魔導師シャ・ノワール 無印偏 第六話 陰鬱 |
この第97管理外世界固有名称、地球に来てからの仕事の進み具合を整理しよう。
集めたジュエルシードは収集したのが二つ。勝負でフェイトに譲られたのが一つ。
つまりまだ3つだけ。未だに18個のジュエルシードが他に存在している。
その内の幾つかは同じくジュエルシードを集めて居る高町なのはがまだ持っているのだろう。
この世界に来て彼是、十数日。はっきり言うと回収速度は思わしくない。
高域探索魔法が使えるのはフェイトだけと言うのもあるが。
ジュエルシードの封印には大量の魔力と高難易度の封印魔法が必要だ。
俺の魔導師としての才は戦闘特化。ベルカ式ということも原因で。
魔法の補助や探索魔法の類は扱えるが如何せん精度が低すぎる。
サポート系なら何人も適役な団員が他にいる筈だ。それにサポート系の者も戦闘で弱いという訳ではない。
正面切っての戦いならいざ知らず。設置式のバインド(拘束魔法)が仕掛けられたエリアでの戦闘となると負ける可能性は大いにあるほどだ。
なぜ団長はこんな仕事を俺に・・・。
このままの回収スピードでは何れ時空管理局にも嗅ぎつけられる。いや・・もう近くまで来ているのかもしれない。
あの高町なのはという魔導師は俺達より先に集めている様子だから発掘者の関係者だろう。
ということは既に通報はされているはず。まあ、どういう訳か魔導師としては素人のようだが。
魔力知は同等以上だろう侮れない相手だ。
しかし俺を雇った雇い主もちょっと異常だ。実の娘をこんな危険な犯罪に巻き込んで。
しかもフェイトの体には虐待の跡が見えた。差して古い傷でもない。
団長ならこういう相手からは仕事を請けずに。逆にこの辛い状況に置かれている娘を攫いそうな物だが・・・。
兎に角、仕事は仕事だ。フェイトには昼間休んでもらい。代わりに俺が一人で探索をするというのが最近のスタンスだ。
フェイトの負担が何分の一にも軽くならないだろうが。俺は俺の出来ることをするしかない
また、戦闘に置いてもいろいろと彼女から制限を言い渡されていてやり難くて仕方ない
最近はフェイトも疲労が溜まっていて限界が近い。これからは探索と封印に専念してもらって
戦い全般は俺が引き受けた方がいいだろう。例え相手を潰す結果となっても
「では、行って来る」
「あ、はい。ノワールさん・・・気をつけて」
「ああ、食事は冷蔵庫に入れてある。暖めて食べてくれ」
「はい」
「アルフはフェイトを頼むぞ」
「あんたに言われなくてもわかってるよ」
「そうか、ならいい・・・」
そして今日も一人で町に出る。
街中の喫茶店を見て思わずあの店とそこの人たちが脳裏に現れ感情が乱される。
こんな世界での仕事は一刻も早く終わりにしたいものだ。
「あーッ!」
「・・・高町なのは」
街中で今度はエンカウントしてしまった。時刻は夕方、恐らく学校帰りだろう。
始末するか?いや・・・流石に気が進まない。さっさと立ち去ろう。
「じゃあな」
「ま、待ってくださいノワールさん!」
「なんだ?仕掛けるなら黙って杖を抜け。不意打ちでも仕掛けてくれるならこちらも気負い無く叩き潰せる」
そっちの方が何も考えずに戦える。潰してしまえる・・・。
「ち、ちがいます!お、お話!わたしとお話してくれませんか!」
「なぜお前と話す必要がある?」
「お父さんから聞きました。いろいろとわたしの事心配してくれてるって」
「俺がお前を?フ・・フハハハハッ!なにを勘違いしている?俺はお前の家族を利用して
ジュエルシード集めをやめさせる為に妨害していただけだぞ?」
俺のやった事を見れば高町なのはの言っていることは正しい。ポジティブな考え方だ。
だが、ネガティブに見れば俺のやった事は間接的な、しかも子供にとって逆らい難い親を使った妨害に過ぎない。
そう・・・卑怯で姑息な手段だ。正面切っての戦いが得意な俺らしくも無い。
「・・・ノワールさん」
「もうこれで最後の警告にしよう。二度と俺達の前に現れるな、次会ったらフェイトじゃなく俺がお前を叩き潰す。二度と杖が持てないようにな「嘘です」あ?」
「ノワールさんは嘘つきです。そんな酷いことする人をお父さんが家の子にしたいなんて言う筈がないの!」
「・・・そんな事、俺が知るかよ」
内々にどうやら高町士郎は俺を養子にできるよう話しを進めているらしい。そう思うといろいろと腹が立ってきた。
「フェイトちゃんもそうだしノワールさんもなんだか悲しい目をしてます
わたしは何でそんな目をしているか知りたいの
わたしはユーノ君が見つけたジュエルシードがこの町に散らばっちゃって
それは危険な物だから集めるのを手伝ってる。それが理由!ノワールさんの理由は?」
「なぜお前が話したからと言って話さないといけないか文句を言いたいが・・・まあいいだろう。フェイトと違って俺の理由は単純だ。雇われた、ただ仕事だからだ。俺は非合法を扱う傭兵団の一員だ」
「傭兵団・・?」
「違法物の運搬から強奪。戦いが堪えない組織や国に肩入れしたり。個人的な強盗や殺人なども請け負う何でも屋
数ある次元世界に住む闇の住人さえ恐れを為す次元犯罪者集団エングレイブ傭兵団 その戦闘魔導師団員ノワール。それが俺だ」
「強盗・・・それに殺人って・・・」
真っ白な世界で生きてきた高町なのはに取って俺の言葉はかなりショックが強いようだ。
「怖くなったか?フェイトが止めなければ会ったその日にお前は俺に殺されていた
お前が今ここに生きて生活できているのは唯の偶然だ。それを覚えて置け。
それから高町士郎に伝えろ。俺に家族は不要だとな」
「そんな・・・そんなのって・・・・」
高町なのはは、道の真ん中で座り込んでしまった
「話しは終わりだ・・・じゃあな、俺達の前にもう現れるなよ」
そんな彼女を放置して俺はその場を後にする。
いつもの俺らしくない・・・喋りすぎた。やはりあの家の人間とは相性が悪いらしい。
いや・・古い記憶にあるこの世界が俺にとってはやはり眩し過ぎるのだろう。
それから俺は僅かに感じる魔力を頼りに俺はビル街へと足を進めた。
高町なのはside
「ただいま・・・」
「あ、おかえりなのは」
「・・・うん。ただいまユーノ君」
「どうしたの?元気が無いみたいだけど」
「うん・・帰り道でねノワールさんと会ってね....」
自分の部屋でユーノ君にノワールさんと話し事を伝えると。
「エ、エングレイブ!?」
「知ってるのユーノ君?」
「う、うん・・エングレイブ傭兵団、大体十年前くらいに現れた犯罪者の集団で中核を成している魔導師はどれも一流クラスの魔導師達で時空管理局も迂闊に手を出せない危険な集団なんだ」
時空管理局がどういう物かちょっと分かりませんが、ユーノ君の話しを静かに聞き続けます。
「でも比較的節度もある集団で。なんていうか・・・時空管理局が手を出せない場所の犯罪者を叩き潰したり
逮捕が難しい権力者を暗殺したりとか。ある意味、闇の警察みたいな人たちで....」
「つまり・・どういうことなの?」
「う〜ん・・・なんとも言えないけど非合法な警察かな?悪い人たちだけどいい事してるみたいな?」
「ッ!?やっぱりノワールさんはいい人なんだ!」
「そ、それはど、どうかな〜・・・(初対面で僕達、殺されそうになったし・・・)」
やっぱりノワールさんは嘘つきだ!お父さんの目は間違ってないし優しい人だ!
きっとすごい不器用さんで!危ないことからなのはを遠ざけようとしてたんだ!
「わたし翠屋に居るお父さんにもこの事話してくるね!その後でまたジュエルシード探しに行こ!」
「あ、うん・・じゃあ僕は先に町に出てるから後で合流しようか」
「うん♪じゃあねユーノ君!」
温泉の一件から魔法がお父さんにばれて。続いて家に帰ってから家族にも話し。
危ないことだけどちゃんとユーノ君の手伝いを認めてもらって。
隠し事をせずにジュエルシード探しを出来るように道を作ってくれたノワールさん。
まだあんまり話したことも無いけど。優しい人で、フェイトちゃんと同じで私は
きっとあの子達と友達になりたいんだ。そして、ノワールさんがどんなことをして来た人であっても
それは多分、仕方がなかったんだと思う。言葉だけでも願いだけでも駄目ならわたしは・・・
「次はノワールさんとも戦ってもちゃんとお話しないとね。レイジングハート」
『イエスッ!マイ・マスター!』
説明 | ||
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。 | ||
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ノワールってツンd(ザシュ?)……ドサッ(紅龍王) | ||
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