魔法少女リリカルみその☆マギカ 第5話 |
第5話「魔法少女の誕生?」
放課後、美園はいつものように生徒会室にいた。プレジデントデスクにつき、踏ん反り返る。あまりの心地よさに、目を閉じ、眠ってしまいそうになったが、朝の電磁朗の顔、昼休みの科学部員の姿が、脳内を占領するようにぱっと浮かび、悪夢に魘されたかのように、はっと飛び起きた。
ドアが開き、今日歌が入ってきた。後ろには和也と小海の姿もある。デスクの前に立った今日歌は、「さっそくだけど、美園、超能力だっけ? その話を、この二人にも聞かせてあげてよ」と単刀直入に言い、和也と小海に向かって顎をしゃくった。「いったい、どんな超能力を手に入れたんだって?」
へらへらしている様子を見ると、やはり、先程の話を真に受けているわけではないんだな、ということがわかる。美園は眉を潜め、話そうかどうか迷った。今日歌は、このような笑い種を好物にし、人を嘲ることが趣味だということを重々承知している。嗤われてしまっては、プライドが傷ついてしまう。
果たして、プライドを犠牲にしてまで、超能力などという、にわかには信じられない話をすることに需要があるのか。迷う。ひょっとしたら、本当に妄想なのかもしれない。
「超能力?」和也と小海が一斉に言い、怪訝な顔をした。血をわけた姉弟なのではないかと思うほど、息がぴったり合っている。頭の中では『姉弟』という文字が浮かんだが、本当に小海の方が生まれが早いのかは定かではない。
その超能力さえ、この三人に見せることができれば、信じてもらえるのは確かなわけで、美園は「説明はいらないわ。見せてあげるわよ」と言い、すっと立ち上がった。「今日歌、そうやってへらへらしていられるのも、今の内なんだから」
上履きと靴下を脱ぎ、チェアを階段代わりに、デスクの上に立った。足元を見下ろし、睨む。「いけ、超能力!」と適当な念をかけた。ひょっとしたら声に出ているかもしれない。急に恥ずかしくなり、どうして私がこんなことしてるのよ、と家に帰って雨庭に泣きつこうかとも考えたが、気持ちを整え、念を込める。
魔法少女アニメや、RPGのように魔法陣が出現するわけでも、少年漫画のようにオーラを纏うわけでもないが、足元にエネルギーが漲るのが、なんとなくだが感じる。それは脳から送られているのか、頭から、胸、腹、腰を通過し、足元に集中するのがわかった。
ひょっとしたら、自分がオーラを纏っているのかもしれないが、こちらを見上げる今日歌、和也、小海の顔は、どこか憎たらしげで、日頃から美園に対して感じている煩わしさや、ストレスが滲み出ているようで、怯懦になったが、負けじと、足に全エネルギーを集中させた。全てなのかは判らないが、大量のエネルギーが足元で、今にも破裂しそうな状態だ。
朝には、すでに二回中二回、つまり全て成功させていた大ジャンプ&ふわふわ着地。その時、自分には超能力が備わった、とわくわくし、確信をしていたが、三回目、いざとなると、成功するのかどうか、正直、不安があった。
意を決し、腰を屈めて勢いをつけ、デスクから飛び降りた。足元から、きらきらと光る粉のようなものを噴出しながら、ふわふわと大理石の床に着地した。足の裏がつんと、氷を踏んだように冷たくなり、思わず足踏みをし、チェアの傍に置いた上履きのまで飛びのく。
三回目も、成功した。靴下を履きながら、美園はほっと肩をなでおろす。
和也と小海は目を丸くし、顔を見合わせる。片や今日歌は、恍惚とも言える表情をしていた。「すんごい! 本当に超能力なんだね!」と靴下を履き終えた美園の両手を掴み、爛々と目を輝かせた。
今日歌の顔が間近にあるのが、気持ち悪く、身体を仰け反らせそうになったが、超能力が本当にあるということを証明できた喜びの方が勝ち、「だから言ったじゃない! 私には超能力がある! 生徒会長、嘘つかない」としたり顔を向けた。
「勘違いしないでよ美園」今日歌は手をはなすと、腰に手をやり、少しむすっとした表情になった。すぐに「言っとくけど、あたしは別に疑っていたわけじゃないよ」と微笑み、ウィンクする。肩に掛けていた大きめの、スクールバッグとは違ったバッグを床にすとんと落とすと、しゃがみこみ、中をがさごそと漁り始めた。
その様子を眺めていると、「か、会長」と小海が恐る恐る話しかけてきた。普段、彼女は馴れ馴れしいのだが、超能力に動揺しているのか、おどおどしている。
「いったい、何なんですかあれは?」と和也が、小海の言わんとすることを代弁するように言った。
「さあ、何かしらね」そう答えるしかない。
今日歌が「あった!」と声を発したので、そちらに目を向ける。大きめのバッグには、相当大量のものが入っていたのか、取り出すのにかなり時間がかかったように思えた。それに今日歌が取り出したものは、結構、サイズがあるものだったので、余計にそう思った。
透明ビニールで包装されたそれを差し出された時、それが洋服だとはすぐにわかったが、普通のTシャツやスカートではないのもすぐにわかった。「何これ?」と遠慮がちに指を差し、訊ねた。和也と小海も興味ありげに、その綺麗に畳まれた、新品と思しき洋服を眺めている。
「何って、衣装だけど?」今日歌は当たり前のように答えた。「魔法少女の衣装に決まってんじゃん!」
「ま、魔法少女!?」声が思わず上擦った。
今日歌は雑に包装を破くと、その「魔法少女の衣装」とやらを広げて見せた。ピンク色を基調としたそれは、テレビアニメで頻繁に見かける、魔法少女の衣装そのもので、セーラー服にも似たデザインだ。
「あんたが、この衣装を着て、学校の、そうね、見せしめに、不良共に、君らはヒエラルキーの最下層にいるんだってことを知らしめてやるってのはどう?」と今日歌はその衣装を押し付けてくる。
「どう?」と聞かれても、唐突すぎて、反応に困る。美園は、自分が魔法少女となって、この衣装を着て、校内の治安を維持するために奔走する姿を思い浮かべてみた。校舎裏にたむろする不良生徒を超能力でもってして、吹き飛ばす。悪くはない。
「ちょっと待って」美園は思い出したように、衣装を押し返した。「超能力っていったって、今見せた、ふわふわ浮くような、生ぬるいのしか」と言いかけたところで、昼休みのことがぱっと浮かぶ。実験室にて、棚の下敷きになった魔君ヶ崎と、実験台の下に転落した科学部員の場面が一瞬だけ、脳裏を過ぎった。不適な笑みを浮かべた美園は、「和也、こっち来なさい」と手招きをしていた。
「な、何ですか?」和也は一瞬、たじろいだが、すぐに前に来た。「ま、まさか、俺に着せようなんていうんじゃないですよね?」とつまらない勘違いする和也に、「私を殴ってみなさい」と美園は頬を差し出す。「えっ?」と突然のことに驚いた様子ではあったが、拳を胸元まで持ち上げていた。「殴るって、俺が会長を?」
「キスして欲しいって思ってるって、思ってるわけ?」
「本当に殴っていいんですか?」
「いつも言っているでしょう? 私がやっていいと許可したことは、たとえ大人や教師がダメだと言っても、やっていいの」
「で、でも……」
「会長の言うことが聞けないの?」
和也は足を前に出し、構えだした。それが遠慮がちだったので、一発目はへろへろなパンチが来る、と美園は悟っていたため、「平和は、あんたのタマを抜いてしまったようね」と説教に入るつもりだったが、意外にも和也の放った拳は素早く、威力もあり、美園は思わず吹っ飛んでしまった。
一瞬、何が起こったか、判断できなかった。急に頭に激震が走り、身体が床に打ち付けられる。超能力を発揮するより先に、攻撃を受けてしまったのだと理解するのも、遅かった。
「だ、大丈夫、美園?」と今日歌が駆け寄ってくる。
美園は頬をおさえながら、和也の方を振り向いた。視界がまだ霞んでいるが、美園の目に映る彼は、自らの拳を、飼い猫を可愛がるように撫でており、さぞ満足そうだった。鬱憤を晴らした表情をしている。
「いきなりどうしたの美園? 自分を殴らせるなんて。まさか、これが、あの毛虫汁の副作用なわけ?」
美園の頭にあった画は、超能力で和也の拳を恰好良く受け止め、和也を床にねじ伏せる、というものだった。和也め、能力のことは知らないとはいえ、私が油断した瞬間にぶっ込んできたわね。
「試してみようと思ったのよ」と美園は状態を起こす。殴られた右頬はじんじんと痛む。赤く腫れ上がっていた。
「試すって、能力を?」
「さっきね、科学部員に捕らえられた時、腕にエネルギーが漲るのがわかったのよ。それで、怪力でロープを破って、そのまま科学部員のやつらを倒したの」
「何で、今は発動しなかったの?」
美園は立ち上がり、和也を忌々しげに睨んだ。彼は辟易した様子で、小海の背後に身を隠した。「な、殴れって言ったのは会長の方じゃないですか!」と必死に言い訳をする。
確かに、「殴って」とは言った。しかし、先輩を、ましてや生徒会長を本気で殴る奴があるかしら。説教を始めようとしたが、ぐっと堪え、「和也、そこに直りなさい」と床を指差した。
「え! 何で!? 何する気ですか!」とあたふたする和也だったが、美園は毅然とした態度で、「正座しなさいって言ってるの!」と叩きつけるように床を指す。
床に正座した和也を、美園は腕を組んで蔑むように見下ろした。こちらを見上げる顔は、怯えているようで、わっと脅かせば、飛び上がり、気絶してしまうのではないかと思うほどだ。
「美園」と今日歌が言うので、振り向くと、「悪に制裁を加えるなら、この衣装」と、CMで「機能重視ならこの携帯」と宣伝するように言い、衣装を着るように促してきた。
悪くない、と思ったのも確かで、美園は和也に「そのままでいなさい」と指示し、衣装を持って別室に入った。
西側の壁にひっそりとドアがあり、その奥にある部屋は、和室だ。特に用途は無いが、反生徒会を訴える生徒達との抗争の際、計画のためにここで寝泊りをしたことがある。その際の布団が、未だに、畳まれた状態で部屋の隅に置かれている。
上履きを脱ぎ、畳みに上がってから着替えた。
数分後、今日歌達のところに戻り、衣装を着た姿を披露する。思いのほか反応は良く、「似合ってるよ!」と今日歌は感嘆の声を上げた。「可愛い!」と抱きついてくる彼女を引き剥がし、和也の前に立った。
さっそく、ビンタの体勢に入る。コスプレをした生徒会長が、生徒会役員を打(ぶ)とうとしている、客観的に、その姿を思い浮かべると、シュールで噴出しそうにもなったが、真剣な表情を崩さず、思い切って、打った。
数メートル吹き飛び、壁に身体が刺さる、という予定だったが、和也は踏ん張ったのか、その場で倒れるだけで、吹き飛ぶことはなかった。
美園は不満げに自らの手を見下ろす。打つ際、手にエネルギーがこもらなかった。再度、エネルギーを込めようと、踏ん張り、呻るが、足に感じたエネルギーを感じることはなかった。「おかしいわね」と首を捻る。
「なになに? やっぱり発動しなかったわけ?」と今日歌が手を覗き込んできた。
「さっきはちゃんとできたのに……」
「超能力も一筋縄ではいかないのかねぇ」今日歌はしんみりと言う。
和也が起き上がり、そこに小海が心配そうに駆け寄った。美園と今日歌は漫然とそれを眺めながら、科学部の話になる。「これは、まさに大発明だね」と今日歌は感心したように言う。
「そうだったわ」美園はぽんと手を叩き、電磁朗のことを思い出す。「恐らくだけど、この後、電磁朗が来るわ」恐らく、というよりは、確定していると、言いながら思った。
「あいつらは、美園が能力を得たとわかったら、さっそく奪いに来るだろうね」
今朝、美園が一棟屋上まで飛んだのは、割と結構な人数の生徒が見ていたはずだ。もうすでに電磁朗に知れ渡っている可能性はある。
「平気よ。白を切ればいいだけだわ」
「美園らしいね。でも、これを口実に科学部の連中が援助を求めてくる可能性も、なくはないんじゃない? 作り直すために、金は必要だろうし」
「可哀想だから、援助しようかしら」と言いかけたところで、美園は、ふと、思い出した。魔君ヶ崎ら科学部員が美園の腕を掴んだ時感じた力は、ただ単に男子だから力が強い、というわけではないような気がした。先程は何も思わなかったが、今になって、実はあの魔君ヶ崎も、超能力を得ていたのかもしれない。でも、彼らはあっさりと敗北した。ただの思い過ごしか。
ちょうど今日歌が、「仮に奴らが能力を得て、攻撃してきたら」と話始めていて、思わずからだがびくりと反応した。「もしかしたら、美園が被った液体が、試作品などではなく、本当は完成品で、部員がモルモットで、試作品を投与されている可能性もなくない、かも。微弱ながら能力を得ていたりして」
淡々と言った後で、今日歌は「あたし新聞部だから、勘ぐり深いんだよね。まあ、事実は書かないけど」と笑った。彼女の言っていることに、一理あった。もしかすると、本当にあの部員達は能力を得ていたのかもしれない。
「もし攻めてきたら」と今日歌は続ける。「そうとうまずいよね?」
「まずいわね」
「武器がいるよね?」
「武器がいるわね」
言われるがままに復唱すると、今日歌は「あたしの友達にね、面白い子がいるんだよね」と言い、にっと歯を見せた。その表情に胡散臭さが滲む。
「面白い子?」
気がつくと、復活した和也と小海も、美園と今日歌の会話を聞いていた。相槌をうつこともなく、ただ単に暇を持て余している様子だ。
「この学校、変わった部活だらけでしょ? 生徒会と一番関わりが深いところで言えば、水星部とか」
「そうね。確かにこの学校は、他校では考えられないような部活が犇めき合っているわ。一人一部活、それがこの高校の特色とも言えるわね」
「あたしは、新聞部として、そういう変わった部活を取材しているのよ」
新聞部が月に一度発行する『たのしい学校新聞』は、校内のことをわかりやすく解説することがモットーで、今日歌が担当しているのは、『我が校のオモシロ部活』という記事で、その名の通り、部活の紹介を今日歌流のジョークを交えて紹介している。
「それで、つい最近、取材した部活が、あたし的にすごく面白いんだよね!」
長い前置きはいらなかったわね、とせっかちさを口に出すことはしなかったが、美園は「何が面白いのよ」と眉を潜めた。
「知りたい? 知りたいなら、ついてきて」
そういって、今日歌は出入り口へ向かった。
美園はすかさず、和室へ戻り、制服に着替えた。出てきてすぐ、和也と小海に「聞いていたとは思うけど、私達は行ってくるから、ここで待っててね」と指示を出す。「科学部の部長が来るかもしれないけど、生徒会長は留守、いいえ、帰ったって伝えておいてね。中には絶対に入れちゃだめよ! これは会長命令」
和也も小海も返事は返さなかったが、頷いていたので、心配はないだろう。
今日歌に連れられ、一棟の校舎裏にある部室棟につく。年月を重ねた木造校舎は、三階建てで、学校を舞台にしたホラー映画でよく見かける旧校舎のように不気味な雰囲気を放っていた。
三階の突き当たりに位置した部屋につくと、今日歌はドアをノックした。しばらくの間、誰も出ることはなかったが。今日歌は何も言わずに待っていた。
「誰も出ないじゃない」と美園は痺れを切らすが、今日歌は慣れている様子で、余裕の顔をしている。
まず、ここが何部なのか、わからない。隣の部屋は、ちゃんと『暗黒部』と不気味な部活名が書かれたプレートがドアの上部にぶら下がっているが、今日歌がノックしたこの部屋は、プレートも何もない。
「ここ、何部なの?」
「武器開発部」
「武器開発部?」
ちょうどその時、ドアが開いて、中から小柄な女子生徒が眠たげに目を擦りながら出てきた。学校指定のジャージを着ている彼女は、目の下に隈があり、寝癖なのか髪はぼさついている。昨日の放課後、メイドの面接に来た、鹿島瑠璃だ。
「あなた、メイドのバイトはどうしたのよ!?」美園は思わず声を張った。
隣にいた今日歌が驚いて仰け反るのに対し、瑠璃は寝ぼけているのか一切反応を示さない。目を擦り、欠伸をするだけだった。
「美園、瑠璃ちゃんと知り合いなわけ?」
「ええ、まあ、瑠璃ちゃんは趣味のための資金集めのためにうちのメイドの面接に来たのよ」
「へえ、そうなんだ」
瑠璃は、相変わらず眠たそうに、室内へ引っ込んでいった。「ちょっと、どこ行くのよ!」と美園は手を伸ばすが、今日歌は「『入れ』っていう意味だよ。彼女、ちょっと変わってる子でね」と率先して室内に入った。
「掃除は苦手」というだけあって、瑠璃の使用する部屋は、汚かった。室内をほとんどが鉄板や鉄筋、鉄屑といったものが占領している。猫の置物など、ガラクタも散見した。部屋の中心にはコタツテーブルがあり、廃棄場を無理矢理切り開き、一つの部屋を作ったように感じる。
瑠璃がいったいどこで寝ていたのかはわからないが、彼女は足で乱暴に鉄屑をどけると、そこに座った。
「あたしらも座ろう」と今日歌が言うが、座る場所がほとんど見当たらない。床は、炭なのか焦げているのか黒ずんでいるし、鉄屑が邪魔だ。
それでも、今日歌は障害物をどけ、テーブルについた。
「今日歌、ここに何度も来てるのね?」と美園は今日歌の隣にしゃがむ。
「まあね。彼女の開発する武器は、とっても面白いんだよね」今日歌は優しく瑠璃に微笑みかけたが、やはり、瑠璃は反応しない。昨日会った時よりも、大人しい印象を受ける。「彼女は反応が鈍くなるほど徹夜して、武器を作ってるんだ」とポジティブに受け止めた今日歌だったが、肩をすくめ、少々困惑している様子だった。
今日歌は身体を捻り、背後にあった鉄の塊を手に取って見せてきた。「これ、彼女が作ったんだよ」
ロケットランチャーのような形状をしたそれが、最初は武器だとは気づかないほど、ぐちゃぐちゃとした見た目だった。今日歌は天井に向かって、それを構えた。
重たそうな引き金を引くと、錆びた金属が擦れる耳障りな音がし、美園は思わず耳を塞いだ。
すぽん、と気の抜けた音がし、銃口から飛び出したのは、丸いパンだった。天井に当たり、テーブルに落ちるのを、目で追った。ケシの実がのっているため、どうやら、あんパンのようだ。
「何故、あんパン?」と美園が呟く。
「あたしも、最初はそういう冷たい反応だったよ」
「これが武器?」
「言った言った。あたしも最初はそう言ったよー」
「彼女は、いったい、何を作っているの?」
「武器開発部。その名の通り、武器だよ」
どん、と音がしたかと思うと、瑠璃がテーブルに突っ伏し、睡眠を再開していた。気にせず、美園は、「私には、今、今日歌が見せてくれたそれは、武器じゃなくって、変わった形のトースターに見えたわ」
「まあ、理解するのに時間はかかるだろうね。彼女のモットーは、殺傷能力0の武器を作ること」今日歌は指を立て、得意げに言った。
「殺傷能力0?」
「そう。だって、あんパンをぶつけられたって、痛くないでしょ?」
美園は何と言えばいいのか、困った。それでいったい、科学部にどう立ち向かおうというのか。今日歌のことなのだから、ちゃんとした考えはあるのだろうが、今回ばかりは、彼女の言うことも理解できそうにない。と美園は悟った。
説明 | ||
詐欺的なタイトルですが、読んでくれると嬉しいです。 今回は、魔法少女誕生 〜 武器開発部へ。 前からそうだったように、ルビはめんどくさいので振ってありません(本当は振り方をわからなかった。。。) |
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