Fateなんとなく書いてみた9
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「で、改めて聞かせてもらうけど退さんのその出鱈目な戦闘力は何?」

 

仕切り直しと言わんばかりに頑張って多少重たい口調で雰囲気を作る遠坂さん。

俺はその姿に不謹慎ながら微笑ましさを感じてしまったが、変な絡まれ方をするのは御免なので口にしないでおく。

 

「俺の知り合いの女の子に会うたび会うたび殺されかけている賜物じゃないか?」

 

「は?」

 

遠坂さんは訳が分からないというような表情でポカンとしている。

他も同様だ。白もセイバーさんも一般人の俺が結構な頻度で命の危機に瀕していたことに驚いたのだろう。しかし、何故かアーチャー――何故か呼び捨てしてしまう――だけは表情を変えずにむしろ「私は知っていたさ・・・」と言わんばかりのドヤ顔だ。

何故得意げなのだろう・・・。

 

「いや、ちょっと待ってくれ兄貴。そんな話俺聞いたこと無いぞ」

 

「だって言っても信じないだろうしな、それに式は根は良い子だと思うぞ?」

 

「そのシキという者がどんな御人なのかはわかりませんが・・・何故疑問形なのですか?」

 

なぜってそりゃあの子少し、いやかなり変わってるから。

彼女の友達の美樹ちゃんは可愛くて普通な良い子なんだけどな。なんでいつも俺の居場所を特定できるのかが謎なのだが・・・探偵でも目指しているんだろうか?

 

「で、その式って人と戦って強くなったとでもいうわけ?その式って人も一般人でしょう?」

 

「ははは、一般人が常にナイフか刀携帯してるって?そんなはずないだろ?しかも動きがなんか常人じゃないんだ、あれ絶対裏の世界ってやつの住人だ」

 

「普通の人じゃないのね・・・。でもここまで強くなる理由にはならないわよ」

 

納得しない遠坂さん。

そこにずっと黙していたアーチャーが話に入ってくる。

 

「ふっ・・・リンにしろ衛宮白にしろまだまだだな。簡単なことだろう?その式という奴に何かしらの特殊な力があったのではないか?まったく衛宮退の妹が聞いて呆れる・・・」

 

「むっ・・・!」

 

アーチャー、合ってる。合ってるんだがなんで貴方はそんなに満足気なんだ。

そしてそうむくれるな白。

そう、式は確かに不思議な力があった。

 

「直死の魔眼、式はそう言ってた。」

 

「直死?何だそれ?」

 

「直死の魔眼ですって!?」

 

知っているのか遠坂さん流石に博識だな。

 

「式のやつはなんでもかんでもバターみたいにスライスしちまう力があるみたいでな、そんな奴に狙われてしまった俺は生き残るために戦えるようになるしかなかった。崖っぷちの人の力ってのは不思議なものだ。みるみる実力がついて、今に至る。まあ、式も多分甘えてきてるだけなんだろうが、ほら猫がじゃれるみたいな」

 

「猫がじゃれてくるのに直死の魔眼なんてあるか!!簡単に死ねるわよ!!」

 

そう言って頭を抱える遠坂さん。そして呆れたように溜息を吐いた。

そしてとりあえず納得できないが納得したようだ。

 

「確かに直死の魔眼の持ち主と殺しあってたらそりゃ強くならざるおえないわよね・・・」

 

「なあ兄貴。直死の魔眼ってなんだ?」

 

直死の魔眼とは何か。

対象の死期を視認することが出来る代物だ。

簡単に言えばたいていのものは何でも殺せる眼だ。

俺も詳しい事は解らないが決して万能な代物ではないと式は言っていた。

そういえばそろそろ彼女らに会いに行ってやらないとなあ。

機嫌を損ねたら死んでしまう。

 

「なるほど、とんでもない眼だな。そんな危険な眼持った相手によく生きてたな兄貴」

 

「そうだろう?そうだろう?大変だったさ・・・」

 

そう言って遠い目をする俺。

あれ?何か涙出てきた。

 

「おかしいな、なんか涙でてきちゃったよ」

 

「泣きたいなら泣けよ兄貴・・・あたしの胸の中で「いや衛宮白、お前の貧相な胸で眠るのは心苦しいだろう?どれ、私が胸を貸してやる。存分に泣け、退。」アーチャー・・・あたしになんか恨みでもあんのか?」

 

「ふん、私がお前如きに恨み?そんなものは腐るほどある。それになにより、胸が貧相なのは事実だろう?」

 

「・・・!い、一応Cはあるぞ!」

 

「ふん、その程度か。私は因みにEだ。」

 

あれ、なんの話してたんだっけ。

全然内容変わっていないか?

何故胸の大きさの話になっているのだろうか。

 

「くっ、だけど胸は大きさじゃない!形だろ!」

 

「今良いこと言ったわ衛宮さん。」

 

「シロの言うとおりです。アーチャー、胸は大きさではない。」

 

「「「形だ」」」

 

何故ハモってるんだ。

共通意識でも芽生えたのか。

それをアーチャーは鼻で笑う。

 

「ふっ、所詮は無いものの妬みだ。それに私は形とハリにも自信がある」

 

「アーチャー。今は俺のほうが確かに胸はない。だけどお前にはない若さがある!」

 

「・・・貴様、口にしてはならないことを口にしたな・・・」

 

もう訳が分からない。

俺は何だかヒートアップし始めた面々を後目に居間を出た。

 

「おやすみ、皆。やれやれ・・・」

 

俺は居間と違い静かな我が家の廊下に少し安らかな気持ちになる。

ああ、静か「アーチャアアアアアアアアアア!」「衛宮しろおおおおおおおおおお!」だ・・・。

別段静かでもなかった。

 

「本当に、めんどくさい奴らだなあ。」

 

そんな言葉とは裏腹に、俺の頬は緩んでいた。

こんな夜も悪くない。

今宵は本当に、月が綺麗だ・・・。

 

 

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