IS x 龍騎?鏡の戦士達 Vent 15: 仕事と私事
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フランスに着いた頃には、かなり暗かった。滞空している間に研究所に向かってスカイダイビングで建物の前に降り立った。

 

「ダークウィング。」

 

『ギイイイイィイイイィイイイイ!!!』

 

監視カメラや防犯装置が音波によって狂い、スパークした。金網を右腕のレーザーブレードで焼き切ると、警備兵をアサルトライフルで射殺、悠然と内部に奪ったセキュリティーカードで侵入した。懐に入れた地雷や爆薬を火気厳禁とラベルが張ってある所に隠し、更に奥へと侵入する。監視カメラの死角をすり抜け、警備兵も一撃で葬って行く。何の躊躇いも無く。

 

「中枢はここか・・・・・」

 

「な、何だお前は・・・・!?」

 

「こいつ・・・・ナイトキラー・Dだ!!ナイトキラーが来たぞ!撃て!撃てぇええ!!」

 

だが銃弾は全て待機状態のISから発しているビームバックラーで全て防がれる。サプレッサー付きのパラオードナンスで的確に頭を撃ち抜き、コントロールパネルにも爆薬を仕掛けた。書類やハードドライブのデータ等に軽く目を通し、必要な物、使えそうな物は全てコピーしてオリジナルは破壊した。左袖のワイヤー射出機で監視塔に登り、警報をワザと作動させ、起爆装置の電源を入れた。途端に研究所が大爆発を起こし、瓦礫等が木っ端となって天高く舞い上がり、再び雨の様に降って来た。

 

「終わったぞ。直ぐに来てくれ。」

 

直ぐに空からヘリの音がして、それに向かってワイヤーを放ち、乗り込んだ。

 

「相変わらず仕事が早いな、お前はよお。」

 

粗暴な男の様な口振りで蛇革の服に身を包んだ女が口角を吊り上げる。

 

「お前が出迎えとは珍しいな、オータム。いつもはスコールにべったりの癖に。」

 

「黙れ、ここで死にたいか?」

 

「そんな事をすれば((俺の妹|マドカ))がお前を切り刻みに来るぞ?そっちの仕事は終わったのか?」

 

突き付けられた銃を押しのけて一夏はそう質問する。咽せる程に漂う死人の臭いが、彼女からしていた。胸ポケットからはみ出て見えるのは・・・・・紫色の何か・・・・

 

「まあ、コイツらも腹が膨れた所だし、帰るか。報酬の四分の一が手に入るから、万々歳だ。」

 

学園の上空に辿り着くと、一夏とオータムはヘリから飛び降りて建物の中に入った。中ではAD・VeX7のライダーが全員集合していた。

 

「よう、オータム。相変わらずだな。スコールなら寝てるから添い寝位してやれ。疲れてるみたいだし。」

 

「随分と物々しいな、ボス。俺達を集めて何をするんだ?」

 

「ちょっとした会議だよ。なあ、士郎?」

 

『その通りだ。』

 

突然黄金の羽が舞い落ちて神崎士郎が現れた。

 

「な、コイツは・・・・?!」

 

『仮面ライダーオーディン。神崎士郎。その男とお前達のデッキを作った者だ。』

 

士郎はポケットからデッキを引っ張り出し、自分もライダーの一人であると言う事を示す。

 

「彼も一応協力してくれるらしい。少なくとも今は。さてと、会議の事だけど、この学園にもライダーが俺達以外にも三人いる。」

 

空中に投影されたのは箒と鈴音のプロファイルだった。生年月日から家族構成、あらゆる個人情報が事細かに記載されている。

 

「この女、篠ノ之箒。一夏の幼馴染みで、オルタナティブのデッキを持ってる。ライダーの資質はほぼ無いと判断して良い。自己中心的且つ独善的で、一夏の事となるとかなり熱が入るらしく、一度狂ったら何をしでかすか分からない要注意の人物だ。おまけに、コイツは篠ノ之束の妹だと言う事も言って置く。コイツは世界のバランスを崩しかねない。もう一度言う、こいつには注意してくれ。変身した時には下手に刺激するな。」

 

一息つくと、再び司狼は口を開いた。

 

「もう一人。中国の代表候補生、鳳鈴音。龍騎のデッキを所持。同じ様に一夏の事となれば頭に血が上るタイプで、頭より手が先に出る。が、篠ノ之箒よりかはライダーの資質を持っている。それでも、やはり警戒は怠るな。」

 

「後、最後の一人。シザースは、」

 

「こいつだよ。」

 

憲司が立ち上がってキーを幾つか叩いて別のスクリーンを投影した。

 

「名前はミリア・デュノア。デュノア社の社長ミシェル・デュノアの本妻で、子供が一人いる。それについてもっと調べてみたけど、こう言うのもあった。」

 

更に幾つかのスクリーンが現れた。

 

「ミシェル・デュノアには娘がいた。名前はシャルロット・デュノア。今はシャルル・デュノアとしてこの学園に潜入している。狙いは当然一夏のISのデータだ。焦って功を急ごうとしたのが裏目に出たね。で、シャルロットの母親、アンヌ・デュノア。行方不明、となってはいるけど、恐らくボルキャンサーの餌になったと考えて間違い無い。」

 

「あくどい奴だな・・・・」

 

弾が憎々し気に舌打ちをする。

 

「そこで、だ。デュノアを潰す為のきっかけを掴む必要がある。一夏。同じ男子で模擬戦を下相手ならいくらか打ち解けてるから向こうも警戒しない。何故ここにいるかを問い質せ。ミリア・デュノアを消すのはそれからだ。」

 

「消すって・・・・殺すって事か?!」

 

「そうだ。文句なら士郎に言え、デッキを渡したのはあいつだ。俺も余り気が進まなかったんだが、相手が相手なだけにな。まあ、嫌なら無理にとは言わない。俺がやる。」

 

「・・・・やります。俺が・・・・やります。」

 

「出来るんだな?失敗しようが殺し損ねようが別に構わないが、その時にはオータムに回すぞ。契約のカードは必ず回収する様に。契約のカードはそうそう無いからな。別の奴に同行して欲しければ別に構わないぞ。後、もう一つ。ドイツの方も俺が束に頼んで調べてもらったが、違法研究がわんさかあったぞ。VTシステムとか。ボーデヴィッヒのISに組み込まれている。だから、気をつけろ。あいつは織斑千冬を崇拝してるから彼女の動きがトレースされる確率は非常に高い。一夏、お前が一番気をつけろよ。以上、解散。」

 

一夏、司狼、弾、斉藤、森次以外のライダー達は全員ミラーワールドを通って本社に戻って行った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あの男・・・・御鏡司狼とか言う男・・・・必ず殺す・・・・織斑一夏・・・・教官の汚点・・・・お前もだ・・・・!!!」

 

ラウラは部屋でブツブツと呪詛の様にそれを繰り返し呟いていた。それをミラーワールドから見ていた一夏は、再び廊下に出た。殿部屋に誰がいるかを書き記した紙切れを見て、シャルルのいる部屋を探し当て、ノックした。だが、返事が無い。五分程待って再びノックをすると、丁度シャワーを浴びた後なのか、シャルルがジャージを着て出て来た。

 

「よう。ちょっと良いか?」

 

「う、うん・・・・」

 

部屋の中に入ると、一度深く息を着いた。

 

「俺のISのデータが目的なんだろう、シャルロット・デュノア。」

 

それは質問ではなかった。

 

「もう調べてあるから隠そうとしても無駄だ。お前の両親の事も、フランスがイグニッション・プランから外されて、第三世代の開発に遅れを取っていると言う事も。」

 

「な、何の事」

 

ジャキン!

 

一夏の右手には鈍く光るサイレンサー付きのパラオードナンスが握られていた。

 

「殆どの部屋は防音仕様だ、今この場でお前を殺しても音は出ない。答えろ。」

 

「・・・そうだよ。実家の命令で専用機のデータを盗んで来いって言われたんだ。君の言う通り、僕は広告塔として君に近付く為にここにいる。でも全然接近出来ないから、殆ど諦めてたんだけどね。でも、仕方無いんだよ。お母さんを助ける為だもん。」

 

「助ける為?何を言ってるんだ?お前の母親のアンヌ・デュノアは・・・・」

 

もう死んだと、言う言葉を飲み込んだ。彼は、嫌彼女は恐らく知らないのだ。

 

「お母さんがどうかしたの?」

 

「いや・・・・助けるとは、どう言う事だ?」

 

「父の経営している会社にパイプを持ってる病院で治療を受けてるんだけど、その治療費の為にテストパイロットとして働かされているんだ。今じゃフランスの代表候補生だけど・・・・・」

 

「第三世代のデータが無いとデュノアは消えるって事か。」

 

「うん・・・・」

 

「じゃあ、ここにいろ。学園の特記事項にも載ってる。三年間だけ奴らはお前に手出しが出来ない。その間に奴らの悪行を世界中に公表すれば、奴らは消える。開発免許も当然剥奪されるだろうな。お前は奴らから介抱される。」

 

「え?!」

 

「まあ、お前は運が良いのか悪いのか、後も先も無い状態から首の皮一枚で繋がってる。だから、まだ望みはある。だが、お前はどうしたい?デュノアを潰して奪われた誇りと踏み躙られた尊厳を取り戻すか、このまま奴らの掌の上で踊らされる道具のままでいるか、決めるのはお前だ。」

 

「僕は・・・・・・でも、お母さんが・・・・!!」

 

「母親なら自分の娘の命と幸せを何よりも優先する筈だ。まあ、俺には親はいないがな。今じゃ千冬姉が俺の唯一の家族だ。それに、落ち着いて聞けよ。お前の母親は死んだ。お前は知らないだろうが、行方不明扱いになっている。」

 

「え・・・・・・」

 

この世の終わりの様な顔が浮かび上がる。

 

「死、ん・・・・・・・・だ・・・・・・?!」

 

「ああ。殺したのは、デュノアだ。俺は近い内に奴らを襲撃し、殺す。俺はIS犯罪対策室のエージェントでもあるからな。AD・VeX7って言えば分かるか?」

 

「AD・VeXって・・・あの・・・・・?!」

 

「ああ。そう言えばフランスは全面的には俺達の事は知らなかったな。殆ど商売は小国でやってるから当然と言えば当然だが・・・・まあ、兎に角俺が言うのはそれだけだ。済まないな。辛い現実と向き合わせる様な真似をして。」

 

「お母さんが・・・・死んだ・・・・・・・死んだ・・・・死んだ・・・・・!!!!」

 

眼がどんどん虚ろになって行き、そう繰り返す。

 

「おい。」

 

「嘘だ・・・嘘だ・・・・ちゃんと、僕は・・・・見たんだ・・・・!!!」

 

「写真位あったなら、適当な女の顔を整形するなり何なりすれば、偽装は可能だ。お前は始めから捨て駒として踊らされていたんだよ。」

 

「お母さん・・・・・お母さん・・・・・オカアサン・・・・・・」

 

「おい!」

 

そしてシャルルの、いやシャルロットの胸ぐらを掴んだ。

 

「そんな事をしていても何も解決しない!何かを変えたいなら、お前がやらなきゃならないんだ!!お前自身が、その手で事を変えなきゃならないんだ!!現実逃避しながらそうしてれば楽だろうが、何にもならないぞ!?戦うってのは深い傷を負う覚悟で前に進んで行く事だ!愚痴なら死んでからでも言え!!・・・・・すまない・・・・大声を出して・・・辛かったな。」

 

一夏は彼女の頭を撫でて、そう言った。

 

「お前さえ良ければ、ウチに来ないか?テストパイロットがもう一人必要でな。」

 

「え・・・・・?僕に・・・・?」

 

「ああ。俺の上司は優しいぞ?そうそう。タッグトーナメントの事なんだが、俺と組んでくれるか?お前が女だってバレたら色々とマズイし。」

 

「うん・・・・ありがど・・・」

 

シャルロットは段々と涙声になって行き、遂には涙腺のダムが決壊した。

 

「辛かったな。もう少しだ。お前はよく頑張った。だから、後は俺に・・・いや俺達に任せろ。」

 

(順調そうだな。さてと・・・・こっちもこっちで準備しておくか・・・・

 

説明
一夏のお仕事+タッグトーナメント編です。シザースの正体は?!
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コメント
一夏達は基本アンチにはなりません。衝突する事は度々ありますが。(i-pod男)
アンチにならなければ良いのだが・・・(biohaza-d)
タグ
仮面ライダー龍騎 IS 正体 シザース 

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