踊る双月3
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俺は、現在((三途の | レテ))川で((渡し守 | カロン))をしている。

転生しない現世の亡者を冥府へ送る仕事だ。

今日も今日とてここにやってくる亡者を乗せるため、川辺の桟橋に渡し舟を繋いで待機している。

 

おや、早速今日一人目のお客さんがやってきたようだ。

迎える為に船から下りてそちらに向かう。

「お久しぶりです。ご機嫌いかが?」

そんな声が俺にかけられる。

亡者はそんな事を言わない。

お客さんではなく何時もやってくる、あの娘らしい。

「また、あなたですか。物好きな事ですね」

「好んでお邪魔しているわけではありませんわ。 ご存知でしょう?私の母様の容赦なさを」

最近、馴染みとなった顔に挨拶の声をかけると、苦笑交じりの返事が返ってくる。

彼女の名はカトレア。トリスティン王国ヴァリエール公爵家の次女だ。

彼女はハルケギニア外史の生まれで前世の記憶を持つ存在。

正史とは違いある男により治癒され壮健となった。

以降「烈風カリン」の娘に恥じぬ成長振りを示している。

将来は桃色の魔王とでも呼ばれるのだろうか。

ただ、今はまだ未熟で時々こうやって俺の元を訪ねてくる。

「で、今度はどうやってここに来たのですか?」

「ええ。いつもどおり母様に特訓をつけられましたの。

 今日は『竜巻』(ストーム)で巻き上げられたのを利用して、

『瀑布』(ウォーター・フォール)を収束して大量の水で身動き止め、

 視界も塞いだ状態で上から『刃』(ブレイド)で切りかかったのですが……」

「結果は?」

「『瀑布』(ウォーター・フォール)の水で『氷壁』(アイス・ウォール)を作られて防がれました。

 そのまま『氷壁』(アイス・ウォール)を大きくした氷の棺に閉じ込められてお終いです」

「氷漬けですか。まだマシな方ですね」

「実戦なら壁状ではなく剣山状で串刺しでしょうね」

「優しいお母様ですな」

いつもの雑談をしてるうちに今度こそ本当のお客さんがやって来た。

「あらあら。これはワルド夫人。どうもお久しぶりです」

「ヴァリエールのカトレアさんじゃないの。ここは貴女が来る場所ではないわよ?」

気軽に挨拶するカトレアと不審げなワルド夫人と呼ばれた女性。

「いつもの事ですわ。母様との特訓の後にはよく参りますの」

「そ、そう。カリーヌ様は厳しい方だとは聞いていはたけど……

 貴女も大変なのね。無理して体を壊さないようにね?」

賽の河原で交わす会話ではないな。

「ほほほ……。それよりも夫人。ここにこられたと言う事は……」

「ええ。私はもうハルケギニアから去らなくてはならないの。

 夫と息子達をよろしく。 それから姉妹とも仲良くね」

「……微力を尽くします」

ハルケギニア正史の知識があるカトレアは微妙な返事をする。

夫人はそれに気付いたのか気付かないのか軽く会釈して船へ向かう。

「さて、私は仕事です。貴女はもう帰られた方がよいでしょう」

「ええ、お邪魔しました。多分((また | ・・))参りますわ……」

少し背中を煤けさせながら現世に戻ってゆくカトレア。

さて、今日も忙しくなるかね。

 

その後カトレアがワルド子爵家へヴァリエール公爵の注意を向け、

自らも関わりワルドを暴走させなかったのは俺にはどうでもよい事だ。

 

((初恋の人 | カトレア))を別の男に取られたワルドが今度は妹のルイズに走り

ルイズの使い魔にやっぱり取られたのもさらにどうでも良い事だ。

 

そして今では「それ程わしの娘が気に入ったか」と公爵に目をつけられて

ワルドはエレオノールの婚約者にされたそうだ。勿論逃げられない。

 

これはカトレアに送り込まれてくるようになった ジュール・ド・モットの話だ。

俺の外史と同じく元気にエロ生物をやっているらしい。

そんな彼は、ここでも用事があって訪ねてきた俺の娘に言い寄っていたので、河原でスケキヨ君にしておいた。

全くカトレアも何でこんなのがいいんだか。

 

 

    <_|     \⊂(゚Д゚♯)

 

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ゼロの使い魔 転生 

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