時代は三十年後 IS世界へ〜(とある傭兵と戦闘機) 第十一話 |
「では、現状を説明する」
旅館の奥に設けられた臨時ブリーフィングルームは明かりを落とされ
専用機持ちの面々は中央の大型空中投影ディスプレイの周りに座っていた
「二時間前、ハワイで試験稼動にあった米、イスラエル共同開発の第三世代軍事IS
”銀の福音”シルバリオ・ゴスペルが制御下を離れて暴走。監視空域より離脱したとの連絡があった」
ラリーから連絡の通り、こちらの学園側には国を通して連絡が来たみたいだった
そして各専用機持ちは真剣な表情でそれを聞いていた
「その後、衛星による追跡の結果、”福音”はここから二キロ先の空域を通過する事がわかった。
時間にして五十分後。学園上層部からの通達により、我々がこの事態に対処する事となった」
まあ、そりゃそうなるよね
「教員は学園の訓練機を使用して空域及び海域の封鎖を行う。
よって本作戦の要は専用機持ちに担当してもらう」
妥当な判断だ。相手の武装は広域殲滅を目的とした特殊射撃型
量産型全機を制圧に回したとして、制圧に成功する確率は極めて低い
ならば当然、性能の高い同じ第三世代試験機少数を回した方が圧倒的に確立は上がる
「それでは作戦会議を始める。意見がある者は挙手するように」
それから制圧目標、通称”福音”のスペックデータを確認する
というか、軍事目的に開発された機体に福音なんて名前つけやがって
どこまで平和ボケしてるんだか・・・
その福音のスペックは、単機で広範囲の敵を殲滅する射撃能力を有する機体
要は、一人だけの軍隊と言った所だろうか
単機で数十機もの目標と渡り合える火力を備えてるらしい
「しかも、このデータでは格闘戦性能が未知数だ。持っているスキルもわからん。
偵察は行えないのでしょうか?」
ラウラが織斑先生に質問する
「無理だな。福音は現在も超音速飛行を続けている。最高速度は二四五〇km/時を超えるとある
アプローチは一回が限界だろう」
一回のチャンス・・・なら
「という事はやはり、一撃必殺の攻撃力を持った機体であたるしかありませんね」
と、いう事ならば
「織斑君の零落白夜で落とすのが一番だね」
「それしかありませんわね。ただ、問題はーーー」
「どうやって一夏をそこに運ぶか、だね。エネルギーは全部攻撃に使わないと難しいだろうから
移動をどうするか」
「しかも、目標に追いつける速度が出せるISでなけれはいけないな。
超高感度ハイパーセンサーも必要だろう」
うんうん、皆いい意見出してくれるね。優秀優秀
「ちょっ、ちょっと待ってくれ!!お、俺が行くのか!?」
いや・・・
「「「「「当然」」」」」
でしょ。というか清々しい程の連携だね
「織斑、これは訓練ではない。実戦だ。もし覚悟がないのなら、無理強いはしない」
織斑先生が織斑君に聞く
そう、これは実戦。訓練とは違い失敗すれば何かを失う
覚悟ができなければ、待つのは敗北とーーー死だ
そして、彼は決めた
「やります。俺が、やってみせます」
うん、それでいいんだ
「よし、それでは作戦の具体的な内容に入る。現在、この専用機持ちの中で
最高速度が出せる機体はどれだ?」
う〜ん、私の機体は巡航速度ではなく空域での機動性重視の機体らしいから却下だね
長距離の高速巡航には向いてない
「それなら、わたくしのブルー・ティアーズが。ちょうど本国より強襲用高機動パッケージ
”ストライク・ガンナー”が送られて来ていますし、高感度ハイパーセンサーも付いています」
パッケージというのは通常装備に局地対応型の後付換装装備の事で
戦闘機で言う、追加増槽(ドロップタンク)にあたる
ドロップタンクがあると燃料積載量が増加し、航続距離を強化できる
だがその分重量が増して機動性が犠牲になったりするんだけど
ISの場合は武装・装甲・スラスターなどの追加などになる
ちなみに私の機体は研究中止(ry
「オルコット、超音速下での戦闘訓練時間は?」
「二十時間です」
「ふむ、それなら適任ーーー」
だな、と先生が言いかけた所で場違いに陽気な声が遮る
「待った待ーった。その作戦はちょっと待ったなんだよ〜!!」
ちなみに今その声を発した人物は、天井の板を一枚外してその人物は頭を出してきた。軽くホラーだ
「山田先生、室外への強制退去を」
「え?は、はいっ。あの、篠ノ乃博士、とりあえず降りてきてください・・・」
「とうっ★」
その穴からホラーな人物(?)こと篠ノ乃博士は空中で一回転を決めて畳の上にスタッと着地した
「ちーちゃん、ちーちゃん。もっといい作戦が私の頭の中にナウ。プリンティング!!」
「・・・出て行け」
頭を押さえながらため息混じりに織斑先生が言う
だがそんな事お構いなしに篠ノ乃博士は続ける
「聞いて聞いて!!ここは断・然!!赤椿の出番なんだよっ!!」
「なに?」
「赤椿を見て!!パッケージなんて無くても超音速飛行ができるんだよ!!」
それから展開装甲とかなんやらかんやら篠ノ乃博士が説明を始めた
なんでも、その展開装甲を装備した第四世代のISは
先述述べたパッケージ換装をしなくても色んな状況に対応できる万能機体らしい
「ちなみに純粋な展開装甲じゃないけど、それに近いものは零式にも搭載されてるよ
でも使えるようになるには、”ある事”を出来るようにしないといけないけどね〜」
ある事?何だろう
「話を戻すぞ。・・・束、赤椿の調整にはどれくらいの時間がかかる?」
「お、織斑先生!?」
そう声を上げたのはセシリアさんだった
多分、彼女は自分だけが高機動パッケージを持っているから作戦に参加できるものと思っていたらしい
「わたくしと、ブルー・ティアーズなら必ず成功してみせますわ!!」
「そのパッケージは量子変換してあるのか?」
「そ、それは・・・・まだですが・・・」
戦闘機と違い、ISには格納領域という四次元ポケ(ry があって
その領域に使わない武装や予備の武装なんかを入れている
そこに格納するには一度量子に変換しなければいけないのだが、これがまた時間がかかるらしい
戦闘機みたいにホイホイ換えれるわけではないのだ(戦闘機の武装を換装するのもドえらい重労働なのだが)
「ちなみに赤椿の調整時間は、七分あれば余裕だね★」
「よし。では本作戦では織斑・篠ノ乃の両名による目標の追跡及び撃墜を目的とする
作戦開始は三十分後。各員、ただちに準備にかかれ」
パンッと織斑先生の手を叩く音と共に皆が作業に移る
「フェイリールド、お前は司令部から特務を預かってるのだろう?」
「はい、内容は機密保持の為言えませんが」
「なら今回の作戦要員とは別行動になるのだろうが、あの二人を頼む」
ふむ、やはり心配なんだね
さて、私も準備しないと
「では、始めッ!!」
作戦要員である織斑君と篠ノ乃さんが出撃する
「さて、私も行こうかな」
「ちょっ、アンタどこに行くのよ」
「ちゃんと許可もらってるから心配しないで」
私は零式を展開する
そして、一度光に包まれた私はあっという間に展開を完了させていた
「では・・・ガルム1、作戦行動に移る」
「了解、あいつらを頼む」
「ガルム1 テイクオフ!!」
最大出力で空に上がる
「(あれ?なんか機体が重い・・・レイ、どうかしたの?)」
{いえ、特に異常は無いはずですが?}
「(そう・・・わかった。具合が悪かったりすれば報告してね?)」
{はい、わかりました}
「(うん、いい子いい子)」
「これより織斑・篠ノ乃作戦要員を援護、福音を確保します」
織斑君達が向かった座標へと向かう
戦闘空域に到着した私は作戦室と連絡を取った
「目標空域に到達。現在高度二千メートルより索敵中ーーー」
言いかけた所で、警告音が鳴り響く
”警告 エネルギー弾接近中 ”
ヒュンヒュンヒュンッ
小型のエネルギー弾の散弾がこちらに向かって接近する
「ブレイクッ!!」
体を反転させて散弾を回避する
どうやら今の攻撃は流れ弾のようだ
そして、バイザーセンサーが交戦中の三機の機体を捕捉した
「目標捕捉。現在、織斑・篠ノ乃チームが交戦・・・ッ!?」
その時、織斑君が篠ノ乃さんを庇う形で福音の集中砲火を浴びた
「先生ッ!!」
「こちらでも映像を確認した。支援行動を許可する!!」
「了解。ガルム1 エンゲージ!!」
目標に向かって急速降下する
「ガルム1、FOX1ッ!!」
ババババシュゥッッ
腰部装甲から射出されたミサイルは、四方に真っ直ぐ突き進んでいく
だが、HMDに表示されている円状のレイテクルの中に目標を捕捉すると
ピピッ シュウゥゥゥッ
真っ直ぐ進んでいたミサイルが反転し、福音に四方からミサイルを浴びせる
「ーーーーーーー!!」
ドドドドォンッ
ミサイルは近接信管にセッティングしてあった為、接触する寸前に炸裂
弾頭をスモークに設定してあったので福音の周囲を黒い煙が覆う
その隙に、私は篠ノ乃さんの所へ向かった
「一夏っ、一夏ッ!!」
「篠ノ乃さんッ!!」
「フィリア、一夏がッ!!」
篠ノ乃さんが抱えている織斑君はぐったりことしており、白式も強制解除されていた
「落ち着いて篠ノ乃さん!!今すぐ空域から離脱して!!」
そうこうしている間にスモークが晴れ、福音は私達の方向に向かって降下してきた
「ヴィアリス!!」
アサルトライフルを呼び出して連射モードに設定する
ガガガガガガガガガガガッ!!
「ーーーーーー!!」
それを回避してさらに接近して来る
「篠ノ乃さん!!早く撤退をッ!!」
近接ブレード、音斬を呼び出して正面から応戦する
ギィンッ!!
それから篠ノ乃さんから引き離すようにしながら福音と交戦する
「ぐッ・・・速いッ」
さっきから突き放そうとしても、加速されて一気に間合いを詰められる
いくらリミッターが解除されているとしても、この性能はデタラメだ
「フィリアッ!!」
「早く!!私が足止めをするから!!」
「お前はどうするんだ!?」
「篠ノ乃さんの撤退を確認したら私も離脱するから。早く!!」
今出来る事はこのくらいだ
「くっ・・・すまない」
そしてそれに納得してくれたのか、篠ノ乃さんは戦闘空域から全速力で離脱する
それからレーダーから篠ノ乃さんが消えるのを確認して意識を福音に集中させた
「おとなしくしようか・・・福音」
私がそう呟くと、福音の方からオープンチャネルで機械音声が聞こえてきた
{目標の破壊の優先順位を最優先に。現空域より殲滅レベルSで対処する}
福音がそう言うと、HUDに警告表示が出る
「従う気はないか・・・まあ、当たり前だろうけど」
こんな警告で止まるのならもうとっくの昔に止まってる
{目標の殲滅を開始する}
福音が攻撃態勢を取る
「ガルム1 エンゲージ」
自分でも驚くほど静かに、その言葉を言い放つ。ーーー刹那
ガギィンッ
福音の翼と零式の近接ブレードが接触し、火花をあげる
そして、その攻撃を弾くと同時に音速での戦闘に入る
ガンッ ギンッ ギィンッ
高速で剣を交え、私と福音はハイレベルなドッグファイトに突入した
〜千冬視点〜
作戦は失敗した
篠ノ乃が錯乱し、それを庇う形で一夏が負傷して切り札を失った
私達は仮設指揮所で、現在繰り広げられている福音の戦闘映像を見ていた
「す、すごいです・・・福音のスピードに完璧に追従してます・・・」
空に雲を引く二機のISは、目視では捉えきれない超音速の戦闘を繰り広げてい
横でモニターを見ている山田先生はその戦闘風景に口を開けたまま見入っていた
フェイリールドの超音速下での戦闘経験は、このメンバーの中でも遥かに長い
それに訓練ではなく”実戦”の戦闘経験は、多分コイツぐらいしか持っていない
「スペックで遥かに劣る第二世代機で、軍用に開発された第三世代と互角に渡り合うなんて・・・
私には到底考えられません。彼女は・・・一体何者なんでしょうか」
「少なくとも、私を含むここにいるメンバーの中で、あいつに勝てる人間は居ないだろうな」
私が口走ったその言葉は過大評価でも何でもなく、ただある事実の証明にしかならなかった
「お、織斑先生、それはさすがに・・・」
山田先生が苦笑いをしながらこっちを見ている・・・が
モニターの戦闘風景を見て、山田先生は押し黙った
フェイリールドは・・・確実にIS学園の中で最強であるという事を
〜フィリア視点〜
激しいドックファイトの末、福音の装甲はボロボロになっていた
対する私も、シールドエネルギーが残り僅かというかなり削られた状態にされていた
「はあっはあっ・・・そろそろ終わらせようか・・・」
息を切らしながら、思いっきり全スラスターにエネルギーを回す
キュイィィ・・・
「”Read・For・Air”」
ヒュンッ
「ーーーーーッ!?」
一気に後ろに回りこむ
「もらっーーーッ!?」
完全に後ろに食い付いた。そしてブレードを振り下ろそうとした瞬間、右腕に違和感を感じた
「なッ・・・!?」
そして気がついた、零式の至る所から生える透明な割れたガラスのような物に
だが私の意識が逸れた瞬間を、福音は見逃さなかった
一瞬の隙を取られた私は、福音に身動きがとれないように拘束されてしまった
そして、回避行動が取れない私に向けて福音の翼の砲門が開く
”警告 敵ISが砲撃体勢に移行”
その警告表示を見た瞬間、私の体は熱の光に包まれた
〜千冬視点〜
福音への決定打を失い作戦は失敗した
そして、フェイリールドそれを認識し篠ノ乃に一夏を回収させ、空域に残って戦闘を開始した
あいつらしい判断だ。私はアイツなら大丈夫だと心の中で思っていた
だが福音の後ろを取り、剣を振りかざした瞬間 異変は起こった
「零式の各部センサーに異常発生!!機体が何らかのエネルギーパーツに浸食されている模様!!」
「何!?どういう事だ!!」
「映像、出しますっ!!」
ディスプレイに映し出された映像には驚愕の光景が広がっていた
零式の機体の至る所から”何か”が生えているのだ
そして、そこで映像は途切れたーーー
「映像中継信号途絶・・・それと同時に、該当空域より零式の反応をロスト・・・」
山田先生が報告する。その声は震えているのがわかる
ISの反応が消失したという事は、致命領域対応状態に入るか
ISがその機能を完全停止してしまったという事だ
どちらにしても、搭乗者の生命が危険な状況にあるという事だ
「ロストした座標周辺の空域にいる教員に告ぐ!!
作戦は失敗した。急いでフェイリールドを捜索、回収しろ」
「先生ッ!!篠ノ乃さんが帰還しました!!」
「了解した。負傷している場合は治療をお願いします」
フェイリールドは先生に任せて、今は対策を練らなければならない
「これより、専用機持ちは各部屋で待機を命ずる!!」
今は、福音を止める事が最優先だ
〜箒視点〜
旅館の一室。ベッドで横たわる一夏は、もう三時間も目を覚ましていない
それもこれも全て、私のせいだ
私のせいで、一夏が怪我を負った
私が強さを見誤ったせいだ
私が、私の在り方を見失ってしまったせいだ
そして私に一夏を任せてあそこに残ったフィリアも今は行方不明だと言われた
全てーー私のせいだ
私は・・・どうして、いつも・・・
いつも、力を手に入れるとそれに流されてしまう
「私は・・・何の為に修行をして・・・!!」
私にとって、剣術とは己を鍛えるものであって
その力に流されないように心を律する”枷”だった
けれどもそれは非常に脆く、些細な事でそのバランスは崩れてしまう
私はもう・・・ISには・・・
バンッ!!
「あー、あー、わかりやすいわねぇ」
「・・・・・・・・」
後ろから聞こえたリンの声に、私は反応する事ができない
「あのさあ、一夏がこうなったのって、あんたのせいなんでしょ?」
「・・・・・・・・・」
答え・・・られない・・・
「で、落ち込んでますってポーズ?ーーーっざけんじゃないわよ!!」
リンにいきなり胸ぐらをつかまれて強制的に身を起こされる
「今やるべき事があるでしょうが!!戦わなくて、どうすんのよ!!」
戦えないーーー戦うのが怖いーーー
「わ、私・・・は、もうISは・・・使わない・・・」
力を自ら捨てる事を、私は望んだ。だがーーー
バシンッ!!
「甘ったれてんじゃないわよ・・・専用機持ちっつーのはね、
そんなワガママが許されるような立場じゃないのよ。それともアンタはーーー」
戦うべき時に戦えない、臆病者かーーー?
その言葉に、私は無意識に反応してしまった
「どうしろと言うんだ!!もう敵の居場所もわからない!!戦えるのなら、私だって戦う!!」
そんな自分の意思を、私は感情のままに口走った事で再び認識した
「やっとやる気になったわね。・・・あーあ、めんどくさかった」
「な、なに?」
「場所ならわかるわ。今ラウラがーーーー」
言葉の途中でドアが開く。そこに立っていたのは、真っ黒な軍服に身をつつんだラウラだった
「出たぞ。ここから30キロ離れた沖合上空に目標を確認した。
ステルスモードに入っていたが、どうも光学迷彩は持ってないようだ。
衛星による目視で発見したぞ」
ラウラは片手に持っている端末を確認しながら報告する
「さすがドイツ軍特殊部隊。やるわね」
「だが妹を見つける事が出来なかった。すまない」
「いいわよ、福音倒してから探しましょう。あんた達、準備はできてる?」
リンがそう言うとラウラの後ろから二人現れた
「たった今完了しましたわ」
「こっちは準備オッケーだよ。いつでも行ける」
いつものメンバーが揃うと、全員が私の方をみてきた
「で、あんたはどうするの?」
「私・・・私はーーー」
拳を握りしめ、自分の決意を口にする
「戦う・・・戦って、勝つ!!今度こそ、負けはしない!!」
何よりも、自分の心に
「んじゃ、決まりね」
ふふんと腕を組み、リンは不敵に笑った
〜一夏視点〜
ザァ・・・ザァァン・・・・
遠くから聞こえる波の音に誘われるがまま、俺はどこもつかぬ砂浜の上を一人歩いていた
さく さく
足を進める度、足元の砂浜は澄んだ音を立てる
太陽や砂から伝わるジリジリとした熱気を見るに、季節は夏のようだ
でも、ここがどこなのか、いつなのかがわからない
俺は何故か制服を着ていて、そのズボンの裾を折り返した状態で素足のまま砂浜を歩いていた
手には、いつ脱いだのか靴がある
「ーーー。ーーー♪〜♪」
ふと、歌声が聞こえた
とてもきれいで、とても元気な、そしてどこか懐かしいその歌声。
俺はなんだか無性に気になって、声の方へと足を進める
さく さく
足下の砂が軽快に鳴る
「ラ、ラ〜♪ ラララ♪」
少女が、そこにいた
波打ち際、僅かにつま先を濡らしながら、その子は踊るように歌い、謡うように踊る。
その度に揺れる白い髪、太陽の光に輝く、眩いほどの白色
それと同じワンピースが、風に撫でられて時折ふわりと膨らんでは舞った
(ふむ・・・)
俺は何故だか声をかけようとは思わずに、近くにあった流木へと腰を下ろした
ザア・・・・ザア・・・
波の音が聞こえる
「ラ〜♪ ララ〜♪」
少女も、波の調に合わせるように謡う
時折吹く風が心地よくて、俺はただぼんやりと目の前の光景を眺めた
〜フィリア視点〜
「・・・うっ・・・」
痛みを堪えて目を上げると、生い茂る木々とその間から月明かりが差し込んでいた
どうやらここは何処かの島のようで、私はそこに生える草木を押し倒して墜落していた
「・・・レイ・・・大丈夫・・・?」
呼びかけるが、反応が無い
システムの再起動をかけるも、起動しない
そして、私は上空に浮かぶ月明かりに向かって無意識に手を伸ばした
でも視界に入ってきたのは、ボロボロになった零式の腕と
そこから生えているガラスのような物
そしてそれが体中のいたる所に同じように生えている
「ごめんね・・・レイ・・・」
次第に意識が遠のいていく
ーーーああ、これが”死”なのかな・・・?
本能的に察した自分に対する死
少しづつ、自分の体温が下がっていくのがわかる
それを私はただ何もせずに受け入れる事にした
恐怖など無い。それが自分にとって、一番幸せな死に方なのだからーーーー
駄文、更新不定期申し訳ありません
福音戦です、戦闘描写が得意ではないので
見づらい場面があるかと思いますが
戦闘描写についての意見募集してますので
よろしくお願いします
☆意見感想募集中☆
説明 | ||
前はスト魔女の世界 今度は元の世界の三十年後の世界へと飛ばされた主人公 戦闘機が旧世代と呼ばれる世界で、傭兵はIS学園の生徒として活動する事に .... | ||
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コメント | ||
ホントにつづきが気になります。更新頑張ってください(SUPER HONET) こう続きが気になる終わらせ方良いと思います。 更新楽しみに待ってます。(SAZUKI) |
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