とある科学の自由選択《Freedom Select》 第 九 話 暗躍者と襲撃の夜
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第 九 話 暗躍者と襲撃の夜

 

 

 

 

 

 

Sプロセッサ社脳神経応用分析所???

 

話しているのは二人の研究者。他にも彼らの目の前では何十人もの研究者が施設移転の準備に追われている。

 

「侵入者は病理解析研究所に現われたようです」

 

「やはり来たか……」

 

「だが、向こうに現われたという事は当面こちらは安全……移送作業を急がせるんだ」

 

「あっちの方上手くやってますかね?」

 

「カメラをはじめ外部からの確認手段はすべて切断してるからなあ」

 

「応援に来た戦力、こっちに来たのは年端もいかない女の子が二人でしたが……」

 

「暗部の掃除屋だ。外見なんかあてにならんさ。それより今晩中…いや今から数時間以内に施設内の全ての研究データを他所へ移す必要がある……」

 

「間に合いますかね?」

 

「トラブルさえ起こらなければ大丈夫なはずだが……」

 

そんな事を言った途端、突然研究所全体に大きな警告音が響き渡った。

 

「何だ、何が起きてる?」

 

「侵入者です。この研究所にも侵入者が入りました」

 

「何だと?くそっ、これではとても全てのデータを運び切れるとは思えん………早くしろっ!!出来るだけだ、出来るだけ多くのデータを運び出せ!!呼んでおいた暗部が時間を稼いでくれるはずだ。その間に我々はより多くデータを運び出す必要がある。とにかく急げ!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

Sプロセッサ社脳神経応用分析所 某一室???

 

 

「ん?見つかったかな?」

 

全身に黒を基調とした服を着たこの少年の名は神命 選だ。

 

(意外と早かったな。正面突破はしてないにしてもやっぱり大胆に動きすぎたか?まぁさほど行動に支障はないが………)

 

未だに警報は鳴り止まない。

 

「でも、誰も駆けつけて来ないって事はそれだけ準備に手間取って俺に構ってる暇は無いか、それとも雇った暗部がここに向かって来てるとかなんだろうな」

 

はぁと大きく溜め息をつく神命。

 

「面倒くせぇ。結局ここまでやったけど集まった情報は絶対能力進化実験のデータか、妹達のデータだけだし……まぁ当然と言えば当然なんだけど。今回くらいは何か見つけて帰らないと全くの無駄骨だよなぁ。」

 

そう言いながら神命は、少し周りを見渡してみる。

 

「って言うか本当に誰も来ないな。この部屋にはもう重要な物は無いのか?さっきから物音一つ聞こえないんだけど」

 

話すのを止めるとただきちんと並べられた机と棚があるだけの部屋はしーんと静まり返る。

 

「何これ、盗み放題?本当に誰もいないのか?」

 

ふざけて呼んでみたりする。

 

「…………」

 

返事はない。

 

「居ないの?」

 

「…………」

 

だがやはり返事はない。それを確認すると選は仕方なく部屋から出ようとする。しかし何故か扉は開かなかった。何か強い力で押さえつけられている様で。

 

「なんだ、やっぱり居たのかよ」

 

そう呟いた瞬間、突然その扉が吹き飛び外から二人の人影が飛び込んできた。

 

「説明だけ聞いたら超気味が悪いと思っていましたけど、思ったより超早く済みそうです」

 

「本当に幽霊じゃなくてよかった………」

 

入ってきたのは高校生と中学生っぽい少女が二人。彼女らの顔は見たことがある。

 

「アイテム……窒素装甲と能力追跡か………」

 

「よく知ってるじゃないですか」

 

「これでも結構情報通なんだよね、俺」

 

「それもここで超終わりですけど」

 

「何が終わんの?」

 

「それは超決まってます。あなたの命ですよ」

 

「それは楽しみだな」

 

そこまで話したところで突然音が鳴った。警報ではなく、緊迫感のようなものは感じられない軽快な音楽だ。携帯の着信音だろうか。神命の物ではない。音は少女達の方から聞こえてくる。

 

「もしもし絹旗ですけど、麦野ですか?」

 

『そうそう、もうこっちは侵入者の発電能力者と交戦してるけどそっちは?」

 

「こっちもたった今、侵入者と超遭遇した所です」

 

『あらそう?こっちは戦いの邪魔になるからフレンダは追い出したけど、そっちは?滝壺にはもう相手のAIM拡散力場は記憶させた?』

 

「今から超やる所です」

 

『じゃあ早くしてね。やばそうだったら記憶だけしてずらかってもいいけど。こっちは………くそっ、第三位の奴……生意気な……』

 

そこで電話は切れたらしい。

 

「向こうは超荒れてるみたいですね。滝壷さん、あいつのAIM拡散力場はもう記憶しましたか?」

 

「それが……今やってる所なんだけど……」

 

滝壺が何かとても困ったている様な顔をしている。

 

「超どうかしましたか?」

 

「……何故かあいつからは……AIM拡散力場が感じられない………」

 

「どういうことですか?」

 

「多分……能力者じゃないとか、幻影だとか……」

 

「でもさっきあいつ扉を超開けようとしましたよ。その時ちゃんと力が加わっていましたし。報告からも能力者じゃないことは超あり得ません」

 

「でも、この部屋からはあいつのAIM拡散力場が感じられない……」

 

二人はこいつ本当に幽霊なんじゃないかという目で神命に顔を向けてくる。

 

「どうした?俺の顔に何か付いてるか?」

 

「あなた私達をおちょくってるとしか思えません」

 

「そう見えないのか?」

 

「あなた超むかつきますね」

 

「そりゃ挑発してるからな」

 

「まあいいです。滝壺さんは相手のAIM拡散力場が観測出来ない以上、ここにいても仕方が無いので超急いでここから逃げてください」

 

「分かった……」

 

肩を落として残念そうに部屋から出て行く滝壺。

 

「お前だけでいいのか?」

 

「あなた如きなら超十分でしょう」

 

「そうかい。そろそろ、話し疲れてきたから終わりにしたいんだけど」

 

「じゃあお望み通り終わりにしてあげましょうかね」

 

「そりゃあ助かるな」

 

そう言うと二人はそれぞれ身構えて相手の出方を見ようとする。

先に動いたのは絹旗だ。絹旗は手近にあった机を軽々と持ち上げて神命の方へ勢いよく投げつけてくる。

 

彼女の能力は『窒素装甲』。空気中の窒素を自由に操ることが出来る。その力は極めて強大で、圧縮した窒素の塊を制御することにより、自動車を持ち上げ、弾丸を受け止めることすらできる能力だ。

 

その能力で投げられた机は神命に凄いスピードで近づいて来る。

 

しかし選は動かない。ただ呟くだけ。

 

「投擲物を拒絶、身体を透過」

 

ただそう呟くだけで、投げられた机は彼の体をすり抜け、後ろにあった別の机に大きな音を立ててぶつかる。

 

「当たったらいたそうだよなぁ」

 

当たるはずもないのに彼は呟く。

 

「確かに報告にあった通り、攻撃は超すり抜けてしまいますね。これでは少々時間がかかりそうですね」

 

「そこは『超』じゃなくて『少々』なのか」

 

「別に私の口癖を気にしてもらわなくても超結構なンですが」

 

「相手の行動を観察するのは大切なことだが?」

 

「あなたは本当にむかつく人ですね」

 

「褒め言葉だな」

 

そして間を置いて神命は続ける。

 

「でもまあそんな冗談は置いといて、そろそろ本当に面倒になってきたからさっさと終わりにしますか」

 

 

 

そう言って彼は、一度大きく深呼吸をした。

 

 

 

 

 

 

 

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第九話
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