真・御使い伝8 |
チュンチュン
一刀「・・・・・・・・重い」
右を見ると恋がすやすやと寝ている。普段の引き寄せられるような瞳は閉じているが、その寝顔を見ているだけでこちらまで癒されてしまいそうになる。そして左を見ると蒲公英が寝ている。普段の小悪魔っぽい笑顔もそれはそれで可愛いものだが、こうして大人しい寝顔を見ていると純粋に可愛いという感情だけが残る。
・・・・・・・・・・・・いやーそれにしても窓の外はいい天気だ。こんな日は外に出て体を動かすなり、町に行くなりするのが一番だ。さあ今日はどうしようか。
え、なぜいきなり明後日の方向のことを考えているのかって?
たしかにこんなに可愛い女の子たちを両手に花状態で朝を迎えられるなんて、元の世界では考えられないことだ。その割には冷静だって?これは冷静なのではなく頭で理解できていないだけだ。だってそうだろこの二人のことだ。夜中や早朝に潜り込んできたとしても、おかしくはない。俺もそれをうれしく思わないわけがない。ましてや、その可愛い寝顔を無視することはしない。俺だって普通の男なのだから。でもな・・・・・・・・
なんで二人とも裸なんだー!!!!!!!!!!!!!!!!!
誰だ!!!今『もうやったかこの種馬』って思ったやつ!!種馬なんて呼ばれたことないのになんかグサッときたぞ!!!それに俺は何もしていない!!!
と、とりあえずこの状況を何とかしないと。
一刀「恋、起きろ恋!」
まずは恋を起こしにかかる、なるべく顔だけを見て、そう“なるべく”顔だけを見て
恋「・・・・・・うるさい」
一刀「ヒィイイイ!!!」
すごい殺気を出された。これは無理やり起こしたら殺されそうだ。じゃあ蒲公英の方を起こそうと思ったら、恋がより一層体を密着させてきた。
あ、・・・・・可愛い。
ふにゅん
一刀「(ふぉおおおおおおお!!!!密着度がヤバい!!それにしても恋って、スタイルいいよなー)『ヒタッ』ひぃいいいいいいいい!!」
またこの首筋に走る冷たい感覚いったい何なのだろう。ふと、考えていると、
ぎゅううううううううううう!!!
一刀「痛っ!!!痛い痛い!!」
左から今度は、はっきりとした痛みの感覚が伝わってきた。左を向くと蒲公英が頬をこれでもかというほど膨らませてこちらを見ていた。
一刀「ええっと蒲公英さ「・・・・・・・贔屓」いや蒲公英さんあのね「贔屓」だからあのねなにが「贔屓」・・・・・・・・」
反論さえも許さないこの状況。何が原因かはわからないが、どうやら完璧に拗ねてしまっているようで、背を向けてしまった。
一刀「おーい、蒲公英。機嫌直してくれよー。」
兎にも角にも蒲公英の機嫌を直さないとこの状況への経緯もわからないままだ。それに俺が起きてからもそれなりに時間が経過している上に、時間的にもみんなが起きだす時間にはなっているだろう。それにこんなことを考えていると決まって、
愛紗「ご主人様―!!そろそろ起きてください。今日もご主人様に意見を伺いたい案件がいくつも・・・・・・・・・・・」
静寂が部屋を包む
一刀「あ、愛紗さん、別にこれは君が想像しているようなことはなくてだね」
恋「・・・・んー、ご主人様・・・・もっと」
愛紗「・・・・・・・・・・・・・・・・・」
恋さーん!!なんでこのタイミングでその寝言!!!あ、そうだ蒲公英ならこの状況を・・・・
蒲公英「(むすぅうううううううううううううう)」
ああ!!まだご機嫌斜めでいらっしゃった!!
愛紗「・・・・・ご主人様。いいえ、もう何も言いません。お覚悟を」
一刀「ち、ちょ、ちょっと待ってー!!!!」
このままでは確実に殺される!!こうなれば一か八か、
一刀「恋、恋!!起きてくれー!!」
最後の手段とばかりに枕にされている腕もゆすって起こそうと試みた。
恋「ん、んー」
あともう少しだ!!早く早く!!修羅が!鬼が!!武神がー!!!!
恋「・・・・・・・・うるさい(怒)」
ブンッ
ガシャン
ドスン
一瞬何が起こったのかよくわからなかった。いつの間にか窓を突き破り、恋に投げ飛ばされたと気づいた時には空を舞っていて、そして地面へダイブ。
愛紗「逃げるとは、やはりやましいことがあるのですね!!!その性根叩き切ってあげましょう!!」
普通そこ叩きなおすだよね?!切ったら死ぬよ!!とにかく逃げなければ!!とりあえず身の危険を感じ逃げ出した。
逃げ出したはいいけど、愛紗の怒りは収まっただろうか?
桃香「ご主人様―!!どこにいるのー?大丈夫だよー。愛紗ちゃんは落ち着かせたから!!」
一刀「(グッジョブ!!桃香!!助かったー)」
茂みから出て行こうとすると、
朱里「と、桃香様―!!この本に書かれていたもの揃えました。」
桃香「ありがとう、朱里ちゃん!!これであとはご主人様をつかまえるだけだね♪」
朱里「でも、桃香様。この本って・・・・・」
桃香「あっ、それ?華琳さんが前持っていたの思い出して買ってきたんだよ♪『男を意のままにできる調教術』」
朱里「あのー桃香様、この本私にも読ませて・・・・」
桃香「うん、いいよ♪他のみんなも読みたいって言ってたからみんなでね♪さぁ、ご主人様探そ!!ご主人様―!!どこー!!」
一刀「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・」
しばらく固まって動くことができなかった。
とりあえず城内は危険だと判断し、近くの森の方へ逃げてきていた。
一刀「さーて、どうしようか。ほとぼりが冷めるまでは身を隠さなきゃいけないし・・・・。それにしても蒲公英なんで機嫌悪かったんだろう?うーん・・・・・・『ズボッ」うぉあ!!!!」
ドスン
一刀「い、痛たた・・。なんなんだいったい?」
考えながら歩いていたせいか足元がおろそかになり、落とし穴にはまってしまった。
一刀「なんなんだ!?この落とし穴。結構深いな。いったい誰だよこんな穴掘ったの・・・・。誰かー!!!助けてくれー!!!」
まあこんな森の中誰も助けには来ないだろう。
一刀「はぁ、なんでこんなことになったんだろう」
??「・・・・・・・・・・・・」
一刀「このままだったら桃香たちに捕まるだろうし、まぁ無理すれば登れなくもないけど、服汚れちゃうしなー。どうしようかなー?」
??「・・・・・・・・・・・・」
何かものすごく視線を感じる。ふと上を見ると・・・・・・・・
蒲公英「・・・・・・・・・・」
蒲公英がこちらを見ていた、
一刀「・・・・・・・・・・・」
蒲公英「・・・・・・・・・・」
一刀「(・・・・声をかけづらい)だ、誰かいないかー!!」
蒲公英「・・・・・・・・・・いるけど」
一刀「(うわぁあああああああん!!!蒲公英が怖いー!!!!!!!)え、ええっと蒲公英さん?」
蒲公英「・・・・・・・・何?」
一刀「い、いえ!!な、何でもないです!!」
蒲公英「(イラッ)」一刀「あ!い、いやそうじゃなくてなんていえばいいのかなぁ、ええっと勘違いだったらすまないけど、もしかして怒ってる?」
蒲公英「ご主人様がそう思っているんならそうなんじゃないかなぁ?」
一刀「ええっと、・・・・ちなみになんで?」
蒲公英「な、なんで?・・・・・って本当にわからないの?」
一刀「・・・・・残念ながら」
ブチっ
蒲公英「もう!!この鈍感!!!女たらし!!!不能―!!!!!」
一刀「え、ちょ、なんで!?いきなりの罵倒!?」
蒲公英「あぁ!!!もう!!朝隣で寝てて、その上、あんなおいしい展開で手も出されないんじゃ、それは怒るよ!!!」
そんな無茶苦茶な・・・
蒲公英「・・・・・・・それに蒲公英には目もくれず恋の裸ばっかり見てたし・・・・」
・・・・・・・あきらかにそっちの理由な気がするのだが
一刀「いやいや、そもそも恋のも見てないし」
蒲公英「あれ、そうだったの?私の勘違い?」
どうやら誤解が解け始めたようだ。この調子なら・・・・
一刀「そうそう。それにそんなことする気なんて全然ないし、絶対ありえないよ」
蒲公英「・・・・・・・絶対?」
一刀「絶対!!」
蒲公英「(ズキッ)・・・・・・・・・」
あれ・・・・・・なぜか黙り込んでしまった
一刀「あのー、・・・・・ガフッ」
いきなり土の塊のようなものを投げられた
一刀「な、何を・・・・えっ!?」
蒲公英「・・・・・・・バカっ」
蒲公英が泣きそうな顔でそのままどこかへ行ってしまった。その悲しそうな、今にも泣きだしそうな表情があの夢の女の子と被ってしまい、心が痛む。そこでやっと気づく
一刀「・・・・・・バカだなぁ俺・・・・・・」
蒲公英SIDE
蒲公英「あぁ、最悪、ご主人様きっとあきれてるよね。勝手に勘違いして、勝手に怒って・・・・」
ぽつぽつ
蒲公英「雨だ、ご主人様あの落とし穴から抜け出せたかな?戻って助けてきた方がいいかな?でも、蒲公英が行っても迷惑だよね」
ポタッポタッ
蒲公英「あれっ?なんで涙止まらないや・・・・・蒲公英嫌われたよね、もうご主人様に好きになってもらえないのかなぁ・・・・・・嫌われたくないよー」
もう涙が止まらない、そして容赦なく降り注いでくる雨で体が冷えてくる。
蒲公英「ご主人様・・・・・」
一刀「蒲公英」
蒲公英「ふぇ!?」
心地よい暖かさと共に、今一番聞きたかった人の声がした。そして後ろから抱きしめられているのだと気付いた。
一刀「こんなに体冷やして・・・」
蒲公英「ふぇ!ご、ご主人様!!!ど、どうしてここに?」
一刀「蒲公英ごめん。俺は君を傷つけた」
蒲公英「違う!!ご主人様は悪くない!!私が勝手に傷ついただけなのに、私はご主人様を・・・・・んっ!!」
それから先の言葉は出せなかった。
一刀SIDE
落とし穴から抜け出し、必死で蒲公英を探した。このままでは一生後悔するような気がした。
一刀「はぁ、はぁ・・・・・見つけた」
見つけた彼女の背中はとても小さくいつもの元気のかけらも見られない。そして聞こえた声
「・・・・ご主人様」
自分の頭の中で何かがはじけた。そして後ろから抱きしめていた
一刀「蒲公英」
今は愛しくさえ思えるその名を呼んだ
蒲公英「ふぇ!ご、ご主人様!!!ど、どうしてここに?」
彼女はとても驚いていた。そして彼女の顔には涙の痕、目も少し赤くなっていた。自分が彼女にこんな思いをさせてしまった、泣かせてしまった。そう思うと、胸が苦しかった
一刀「蒲公英ごめん。俺は君を傷つけた」
謝罪の言葉を述べる、しかし
蒲公英「違う!!ご主人様は悪くない!!私が勝手に傷ついただけなのに、私はご主人様を」
違う・・・自分が彼女を追いかけてきたのはこんな顔をさせるためじゃない、自分の気づいた気持ちを伝えるためだ。そしてもう抑えきれなくなった想いに任せ彼女の唇を奪う
蒲公英「ん、んぅ」
少し苦しそうに身をよじる、例え拒絶されてもいい今はただこの想いを少しでも・・・・。雨が降り続いているはずなのにとても静かに感じる。まるで何もない空間に二人だけがいるようなそんな不思議な感じで、心が満たされていく・・・・。
蒲公英「は、はぅううううう」
唇を離すととろけた表情で、ぼぅとしていた。その状態がまた可愛く、頬にキスをする
蒲公英「!“#$%&‘()」
あ、この反応なんか翠に似ている。やっぱり姉妹なんだなぁ
蒲公英「ご、ご、ごごご、ご主人様!!いったい何を・・『蒲公英、好きだよ』しているの!って、へ!?」
一刀「この世界に来てまだ蜀に来て間もないけどみんなすごく優しくて、好意を寄せてくれて、一緒にいると本来の目的さえも忘れてしまう位この場所が気に入っていて、もう一緒にいられることを普通に感じていて・・・・でも、当たり前のことに気づいていなかった。俺は蜀のみんなが、そしてそれを気づかせてくれた蒲公英も大好きなんだって」
ぽろぽろ
一刀「えぇええええ!!」
蒲公英が目に涙を浮かべる
一刀「ご、御免!!やっぱり嫌だったか?」
蒲公英「違うよ。嬉しいんだよ。蒲公英、ご主人様に嫌われたとばっかり思っていたから・・・・」
一刀「そんなわけないだろ。言ったろ好きだって」
蒲公英「そっか!蒲公英もご主人様のこと大好き!!!にしし、でもご主人様さっきの告白、蒲公英一人だけに向けられたものじゃないよね。堂々と「何股でもかけます」って言ってるようなものだよね」
一刀「う、それを言われると、申し訳ないと言うしかないんだけど・・・・でも、蒲公英が好きだって言うのに嘘はないぞ!!」
蒲公英「わかってるって!!だって蒲公英が好きになったご主人様ってそういう人だもん!」
一刀「はっはははは・・・・」
もういつも通りの蒲公英に戻っていた。
ザーザー
雨が本格的に強くなってきた
一刀「うわっ!!これはどこかで雨宿りしないと!!!」
蒲公英「ご主人様!!あそこに洞穴があるよ!!」
ひとまず雨をしのぐために洞穴へ入り、暖を取ろうとする
一刀「これはしばらくやみそうにないな。火も起こしたし、しばらくは・・・うわっ!!!!」
振り向くと蒲公英が服を脱いでいた。
一刀「な、何しているんだよ!」
蒲公英「え!?だってこのままじゃ風邪ひいちゃうよ!」
一刀「じゃ、じゃあ俺もう少し燃やせそうなもの探してくるからその間に・・・・・ひゃぅ!!」
蒲公英がくっついてくる。
蒲公英「駄目だよ!それじゃあ、ご主人様が風邪ひいちゃう」
一刀「い、いや、だからって・・・・」
蒲公英「やっぱり、蒲公英の体じゃそんな気にならない?朝もそうだったし・・・・」
一刀「あ、いや、そんなことはないし、蒲公英はすごく魅力的だし・・・・」
蒲公英「ねぇ、ご主人様?ご主人様が蒲公英たちを大切に想ってくれているのは、わかるけど」
一刀「で、でも俺は・・・」
蒲公英「ご主人様、蒲公英が何にも感じてないと思ってる?蒲公英ね、今すごくドキドキしてるんだよ」
手を胸に当てられ、そこから心臓の速い鼓動を感じる。
蒲公英「蒲公英、勇気出してるんだよ、さっきご主人様に拒絶されたと思って、でもそれは蒲公英の勘違いだってわかった今でも拒絶されるんじゃないかって怖いんだよ。でも勇気を出さなきゃ気持ちは伝わらないから・・・・・」
一刀「蒲公英・・・・・・」
蒲公英「ご主人様、今は・・・・・・・・私の気持ちだけがはっきり伝わっている、今だけはご主人様は蒲公英のものだよね?蒲公英だけを見ているんだよね?」
自分の鼓動が速くなるのがわかる、理性をやっと保っているそんな状況だ
蒲公英「ご主人様・・・・・・大好き!!!!」
そしてキスをされる触れるだけのキスではない、脳が蕩けそうになるほどの甘く、深いキス・・・・・もう、抑えることはできなかった・・・・・否、抑えたくなかった
一刀「蒲公英・・・・・好きだ」
こうしてこの日蒲公英と結ばれた。
あとがき
個人的に蒲公英は好きなキャラの1人で、ベタなシチュが一番合うのも蒲公英だと思っています。だいぶ構想もまとまってきているが、蜀の話をどこまで引っ張って、次の展開に持っていくか、そこが難しい。駄文ではありますが、楽しんでいただければ幸いです。感想、コメントもお待ちしています。
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ベタなシチュだけど、個人的には満足!! | ||
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アーモンドさん>>やっちゃってください!!!!思いっきり!!(Freedom) グリセルブランドさん>>>>華琳さん、僕は関係ありません!!一刀が勝手にやったことです!!(Freedom) デュークさん>>どんな外史でも一刀は愛紗のジェラシーを回避できないですね(Freedom) モゲテシマエ.....いや俺がモイデやる(アーモンド) 華琳 「フフ・・・ホント再会が楽しみ・・・(絶を砥ぐ音)」(グリセルブランド) 一刀、うらやまずるい!!…まあ、帰ったら覚悟しとけよ、恐ーい愛紗がつの生やして待ってるからなwww (デューク) |
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