駄目だ。もう、立ち上がれない。手に力が入らない。剣が、握れない

「キリト!!」

「……っ!?」

ハセヲの声に、閉じかけていた意識が開けた。

「望め! 力を!!」

「ちか……ら……?」

「そうだ!!」

「な、ん……の……」

「テメェが、一番大事なモノを守るための力をだ!!」

「一番、大事……な」

俺にとって、一番、大事なモノ

「アイツは……アスナは!! テメェの助けを待ってんだろうが!?」

「あす、な……」

そうだ

アスナ

明日奈

俺の

桐ヶ谷和人の

恋人

一番大切なヒト……！

「ちから……」

そう

「力、を……」

明日奈を

「力を……!」

助けるための

「力を!!」

俺に

「寄越せぇぇぇ!!」

――与えよう、君に力を。授けよう、我が矛を。そして取り戻せ、総てを――

「「来たれ再誕、コルベニク!!」」

――黄昏竜の加護が、君にあらんことを――

「行ってくる」

「ああ、行って、全部奪い返してこい」

「……死ぬなよ？」

「御互いにな……」

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行けるか?

――たりめぇだ。しょうもねぇこと聞くんじゃねぇっつの――

そうだな、てめぇには聞くまでもないことだったな

――カカ、精々カッコつけんだな――

ああ、努力するさ

「来い……」

――弱気だねぇ――

うっせぇ

「来いよ……」

――ま、良いけどな。こちとら久々に大暴れできんだ、文句はねぇさ――

羽目外し過ぎんなよ？

「俺は、ここにいる……!!」

――自分が無理そうなこと俺(自分)に言うなよ――

ハッ、その通りだ

「「スケェェェェェィス!!」」

さぁ、始めよう

「「喰らい尽くす!!」」

“死の恐怖”を、顕現させる時だ