踊る双月 |
「前非を悔いて心を入れ替えます。どうか命だけはお助け下さい」
いきなりだが、俺ことジュール・ド・モットは、ただいま絶賛土下座中であります。
「『波濤』が平民を呼び出したぞ!」
「オマケにいきなり謝り始めた!?」
周りの同級生がなんか言ってるが俺の耳には入らない。
ここで目の前の存在から敵性認定されてしまっては俺の冒険は終わってしまうからだ。
ジュール・ド・モット。二つ名は「波濤」
未来のトリスティン王国の宮廷勅使にして平民の可愛娘ちゃんを食らうエロ生物。
それが俺の転生後の名前だ。
俺は原作に忠実であることを心がけチート内政などはせず、
10の歳を迎えてからは自分好みの女の子を頂いて参りました。
俺の行動については、手ほどきをしてくれた父、ツバメ狩りの母、ともに理解が深く、
特に妨げられることはなかった。
でもカトレアの病気は治した。可愛いし。
15歳で魔法学院に入った後も同級生、先輩、先生、使用人を問わず手を出しまくっていました。
親の権力もあり、魔法はスクウェアだった俺を止められたのはオールドオスマンとコルベール先生ぐらいだった。
同志オスマンはあまり止めなかったが。
そして2年目、春の使い魔召喚の儀式。
俺の悪行はここまでのようだ。
呼び出した目の前の俺の使い魔
− エミヤシロウ 正義の味方 ―
を説得できねば命も終了かもしれません……。
何で一介の水メイジの俺が英霊呼び出すの?
転生者だから?
そんなチートいりません(泣)
「……なんて事もあったなぁ」
「どうしたマスター?」
呟く俺に問いかけてくる、使い魔 兼 執事の衛宮士郎。
彼は今、侵入者を迎撃中だ。
「いやちょっとお前さんを呼び出した時の事を思い出して」
「それは目の前にいる奴のせいか?」
「うむ、『平賀才人』が何で『死徒』なの?死ぬの?何て思ったりね…」
「自業自得だな。
あのメイド、シエスタといったか?
なぜあの娘を『無理矢理』学院から連れ出したのだ?」
「私は運命に忠実に生きるのだよ」
小説ではなくアニメ版イベントだけどな。
「……それで命を危険に晒してどうする」
呆れつつも迎撃に手は抜かない。
才人は死徒として接近戦能力が高そうなので士郎は近づけないように当初は弓箭で、
それでは効果が薄いと判ると、宝具の連続投影、投擲で牽制したのだが……
才人は飛んでくる剣を空中で奪い取り後続の剣を叩き落してやがる。
「ランスロットかよ。才人の柄じゃないだろ」
死徒の肉体能力とガンダールヴのルーンが合わさると4次バーサーカーモドキができるようだ。
「シエスタ返して謝るから、連れてくるまで時間を稼いでくれ」
「時間を稼ぐのはいいがアレは倒してしまっては良くないんだな?」
「良くない。適当に遊んでやってくれ」
「了解した。
……あと奥方にはメイドを連れ込んだことは露見しているぞ」
奥に向かいかけた足が止まる。
「……カトレアにこの事がバレたのかね?」
「ルイズ嬢が義理の兄の凶行を姉に黙っている理由がないだろう。
これが終わったら私は遠くに急用を思いついたので出かけるからな」
主人を見捨てる使い魔の宣言に俺は呆然とする。
そして一言。
「地獄へ落ちろアーチャー」
後日、虚無の担い手と使い魔の会話
「いやぁ、お前の姉ちゃん怖いのな。
((執事 | 士郎))さんはモット伯が制裁されてる隙に逃げたのに、いつのまにかまわりこまれてるんだもん」
「ちい姉さまからは逃げられないのよ」
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