魔導師シャ・ノワール 無印偏 第七話 シャ・ノワールの実力 |
時刻は夜の7時過ぎ、海鳴市のビル街。
そこでは封印が切れかけたジュエルシードが魔力を微弱な放出していた。
それを探知した俺はフェイトとアルフに念話で連絡を取り。
微弱な魔力流を撃ち込んで発動を促せるという荒業に出た。
作戦は成功し。発動したジュエルシードを封印魔法をフェイトが放つと同時に。
あのユーノとか言うフェレットの広域結界が発動して。桃色の魔光がジュエルシードに向かった。
「チッ向こうも近かったか。だけどな・・次はねぇと言った筈だ・・・クローシュ!」
『ブリッツアクション!』
上っていたビルから飛び降りながらクローシュを右手に構え。地面と逆さまになった体の天に向く足場に
ブリッツアクションによって発動した反発力場を利用して瞬間加速。
飛行魔法と連動して地面を飛んで行く高町なのはが放った封印魔法の射線上に行き着地
そして空いている左手をそれに向け。
「エリクス」
『エクスプロージョン!』
クローシュから赤い薬莢がガスと共に排出され多重に合わせ重なった黒い三角形のベルカ式特殊シールド障壁が発動し。
飛んで来た封印魔法を弾き飛ばした。それとほぼ同時にジュエルシードもフェイトに封印されバルディッシュに収納された。
頃合を見て念話を二人に繋げる。
【封印完了だな。撤退してくれ二人とも】
【え?ノワールさんは?】
【俺は散々警告しても無視する馬鹿を潰してから帰る】
【えっ!?】
【そ、そんなことをあんた・・・】
【もちろんジュエルシードも奪うさ。それが俺の仕事だからな。それにこれ以上付きまとわれても迷惑だ】
【・・・わかりました。でもわたしは終わるまで待ってます】
【チッ分かったよ。じゃああたしはあのフェレットの相手でもしようかねぇ】
どうやらフェイトは俺を見張るつもりらしい。何処までも甘い...
「・・・所詮敵同士。遣るか遣られるかという関係でしかないのになあ!高町なのは!!」
『ブリッツアクション!』
体を屈めて道路スレスレを縫うように加速し。地上で封印魔法を放っていた高町なのはに迫る。
「ノワールさん!!わたしあなたとフェ『プロテクション!』ふえっ!?」
《ガキィィン!パリンッ!》
離れた位置に居る高町なのはに正面から斬りつけたが。デバイスが優秀なのか。
障壁を張られバリアジャケットを掠っただけで。彼女の胸元の赤いリボンが裂けた。
「俺・・言ったよな?次、来たら叩き潰すって」
非殺傷設定の剣先を真っ直ぐと高町なのはに向ける。
「でもちゃんとあなたとフェイトちゃんとわたし!お話してくて!「ブースト」えっ!!?」
話しを遮りカートリッジロードして、体のポテンシャル及びデバイスの攻撃力を無理やり上げて真上から真下へ鋭い斬撃を加える。
《ギキィン!!ピシッ!》
杖の柄でクローシュの斬撃は防がれたが、やはりミッドチルダ式のデバイス。
団長達が使っている物より強度が低い。たった一撃で柄にヒビが入る。
それに彼女が使っているデバイスはインテリジェンスデバイス。
AI搭載型で魔導師の許可無く魔法を発動できたりと扱いが難しいが高性能なデバイスだ。
その代わり耐久度ではストレージデバイスには及ばない。
『フライアーファン!』
距離を取って斬撃から逃げようと高町なのはの足に桃色の羽が現れ空に逃げる。
俺もそれを『ブリッツアクション』を使用して一瞬で追いつく。
高町なのはとの戦いで魔法の射程以外では俺に分がある。
「でも!ただ敵だからって話し合いもせずに戦うのってやっぱりダメだよ!」
「素人が知ったような口を!!」
話し合いをしたからと戦いは止まらない!!なら、最初からその口を喋らなくするほうが遥かに楽だ!
『「レ・メン(抉じ)...」』
クローシェの剣先をすぐ前を飛んでいる高町なのはに突きつける。
先ほどの杖に与えたダメージから受けてはいけないと知ったのか。
それは張られたシールドで阻まれるが。その瞬間、クローシュのカートリッジが一発廃莢された。
『「ソフティーベッ!(開けろッ!)」』
《ギギギギッ!ガコンッ!》
「えっ!?」
剣の先端の中央から上下に開き二つに割れる。食い込んだ剣の先端が上下に桃色のシールドを抉じ開け
剣の根元から刀身に隠れていた短い銃口が現れた。
「カエサル!砲撃!カードリッジフルロード!」
『カエサル・トーナシュ』
カートリッジが一発廃莢され自分の黒い魔光が銃口に集まったところでトリガーを引く。
「カエサル・トーナシュッ!」
《ドゴオオオオオオオオン!》
「きゃあああああああああああああ!!!」
黒い魔力砲撃がゼロ距離で高町なのはを飲み込んでビルに吹き飛び。
回りに真っ黒な粉塵を撒き散らしてビルの中央に埋まった。
砲撃モードであるクローシュのリクス・ポンション・キャノンモード
モードチェンジを行う際に剣の先端を相手シールドやバリアなどの障壁を抉じ開けることができる。
そこから繋げて近距離専用の砲撃魔法『カエサル・トーナシュ』を撃ち込む。
相手は障壁を突破された状態で近距離で砲撃を撃たれる為、この技は俺の必殺技と言っていい攻撃だ。
だが、防御力が高いと分かっている相手にカートリッジが一発消費して撃った砲撃では必殺とは呼べない。
本来なら5発、命令通りにフルロードされた筈だが....
「カートリッジの残弾はまだあるだろ?クローシュ。なぜフルロードしなかった?」
『・・・・』
マガジンにはカートリッジが10発入り。エリクスと砲撃モードチェンジ2発消費。
その時点ではマガジンには8発も残っている筈だ。一発しかロード出来なかったという訳はない。
しかしクローシェはなにも答えない。壊れたか?
こちらの質問には発言の制限は掛かっていない筈だが・・・。
「まあいい。砲撃モード解除、追撃するぞ。ミストラル・ミシィール 数はユイット(8)最大!」
『ミストラル・ミシィール ユイット ロードカードリッジ』
クローシュが再び剣に戻り、カートリッジが一発廃莢された。そして体の周囲にハンドボールほどの8つの黒い誘導弾が浮かび上がる
「行けッ!」
合図と共に誘導弾が高町なのはが埋まっているビルに殺到し。
一発一発が大きな爆発を起こして。結果、高町なのはを飲み込んだままビルは爆発により倒壊した。
ミストラル・ミシィール 誘導弾にしては威力が大きく。
一発の大きさがハンドボールほどもある誘導弾。速度が遅いがその分誘導性は高く操作がし易い。
威力は一発で十数mを巻き込んで爆発する為、直接誘導弾を体に当てる必要も無い高威力魔法。4つ以上の発動でカートリッジの使用が必要。
さて、これで勝負ありだろう。あとは気が進まないが拷問紛いに脅してジュエルシードを奪うか。
デバイスを分解して強制的にジュエルシードを回収しよう。
『・・ッバイン』
「チッ!」
空中で体を逸らし。飛んできた中威力の砲撃を回避する。
瓦礫の中からボロボロのバリアジャケットに身を包んだ高町なのはが現れた。
頭からは血を流し体のいたる所から軽い出血をしていて。
体は地面に倒れたまま上半身を起こしているだけで、デバイスも左手だけでフラフラと構えている。
「はぁ・・はぁ・・はぁ・・・まだ・負けて・・・・ない・・」
「こいつ・・・ああ、そうかい。なら倒してやるよ!」
地上に降り立ち。高町なのはと同じ位置になり。ゆっくりと彼女に向かって歩き出す。
そして彼女は悪あがきを始めた。
「・・・デバイン」
『バスター!』
「エリクス」
『エクスプロージョン!』
左手で張った多重シールドで軽々とデバインバスターを防ぎ、その砲撃が止むと再び歩き出す
彼女との距離は既に数m、走れば一瞬で切り倒せるが、そこでもう一度砲撃が来る。
同じようにエリクスで防いでまた近づく。もう手が触れれるほど近くに接近した
「もう終わりか?」
「はぁ・・はぁ・・・」
息が荒い。拷問は面倒だな。デバイスを解体させてもらうとしよう
「次、目が覚めたらデバイスもジュエルシードも無くなってるだろうが。それはお前が選んだ結果だ。・・・じゃあな」
そして俺はクローシュを振り下ろした。
《・・・・》
しかしなにも感触が伝わらず音も響かない。振り下ろした右手には重さが無く。見ると手には何も無かった。
代わりに十字架のペンダントがキラリッと俺の胸元で揺れて輝いた。
どうやら勝手にデバイスが待機状態に入ったらしい。最後の最後で壊れたか?
「おい・・クローシュ」
『・・・いやにゃ』
受け答えができることで壊れている可能性は消えた。
「命令だクローシュ。展開しろ」
『・・いやだにゃ!もういやにゃ!どうしてご主人さまは戦うにゃ?ご主人も本当はこういう事、嫌にゃんじゃないのかにゃ!!?』
「・・・黙れ」
仕事に好きも嫌も俺には関係ない・・・・。
『もう自分に嘘をつくのはやめるにゃ!このまま続けたらご主人さまの心が壊れるにゃ!クローシュが出会う前は知らにゃいけど。クローシュとご主人さまが戦った相手はみんな悪い奴だったにゃ。だけど目の前の子は違うにゃ。とってもいい子にゃ!』
「黙れと・・言っている・・・展開しろ、壊されたいのか?」
『クローシュはご主人さまになら壊されても構わないにゃ!だから一つ言わせてもらうニャ!』
もうこいつは廃棄処分だな・・・。主の命令の聞けないデバイスなど使い道は無い。
「・・・・言ってみろ不燃物」
『なぜご主人さまは泣いてるニャ?』
「俺が・・・泣いてる・・だと?」
左手で顔を斜めに撫でると、手には透明な液体が付着していた。
よく感覚を澄ませると目じりも熱くなっている。
知らず知らずの内に俺は涙を流していたようだ。
『気づいてなかったにゃ?』
「・・・・」
『ご主人さまは自分で思ってるより本来、暖かな人間にゃ。優しくて寂しがり屋にゃ』
「五月蝿い・・・」
デバイスなんかに俺の気持ちが分かってたまるかッ!
『だんちょーからクローシュはご主人さまの育ちも知ってるニャ。だけどここはご主人が育ったところじゃなくて、今なら願えば家族の温かさに包まれることもできるはずにゃ。だからもうやめるにゃ』
「・・・・ッるさい!俺は!」
「ノ・・ワール・・さん・・・」
「ッ!!」
いつの間にか高町なのはがデバイスを地面に付いて立ち上がって。徐にこちらに倒れて来て....
《ぎゅ》
「!?」
背中に手を回され抱きしめられてしまった
「えへへ・・捕まえた・・・わたし・・もっと・・ノワールさんと・いっぱ・・い・・・おはなし・・・した・い・・・」
それを言ったきり高町なのはは、気を失い。思わず地面に落ちないように支えてしまう。
「俺は・・なにを・・・」
突き飛ばして捨ててしまえばいい物を・・・俺はバリアジャケット越しに伝わる人の体温が温かくて・・・
『どうするにゃ?ご主人さま』
どう・・する?コイツは・・敵・だ・ぞ・・・?
だが・・・今の俺には・・・殺すことも捨てることも出来ない・・できるはずが無い・・・
「・・・・精神が安定していない。クローシュ、制御は任せた。フェイト達に念話を繋いでくれ」
『はいにゃ!』
【俺だ】
【どうなりましたか?】
【多分・・・戦いでは勝って勝負に負けたんだろうな・・・・俺は】
【どういう意味ですか?】
【こっちの話だ・・・二人とも撤退だ。アルフはいるか?】
【おう!こっちはこっちでまだやってんよ!】
【そっちのフェレットに伝えて置いてくれ。高町なのはを必ず家に帰すから先に帰っているようにとな】
【え?そ、それってどういうことだぃ...】
『念話を切断しましたにゃ』
「ああ、ナイスだ。それじゃ行くぞクローシュ」
『はいにゃ!』
俺は高町なのはを抱き抱えたまま、セーフハウスへと戻った
説明 | ||
神様などに一切会わずに特典もなくリリカルなのはの世界へ転生した主人公。原作知識を持っていた筈が生まれ育った厳しい環境の為にそのことを忘れてしまい。知らず知らずの内に原作に介入してしまう、そんな魔導師の物語です。 ※物語初頭などはシリアス成分が多めですが物語が進むにつれて皆無に近くなります。 ※またハーレム要素及び男の娘などの要素も含みます。さらにチートなどはありません。 初めて読む方はプロローグからお願いします。 | ||
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コメント | ||
戦闘中のなのはの魔法名『フライアーファン』ではなく『フライアーフィン』ではないかと思います。(karinto2514) | ||
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