走る
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 零れた涙が頬を伝う。傷口に触れて少しヒリヒリする。無性に悲しくて、今日も目が覚めた。手首に涙が付かないよう、拳で涙を拭う。両側のポケットに手を入れる。右側のポケットから携帯を取り出すと時間はまた2時だった。またか。最近決まって2時に起きる。

 

発作を起こしたみたいに突然目から涙があふれ出す。何度も何度も繰り返し拭っても徒労で、涙は瞼の奥から止めどもなく滲みだしてくる。日が昇るころには、気が付くと僕は赤ん坊のように大きな声を上げて泣いている。いや、獣のようにメチャクチャに鳴いているのかもしれない。嵐のように荒れ狂う悲しみを少しでも鎮める為にこんなことを僕の体がしているなら、奴は度を越した心配性なのかもしれない。これが毎日繰り返される。昨日も。今日も。そして明日も。

 

感情とは、何か具体的な原因があり、その結果として僕らの心に湧きあがるはずだ。それなのに、僕の悲しみはこれといった原因が思い当たらない。強いて挙げるとするなら、原因は「孤独」だろうか。孤独と言っても、自分が世界からどんどん切り離されるにつれて、自身の色が薄れ、終いには、透明になってしまったこの現状に僕がつけた渾名のことだ。こういった致命的なものは、原因だとは言えない。運命や必然と言った方が僕にはしっくりくる。

 

悲惨な事故がなんの兆しを僕たちに与えないように、不意に悲しみが僕を襲う。悲しみは穴と言う穴から僕に侵入し、僕を内から食らい尽くす。痛くて、辛くて、苦しくて、僕は堪らなくなってパジャマを着たまま部屋を飛び出した。ゴールも目的地もないまま、僕は走った。言葉にならない言葉を叫びながら僕は手足を機械みたいにがむしゃらに動かし続けた。走っている途中に水が蒸発するように、僕はいつのまにか消えることはできないだろうか?

 

300メートル位先だろうか?作ったばかりの歩道橋が目に入った。その歩道橋の側面には、高さ350メートル、幅70メートルと記されていた。その橋は、僕とは違って若さ特有の生命力をあたりに発散していた。自分が自分であることに誇りを感じていた。僕はそんな歩道橋に嫉妬した。だから奴の顔に泥を塗ってやりたくなった。今から、あいつの上から落ちよう。僕は、力を振り絞って四肢を振り回した。僕とあいつの距離が一気に縮まる。距離が近づくにつれて、辺りが明るくなる。先客がいた。彼女は脱いだ靴を歩道橋に揃えて正に飛び降りようとしている。

 

僕は先を越されるのが我慢できなくて彼女に向かって、「待ってくれ」と叫んだ。

彼女は僕の声に驚いたのか、体を一瞬ピクリとさせた。どういう訳か彼女に愛おしさを覚えた。

僕の声に余程驚いたのか、彼女はゼイゼイと肩で息をしながら、「私は今から死ぬんだからほっといてよ」と怒られた。実は、彼女がこのセリフを言うまでに三回、噛んだのはナイショだ。

僕は彼女を少しイジメてみたくなった。彼女がどんな反応をするのか気になって仕方なくなった。「ねぇ?君は本来ならもう死んでたんだよね?どの道死ぬんだから、何があっても問題ないでしょ?ナンパじゃなくて、死にたがり屋の一人として君と話したい。少しでもいいから、君の時間を僕に預けてくれないだろうか?」

彼女の顔は一瞬にトマトみたいに赤らんだ。自身の顔が紅潮したことに気付いたからか彼女は両手で自身の顔を両手で覆った。

僕はこの隙に階段を駆け上がり、歩道橋から・・・。

 

説明
要は、鬱と厨二ですね。
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厨二病  

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