IS?インフィニット・ストラトス?黒獅子と駆ける者? |
episode82 守れなかった約束
「・・・・」
隼人は夜になって寮の屋上に座り込んで夜空を見上げていた。
(情けない)
そして地面に置いている手を握り締めた。
(目の前に颯が居たって言うのに、助けることすら出来なかった・・・)
(俺は何のために、何のために!)
そして左手を思いっきり床に叩き付けた。
(いつも・・・俺は!)
すると隼人の右目の瞳が黄色に変化する。
(・・って、何を焦っているんだ・・俺は)
そして首を振るって一旦目を閉じて開けると、瞳の色が元の黒に戻った。
(俺が焦ってどうする。俺がちゃんとしないといけないって言うのに・・)
隼人はそのまま顔を下げた。
「隼人・・・」
そして扉が開くと、簪が出てきた。
「簪か・・・」
「・・・・」
「どうしたんだ?こんな時間に」
「隼人も・・・どうしてこんな所に?」
「気晴らし、かな」
「・・・・」
そして簪は隼人の隣に座る。
「そういえば・・・簪もあの力を得ていたんだな」
「うん。いつそんなことがあったのかは分からないけど」
「そうか」
「それに、私の気持ちに応えたのかな?アンノウンと戦闘中に突然発動したの」
「気持ちに応えた、か」
「それでどうにかアンノウンを撃破出来たの」
「・・・・」
「でも、不思議だよね」
「何が?」
「いきなりあんな姿になったって言うのに・・・不思議と不安は無かった。むしろ安心感があった」
「・・・・」
「それに、頭の中にこの言葉が出てきたの」
「どんな?」
「『共に行こう』・・って」
「そうか(そういえば他のみんなも言葉を聞いていたな)」
隼人は他のメンバーも似たようなことを受けたと言っていた事を思い出した。
(ラウラとシャルロットは『選ばれ者』。セシリアは『力を託した』。鈴は『戦う時』。箒は『時が来た』。一夏は『力を持ち』。そして簪の『共に行こう』。これらを少し変えてすべてを繋げれば―――」
「選ばれ者よ、力を託した。今こそ戦う時、来たれ。力を持ちて、共に行こう」
「え?」
簪は突然の隼人の言葉に驚く。
「いやな、全員の聞いた言葉を少し変えて自然に繋げてみたんだ」
「そうなの?」
「まぁ、違うかもしれないしな。それに足りないってこともある」
「足りない?」
「これでも一応成り立ってはいるが、なんか足りない気がするんだ」
「・・・・」
「まぁ、今は気にすることでもない、かな」
「そう・・だね」
「ねぇ、隼人」
「・・・・」
「颯ちゃん・・のことだけど」
「・・・・」
「やっぱり・・・ショックだよね」
「・・・・」
「・・・・」
「守れなかった」
「・・・?」
「颯との約束を・・・守れなかった」
「隼人・・」
「守ってやるって言ったのに・・・何も出来なかった」
そして隼人は少し震えながら話す。
「・・・・」
「できるなら、今すぐにでもあいつを救いに行きたい。だがどうしようもできない。場所も分からなければ、そんな力もほとんど無い」
「隼人」
「こんな時に無力の自分が悔しいんだ。いつも・・こんな」
「・・・・」
「情けない。本当に・・こんな俺が」
そして隼人は右目から一粒の涙を落とした。
それが隼人が人前で、悲しい感情で流した、初めての涙であった。
「・・・隼人」
そして簪はゆっくりと隼人に寄り添った。
「必ず・・・颯ちゃんを救おうよ。だから」
「・・・・」
「気を落とさないで。隼人がそんなんじゃ・・・颯ちゃんを救おうにも・・・救えないよ」
「簪・・」
そして二人は更に寄り添って、頭を付け合った。
その頃
「・・・・」
「結構苦戦なされているのですね、ドクター」
「そうだね、シスター」
アルベルトがタッチパネルで操作する先には調整を受ける颯とクラインの姿があった。
「ベータの失っていたメモリーは何とか復元は出来た。だけど、記憶を失っている間に植えつけられた記憶がとても深く根付いているのでね、消すことができないんだよ」
「厄介な物ですね」
「そういう事もあって、人格も今のままで、変える事が出来ない」
「無理やりに変えてしまえば、どうなるのですか?」
「簡単だよ。精神が崩壊して、何も出来ない人形となる」
「それは困りましたね。でもこのままではベータは我々に協力する気は無い」
「その通りだよ。まぁあまり私のやり方ではないがね。ギラーガに洗脳機能を追加して次の戦いに投入する」
「そうですか。そういえば洗脳されている間にもその記憶は残るのですか?」
「いいや。意識は眠ることになって、命令を聞く兵士となる。その間は何も耳には入らないよ」
「なるほど。では、目を覚ましたら少しお時間をくれますでしょうか?」
「構わないよ」
「では、そうさせてもらいますわ。それより、クライン姉さまの状態は?」
「目覚めたばかりだからね。多少動きに鈍りがあったが、多くのエネルギーを消耗していたとは言えど、ユニゾンしたオリジナルを超える戦いを見せたからね、さすがと言ったところだね」
「でも、レギルスはそうとは言えませんけどね」
と、シスターの視線の先にはレギルスが調整を受けており、モニターには破損箇所が表示されていた。
「完成したばかりで調整も完全じゃなかったからね。さすがに持たなかったね」
「でも、次の戦いでは完全になっていますよね」
「その通りだよ、シスター。賢い子は好きだよ」
「それはありがたいお言葉ですわね、ドクター」
説明 | ||
トラックに轢かれそうになった女の子を助けて俺はお陀仏になった・・・。・・・って!それが本来の死じゃなくて、神様のミスで!?呆れている俺に、その神様がお詫びとして他の世界に転生させてくれると言うことらしい・・・。そして俺は『インフィニットストラトス』の世界に転生し、黒獅子と呼ばれるISと共にその世界で戦うぜ! |
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