真・恋姫†無双  転生一刀劉璋録 第7話
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第7話  広がる戦乱

 

 

 

 

劉備軍を退けて十数日が経つ。

賢明な捜索にもかかわらず劉備軍を見つけ出すことは出来なかった。

 

「いったいどこに行ったんだろうか……」

「気になるの?」

 

一刀が中庭で座っていると美咲が声をかけてくる。

 

「美咲か」

「劉備軍の行先でも考えてたんでしょ?」

「ああ」

「まあ確かに考えてみてもあれはおかしいわね、逃げた先はどう考えても孫策達呉の領土だから、孫策達に見つかってるはずなのに見つかってない」

「それだけじゃない、斥候の話によると俺達だけじゃなくて曹操軍も見つけられてないそうだ」

「私達以上とされてる曹操軍でも…」

「そうだ。この劉備軍の突然の失踪、何か裏でもあるんじゃないかと思う」

 

そんな時であった。

 

「大変よ!」

 

千歳が駆け出してくる。

 

「どうしたの?」

「張魯が数人の人達を連れて城の前に来たのよ!」

「張魯が?」

 

張魯とは漢中を治める人間であり、五斗米道の指導者でもある。

 

「攻めてきたわけじゃなさそうね、数人って言うのは護衛くらいな数ね」

「何をしに来たのだろうか?」

 

そこに今度は綾が駆け出してくる。

 

「大変だ!」

「今度はどうした?」

「馬超と馬岱が何十人か連れてこちらに向かっている!」

「馬超と馬岱と言えば……」

「西涼の馬謄の娘にその親戚だったわね」

「西涼のその二人がいったいなぜ……」

「使者として来たのかもしれないわね」

「どうしますか、一刀様」

「西涼からここに来るには漢中を通るはずなのに張魯と一緒じゃない……。

何かあるな、こうなったら両方に会うぞ」

「まずはどちらから?」

「だから両方だって…」

「え? 両方って……」

「一緒に会うってことだ。無茶ぶりかもしれないが、一気に話を聞いてみた方がいい」

 

一刀は張魯、馬超&馬岱の二組と一気に会うことにした。

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玉座の間で国境の防衛などをさせていた紫苑、桔梗、焔耶も呼び戻し、一刀は張魯と馬超達と謁見した。

 

「お二方を一緒にして悪いとは思うけど、話を一気に聞くためだ。許してもらいたい」

「いえ、私は構いません」

「あたしも……」

「それでとりあえず話を聞くとして……何の用だ?」

「「実はあなたに漢中を治めて欲しいのです(曹操が西涼を襲ったんだ)!!!!」」

 

二人の話を一気に聞く、一刀。

 

「え〜と……、馬超は西涼が曹操に襲われて、張魯は漢中を治めて欲しい、それでいいか?」

「よく聞こえましたわね」

「まあ単語の一部一部を繋ぎ合わせただけだ。それで曹操に襲われたと言うのは……」

 

一刀は馬超の話を先に聞いた。

話によると曹操は西涼に対して侵攻を開始、西涼軍は抵抗するも敗北。

馬謄は既に病に侵されていたのもあり、自害した。

そして馬超と馬岱は生き残りと共に一時は漢中まで逃げたのだが、張魯がいなかったのもあってここまで来たとのこと。

 

「……と言うことは、張魯がここに来た理由は………」

「はい、曹操が漢中に侵攻しようと言う情報が入って来たのです」

「漢中にか」

「はい。しかし今の曹操相手では私では敵わない。降伏も考えましたが、曹操相手に降伏はという意見もありまして……。

そこでいっそのことあなたに漢中を譲ろうと思い、ここへ……」

「それは俺に……この劉璋の元に帰順する………そう捉えていいか?」

「構いません。将達は漢中防衛のために残していますが、みな、納得しています」

「そうか……」

 

一刀は考える。

 

「それで馬超達はどうするんだ?」

「あたしは……」

「ねえ、お姉様、劉璋さんの所にお世話になろうよ〜、たんぽぽ、もうお腹すかしての旅なんて嫌だよ〜」

「そうは言うけどさ……」

「だったらいればいいさ」

「いいの?」

 

馬岱が目を輝かせる。

 

「こらたんぽぽ! あたし達はまだここで世話になるとは……」

「俺としては構わないよ。腹をすかしてるんなら、今すぐにでも何か用意しようか。まあ急だから簡単なものしかできないけど……」

「けど………」

「別に俺の仲間になってくれなんて俺は言わない。ここに居たければいていい、ただその変わりと言ってはなんだが、働いてもらうけどな」

「その働くって戦えってこと?」

「いや、それは君達に任せる。無理に戦えなんて、俺は言わない。強制はしない」

「………じゃあ一つ聞かせてくれないか?」

「なんだ?」

「あんた達はなんで戦うんだ?」

「俺達か? 俺達は自発的から戦うことはしない。

あくまで防衛、それが俺達の基本方針だ」

「防衛?」

「そうだ、そして俺達の戦う理由、それは命を守るためだ。

戦えば失われる命がある、その時点で矛盾しているけど、それ以上命を失わせないように俺達は戦うんだ。

もしも無駄に命を失わせる存在がいたら、俺達の基本方針の防衛を破ってでも攻めて倒す」

「つまりあんた達は命を守るために戦うってことか?」

「そう言うことだ」

「それでどうするのだ?」

「……………」

 

馬超は答えを決めた。

 

「決めた、あんた達に協力してやるよ」

「お姉様!」

「ああ、錦馬超、力を貸してやる!」

「たんぽぽもだよーーーー!」

「ありがとう」

 

一刀は頭を下げる。

 

「一刀様、王が頭を簡単に下げるなど……」

「いやいや、なかなかの人物だ。噂に聞いていた以上だ……、やはりあなたに漢中を任せて良かったと思う」

「張魯……、あんたの頼み、聞いてやるぜ」

「ありがとうございます」

「それじゃあ早速漢中防衛に行こうか、綾!」

「はっ! すぐに準備します!」

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曹操軍は漢中攻略のために漢中に向かっていた。

それとほぼ同じ時に一刀達は漢中へと入った。

 

「曹操軍はどの辺まで来ている?」

「国境線を越えたあたりまで来ているみたいです」

 

一刀は張魯にある程度は聞いていた。

 

「………近くに川とかないか?」

「ありますよ」

「……谷は?」

「ありませんね、山ならありますけど……」

「山か…」

「何か考えたのですか、一刀様」

「一応ね、けど美咲、君の策が聞きたい」

「そうですね…、ここはやはり相手を山におびき出すのが一番ですね、そして……」

 

美咲は策を述べる。

 

「そうか……、相手も読んでくるかもしれないが、それならそれでいい。

うまくいけば曹操達を追い出すことが出来るかもしれない」

「分かりました、ではすぐに策に取り掛かります」

「道案内頼む張魯」

「了解しました、私に出来ることであれば協力します」

 

美咲は綾と少数の兵を連れて、張魯の案内でその場を後にしていった。

 

「それじゃあ俺達は……」

「曹操軍を山におびき寄せるんだな」

「その通り」

「頑張っちゃお、お姉様!」

「早速で悪いけど、頼んだよ」

「ああ」

 

馬超と馬岱もやる気満々だった。

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それからしばらくして、一刀達は曹操軍と接触した。

 

 

「久しぶりね、劉璋」

「久しぶりだな、曹操」

 

 

一刀と曹操が前に出る。

 

 

「なんであなたがここにいるのかしら、劉璋。ここは張魯の領地のはずよ」

 

「それが張魯に頼まれてな……」

 

「援軍と言うことかしら?」

 

「違う、漢中を治めて欲しいと頼まれた、だから俺は自分の領土を侵されたとして迎撃に来ただけだ」

 

「張魯にね……、それであなたは私に降伏する気はないの?」

 

「俺は命を守るために戦う」

 

「それだったらおかしくないかしら?」

 

「こうして戦うことがか?」

 

「ええ、あなたは劉備と戦ったとも聞いたわよ。

あなたは命を守るために戦うと言ったわよね。

私や劉備と戦う時点でそのあなたの守りたい命が失われていくってことをあなたは理解してないのかしら?」

 

「理解してるさ、俺がやろうとしてることが俺の信念に対して矛盾していることも……」

 

「だったら大人しく降伏しなさい、そうすればあなたやあなたが守ろうとしている民の命は助けてあげるわよ」

 

「悪いがそれは出来ない」

 

「何故よ? 私と戦えばあなたの守りたい命が失われるのよ」

 

「ならば逆に聞く。何故現状に満足しない?」

 

「現状に満足しないですって?」

 

「そうだ、俺は命を守るために戦う、つまりは無益な戦いは望まないし、戦火を広げる気もない。

そうすれば命が失われることもない」

 

「あなた……本気で言ってるのかしら?

この時代で天下を目指さないなんて……」

 

「目指さなくて悪いか、それは悪いことなのか?」

 

「私にとってはね…」

 

「そうか……。だったら俺は天下を目指すために戦火を広げるお前と戦う!」

 

「そうね…」

 

「それとさっきの答えを言いそびれたな。答えてやるよ。

なんで戦う…だったな。確かに戦えば人は死ぬ。

少し遠まわしになるけど、俺は力自体を否定しない。

守るためにも力は必要だからな。だが俺は力を破壊や侵略に使うことは絶対に認めない」

 

「だから戦う……」

 

「そうだ。その考え自体が矛盾しているかもしれないが、俺は俺の信念を……俺と一緒に戦ってくれる人達と一緒に貫く!」

 

「ふっ、劉備よりはしっかりしてるようね」

 

 

そして曹操と一刀は自分達の陣営に戻った。

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戻ってきた一刀に千歳が声をかける。

 

「一刀様」

「ああ」

「何か言われたのか?」

「言われた、矛盾してるってな」

「それで劉璋さんは…」

「矛盾してるのは最初っから知っていると教えてやった。けど曹操は止まる気はないそうだ」

「だろうな」

「それじゃあ………」

「戦闘開始だ!」

 

劉璋軍と曹操軍が激突し始める。

しかし戦いは曹操軍が押し、劉璋軍は劣勢になる。

 

「くっ……」

「退け! 退け!」

 

劉璋軍は後退していく。

 

「逃がすか!」

「このまま追うで!」

 

夏候惇、張遼が劉璋軍の後を追う。

 

「仕方ないわね……」

 

千歳が殿紛いなことをして追撃される力を抑えようとする。

 

「勝負だ、黄権!」

 

千歳の元に夏候惇がやって来る。

 

「悪いけど、あんたとやりあうつもりはないわ!」

 

夏候惇を見てすぐに撤退をする。

 

「逃げるか、卑怯者め!」

「なんとでもいいなさい!」

 

千歳は罵声を気にせずに逃げていく。

 

「追え! 追え!」

 

曹操軍は劉璋軍を追って山の方へと向かう。

 

「こんな山の中に隠れても無駄だ!」

 

夏候惇がそう言うとなんと山が突然燃え出した。

 

「何!?」

「うわああああ、火だ!」

「逃げろーーーーー!!」

 

兵士達は逃げ惑う。

 

「お前達! 慌てるな!」

 

夏候惇はそう言うが火が迫って来る恐怖に人間は耐えることは難しい。

実力のある将である夏候惇や張遼だからこそ耐えられるものの、迫りくる死の恐怖で慌てる人間をすべてまとめるのは至難の業である。

 

「姉者! そこをまっすぐ向かったところの山の麓に川がある!

そこに行けば、火を免れるはずだ!」

 

夏侯淵の言葉が聞こえてくる。

 

「秋蘭か、分かった! 聞いたか皆の者! このまままっすぐ行くぞ!」

「まっすぐやで! 分かってとるな?」

『はいっ!』

 

夏候惇達はまっすぐ進み、川の方へと向かい、川へとたどり着く。

 

「火がない」

「川のせいで火を回せんかった……ちゃう! これは罠や!」

 

張遼の言うとおりだった。

川に着いた途端に矢の嵐が夏候惇達を襲う。

矢を放っているのは最初に分かれていた美咲に張魯達の部隊であった。

 

「くっ!」

「これはちょっとまずいで……」

 

夏候惇達の苦戦は炎で分断されていた夏侯淵達の所にも届いていた。

 

「姉者と霞がまずい!」

「華琳様!」

「横に警戒しなさい!」

 

曹操の言う通り、横から逃げていたはずの一刀達が現れた。

 

「いくぞ!」

 

横から曹操軍を奇襲する。

 

「くっ、これほど単純な策に気づかないなんて……」

「曹操!」

 

一刀は曹操に近づき、刀を抜く。

 

「いくぞ!」

 

一刀の刀が上から襲い掛かり、曹操は鎌「絶」でそれを防ぐ。

 

「くっ、思ったより重い攻撃ね」

「鍛えてるからな」

「けど、私を見くびり……!?」

 

曹操はこの時初めて一刀が涙を流していたことに気づいた。

 

「っ!」

 

曹操は一刀を後ろに押す。

 

「あなた…何故泣いてるの?」

「人が死んだからな、泣くのは当然だ」

「これは戦いなのよ! 人が死ぬのは当たり前じゃないの!」

「そう、当たり前だ。だがそれでも人が死ぬのは悲しい。そっちの方が……当たり前だろ!」

 

一刀は激情に駆られる様に曹操に斬りかかり続ける。

一刀の力はかなりのもので曹操は押され始める。

そして何撃目かの時、曹操の防御が遅れる。

 

「しまった!」

「これで! ………!」

 

一刀は曹操に斬りかかろうとした時、横から矢が数本飛んでくるのを感知し、矢をすべて叩き落とす。

 

「華琳様!」

 

夏侯淵に荀ケに楽進がやって来る。

 

「華琳様、ご無事で?」

「ええ、なんとか……」

「貴様……」

「ここは退こう。………もう俺達の領土に入らないでくれ。全員撤退だ!」

 

一刀は戦っている劉璋軍すべてを撤退させた。

 

「………」

「華琳様!」

 

そこに何とか炎と美咲の矢の部隊を切り抜けた夏候惇と張遼がやって来る。

 

「春蘭様、霞様、無事でしたか」

「うちらがあの程度でくたばるわけないやろ!」

「そうですね」

「それより華琳様、敵が撤退したようですが……」

「とりあえずこちらが追わない限り攻撃しないようね……。こちらも撤退するわ!!

全軍に通達せよ!」

『はっ!』

 

そして曹操軍は撤退していった。

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曹操軍の全軍撤退を確認した劉璋軍。

 

「劉璋殿、ありがとうございます」

 

張魯がお礼を言う。

 

「別にいい」

 

一刀の声は暗かった。

 

「劉璋殿?」

「ああ、あまり気にしないでください」

「一刀様にとってはいつものことです」

「いつもの……」

「人のため、いえ、命のために悲しむ、それが敵あろうと味方であろうと……」

「そうだったんですか……、しかし、やはり私の見立ては間違ってなかった。

劉璋殿、これからもこの漢中をお願いします」

「……分かった」

「なあ、劉璋」

 

そこに馬超と馬岱がやって来る。

 

「あたし達もあんたとこれから一緒に戦うからさ……」

「? どうした?」

「お姉様、真名を預けたいんだって。たんぽぽもね」

「そっか、それで真名はなんていうんだ?」

「………翠」

「たんぽぽは蒲公英だよ!」

「よろしくな、翠、たんぽぽ」

 

こうして一刀は馬超と馬岱を仲間にし、漢中を手に入れ、漢中のことは漢中を治めていたために詳しい張魯に任せることにした。

(要は帰順しただけで情勢は対して変わってない)

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おまけ

 

 

作者「第7話」

一刀「どうした? いつものテンションはどうした?」

作者「いや、別にこれと言ったのはない。ただ単に書くことが思いつかないだけだ」

一刀「それはそれでお前の中じゃピンチじゃね?」

作者「まあな。まあ今週はテイルズオブエクシリア2の発売がある」

一刀「それに没頭するから更新停止だって?」

作者「いや、こういう朝ならまだ普通に投稿できるから停止はするつもりはない。

ただゲームに没頭して他事が難しくなる」

一刀「相変わらずだな」

作者「とりあえずネタが思いついても書く時間がないかもと言うことだ。木曜までに色々しないとな。

それでは!」

説明
この作品は作者が最近見かけている「転生もの」の影響を受けて書いたものです。
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コメント
エクシリア2俺もたのしみです。でも更新も待ってます。(レイブン)
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