真・恋姫無双 三人の天の御遣い 第二章『三??†無双』 其の六 |
第二章 『三??†無双』 其の六
本城内医務室
【祭turn】
儂の前に立つ華佗殿が深く息を吸い込むと、今度は息を吐きながら氣を練り上げていく。
「はあああああああああああああああっ!!」
相変わらず見事なものじゃ。これで医者だというのだから世の中間違っておるわ。
「((診|み))えたっ!!」
ん?いつもは『良し』と言うのに、何が見えたと・・・・・まさか病の兆しでも・・・。
以前も肝の蔵が弱っているので酒の量を減らせと言われたからな。
またそんな事を言われてはたまらんぞ!
「黄蓋さん!おめでとう!子宮に赤ん坊の氣を感じる。」
「・・・・・・な、なんと・・・」
何度も肩透かしを喰らっておったから気にせぬ様に心に決めた途端にこれか!?
「おめでとうございます、祭さん♪」
部屋の隅で様子を見ていた紫苑が祝いの言葉をくれた。
続いて桔梗も笑顔で寄って来る。
「おめでとう、祭。先を越されたな♪」
「う、うむ・・・・・有り難い・・・しかしどうにも自覚が湧かんな・・・体調もいつものままじゃし。」
別に華佗を疑っている訳では無く、単なる照れ隠しで言っているだけじゃ。
目の前の連中もそれを分かっているから笑っている。
「何はともあれお館様たちに報告だな。朱里に・・・いや、丞相殿に許可を貰いに行かねば♪」
「そうじゃな。一刀たちはさぞ驚くじゃろう♪・・・しかし、丞相と聞くと未だに冥琳を思い浮かべてしまう♪」
ふた月前の風を皮切りに、先月は桂花が、蓮華様達の出産を挟み策殿と冥琳が、そして今月は儂が・・・。
「うふふ♪遂にご主人様たちの本領発揮という処かしら?」
紫苑が笑って言うが、その笑みは無邪気とも妖艶とも取れる。
こやつ狙っておるな。
「冥琳殿が今度はどんな顔を見せてくれるか楽しみではあるな♪」
桔梗も意地が悪い♪
「ふふ、冥琳の懐妊が判った時の動揺する姿は未だに儂の酒の肴じゃ♪」
儂もじゃがな♪
「そうねぇ。冥琳さんはご主人様たちに、一度に何人も妊娠させないよう言っていたものねぇ・・・」
それが他の者達よりも先に身ごもってしまっては立つ瀬も無くなるというものよ。
「まあそれより、桔梗、紫苑。賭けは覚えておるじゃろうな?」
儂がニヤリと笑って見せるが二人は動じた様子はない。
「おう、覚えておるとも!三人の中で最初に孕んだ者に良い酒を奢る。」
「えぇ、忘れてないわよ♪」
ほほう。中々潔い♪穏あたりだとグチグチ文句を言ってくる所だが、流石じゃな♪
「だそうですけど、華佗さん♪どうしましょう?」
「うん?何故そこで華佗殿に問う?」
振り返ると華佗殿が苦笑していた。
「黄蓋さん、悪いが暫くは禁酒だ。」
「・・・・・・・・は?今、何と言われた?・・・・・どうも儂の耳がおかしいようじゃ・・・・もう一度言ってくれぬか?」
今、三行分気を失った気がするが・・・・・きっと幻聴を聞いた所為じゃな。
「妊娠中は勿論、授乳期にも飲酒は禁止してくれ。お腹の子供に悪影響が有るから。」
「な、なんじゃとおおおおおおおおおおおおっ!!」
「黄蓋さんは((白乾児|パイカール))・・・揚州の方では((辣酒|ラーチュウ))だったかな?それが好きだって赤一刀から聞いているが、あれは酒精が強いから絶対に禁止だ。」
「ぜ、絶対っ!?」
「これは孫策さんにも言っておいたが・・・・・・胎児が奇形になる。そして最悪の場合は・・・」
「わ、わかった!みなまで言わんでくれ!今の言葉肝に銘じておくっ!!」
な、何という事じゃ・・・・・しかしようやく授かった一刀の子をそんな目に合わせたくは無い!
「儂も女じゃ!腹の子の為に禁酒ぐらいしてみせるわっ!!」
「おおっ!よく言った、祭!流石、孫呉にその人有りと謳われた黄蓋よ♪」
桔梗!貴様さては知っておったな!・・・・・いや待て!さっき華佗殿は策殿の名も・・・。
さては策殿の八つ当たりかっ!!
「そうじゃ!紫苑!おぬし、璃々の時はどうしたんじゃ!?」
「わたくしは璃々がお腹にいる頃は不思議とお酒が飲めなくなって・・・」
「うむ、あの頃は付き合いが悪くなったと嘆いたものよ♪」
これでは何の参考にもならんではないか!
はっ!そういえば堅殿も喬玄も妊娠中はほとんど酒を呑んでおらんかった!!
「妊娠中は不思議と食べ物の好みが変わる例が多い。黄忠さんもそうだったんだろう。」
華佗殿が説明してくれるが・・・・・。
くう!いっそ儂もそうなってくれれば有り難い物じゃっ!!
「いや、何にせよこれで貴様に奢る酒は赤子が生まれるまでお預けだな♪」
「そうねぇ♪せっかく成都から((乾酒|カンチュウ))の極上品を取り寄せる手筈だったのに♪」
「か、乾酒の極上品・・・・・」
思わずゴクリと喉が鳴ってしまう。
「取り敢えず妊娠中の注意事項は後でわたくしが教えておきますので、華佗さんとはまた後ほど後宮で。」
「ああ!黄忠さん、よろしくお願いするよ。」
こうして儂は懐妊の喜びもすっかり水を差された気分で医務室を後にした。
本城皇帝執務室
【赤一刀turn】
俺、緑、紫の三人は、机に積まれた書類を次々と片付けていく。
そのスピードは二ヶ月前と比べると倍、いや三倍は速い。
理由は一秒でも早く生まれた子供の顔を見るためだ!
先月頭に華琳の娘の((眞琳|まりん))が生まれ、三日後には桃香の娘の((香斗|かと))、更に四日後に蓮華の娘の((蓮紅|れんほん))が生まれた。
それからは三国あげてのお祭り騒ぎだ。
晋の都の房都は勿論、許都、成都、建業でも飲めや歌えのドンチャン騒ぎ。
お祝いの使節が持ってくる贈り物も懐妊時の比ではない。
房都はお祝いムード一色に染まりながらも、落ち着きを取り戻した月中過ぎに、今度は思春の娘の((烈夏|れっか))が生まれた。
思春の要望もあり、身内のみのお祝いとなった。それでも本城内はまたしてもドンチャン騒ぎとなりかけたが、華琳と冥琳のダブル雷が炸裂し、その後は穏やかな日々が戻ってきた。
しかし今度は仕事の津波が怒涛の如く押し寄せる。
仕事を休んでたんだから当然だが、お祭りの後始末の仕事が輪をかけた。
大量の仕事に忙殺される中、今度は冥琳と雪蓮が揃って懐妊という報告を聞いたのがこの月の終盤、つまり二週間ほど前の話だ、
冥琳は丞相補佐に退き、新たな丞相に朱里を指名し現在に至る。
「ご主人様!あまり無理をなさらないでください!」
朱里は俺たちの仕事ぶりを見かねたのか、遂にそんな事を言わせてしまった。
冥琳が丞相だった頃は女人禁制となっていたこの執務室も、仕事の効率化を優先して朱里が隣の部屋に常駐することになっている。
そしてたまに様子を見に来ては助言をしてくれる。
まあ、最近は今みたいに諫められる事の方が多いけど。
世の新米パパの大半は俺と同じ気持ちなんだろうなぁ。
そう言えば携帯の待受を子供の写真にして、日がな一日ニヤニヤ眺めているとも聞いたことが・・・・・・写真っ!?
「しまったっ!!まだ真桜から写真もらって無いぞっ!!」
「はわわっ!な、なんですか、赤ご主人様!?」
あ、朱里をびっくりさせちゃった・・・・・書類を抱えて尻餅をついてる。
「「写真?・・・・・ああーーーっ!!」」
緑と紫も思い出したか。
「なんですか、ご主人様たち?・・・・・・・もしかしてまたみなさんの水着姿を・・・」
朱里がジト目で俺たちを見るが、そんな朱里の誤解を解くのももどかしく俺たちは親衛隊の誰かに真桜から子供たちの写真を受け取ってきてくれるよう頼む為に入口に殺到した。
勢いよく扉を開けた瞬間に、祭さんのおっぱいが視界いっぱいに!
飛び出しかけていた足に急制動をかけ、同時に視線を上に向け祭さんの顔を見るとキョトンとした顔、その右手は今まさにノックをしようとしていた処だったらしく顔の近くで甲をこちらに向けていた。
いくら鈍い鈍いと言われ続けた俺たちでも祭さんがここに来た理由は察しが付いた。
・・・スイマセン、格好つけました。本当は風、桂花、雪蓮に冥琳と立て続けに来てたので、ようやく学習しました。
「「「・・・祭さん・・・・・・・・・?」」」
それでも俺たちから懐妊の話をするのは空気が読めてない気がしたので、何か言ってくれるのを待ってみたのだが・・・。
「・・・・・か、一刀・・・・・その・・・・・」
いつもの祭さんらしからぬ((吃|ども))り様。しかも顔がみるみる紅潮していき、ついにはしゃがみこんでしまった。
「ええいっ!どう切り出すかあれこれ考えておったのに、いきなり扉を開けるから忘れてしまったではないかっ!!」
キレて叫ぶ・・・というより、テレて喚く・・・・・なんかこんな可愛い祭さんって初めて見たな・・・・・♪
「ありがとう・・・祭さん。俺たちの子を身籠ってくれて・・・・・」
俺もしゃがんで祭さんの肩を抱きしめた。
「・・・・・・・一刀・・・・・・うむ・・・儂も・・・元気な子を産んでみせるぞ・・・・・」
どうやら落ち着いてくれた様だ。穏やかな声で囁いて、俺の背に手をまわしてくれた。
「なんだ、祭?せっかく気を利かせて一人で行かせてやったというに、締まらん奴だ。」
「え?桔梗?・・・それに紫苑も・・・・・」
扉から少し離れた所に桔梗と紫苑が苦笑してこちらを見ていた。
「お疲れ様です、お館様♪ワシらは祭の付き添いで来ただけですのでお気になさらず♪ほれ、祭!報告が終わったならさっさと後宮に向かうぞ。お館様に甘えるのはそれからにしろ。」
「う、うるさい!わかっておるわっ!!」
祭さんは照れ隠しか、一声吠えてから力強く立ち上がった。
「あ、あのぅ〜・・・・・」
あ、朱里の存在をすっかり忘れてた・・・。
「おお、すまぬな丞相殿。そういう((理由|わけ))なので、儂は後宮に向かう。手続きの方をよろしく頼む。」
「は、はい!」
「あ、ちょっと待ってっ!」
俺が呼び止めたのは祭さんだが、俺は朱里に振り向く。
「朱里、大喬と小喬が祭さんのお世話をするように手配してくれる?」
「あ・・・はい♪かしこまりました、ご主人様♪」
実は二人から祭さんが懐妊したら恩返しの為にお世話をしたいと頼まれていた。
さすが朱里はすぐに察して了承してくれたのだ。
「・・・一刀、それは・・・」
祭さんは少し戸惑っているみたいだが。
「大喬と小喬の申し出だからさ♪」
俺がそう言うと、祭さんは少し遠い目をしてから微笑んだ。
「ふふ・・・儂がオシメを変えてやった娘達が、今度は儂の赤子のオシメを変えるか・・・・・」
そう呟いたあと、一度頭を下げてから桔梗、紫苑と一緒に後宮へと歩き出した。
その後ろ姿を俺たち三人と朱里で見送る。
「(・・・・・いいなぁ・・・私も早く赤ちゃん・・・・・)」
指を咥えて呟く朱里からプレッシャーを感じながらも、大喬と小喬への伝令を尻好きに頼んだ。
ついでに真桜への写真の催促も。
後宮個室
【祭turn】
「大喬、小喬、おぬしらは知っておったのじゃな・・・・・華琳殿が話された一刀たちの事を。」
儂の部屋から着替えなどを持ってきてくれた大喬と小喬はその片付けをしながら頷いた。
「はい、祭さま。あたしたちがお城に来てからひと月も立たない頃だったと思います。」
儂は寝台に腰掛けて二人を見ていた。
「おぬしらはその話を聞いてどう思った?」
「わたしには一刀さまたちが最初から特別な方でしたから♪ただ、悲しい思いをされてると聞いて胸を痛めました・・・・・わたしは赤一刀さまがこのお城に連れてきてくださったその日から、一刀さまたちの為に生きると決めていますから特に変わった事はありません♪」
「お姉ちゃんズルい!あ、あたしもですよ、祭さま♪」
「小喬は最初、一刀たちをこーんな目で睨んでおったではないか♪」
儂が目尻を指で吊り上げて見せると、大喬がクスクス笑い出し、小喬は真っ赤になって唇を尖らせる。
あの赤ん坊たちがこうも可愛らしい娘に育ったのを感慨深く見つめた。
しかし、そうか・・・・・確かにあの話を聞いたからと、態度を変えるのは一刀たちも喜びはすまい。
華琳殿の話にも一刀たちに話していない事柄があると言っておったしな。
ならば儂は今まで通りを貫けば良いか。
「祭さま、一刀さまたちが見えられました。お通ししてもよろしいですか?」
おっと、つい物思いに耽ってしまった。
「うむ、問題無い。」
一応、居住まいを正して一刀たちを迎えた。
「や、お待たせ。やっと来れたよ♪」
大喬と小喬に導かれ、まず赤一刀が姿を現し、続いて緑、紫と入ってくる。
「おう、待った待った♪あと少しでも遅ければこちらから迎えに行く処じゃったわ♪」
一刀たちが笑いながら椅子に座ると、大喬と小喬が茶を卓に並べた。
一礼したあと、そのまま部屋を出ようとする二人を儂は慌てて呼び止める。
「おいおい!どこへ行く?おぬしらもここに居れ。」
「え、でも・・・祭さま・・・・・」
「あたしたちは居ない方が一刀さまに甘えられますよ〜♪」
小喬のやつ、先程の仕返しのつもりか?
「儂は策殿と並んで、この外史で赤一刀と一番長い。良い機会じゃ、少々思い出話に付き合え♪」
儂の言葉に驚きを見せたのは、大喬と小喬よりもむしろ三人の一刀たち。
「「「祭さん!外史の事・・・・・」」」
「おう、華琳殿から聞いたわ。どうもあ奴らはおぬしらに気を回しすぎて伝えておらぬ様じゃが、今まで後宮に入った者は皆、この話を聞かされておる。それ以外ではそこの大喬と小喬、それに紫苑じゃ。」
「「「えぇ?そんなに?」」」
「おぬしらが儂らを気遣って外史のことを話さなかったのと同じ様に、皆もおぬしらを気遣ったのじゃ。その気持ちは察せるじゃろう?」
「「「・・・・・・うん・・・はは、気苦労掛けてるなぁ、俺たち・・・・・」」」
苦笑して頭を?いているが、その陰には皆に秘密を持っていた事への罪悪感が見える。
「別に一刀たちを責めている訳ではないぞ。皆もおぬしらを気遣っておる事を、心の隅に置いておけということじゃ。」
「「「ああ、ありがとう。祭さん。」」」
こうして真っ直ぐに儂の目を見て話す姿・・・・・。
「ふふ、本に良い男になったものじゃ・・・・・・あの頼りなかった孺子が・・・今も頼りなさは消えておらんか♪」
「((酷|ひど))!」
「それ以上に逞しくなったという事じゃ♪」
「あの!祭さまっ!初めて出会った頃の赤一刀さまってどんな感じでした!?」
小喬は好奇心を抑えきれなくなった様じゃな。
「こやつが現れた時の事は伝え聞いていよう?」
「はい!流星の様に空から降りて、颯爽と現れたって♪」
「えぇ?小喬ちゃん、天馬の輓く戦車で盗賊を蹴散らしながらって前に・・・」
巷で一刀たちはどんな英雄に祭り上げられておるんじゃ?
「「・・・・・おい、赤・・・」」
「・・・いや、俺も初めて聞いた・・・・・」
「夢を壊すようですまんが、確かに光とともに現れはしたが、荒野でグースカ寝ておったぞ。」
「「ええ〜?」」
「寝たままの赤一刀を策殿と館まで運んでな、それでも中々目を覚まさんわ、覚ましても訳の判らん話をするわ。」
今思い出しても、あの時の間抜けな会話は笑えて来る♪
「俺なりに必死だったんだけど?何にろ身の証を立てられなきゃ雪蓮に首を刎ねられてたんだから。」
「その割に二度目の審問までの間に飯を食って昼寝までしておったではないか♪」
「い、いや、それはジタバタしてもしょうがないと言うか、腹を括ったと言うか・・・」
「それじゃよ♪」
「は?」
赤一刀は本当に不思議そうな顔をした。
「只の頼りない((孺子|こぞう))と思い始めていたが、あの状況で腹を括れる度胸があると知った時からじゃな。儂がおぬしを気に入ったのは♪」
「そんなに前からだったの?」
儂はその問に対して意地悪く笑って見せる事で応えた。
「しかし、あれじゃな。外史の記憶があの同盟を決めた日に蘇ったと聞いたが・・・・・」
「あぁ、正確には貂蝉を見たときからなんだけどね。」
「ふむ、貂蝉・・・・・それに卑弥呼か。初めて逢った時から只者ではないと思っておったが・・・・・頼もしき奴らじゃ。」
「「「・・・・・・・・・・・・・」」」
「「・・・・・・・・・・・・・」」
ん?何やら反応が・・・・・何故か五人揃って、先程とは違う意味で不思議な者を見る目をしておる?
「どうかしたのか、おぬしら?」
「い、いや・・・・・前から思ってたんだけど・・・祭さんには貂蝉と卑弥呼はどう映っているのかと・・・・・」
「ん?妙な事を訊く。少々服装は奇抜だが、それは個性じゃろ?」
「あれを個性で済ますんだ・・・・・いや、服装よりも存在そのものと言うか・・・」
「うむ、あの剛烈と優しさを兼ね備えた氣は見事じゃな♪人として、また武人として見習いたいものよ♪」
「そ、そうなんだ・・・・・あ、あははは・・・・」
赤一刀は乾いた笑いを、その後ろでは四人で何やらヒソヒソと話して・・・・・何なんじゃ、一体?
「この後宮でも貂蝉と卑弥呼は大活躍しておるじゃろう。漢女道とは実に素晴らしい教えではないか♪」
紫苑と共に妊婦の心得から赤子のあやし方まで、産婆や乳母達が舌を巻く程。泣き止まぬ赤子達もあの二人にかかればたちまち笑い出すのだからな♪
こうして貂蝉と卑弥呼の話をしている時扉を叩く音と、噂の二人の声がした。
「ご主人さま〜、祭ちゃん、入ってもいいかしら?」
「祭に祝いを述べたくての♪」
「おう、入れ入れ♪丁度おぬしらの噂をしていた処じゃ♪」
儂の返事に二人は笑顔でやって来た。
「おめでとうぅ♪祭ちゃ〜ん♪羨ましいわん♪」
「うむ!目出度いぞ、祭よ♪私も((肖|あやか))りたい物だ!がははは♪」
「祝いの言葉、感謝する♪これで桔梗と紫苑を出し抜いてやれたからな♪いい気分じゃ♪」
「ほほう、その様な事を吐かすか、祭♪」
「まあ、出し抜かれちゃったのは本当ですものねぇ♪」
貂蝉と卑弥呼の後ろに桔梗と紫苑もおったのか!
「お館様、聞いてくだされ。この祭は妊娠中は酒が呑めぬと判ると、まるで地獄に落とされた様な顔になりましてな♪」
「桔梗!一刀たちに告げ口とは卑怯じゃろ!!」
「あら、大事なことですわよ♪ご主人様たちも祭さんがその様な事で苦しまれてはお気になさるでしょうし♪」
くう、紫苑の仕返しは相変わらず容赦がないのぉ・・・・・。
「あらあらまあまあ!確かにそれは困るわねぇ。ストレスを溜めるのも良くないし。」
「孫策からも何か良い解決策をと頼まれておる。期待して待っているがよい♪」
「卑弥呼、貂蝉、俺たちからも頼む。ここは漢女道に頼らせてもらうよ。」
「おお!御主人様にそこまで言われては、今晩にも思い付けそうだ♪」
「そうねぇ?ご主人様たちとベッドの上でお話しながらくんずほぐれつで・・・♪」
「「「話は明日の朝にしようっ!!」」」
貂蝉と卑弥呼にここまで慕われる程の男・・・・・か。
かつて赤一刀に『未来の大都督』と言った事があったが、今では通り越して皇帝にまでなってしまいおった♪
儂が剣の稽古を着けてやったのが遠い昔にも、昨日のようにも感じる。
この男の努力と根性を知る儂が、酒が呑めぬと泣き言を言ってはおれんな♪
このお腹の子には一刀たちを守る、強き将に成って貰わねばならんからな!
おまけ
祭の長女 黄柄 真名 ((宴|えん))
生後三ヶ月
【赤一刀turn】
俺が祭さんと宴の顔を見に部屋を訪れると、大喬と小喬が先に来ていた。
「ほほう♪小喬もオシメを替えるのが上手くなったな♪」
「えへへ♪ありがとうございます♪」
なるほど、宴のオシメを替えていたのか。
「あ、赤一刀さま♪おはようございます♪」
俺に気付いた大喬が挨拶をすると、祭さんと小喬も顔を上げた。
「おはよう♪祭さん、大喬、小喬。」
「おはようございます、赤一刀さま♪」
「おはよう、一刀♪ほうれ宴、父上が会いに来てくださったぞ♪」
祭さんは宴を抱き上げて俺の方に顔を向けてくれた。
「あ、あ〜♪」
まだ首が座りきってない宴は祭さんのおっぱいに頭を乗せているが、とてもご機嫌の様で声を出して笑っていた。
「オシメ替えてもらってご機嫌だなぁ♪うりうり♪」
「あ〜♪」
ほっぺたを軽くツンツンしてやると宴は更に喜んでくれた。
「ほれ、そんな事しとらんで抱いてやってくれ。すぐに執務室に向かうのじゃろ?」
「おっと、そうだった!ほら宴、??が抱っこしてやるぞ♪」
初めて眞琳を抱っこしたときはおっかなびっくりだったけど、もうあれから何百回も赤ん坊を抱っこしてすっかり『抱っこマイスター』だ。
その様子を笑顔で見ている大喬と小喬。
二人を見て前から疑問に思っていて、祭さんに訊こうと思っていた事を思い出した。
「ねえ、祭さん?」
「ん?なんじゃ?」
祭さんは宴に自分の指を握らせて遊んでいる。
「祭さんは大喬と小喬を赤ん坊の頃から知ってるんだよね。」
「なんじゃ?今更?」
俺は宴を揺すってやりながら会話を続ける。
「そんな祭さんが俺と会った頃は子供が苦手だったよね。どうして?」
祭さんの動きが止まった。
大喬と小喬も今の話に興味が有ったのか、こっちを覗き込んで来る。
「ええと・・・・・それは・・・・・」
「うん、それは?」
祭さんは一度小喬を見た。
「小喬を蹴り飛ばして泣かせてしまった事があっての・・・・・・」
「「「へ?」」」
どうやら小喬にも覚えが無いらしい。
「そんな事ありましたっけ?」
「たしかおぬしらが二つか三つの頃じゃ、足元におった小喬が胸に隠れて見えなくての・・・・・転んだ大喬に駆け寄ろうとして・・・・・・」
さっき祭さん、『蹴り飛ばした』って言ったよな・・・それはきっと比喩的表現ではなく本当に・・・・・。
「それ以来、子供が近くに居ると警戒心が強くなっての・・・・・」
「でもそれを小喬は覚えて無いんだよね?」
「は、はい・・・」
「わたしたちが覚えているのは、祭さまが家に遊びに来てくださった時はいつも祭さまにしがみ付いて甘えていたという記憶ですね・・・」
「あれで儂は救われたんじゃ。あのまま嫌われていたら儂は立ち直れんかったじゃろ。」
祭さんは感謝を込めた目で大喬と小喬を見ていた。
「でも、宴が大きくなって走り回る様になったら・・・」
「うむ、そこは考えたんじゃが、宴を美以並に鍛えれば心配しなくて済みそうなんじゃ♪」
「美以並に・・・・・・鍛える?」
あの、野生児達と同等のポテンシャルを宴に?
「ほれ、以前皆が泳げるようになるため川に行った事があったじゃろ?あの時の美以たちの遊び相手は実に楽じゃった♪」
祭さんは本気だ。
宴・・・・・お前の未来はかなり険しそうだぞ。
だけど??も付き合って、一緒に鍛えられる・・・というか、俺が盾になって守るから、頑張って媽媽の期待に応えような。
二年後
そんな俺の決意は全くの杞憂だった。
さすが祭さんの娘だけあり、とっても丈夫な子供に育ちつつある。
確かにこのまま行けば美以たちを超える子供になりそうだ。
そして俺は未だに鍛錬で祭さんからフルボッコ・・・・・両手を使ってくれる様にはなったけどね。
あとがき
リクエストでイマ様から
『悶える祭さん』と頂いておりましたが・・・・・
祭さん!守備力高いっす!
なかなか付け入る隙が無くて焦りましたw
今回は『妊娠とお酒』もテーマにしてみました
現代のお医者様は妊婦の薬の服用と同じくらい
飲酒には神経質となっている様です。
ノンアルコールビールですら飲ませたくないみたいですから。
他の酒呑み達も苦労しそうですねぇw
《次回のお話&現在の得票数》
☆思春 5票
という事で次回は思春に決定しました。
以下、現在の得票数です。
恋 4票
雪蓮+冥琳3票
蒲公英 3票
美羽 3票
蓮華 2票
凪 2票
紫苑 2票
翠 2票
朱里+雛里1票
麗羽 1票
※「雪蓮と冥琳」「朱里と雛里」は一つの話となりますのでセットとさせて頂きます。
引き続き、皆様からのリクエストを募集しておりますので
よろしくお願い申し上げます。
説明 | ||
得票数6の祭さんのお話です。 懐妊確認直後の一幕+おまけです。 引き続き、どの恋姫メインの話が読みたいのかリクエストを募集しております。 リクエストの多い恋姫(TINAMI、Pixiv双方の合計)を優先的に書きたいと思いますのでよろしくお願いいたします。 リクエストに制限は決めてありませんので、何度でも何人でもご要望いただけるとありがたいです。 ご意見、ご感想、ご指摘などもご座いましたら是非コメントをお寄せ下さい。 |
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総閲覧数 | 閲覧ユーザー | 支援 |
3981 | 3008 | 24 |
コメント | ||
rin様 いえいえ、大丈夫ですよ(´∀`)断金コンビに追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ 追い上げておりますよ♪(雷起) 遅れました(T_T)断金コンビに一票を(rin) ロードスネーク様 今週の新規参入三人目!穏が来ました!孫呉陣営強いなぁw 穏に1票目と麗羽に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) 竜羽様 爆乳下暗しw 雷起は最近油断してたらお腹の下が・・・・・それはさて置き、恋が逃げ切りで思春の次最有力候補です!このまま行けるか!? 恋に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) 神木ヒカリ様 意外に頑丈な小喬wそして祭さんの人徳ですね♪ ついに肌馬参戦w鈴々の出産までに三人産まないといけないのでほぼ時報役w 桂花に1票目と美羽に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) きたさん様 熟女組の漢女に対するあの冷静沈着ぶりって何なのでしょうねw面白いので大好きですが♪ 凪と美羽、両方に追加するので大丈夫ですよ♪___φ(。_。*)カキカキ(雷起) 殴って退場様 紫苑がなかなかの追い上げwそして翠と蒲公英も今後はセットにしたいと思います♪ 紫苑と翠+蒲公英に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) アルヤ様 アルヤ様も補足ありがとうございます♪雷起のいたらぬ所を助けていただき大変感謝しております(´ω`)(雷起) メガネオオカミ様 補足ありがとうございます♪ お待たせしましたの思春回!期待にお応えできるよう奮闘しておりますw 名族組三番手の参戦者は猪々子! 蒲公英と猪々子に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) ぎてぃー様 はじめまして♪拙作を読んでいただきありがとうございます♪ メガネオオカミ様、アルヤ様のコメントにある通り、複数リクエストOKですよ♪次回からはあとがきの部分にもきちんと書いておきますね。 では紫苑に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) イマ様 喜んでいただけて嬉しいです♪ありがとうございます。 冥琳は・・・なんだかいい感じに壊れそうですw 冥琳+雪蓮に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) hiro様 ですねー♪武官の子達が増えてきたら元気な暴れっぷりも書きたいと思います♪ 朱里と雛里に追加入りましたー___φ(。_。*)カキカキ(雷起) 麗羽と穏に1票ずつでお願いします(ロードスネーク) 祭さんの意外な過去が。まあ、あの胸なら見えんよな。 恋に一票!(竜羽) 祭さんに蹴り飛ばされても、しがみついて甘える小橋ってすごいな。 美羽に一票、桂花に一票でお願いします。(神木ヒカリ) 祭さん、ご出産おめでとうございます。貂蝉たちもそんな目で見ていれば・・・ えっと凪といきたいところなんですが、ここはひとつ麗羽さんに一票です。(きたさん) 複数投票可ということでしたら、またまた紫苑と翠+蒲公英で(殴って退場) ↓複数投票していいからドシドシ投票してくれ、みたいな事を確か言ってたはず・・・・・・ああ、二章其の三のコメントにありますね。(アルヤ) 祭さん可愛いですね〜w そして次回はついに思春の回! いよっしゃあああ! ……というわけで今回は蒲公英に一票。もう一人は…………猪々子でwww (↓ぎてぃー様、複数投票はOKみたいですよ。…………あれ? 雷起様。いいです、よね?(;@Д@))(メガネオオカミ) はじめまして、何時も楽しく読ませていただいております・・・紫苑さんに一票でお願いします、質問ですが複数人に投票は可能ですか?(ぎてぃー) いや〜なんかありがとうございます。すごい楽しかったです。いいっすね、祭さんの照れ隠しw うん、やっぱり可愛い 雪蓮+冥琳に一票でb(イマ) 祭さん可愛いです。武官の子供たちはみな丈夫に育ちそうですね。朱里&雛里コンビに一票お願いします。(hiro) |
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