始動??狐・狸 |
狂ったように・・・まるで踊り────ソレは倒れた
約束を果たすことなく
それは動かなくなり・・・
自分は動けなかった
眼には見えない鎖が体に巻きついたように
急なことであった
ソレはある病に冒されていたのだ
病から解放するためには・・・
それを見ていたものはすぐに動き出した
─────────────青い海、青い空
海の色を反射している青さがやたらきれいに見える・・・
メガロカンパニーが残した膨大な遺産を隠す島へと渡る船
ニュースでも大々的に取り上げられ、今一世を風靡しているその島───カバリア島
たばこをプカプカ吸いながら茶色の髪の男、眺める先もまた海
「遠い」
ぽつりのこぼした言葉
この船に乗り続けもう3日
これといってやることはなく・・・目的の島までゆく船に乗っている。
吸っていた煙草をきちんとポケット灰皿に処理し、適当に散策でもしようと歩き始める
船は大きく、まだ行っていない区域もたくさんあった。
ただ、この船の上みやみやたらに歩き回るのは得策ではない。
莫大な遺産を狙うものは山のようにいる。
当然、ライバルをつぶしておこうと目論む輩も多い。
人の多いところではそう滅多には絡まれないが
人の少ないところでは・・・言うまでもない。
「しかし、こう暇が続くと・・・さすがにな・・・」
独り言をぽつり
一人で来たため話し相手もいない
というか、周りはむさい男だらけ、話す気にもなれない。
かわいい女の子でもいてくれたらねぇ と思いながら彼は彼にとっての未開の地へと歩きだした。
──────────「まぁ、珍しい」
「そうかい?まぁ、ここまで保存状態がよかったらな」
船の片隅
長身の美女とゴツイおやじがなにやら不思議なものを出して話している。
美女は紫色の髪を耳にかけ、その広げているものを見ている
「お嬢さん、コレ持っていくかい?」
にっこり笑いごついおやじが見ていたかけらを差し出す
見かけによらずいい人のようだ
「いいんですか!?」
彼女はぱっと顔を輝かせた
「いいさ、ここまで考古学について話がはずんだ相手は初めてだ。お礼も兼ね持って行ってくれ」
彼女はそれを受け取り、深々お礼をしてその場を去った。
もらったかけらは琥珀のかけら
中には小さな虫みたいなものが入っている。
年代は・・・まぁ、100や200を大きく上回るだろう
価値としては、そこそこ値を張る。
それを大切に鞄のなかへ入れ、彼女は自室へと歩いていた。
この船、女性がひとりで歩きまわるのは危険すぎる
まわりはがたいの良い男性ばかり。女性なんてめったにいない
だから、彼女はなるたけ部屋にいるようにしたが3日間も部屋でいるのはあまりにも苦であった
たまには外の空気でも吸おうと外に出、さきほどの男と出会ったのだ。
「悪い人ばかりでもなさそうね」
ニコニコ笑いながら彼女は部屋の前に到着した
ドアノブに手をかけた瞬間、いきなり手を掴まれた
「!?」
反射的にその手を振り払う
手に持っていたカバンや本などが地面へ落ちる。
手を掴んできたのは、茶髪の男性
見た目は周りの男性よりはるかに小さい・・・いや、周りが大きすぎるのでたぶん大きいほうなのだろう
「なんなんですか!?」
敵意を込め茶髪の男性へ言い放つ
男性ははっとし、
「すまない、その本を見せてくれないか」
突然の申し入れ
床にある、3冊の本のうち黒い表紙の本を指さす
それを拾い上げ彼女はそれを男に押しつけた
「本が読みたいのなら一言声をかけてからにいていただけない?」
とげのある言葉
男はもう一度謝罪と本を貸してくれたことの感謝の言葉を言った。
そして、すぐに本にかぶりつくようにページをめくりだした
文章をよんでいるわけでは無く、どうやら探し物をしているようだ
数分後、ページをめくる手を止めた
そのページに書かれていたのは「不死の草」
伝説上にしか存在しないと思われる、不死
それを手に入れられるというこれまた伝説上の草
そして、一通り文章を読み本を女性のもとへ返した
「この草がどうかしたの?」
不老不死にでもなるつもりか?
それにしては、欲のある目ではない。
聞かれた男はにへっと笑い
「助けたい人がいるんだ」
と、軽く返す
不死の草───どのような病にも聞くという噂もある
「だから、この島にならあるかもしれないって・・・」
深刻そうな顔を精一杯笑ってごまかす
女性は返す言葉が見つからなかった
必死に探し、出た言葉
「私も一緒に探してあげましょうか?」
意外な一言
男もそして、言った本人もキョトン
「ぇ・・・・?」
「だから、探すの手伝うわ。私こう見えて考古学者なの」
ここまで言って、女はふとひらめいた
「手伝う代わりに貴方には私のボディガードを頼みたいの」
危険がつきまとうこの冒険
女性ひとりでは何かと不便である
見たところ、そう弱いやつでもなさそうである
「ぇ・・・いいの・・かい?」
男はいまだにキョトン
女はクスリと笑い
「是非、お願いしたいわ」
そして、手を出す
それを見て、男はニコリと笑い
「こちらこそ」
固い握手が結ばれた
その時、外で爆発音らしきものが聞こえてきた。
あわてて外をでると、見覚えのある顔・・・
「あいつらっ・・・」
男がつぶやき見る視線の先
水色の髪の少女
赤髪の少年
そして、流れるアナウンス
いつの間にはカバリア島は目前になっていた。
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