にむっとした表情になり、こちらを睨んできます」

 

「フランスパンで野球? ボールはみんなの頭?」

 

「いいえ。違いますよ。みんな、フランスパンで叩かれたということよりも、瑠璃がぶったという事実に注目し、瑠璃を責めてくるんですよ」

 

「あなたよりも、フランスパンが自分の頭にぶつかったということに注目する人が出てくるの待っているの?」

 

「いいえ。ですから、あからさまな、例えば、幽霊に遭遇した、とか、目の前に人間が転落して血まみれ、バラバラになって、それを見て驚くみたいな、簡単に言えば、悪夢にさいなまれる、みたいな」

 

いったい、何を言おうとしているのか、全く見当がつかない。

 

「子供が怯懦な心を惜しげもなく剥き出しにするような、あからさまに恐怖する、そんな人が一人くらい現れてもいいんじゃないかなぁ、って思うんですよ」瑠璃は指を立て、瑠璃の言ってることわかりますよね? という表情でこちらを見てくる。

 

当然、理解できない美園は「つまり?」と肩肘をつき、退屈そうに横目で瑠璃を見やった。

 

「つまり、ニンニクを嫌うドラキュラみたいに、フランスパンが嫌いな人間、もしくは怪物がこの学校、いや、世界に潜んでいる可能性があると、私は信じているのです」

 

瑠璃はやはり、わかりますよね? という表情で見てくる。

 

「それは、趣味の蘭に書くべきことじゃないかしら?」美園は皮肉めかして言う。同時に、趣味の蘭に目を落とした。そこにも、お菓子を用いた武器の開発、と意味不明なことが書かれていた。呆れたのか、疲れたのか、自分でも判別が付かない溜め息が出る。

 

 

一気に馬鹿ばかしさがこみ上げてきた。履歴書の上に肘を置き、頬杖をつく。「メイドというものに、端(はな)から興味が?」と質問を百八十度変えた。特に興味があるわけでも、深い意図があるわけでも、採用に関わることでもないが、聞いてみる。適当だ。

 

「あ、はい。以前、同級生で親友の可憐ちゃんに東京は秋葉原のメイドカフェへ連れて行ってもらったことがあるんです」頭を掻きながら、瑠璃は話す。「そこで思いがけない遭遇にあったんですよ」

 

「へえ」相槌も適当だ。

 

「隣のテーブルにいたずんぐりした男の客が、どうやらメイドさんとのジャンケン勝負で負けたようで。横目に見ていると、メイドさんと一緒に店外へ消えたんです。お持ち帰りかな? なんて思ったんですが、しばらくして、外から『あいりちゃん大好きだー!』って雄雄しい叫び声が聞こえてきて。それで、何だ何だ!? って、慌てて窓から外を見たんです。道路を見下ろせば、さっきジャンケンで負けた客が、店に向かって、狂ったように、そばにいたメイドさんの名前を叫んでいたんです」

 

「へえ」

 

「あの時の、慙愧(ざんぎ)の念に満ち満ちた表情はゆめゆめ忘れることはないでしょうね」

 

さもコメディアンが、自分の身の回りで起きた愉快な出来事を面白可笑しく語るような口ぶりだが、どう反応していいのか困る。「すごいわね」と言えば、また話が始まりそうだった。

 

美園は表情に不快感を露にした。そのことに瑠璃が気づくはずもなく、周囲をきょろきょろ見回している。

 

「それは、メイドに対して恐怖心が芽生えたっていう話なの? メイドお化けを克服するために、メイドになって、メイドの実態を知り、意表を突いて奴らを滅ぼしてやろうって、そう思ってるわけ? その……フランスパンで」

 

冗談と皮肉を混ぜ合わせた言い方をした。

 

「生徒会長!」と瑠璃はいきなり、先程までの飄々とした声ではなく、はっきりとした声を発した。姿勢を正している。両手を膝の上に置き、背筋をぴんと伸ばす。「瑠璃、最初に言いましたよね? アルバイトって、その仕事が好きでするっていうよりも、生活費や趣味に使うお金のためにする方が多いんです。瑠璃も例外ではありません!」

 

揚げ足を取られた気分になる。出所不明の怒りが込み上げてきた。ぐつぐつと胃の中で煮えくり返っている。普段、役員をいじめる時のドS心にも似ているが、罵倒する気にはなれない。

 

ふと、美園は自宅のメイドのことを思い浮かべた。専属メイドの雨庭(れいん)だ。美園より歳がいくつか上だが、身長は低い雨庭は、メイド長以上に厳しく、美園を躾(しつ)けてくれた。思えば、自分も、身の回りの掃除や片付けが一切できない、五姉妹の中でも飛びぬけた問題児だった。

 

その美園を躾けるほどの威厳と実力がある雨庭なら、瑠璃を、掃除に関することだけでなく、喋り方や身だしなみも正してくれるに違いない、と腕を組み思量した。

 

「生徒会長?」

 

その声で我に返る。

 

「採用でいいわ! 明日からお願いね。執事に電話しておくわ。あなたを迎えに来るように」と美園は半ば適当に承諾した。

 

「あ、ありがとうございます! 瑠璃、頑張ります」瑠璃は、そう言った後で、一度目を伏せた。何か言いたげな表情でこちらを見る。

 

「どうしたの?」

 

「あ、実は、瑠璃の部屋、あまりにも汚くて、それ以前に、すっごく狭いんです」

 

「部屋が欲しいのね?」

 

超能力があるわけではないが、瑠璃の言いたいことは、すぐにわかった。

 

「ありがとうございます!」瑠璃は立ち上がり、デスクに手をついた。その目は光り輝いている。

 

「待ちなさいよ。まだ承諾したわけではないわ」両手を振り、必死に否定する。

 

「え、だって、生徒会長の家、大金持ちなんですよね? 豪邸なんですよね? 余ってる部屋ぐらいありますよね? その部屋は広いですよね?」

 

まるで幼稚園児がだだをこねるような勢いを感じた。瑠璃の顔は目の前まで迫ってきている。美園は視線を右斜め上に向けた。自宅を想像する。巨大な門をくぐり、遊歩道のような庭の先に、古めかしいレンガ積みの豪邸が建っている。玄関、靴脱ぎ場を抜け、迷路のような廊下を抜る。集合住宅の通路のように扉が並ぶ空間に行き着いた。そこが何階なのかは判然としないが、扉の向こうは全て空き部屋だ。

 

「まあ、いいわよ」家族に許可を得る前に、許可を出すのはよろしくないが、別に誰も反対しないだろう、という軽い気持ちだった。「使い切れないほど、広いかもしれないけど」

 

「ありがとうございます! 瑠璃、仕事、精一杯頑張りますのでっ!」

 

そう言って、瑠璃は鼻歌をうたいながら、踊るように身体をくねくね揺らしながら、部屋を後にした。

 

苦笑いで瑠璃を見送った後で、美園は今日一番の溜め息を吐いた。

 

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瑠璃の履歴書を、足元に置いていたスクールバッグにしまっていると、出入り口のドアが開く音がした。体勢を元に戻し、見てみると、「美園、ちょっといいかな」と今日歌が入室してきていた。何やら紙を手に持っている。その途端、電撃が走るように、嫌な予感がよぎった。

 

「今度は何よ」力無く、息を吐くように言い、先程まで瑠璃が座っていた椅子に座った今日歌の顔を見た。「科学部がさぁ」と先程までの状況を知らない今日歌は陽気に喋りだす。「援助してほしいんだってさ。研究費がいるんだって」

 

美園の顔を見ず、紙に目を落としながら今日歌は言う。

 

「昨日は映研が援助して欲しいって話があったじゃない。全く、映研といい科学部といい。私の家がいくら金持ちだからって……」

 

映画研究部が自主制作映画を、半ば無理矢理見せ付けてきたのが、つい昨日の話だ。生徒会役員を侍(はべ)て廊下を我が物顔で歩いていると、消火栓の陰に隠れていた、映画研究部部長の小暮マミが突然飛び出してきて、「ぜひ来て!」とだけ言われ、美園の手を強引に掴み、体育館脇のシアターへ連れて来られた。

 

「ああ、それ、無くなったみたい」今日歌があっさり言うもので、一瞬、何の話かわからなかった。彼女は終始、手元の紙に目を落とし、文字を追っているのか、左右に目を動かしている。

 

「え? 無くなったって?」

 

「映研の援助の話、無くなったって」当たり前のように繰り返した。

 

「どうしてよ。あの部長、そんなに潔いとは思えないけど?」

 

「とにかく、もういいんだってさ。それよりも、これだよ!」

 

今日歌に手渡された紙に目を通す。大学ノートサイズの用紙には、空白が目立つ。『生徒会長へのお願い』という太文字を筆頭に、贅沢に間が取られ、生徒会長への要求が略記されていた。素早く目を動かし、流し読む。

 

「つまり?」全てを読み終えた後で、結論を今日歌に委ねた。プレジデントチェアに踏ん反り返り、嘆願書とも言える用紙をデスクに放った。

 

「四百万の援助が必要なんだってさ」今日歌はにっと歯を見せた。

 

「全く、冗談じゃないわ!」

 

「待った待った。そんなにケチケチするような話でもないの、これが」

 

美園から用紙を取り上げると、「美園はがめついのが嫌いなようだけど、彼らが求めてるのは金じゃなく、支援だよ」と用紙をこちらに向け「ここ」と文章の一部分を指で差し、読んでと促す。

 

美園はその部分に顔を近づけ、「人類の夢、超能力の取得」と棒読みした。

 

「どう、面白そうじゃない?」何故か今日歌が胸を張る。

 

用紙に書いてあったことを要約すれば、放射能を浴びた毛虫の体液に、どの資料にも載っていない謎の物質を発見し、調べてみた結果、人に超能力を与える可能性がある、とにわかには信じがたい、荒唐無稽とも言える話だった。さらには、その研究のために四百万ばかり援助してくれないか、と言う。

 

「現実味が無いわ」美園は肩をすくめた。

 

「現実味が無いからこそ、面白いんじゃない? 美園、あんたSFモノの映画大好きでしょ? それってつまり、こういう超能力とかありえないことに興味があるってことに違いないってわけだ! 目から赤い光線出したし、手首からクモの糸出したり、身体中に業炎纏ったり、高速移動できたり、太陽の表面を歩けるようになるかも!」

 

「確かに、私はSF映画は大好き。だけれど、今日歌が言う能力が出てくるのは、全てアメコミヒーローの能力じゃない」

 

「何が不満なわけ? 日本の魔法少女も、アメリカのヒーローも、能力に憧れた人が描いていることに違いはないじゃん。全ては憧れから始まるんだよ」と今日歌は、デスクの上にうつ伏せになり、美園の顔を見上げた。

 

何で魔法少女? と指摘したくなったが、喉まで出かかった言葉を必死に呑み込んだ。

 

そうこう葛藤している間にも、今日歌は「たとえアメコミに興味が無かったとしてもさ」と話を続けていた。「Dr.マンハッタンの能力に憧れない奴はいないでしょ。中二病患者の美園ならなおさらのこと」

 

まさしく、ヒーローに憧れる子供のように今日歌は目を輝かせていた。

 

Dr.マンハッタンと聞いて、美園が真っ先に思い浮かべたのは、顔を真っ青に塗ったパフォーマンス集団だった。そのイメージを経由するかたちで、全身が青々と輝く高身長の超能力者のシルエットのイメージへと行き着いた。

 

「ちょっと待ちなさいよ」

 

頭の中で、場面を逆再生させるように、「中二病患者の美園ならなおさら」という今日歌の台詞部分で一時停止した。再生しては巻き戻しを繰り返す。「私が中二病患者? 今日歌の目が節穴ではないのなら、私が清潔で美人な優等生生徒会長に見えるはずよね?」と早口で言った。尋問するような勢いがある。

 

「眼球はちゃんとあるし、視力も1.0以上」今日歌はそう前置きをした後で、「まさかとは思うけど」と美園に顔を近づけた。「違うわけ?」

 

勝ち誇ったような、自信に満ちた笑みを見せ付けられる。美園が言葉を返すより前に、そうそう、と今までのことを忘れ去ったように、顔を遠ざけ、スカートのポケットからメモ帳を抜き取り、ぱらぱらと捲った。

 

目的のページを見つけると、人差し指をしおり代わりにし、一度閉じた。「そんなことより幽霊だよ幽霊!」と口に手を添えて、囁きかけてくる。

 

「幽霊?」美園は口をゆがめた。

 

「テレビから出てくる、じめじめした髪の長い女とか、トイレでひっそり暮らす陰気な女の子とか、ギャグみたいな浮遊霊とか想像したでしょ?」

 

今日歌はずかずかと土足で心に踏み入るようにそう言うが、正直、まだ幽霊という複雑な形をした漢字しか頭に浮かんでいなかった。今日歌は組んでいた足を足を組み替え、椅子の片脚を浮かせ、デスクに寄りかかるような体勢になった。「違うんだなぁ、これが。エイリアンっぴ骨格をしてるって噂よ」

 

「エイリアンって、あのリドリー・スコット・監督の?」咄嗟にそう質問していた。エイリアンシリーズは、美園の大好きな映画の一つである。ゆえに、聞かずにはいられなかった。

 

「そうそう。詳しいねぇ、さっすが映画大好きっ娘!」

 

「いいから続けなさい」

 

窓の外を一瞥した。すっかり陽が落ち、暗くなっていた。

 

「エイリアンが介入すれば、にわかには信じがたい、しかも興味ない話でも、無条件に興味が湧く、っと」と今日歌はいつの間にかボールペンを出しており、メモを取っていた。

 

「いい?」すかさず、美園は手をついて、立ち上がる。今日歌を指差し、「私が説明してと述べたのなら、あなたにはメモを取る権利ではなくて、説明を果たす義務が生じるのよ」

 

冗談だよ冗談、と今日歌はボールペンをポケットにしまった。説明を続行する。

 

「まさにだよ。まさにエイリアンなんだってさ。あの不気味な造形を、一人じゃない、複数人が目撃してるんだ!」

 

「何人も見てるのね?」

 

「新聞部の部室に、次々と駆け込んできてさ。みんな、特に関わりがあるわけじゃないんだけど、一様に、同じ主張をするんだよね。エイリアンっぽいのを見たってさ」

 

「それは、実に興味深い話ね」

 

「でしょでしょ!」今日歌のテンションが上がる。

 

続けて、「美園なら」と今日歌は、落ち着かない様子で、再度デスクに伏せ、美園の顔を見上げた。にひひ、と不気味に笑ってみせる。「この事態を放っておくわけにはいかないと思うんだけどなぁー」

 

「確かに、私なら、そんな面白い事態、放っておかないわね。たとえ悪質なイタズラや、つまらないドッキリだったとしても、正体をこの目で確かめたいわね。それに、もし本物のエイリアンだったなら、これ以上のことはないわ!」

 

「さっすが美園様!」

 

急に取り巻きっぽくなった今日歌を意に介すことなく、美園は立ち上がった。「さっそく今夜にでも、調査開始よ!」

 

説明
メイド(バイト)の募集〜エイリアン(敵)の出現情報まで。

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生徒会長 学園 魔法少女 コメディ 

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