ゼロの使い魔 気ままに生きる転生者 13 |
魅惑の妖精亭に入ろう・・・としたのだが、やっぱりやめておくことにした
なぜなら、まだニューに飲食に関する機能をつけていないのと、五歳児があの店に入るのは少し躊躇われたのだ
故に此処は一旦お預け、トリスタニアを出てすぐ魔法式バイクにまたがり、今度こそヴァリエールの家に帰還する
一夜を野宿で過ごす事になるが、サバイバル訓練として良い経験となった。
朝起きて、男装しっぱなしと云うのも何だ、という事で、黒のゴスロリドレスに着替えた
何故ゴスロリドレスなのかといえば、気分だったとしか言えない
それから特にこれといった出来事もなく、太陽が真上に来る頃にはヴァリエール家の屋敷に到着した。
ニューが伝書鳥を飛ばしていたらしく、アンナと母上が出迎えてくれた。
アンナも母上も、それはもう、とてもニヤニヤしていたので
余は軽い挨拶を済ませ、しばらく部屋に引きこもると言い、止める間もなくそそくさと自身の部屋に向かった
因みに魔法式バイクはレビテーションを使って自室の窓から直接部屋にブチ込んだと見せかけて王の財宝の中にボッシュートした
決して弄られそうなので逃げるとか、そんな理由ではない。ないったら、ない
部屋に戻って早々、棚にしまってあった秘薬の調合セットを展開し、早速胃薬の調合を開始する
調合開始数分で胃薬が出来上がってしまった・・・
素材も余っているので、適当な薬を調合しようと思う
「はて、美肌の塗り薬のレシピは何処へやったか・・・」
たしかこのファイルの中に・・・あ、あったあった
・・・ふむ、ふむ・・・十分足りるか、では早速
竜の血液に水の精霊の涙を一滴・・・
「あっ」
間違えてドライアドの体液を入れてしまった・・・
変化による害は・・・無いな
ふむ、しかしあえて此処で水の精霊の涙を一滴・・・あっ、入れすぎた
試験管の中の赤い液体と水の精霊の涙が混ざり合い、紫色の液体に変化した
本来の目的の調合結果ではないが、まあ良いか、害は無い・・・多分
「念のために解析しておこう・・・」
――ディティクトマジック――
『年齢操作の薬』
自身のなりたい年齢を思い浮かべながらこの薬を摂取すると
外見年齢を思い浮かべた通りにに変化する薬
持続時間は7時間
副作用:少しだけ興奮する(性的に)
お肌の年齢は、元の年齢に戻ってもそのまま継続する
・・・母上に贈るとしよう。
母上なら・・・母上ならきっと有効に使ってくれるはず・・・!
一瞬、アンナに遣ろうと思ったが、余の貞操の危機であると安価の神が警告を発していたのでやめた
そもそも、アンナは韻竜で、人の形は仮初のもの故に、これを渡しても意味がないのだと思い至ったというのもある。
姉上〜ズに渡すとして、仮に変身できても、副作用の捌け口が居ないので却下
父上には胃薬を渡すので却下
余自身が使うにしても、姉上〜ズと似たような理由で却下
・・・消去法でも母上しか渡せる相手が居ない・・・
まあ良いか、母上がこの薬を使ったら使ったで、父上がちょっと干からびるだけで済む
さて、渡す相手が決まったところで、一旦王の財宝の中に収納して、と。
兼ねてから頭の中で計画していた魔改造を実行するとしよう。
「ニューよ、お前の身体の((魔改造|バージョンアップ))をはじめるゆえ、ベッドの上で一時全機能を停止せよ」
「≪諒解 全機能を停止します≫」
全ての機能を停止したため、異空間に漂っていた武装ユニットが顕現する
顕現したそれを全て王の財宝の中に収納し、魔法を使って部屋に誰も覗けず、入ってこれないようにしてから
魔改造を開始する。
「まずは擬似的名臓器や骨格の生成・・・これは錬金で大まかに形を生成しつつ、余のスキルで荒を削りながら微調整を施す」
ニュー専用の記録用ファイルに、改造の内容を記録しながら改造を進める
ニューの身体は、言い方は悪いが生き物のそれではないが故に、身体を開いた状態での時間の経過でニューに危険が及ぶわけではない
なので、ゆっくり集中し、記録を残しつつ、丁寧に、確実に事を進めることが出来る。
作り出された臓器や骨格一つ一つに、吸収、循環の概念とそれを補助する術式を組み込んでいく
術式が完成し、心臓を中心とした血管と神経が全身に張り巡らされる。
これで魔力を全身に循環させる事と((身体強化|フィジカルエンチャント))が可能に
結果、本来の目的である魔力炉と、飲食物の摂取が可能となった。
視覚と聴覚は元々存在しているので、今回の魔改造で味覚と触覚と嗅覚の概念を追加で実装した
ここまでは、人間とほぼ同じような体の構造なのだが・・・
マナ、所謂「自然魔力」「魔力素」などの、体の外側に存在する魔力を吸収し、自身の魔力へと変換する機能を付け加える。
イメージ的には、某リリカル臓器「リンカーコア」と、体は剣で出来ている人の「魔術回路」を混ぜたような感じのもの。
心臓の場所にリンカーコアを中枢として、魔術回路をリンカーコアに接続し、全身に神経や血管と同じように張り巡らせる
解りやすく述べるならば
リンカーコア=心臓 魔術回路=血管とか神経とか
((心臓|コア))は((血液|魔力))を循環させるためのポンプであり((血管|回路))は((血液|魔力))を通す道
と、つまりはそういうことである。因みに魔術回路での神経とは、魔力を操るさいに、その制御を補助するものである。
ファイルに記録しつつ、次の工程に移行する
「筋肉」はミスリルとオリハルコンの合金の極細糸を人間の筋肉と同じような形で編みこみ、筋肉として代用
擬似神経や血管にリンクし、人間と同じ機能を再現する
これを全身に施し、次に「脂肪」に代わるものを・・・と思ったが、最初から出来ていたのでスルー
損傷に対する耐性と、損傷した場合の自動修復機能、魔力吸収のON/OFF機能の術式を付与する
競合してエラーを発生させてしまわないように細心の注意をしつつ術式を組み
エラー対策で術式復旧の概念を付与。
実装した機能や術式に関する自己解析機能と、エラーが発生した際の術式の、任意での自己修正機能
さらに、エラーを記録し、その発生を抑制するためだけの術式構築能力と学習能力を追加で実装
神経が確り繋がっているか、骨の部分が足りているか等の点検を済ませ
耐久強化の概念を全体的に編みこみつつ開いた((外装|皮膚))を閉じた
外装が確りと閉じているか、中身がはみ出ていないかを点検し、全て問題なく修復されていることを確認する
これにて全ての工程を完了。
あとは起動実験と動作実験を繰り返し、微調整を繰り返していけば、一応の完成となる
「さて、ニュー ((再起動せよ|起きろ))」
ニ重言語式の起動ワードを唱えてニューを起動状態にするための工程を踏む
すると、ニューが目を覚ました。
「≪―――本体起動 内部機能起動 魔力炉起動 自己意識起動 学習能力起動 自己解析 完了 問題無し 動作確認 各部異常無し≫」
手を動かし、首を動かし、視線を動かし・・・あらゆる駆動可能部位を動かし、一つ一つ確実に動作を確認していく
「≪魔術回路 魔力吸収 循環 停止 再起動 問題無し 武装ユニット…確認できず≫」
マナの動きを確認し、問題なく機能していることを確認、ファイルに記録する
次に武装ユニットを王の財宝から取り出し、再びニューの異空間へ格納
「≪―――武装ユニットの存在を確認 展開実験へ移行します≫」
つい数秒前に、異空間に格納された武装ユニットがニューの背後に出現
一つにまとまっていた武装ユニットが各パーツに分裂し、ニューに装着されていく
背に浮く都合八振りの浮遊する剣を操作し、動作の確認を始めた
動かすと言っても、室内なので、本当に軽く動かす程度なのだが・・・
「≪武装ユニット展開 装着 ―――完了 各ユニットの接続確認 完了 自己解析 完了 動作確認 全て異常無し 武装ユニットの解除を開始 完了 異空間への収納を開始 完了≫」
現在可能な動作確認は完了した・・・のだが、いい加減、全裸状態はちょっと格好が付かない
なんて事を考えていると、ニューの腹部から、空腹を訴える音が鳴った。
「≪……グランドマスター『お腹が空きました』≫」
「・・・あー・・・」
起きて早々、食事の催促とは恐れ入った
しかし、それよりも先に、やっておかなければならない事が一つ
「とりあえず、いい加減服を着よ。」
「≪(´・ω・`)≫」
子犬がションボリしたような表情でごはんは?と言いたげな目線を余に向けてきた
・・・顔の表情の筋肉を動かせるからって、余の罪悪感的なナニカを刺激するような表情を・・・!
しかし、何かを食わせて遣りたいが、何か有ったか
――そういえば、夕食用に作ったサンドウィッチ、いろいろあって一切手をつけていなかったな・・・
普通なら食える状態ではないのだろうが、王の財宝の中に入れっぱなしゆえ、最良の状態で固定されているはず
「しばし待て・・・おお、あったぞ」
王の財宝を起動し、サンドウィッチが入ったバスケットを取り出した
「これを食べるが良い、そなたの食べたがっていた―――」
「≪諒解 食料の摂取による魔力の回復を開始します≫」
バスケットを取り出した瞬間、取り出したバスケットが消失
否、ニューの手に渡り、その中身が物凄い勢いでニューの糧となっていく
どれほどの勢いなのか、「早食い」と言うより、「消滅」と言ったほうがわかり易いだろう
それほどの速さでニューの口に運ばれていった。
・・・せめて余が言い終えるまで待てなかったのか・・・とは思うが、今回は見逃すとしよう
しかし、それでも確り味わって食べているように見えるのは、一種の恐怖と言えるだろう
「≪グランドマスター 『おかわりを要求します』≫」
「残念だがな、ニューよ、今出せる食料はそれしか無いのだ」
「≪(゚Д゚)≫」
えっ、何言ってんのコイツ
みたいな顔をされても、その、困る
「気持ちは解らんでもないが、夕飯まで待つが良い」
「≪(´・ω・`)・・・諒解≫」
飲食機能の実装・・・早まった、かなあ・・・?
ラグドリアン湖まで赴いた本来の目的は、胃薬の完成と言う結果でほぼ完遂した。
しかし、次の課題が余を待ち受けていた
湖の、水の精霊との約束である、仮初の体と言うか、依り代の作成である。
湖の精霊という側面を見れば、人並みの大きさの、人の形をした依り代を思い浮かべるのだが
水の精霊、水を司る存在と云う側面を見るならば、人外、しかも東洋の竜を思い浮かべる
まあ、どちらも余の勝手な想像にすぎないのだが・・・
そこで余は思いついた
「どちらか迷うのであれば、その間を取ってしまえば良いではないか」
つまりはそういうことである
そうと決まればさっそく画用紙に思い描いた形を書き記さねばなるまい
さっそく画用紙と鉛筆と筆を用意し、思いついたものを思うように書いていく
其処で余の致命的なミスに気が付く・・・
「今更であるが、余は((絵を|・・))((描いたことが|・・・・・・))((一度たりとも|・・・・・・))((無い|・・))のではないか?」
衣装をや衣服を作成するときは下書きなど必要とせず、ただ思い浮かべるだけで完璧に仕上げることが出来た。
型紙ももちろん必要なかった。むしろ針と糸と素材さえあれば100%再現できた
武器の製造も同じく、打っていれば、気付けばそういう形になっていた
「―――何と言う事だ・・・!余とあろう者が、こんな基本的な技術の習得を失念していたとは・・・!」
才能に胡坐を掻くことに嫌悪していた余自身が、才能に胡坐を掻いていたとは・・・!
・・・とは言え、その失敗に気付けたのは不幸中の幸いか・・・
ならば、自己嫌悪で落ち込んでいる場合ではない
少しでも上達するように練習しつつ、作業を進めねば・・・!
集中し、意識を加速させつつ、絵を描き始める
最初はかなり時間が掛かるが、慣れればミスも無く一枚数分程度、早くて数秒で書き上げることが出来るようになるであろう。
一枚目―――
「何だ、何だこの・・・何?」
■枚目―――
「SAN値直葬モノの絵が出来てしまった・・・!これは燃やしてなかった事にしよう」
三ま・・・二枚目―――
「こ、((こいつ|自分の手))・・・((動くぞ|勝手に))!?」
三枚目―――
「余は確かに間を取るとは言った、だがこの、蚯蚓と人間の中間のような名状しがたきコレは何だ・・・?」
四枚目―――
「とりあえず東洋の竜を書こうと思ったら、鱗を纏った蚯蚓が出来たでござる・・・」
五枚目―――
「じ、人体模型・・・だと!?」
六枚目―――
「おい誰だ人体模型の首を巨大蚯蚓と挿げ替えてろくろ首よろしく化け物にしたのは・・・!って余の描いた絵ではないか」
七枚目―――
「ふむ、東洋の竜に見えなくもない、か?いや、鱗を纏って角と手が付いた蚯蚓……?こ、こやつ、進化しておる……!」
八枚目―――
「・・・よ、よし、とりあえずは蚯蚓を卒業したぞ!って、蛇に手足と角を付け加えただけではないか!・・・しかしこれも一種の進歩か・・・?とりあえず、竜を完成させるとしよう」
九枚目―――
「お、おぉ、出来た、出来たぞ!東洋の竜!・・・輪郭だけだがな!中身?蚯蚓だよ・・・!」
十枚目―――
「・・・ふむ、出来た!出来たのだが、格好良いとか、美しいとかではなく、どちらかと云うと可愛らしい・・・?要練習だな」
―――技能:「絵師」Lv1を習得しました―――
十一枚目―――
「((細かく書きすぎたな。真っ黒になって色が塗れなくなった|中学生のラクガキレベル))・・・やり直し」
十二枚目―――
「おぉ、これは((なかなか|美大生レベル))・・・」
――――――――
――――――
――――
――
―
57枚目―――
「・・・ふぅ、こんなものか。ついつい背景まで描き込んでしまった。描いた自分が言うのも何だが、これほど美しい絵は見たことが無い・・・!」
・・・はて、何故余は絵を描いているのだったか・・・何か忘れているような・・・
周囲を見渡しながらそんなことを考えていたのだが、それより先にやるべき事が一つ
ずっと絵を描いていたのだ、部屋中に絵の具や画用紙が散らばっている状態である
部屋の整理を済ませるために、まずは窓を開けて空気の入れ替えを
・・・窓を開けたまでは良かったのだが、外の様子がおかしい
何がおかしい点を強いてあげるとするならば、((太陽が真上より少し東に傾いている|・・・・・・・・・・・・・・・・))事か
「・・・解せぬ・・・余が絵を描き始める前は、確かに西に傾いていたはず・・・」
時間が巻き戻った?否、有り得ん・・・事も無いとは言えんが、違うだろう
催眠術に掛かった?否、余に精神操作の類は効かないし、そもそも催眠をかける必要性が無い。誰得というヤツか
・・・!まさか、否有り得ん、いやしかし・・・一番可能性が高いものといえば・・・
「もしや、余はもしかすると、無意識に星の位置を操ってしまったのか・・・!?」
「ネロお嬢様ェ・・・集中のしすぎで一晩経過しても気付かないとは・・・」
アンナの声が聞こえたので振り返ってみると、そこには頭を抱えたアンナの姿が・・・
「≪――特殊感情表現モーション『((ベッドの上で横になりつつ体育座りの体勢|いじけの姿勢2))』実行中≫」
・・・あ〜、それはすまぬ事をした。
余としたことが、ついつい熱中してしまったらしく、夕食も食べに行かず、ニューに何も食べさせてやれなかったようだ
「ふむ、入浴して汗を流した後、朝食を作るとしよう、もちろんニューの分もな」
「≪モーション解除 諒解 可及的速やかに行動を開始します≫」
57枚目の絵はそのまま机の上に置いておき、それ以外の画用紙を全て専用のファイルに収納し、本棚に片付ける
杖を一振りし、絵の具セットの汚れを水で洗い流してから元の場所に収納し、さらに汚れた水を錬金で綺麗な水に変換
汚れた手を、浮いた綺麗な水の塊に突っ込み、汚れを落とし、もう一度嫌いな水に錬金し直して、今度は顔を洗う
眠気も少しは吹き飛んだ。
そのまま風呂場へ赴き、脱衣所で服を脱いで―――
サービスシーン。ビデオカメラを手にご覧ください
綺麗な線を描く筋、透き通るように白く綺麗な肌は、赤く上気している
そして
そんな自分を鏡で眺め、躍 動 す る 筋 肉 をピ ク ピ ク と振動させながら悦に要るイイ男が一人
こちらに気付いた彼はこういった
「ボ デ ィ ビ ル を や ら な い か ?」
サービスシーンは此処まで
・・・何時から余の入浴シーンを晒すと錯覚していた?
幼女の裸見て興奮する奴はもげればいいと思う。
ナニがとは言わんが・・・おっと、少々下品だったか
風呂に飾られている石造はまさにそんな感じである。
確か銘は・・・「兄貴と私、ボディビルッ!」だったか
余が4歳の頃、悪ノリして作ったものが、何故か気に入られて、風呂に飾ってあるのだ
・・・ん?先ほどのサービスシーンは何だったのか?この石造の纏う雰囲気をそれっぽくしたまでよ
そんなサービスシーンはいらない?知らんがな
ともかく、汗を流して疲れを癒した後、身体を拭いて適当な服に着替えてから
アンナとニューを従え、食卓に直行、姉上〜ズと母上と一緒に昼食を食べる
とくにコレといって話題は無く・・・無く・・・!
・・・無かった、ああ、無かったとも!余の初恋の兼で弄られたりなぞ、これっぽっちも無かった!・・・なかった事にした!
・・・昼食を終え、そそくさと厨房に侵入し、適当な材料でサンドウィッチを作る
昼食や夕食の食材が足りなくならないか?ぶっちゃけると箱詰めをダース数えているうえ
ダース単位で仕入れているため、少し減ったところで気付かれることは無い
とは言え、厨房に誰かがいれば流石に見つかるのだが、余のスニーキング能力の高さを嘗めて貰っては困る
誰にも見つからず目的のブツを入手することに成功し自室で((待機している|萎びている))ニューに
厨房で入手した例のブツを渡そうとした瞬間、渡すはずだった物が消失していた
この現象の犯人は解っているので、犯人であるニューに視線を向けると
ニューの頬がハムスターのように膨れていた。
その光景に和みつつ、おかわりは無いぞと告げる。
この世の終わりとでも言いそうな表情を余に向けるが、そこはスルーしておく。
バレると余が怒られるゆえ、あまり多く作れないのだ
・・・ふむ、これも何とかせねばな、いっそ畑でも耕してみるか?
今度父上に聴いてみるとしよう。
豊穣の鍬とか大鎌とか作ってみたくはあるな
・・・・・・・・・・・・あ、そういえば、水の精霊の依り代を造るのだったな、ああ、思い出した
「さて、始めるとしよう」
ニューは一応、メイド見習いと言う扱いでもあるため、今回はアンナの助手として、屋敷の中でお留守番。
なので、描いた絵とファイル、その他諸々を持って、一人で訓練場に赴き
ニューに関する技術の応用と、余った精霊の涙とその辺の土くれを材料に
蒼を基調とした東洋の竜の外装を創造した。
水の精霊の涙を素材としたのだ、親和性は相応に高いだろう。
そこからさらに、空気中に水分が存在しているなら自由に動けるようになる術式を組み込む
外装の内側に、微量の水を生成し、全身に纏わせることが出来る魔法を発動させるための術式を刻み
それを隠すようにして、術式が刻まれた場所を覆うようにして薄い膜を張った。
この外装の中に一定量の水が入れば、水で出来た筋肉や爪などが自動で形成され
そこに水の精霊の意識が入り込めば、自由に動き回ることの出来る依り代の完成である。
最小約2メイル〜最大約12メイル位までなら大きさを調整できる。まほうってすごいね
もっと巨大な物を作りたかったのだが、目立ちすぎるのも駄目だろうということで自重した。
試作1型・水の精霊の依り代
固体名:小蒼龍
モデル:東洋の龍
全長:210サント〜1200サント
外側に水が少しでもあるなら自由に行動できる依り代。
水風船みたいなノリで水を入れ
一定量の水が中に入れば、勝手に中身や目、爪、角、牙などが形成される
外装の内側に微量の水を外で生成する術式と、生成した水を纏えるようにする術式が刻み込まれている
理論上、((空中を|・・・))((泳ぐ事が出来る|・・・・・・・))
怖いとか格好いいと言うより、美しいとか可愛いとかそんな感じの依り代
場所や状況、気分によって、ある程度大きさを変更できる
因みに、製作者か水の精霊にしか扱うことが出来ないように出来ている。まほうってすごい
・・・大きさが微妙なため、作り始めてから完成まで、一時間も経過していないのではなかろうか
太陽の位置は真上を少し過ぎた辺り、あてずっぽうだが、12時40分くらいか
依り代を造ったり、実際に動くか試したりもしたが、本格的に試すには水の精霊の協力が必要である。
ゆえに依り代作成は此処で一時詰み。次にラグドリアン湖に赴いた時に試すとしよう。
今日は訓練は休み、ニューの実験も無く、稽古も無し、胃薬は造ったし、依り代も水の精霊のところに持っていって試すだけ
となれば、やる事も無くなって暇になった・・・いかん、いかんぞ、時間を無駄に使ってしまうのはいただけない
――詩でも謳うか・・・?物語っぽい歌詞でもつけて謳うか・・・暇つぶしにはもってこいだな
ああ、歌や曲に沿って、特定の事象や現象を発生させる実験でもしよう。
目標の魔法体系の素材としては、精霊魔法と系統魔法、あとはレーヴァテイルの詩魔法か
特に三つ目のスキルは、「塔」が無いため、「塔」すらも自身の身で代用しなければならないため、燃費が悪いからな
丁度良い機会だ、この世界に適応した技術を編み出してしまおう
「ハルケギニア式詩魔法」・・・では味気ないな、「演奏魔法」・・・違う、「演唱魔法」とでも名づけるか
とは言っても、かの世界の詩魔法は、レーヴァテイルと云う種特有の魔法である。
この世界にレーヴァテイルは余を含め、よほどのイレギュラーでもなければ恐らくは存在しない。
故に、必要な条件をこの世界風に再現し適応させ、本来ならば「レーヴァテイル」であることが前提条件であるそれを
「メイジ」かつ、「女性であること」かつ、「魔法技能が一定以上である」かつ、「歌唱力が一定以上である」かつ、「楽器に関する技能を持っている」ことが
今から創るスキル「演唱魔法」習得の、最低限の前提条件であることは確実であろう。
このスキルを扱えるのは恐らく、余とニューくらいであろうか・・・
まあ良い。早速、理論の組み立てをしよう。
まあ、なりきり士のスキルを使って覚えたスキルの応用を組み合わせるだけなのだが
表向きの理論を組み立てるのも一興、一種の暇つぶしになるわけだ
「((演唱魔法|えんしょうまほう))」
歌の詩や、楽器の演奏を媒体として、特定の現象や事象を発生させることの出来るスキル
たとえ歌われている言語が解らなくても、聞き手はその歌詞の意味を魂で理解する
その歌詞に偽りや誤魔化し無ければ無いほど、その効果をより強く、より広く、より深く発揮することが出来る
このスキルを極めると、楽器がひとりでに、歌い手の歌に対応した局を奏で初め
複数名が必要な歌の場合は、一人以外だれも歌っていないはずなのに、別の誰かが歌っているかのように
何処からとも無く対応した歌詞が紡がれる。
このスキルの創造に必要な技能
・ハルケギニアの系統魔法、虚無を覗く四属性がスクウェア以上、コモンスペル習得済
・精霊魔法習得済or概念魔法「70」以上
・詩魔法習得済
・「歌」LV限界突破(神域)
・「楽器関連」LV限界突破(神域)
このスキルの習得に必要な技能
・ハルケギニアの系統魔法、虚無を覗く四属性のいずれかがライン以上、コモンスペル習得済
・「歌」LV3(国お抱えの歌姫レベル(やろうと思えば歌声で精霊を集めることが出来る)以上
・「楽器関連」LV4(世界有数レベル)以上
「―――おっと、少しばかり集中しすぎたか」
『演唱魔法』の魔法体系に関する理論を考えていて、気付いたら既に日は沈みかけ・・・
「そろそろ屋敷に戻らねば」
創った依り代を含めた荷物をレビテーションで浮かせながら、((軽い駆け足|ただしネロ基準))で
自分の部屋に戻り、衣服を着替え、手洗いやうがいを済ませてから、作った秘薬二つを持って食卓に向かった
説明 | ||
主人公ヘタレる。作者のモチベもヘタレる。ファイル見つけたので本当に久しぶりにHBOやろうと思ったら二年位前にサービス終了していたでござる。作者ってほんとバカ・・・ | ||
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