単一の幸福を求めて… 第11話 |
第11話 孫家と天の御遣い
ーーーー荊州南陽、孫策の館
孫策
「ただいま〜♪」
周瑜
「おかえり、急な呼び出しだったみたいだが今回はどんな無理難題を言われたんだ?」
孫策
「今回は珍しくなにもなかったわ、ただ彼を紹介したかっただけみたい」
周瑜
「彼?」
孫策
「ええ。いいわよ、単副」
孫策がそういうと孫策の影に隠れて見えなかった白斗が姿を現す。
白斗
「お初にお目にかかります、我が名は単副、流れの軍師をしていますが、わけあって袁術殿の客将になりました。」
白斗は孫策軍の諸将に向かい包拳礼をした。
周瑜
「ほぉ……軍師か」
長身の女性が白斗を興味深そうに見つめる。
白斗
「はい、とは言っても『美周郎』のような名は無く、一介の軍師にすぎないのですがね」
周瑜
「ほぉ………、よく私が美周郎だとわかったな」
白斗
「孫策軍の知の要として有名ですから」
周瑜
「ふっ、では知ってるだろうが私は姓は周、名は瑜。字は公謹だ」
白斗
「よろしくお願いします、周瑜殿」
周瑜
「よろしくする必要があるかはわからんがな」
孫策
「もう!冥琳!」
???
「単副………どっかで聞いたことあるような………」
白斗
「あなたは?」
そこには、この世のものとは思えない光輝く服を着た男がいた。
???
「俺か?俺は北郷一刀。……よろしく、単副さん」
白斗
「姓は北、名は郷、字が一刀でよろしいか?」
一刀
「いや、姓が北郷で名前が一刀。字は無いんだ」
白斗
「……字が無い?」
孫策
「一刀は天の御遣いなのよ♪」
白斗
「っ!? ではあなたが乱世を鎮静するという天の御遣いか?」
一刀
「残念だけど俺にはそんな力は無いよ、だけど天の知識が役に立つと思ったから、雪蓮に力を貸してるんだ」
孫策
「後は血ね♪」
白斗
「血?」
孫策
「そ♪孫呉に天の血を入れるのよ」
白斗
「ふむ。なるほど、天の御遣いの子孫か……それはなかなか上策ですね」
孫策
「でしょ?」
白斗
「呉に天の御遣いの血が入ったという認識が世に広まれば庶人の心の中に呉の人間に対しての畏怖の感情が起こる、その畏怖、畏敬の念は呉にとって大きな利益になり得ますね」
周瑜
「……良く分かってるな」
白斗
「軍師ですから」
周瑜
「ふむ……なかなか。」
???
「軍師同士で何を話しておるんじゃ?」
突然、妙齢の女性が話しかけてくる。
白斗
「……あなたは?」
黄蓋
「ん? 儂か? 儂の名は黄蓋。字は公覆と言う。以後見知りおけ」
白斗
「貴女が呉の宿将、黄蓋殿か」
黄蓋
「儂のことも知っておるのか?」
白斗
「ええ、黄蓋殿の武勇は有名ですから」
黄蓋
「そうか、そうか!」
気を良くしたのか、がははっ、と豪快に笑った黄蓋が白斗の肩をドンッと叩く。
白斗
「(……流石だな、無茶苦茶痛いぞ)
いたた……で、貴女は?」
黄蓋の隣りに、ほんわかした雰囲気の女性が白斗を見ていた。
黄蓋
「穏。自己紹介せい」
???
「はぁ〜い。姓は陸、名は遜、字は伯言って言います」
白斗
「単副です。よろしく」
陸遜
「よろしくお願いしますね〜♪」
一通り紹介を終えた後、白斗が質問をする。
白斗
「そういえば袁術殿に聞きそびれたんだが、荊州の現状はどうなってるのですか?」
黄蓋
「ふむ。ならば説明せんといかんな」
周瑜
「では私が説明しよう」
そんな前置きをしたあと、周瑜は荊州の状況を淡々と説明した。
先日の戦で荊州に攻め込んできた黄巾党は、ほぼ撃退された。
しかし、それは黄巾党の暴乱の中の、一地方での出来事に過ぎず。
大陸の各所では未だに黄巾党の暴乱は続いていた。
白斗
「なるほど、荊州の黄巾党はあらかた片付いたが、大陸では未だに黄巾党の暴乱は続いている……か」
周瑜
「その通りだ」
孫策
「そうだ!せっかくだし酒宴を開きましょう!」
荊州の現状を聞いていた白斗に、今まで黙っていた孫策がいきなり声をかける。
周瑜
「伯符?いきなりどうしたのだ?」
孫策
「彼、面白いし気に入ったわ♪」
周瑜
「だから酒宴、か?」
孫策
「そ♪」
一刀
「そんなこと言って。本当は飲みたいだけじゃないの?」
孫策
「あら、バレちゃった? ふふふっ♪」
孫策は悪戯っぽくウインクする。
周瑜
「別にかまわないが……。単副殿は大丈夫か?」
白斗
「私ですか?ええ、かまいませんよ。皆さんとも、もう少しお話ししたいですし」
孫策
「じゃあ決まりね♪ それと単副、貴方ちょっと固いわよ?同じ客将同士なんだし対等に話していいわよ?」
白斗
「……そうか?じゃあ、そうさせて貰うか……実はあまり堅苦しいのは苦手でな」
そう言って白斗は苦笑いをした。
数刻後、孫策の館で酒宴が開かれる。
酒宴で白斗は孫策と黄蓋に絡まれ、周瑜と陸遜に軍略について話し合い、一刀には天の話しを聞いた。
白斗
「それじゃ、俺はそろそろ失礼しようかな」
酒宴も終わりに近づいた頃、白斗がそう告げる。
孫策
「あら、もう帰るの?」
白斗
「ああ、袁術に部屋を用意して貰ってるしな」
袁術の客将になった際、白斗は袁術に屋敷の一室を使う事を許されていた。
孫策
「ねえ、貴方は袁術の客将でしょ?」
白斗
「ああ、そうだが?」
孫策
「士官はしないの?」
白斗
「今は士官先を探してる最中だな」
孫策
「そう……良かったらうちにこない?」
白斗
「俺が孫策の軍にか?
……確かに孫呉は独立は果たせてはいないが、優秀な武将、知将が揃い、天の御遣いを擁している、素晴らしいところだと思う……だが」
白斗は一度そこで言葉を区切る。
白斗
「先日の黄巾党との戦を見せてもらったが、あのやり方は俺には合わない……」
全ての敵を炎をで焼き尽くし殲滅する……確かに孫呉の状況を考えれば最善の策ではある。だが、黄巾党の陣は阿鼻叫喚の地獄とかしていた、平和を求める白斗にはとても許容できるものではなかった。
白斗
「別に火計が悪いわけじゃない、火計だって立派な計略だ。
だが、あれは俺の矜持から外れていた、だから俺は孫策に仕えることはできない」
孫策
「………そう」
白斗
「まあ、だからといって孫策達の邪魔をするつもりはないさ、袁術を倒して独立するんだろ?」
孫策
「あなた……」
白斗
「ではまたな、孫策殿」
そう言うと白斗は袁術の城に帰っていった。
周瑜
「行ったか……」
白斗が帰った後、周瑜が孫策のもとにやってくる。
孫策
「冥琳?」
周瑜
「あの単副という男、侮れないな」
孫策
「そうね、わたし達の目的も分かってるみたい」
周瑜
「そんな奴が袁術に、か……脅威だな」
孫策
「そうかしら?」
周瑜
「それはそうだろう、もし我等の目的を袁術に知らされたりすれば……」
孫策
「大丈夫よ。だから彼を始末しようとか考えないでね」
周瑜
「それは勘か?」
孫策
「そ、勘よ♪」
周瑜
「ふふっ、雪蓮の勘は当たるからな。 暫く様子を見るとしよう」
一刀
「二人とも何話してるんだ?」
孫策
「あら、一刀」
周瑜
「北郷か、何でもないさ」
一刀
「そうか?ならいいけど………単副さんは?」
孫策
「単副なら袁術の所に帰ったわよ」
一刀
「そっか、面白いやつだったな」
孫策
「あら、一刀も気に入ったの?」
一刀
「そうだね、話してみて良いやつだってのが良くわかったよ」
孫策
「良いやつ、ねぇ……」
そう呟くと孫策は白斗の向かった先を見つめた。
あとがき
今回の話しは大体は出来てたのですが仕上げに時間が掛かってしまいました。
酒宴での話しも書きたかったのですが、長くなってしまうので割愛させて頂きました。
次回は拠点編という感じで書こうと思ってますので皆様よければお付き合い下さい。
ではまた次回〜!
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真・恋姫無双の二次創作です。 主人公はオリキャラです、苦手な方は御遠慮下さい。 皆様お付き合いありがとうございます。 |
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