武装神姫「tw×in」 第十六話 |
武装神姫はバトルの際、相手をロックオンする。
これは銃口を向けたりと攻撃の為に使う機能で、自らする必要がある。
もちろん相手が見えなかったら出来ず、レールアクションを使うと相手からのロックを外す事が出来たりする(ただしある方法で外れなくする事も出来る)。
粒子ブラスターはこのロック機能を使うことで、相手の周囲に光球を出すことが出来る。なのでロックをしないと、目標を定められない光球は発射した自分の周りに現れてしまう。
今さっきルミアがぶつかったのは、そのロックされてない時の光球だ。
つまりミズナはルミアが槍で突っ込んでくることを読んで、わざとルミアへのロックを外して粒子ブラスターを撃ったんだ。
あれで粒子ブラスターを初めて使うのだから、凄いとしか言えない。
『かと言って、簡単に負ける訳にはいかないよ』
「もちろんですよ、マスター!」
ルミアはファイティングポーズでやる気を示した。
後は、真南とミズナ、延いては粒子ブラスターへの対策だけど……何分初めて対する武器だからな。
下手に考えるより、今は攻めてみるのがいいか。
『よし、行くよルミア。一発逆転狙いだ』
「はい!」
ルミアはミズナへと爆弾を投げる。
ミズナはバク転で避け、ヴィヴィアンを放つ。
ルミアは前へダッシュ。ミズナとの距離を詰め、槍で一突。
だが真上へジャンプされて避けられてしまう。
上空へ飛んだミズナは、サラ・ヴァティーヌを放った。
青い光の柱がルミアの周囲に現れ、ダメージのある光までのタイムラグの間にルミアはその場から離れた。
「マスター! 準備出来ましたよ!」
『よし、決めるよルミア!』
「はい!」
落下してきたミズナは、再びヴィヴィアンを構えている。
『「レールアクション!」』
オレとルミアは声を重ねた。
前へと飛び、ミズナとの距離を詰める。
「! この感覚は……マスター、こっちも!」
ミズナも相談の後、ヴィヴィアンを終いレールアクションの構えを取った。
もちろんそれは『ATK:粒子ブラスター』
右手に持ったサラ・ヴァティーヌから青い光が現れ、ミズナの周囲を回転しながら囲っていく。
そこへ、ルミアはとびこんだ。
普通より高威力の青い光が、ルミアに触れる。
「くっ……」
先ほどと同じなら、これで吹き飛ばされているが、
「まだ……まだぁぁぁぁぁ!」
ルミアは更に移動を続け、
「はぁぁ!」
ミズナに一発の拳を叩き込んだ。
「いっ!? やっぱり……」
ミズナも気付いたようだが、もう遅い。
起動のスイッチは入った。
「がら空きだよ!」
一発を当てて動かなくなったミズナに、ルミアはラッシュを放つ。
初段のボディブローから、パンチとキックによる乱舞を繰り出し、最後にフィニッシュでぶっ飛ばす。
「銀河の果てまで…」
ルミアの、ハウリン型の固有レールアクション:ドックサーカス
「飛んでいけぇーーーーー!!」
ズガァ!
フィニッシュのアッパーカットが、ミズナをぶっ飛ばした。
「やっぱり宗哉は強いな?」
「マスターの武装縛りのせいもありますけどね」
何とか、オレ達の勝利でバトルは終わった。
「やりましたねルミアさん!」
「おめでとうございますなのです! ルミアさん」
「ありがとうございますエンルさん! コナユキさん!」
勝利に喜ぶルミアをエンル達が祝福している。
「粒子ブラスターって初めて見たわね。ソレをあそこまで使えるなんて、やっぱり真南ね」
「ん、中々使い難そうな武器だった」
「えへへ?、ありがとう2人共」
「いやマスター喜ぶとこじゃないでしょ、本来の目的とは違ってんですよ?」
「本来の目的?」
「うん、実はさ?…」
真南は粒子ブラスターを買う経緯となった、新たな神姫を持つという話をした。
「で、思わず衝動買いしてしまった、と」
「そうなんだよ?」
「そうなんだよ?、じゃないですよマスター。おかげで全然ポイント貯まってないんですから」
「ちなみに、今どれくらい?」
「えっと……こんだけ」
真南は現在の神姫ポイント数を見せた。
やっぱり、神姫を買うには全く足りない。
「……」
木部が携帯を取り出し、計算した。
現在の所持数から、バトル一回、勝利した場合でのポイント数を足していき、
「単純計算、バトル勝利で二十三回分くらい」
「えぇー!? そんなに!?」
「真南ならそれくらい3日くらいで出来るんじゃない?」
「でも3日も掛かるんだよ?!」
出来なくはないんだ。
その時、木部がすっ、と手を挙げた。
「一つ方法がある」
計算の後も操作していた携帯の画面をこちらに見せる。
そこに書かれていたのは、明後日、神姫センターで行われる大会の情報だった。
「うわ、優勝賞金すごい」
本来神姫センターで行われる大会では武装等の何かしら商品が付くものだが、コレにはそれがなく。代わりに賞金の神姫ポイントが高かった。
先ほどの単純計算で、バトル勝利十五回分に相当している。
「コレに勝てたら、残り八回分にまでなるわね」
「じゃあさ!」
真南は携帯の画面を指差した。
「みんなで出ようよ!」
「え? 何で?」
その発言は、オレ達と全員の神姫も首を傾げていた。
「マスター! それにはぜひわたしを出してくださいなのです!」
訂正、コナユキを除く人と神姫全員も首を傾げていた。
「真南、どういう意味?」
「だってさ、人数いた方が勝てる確率上がるでしょ? わたし達の誰かが優勝出来れば、賞金が手に入るじゃん」
「えっと……つまり、オレか天野か木部が勝ったら、真南に賞金を渡す、と?」
数を揃えるということは、そういうことだろう。
「ダメ、かな?」
やっぱりか。
「お願い!」
ぱんっ、と手を合わせて真南は頭を下げた。
「……という感じなんだけど」
オレは2人を見た。
「はぁ……仕方ないわね」
ため息をついたが、天野は手伝うつもりらしい。
「ん、ワタシも手伝う」
木部も二つ返事で頷いた。
「宗哉は?」
「オレは……うん、手伝おうかな」
コナユキの良い練習になるかもだし。
「ありがとうみんな?!」
「東太も誘ってみるか」
多分、OKするだろう。
「頑張ろうね!」
「ただし、アタシはカナユメで出るわよ」
「うん、オレもコナユキで」
それはつまり勝ちに行くというより、練習目当てということだ。
「え?」
「じゃあ、ワタシも」
「ゆいちゃんまでー…………って、えぇ!?」
オレ達の視線は木部に集まった。
「ゆいちゃんも複数持ちだったの?!」
「ん、普段は氷李だけど、実はもう一人持ってた」
「アタシも知らなかったわ、何で今まで言ってくれなかったのよ」
「……それは」
言うのを躊躇うように、木部は視線を反らす。
すると、
「それは姉上が先日帰って来たばかりだからです」
氷李が木部の肩の上に乗り、代弁した。
「姉上?」
「はい、私はマスターの二人目の神姫。私がマスターの元へ訪れた時には、既に姉上がいました。ですが、姉上は私の様にライドバトルには適してはいなかったのです」
武装神姫のバトルと言えば、現在ではライドバトルが主流だ。
だがバーチャル技術の進んでいなかった数年前は、神姫達のバトル方法はもっと古典的な、本当のバトルだった。
それはバトルロンドと呼ばれ、神姫のみが戦うというもの。
加えてその当時のバーチャル技術でフィールドの生成、銃弾のオートリロードまでは成されていたが、神姫へのダメージに関しては少なく、実際に故障してしまうこともあったらしい。
更には筐体を使わない、野良バトルというものもあり、そちらは受けたダメージは全て自身に被る。
本当に最悪の場合……神姫が破壊されることもある。
だが現在では神姫バトルはライドバトルに移行され、筐体内部で受けた大抵のダメージは無かったことになる。武装及び神姫もライドバトル用にチューンアップされた物がショップに並んでいるが、バトルロンド時代の神姫達は、それに適しておらず、つまりライドバトルは出来ない。神姫センター等で、チューンアップの必要があるんだ。
「てことは、その姉上っていうのが昨日チューンアップして帰って来たという訳ね」
「はい、ですが姉上は私より何倍も強いですので、マスターとライドしたことがなくとも良い結果を残すと信じています」
フブキ型は寡黙なイメージが強いけど。今日の氷李は饒舌だった。
いや、木部があまり喋らないから、氷李が饒舌に見えるだけかもしれないけど。
しかし、氷李より何倍も強いとは……氷李が既に強いのに。その姉上はどれだけ強いんだろうか。
「よ?し! 明後日の大会に備えて、今日明日はバトルしまくるぞ?!」
ともかく、明後日は神姫センター。今日はこのままゲームセンターでバトルして。明日は……
「マスター、電話鳴ってますよ」
その時、鞄の中に入れていた携帯の着信にスレイニが気付き、教えてくれた。
「ありがとう、スレイニ」
「何か最近も似たことあった気がする」
そういえば。と思いながら携帯を開くと、案の定発信者は……
説明 | ||
予定×出場者= 粒子ブラスター×3は、大会くらいなもの。 |
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