魔法戦記リリカルなのはmemories 閑章 第七十八話 |
だがそのオリヴィエの思いは数日の内に脆く崩れ去る。
さまざまな次元世界にて守護騎士の四人が目撃されているのを見かけ、隠れてみていた人の中にはオリヴィエと同じように徴集するところも見かけた人もいたらしい。
オリヴィエが思うにはその徴収には何かあるのだろうと思い、なんとしても阻止したかったのだが、そう簡単に守護騎士を倒すように部下たちを赴かせても、守護騎士以外にも仲間が良そうな気がするという事もあってオリヴィエの部隊にもかなりの被害を及びかねなかった。
しかしこれといって良い打開策も見つからない。何度もオリヴィエ自身の脳内を回転させてはいるのだが、それでも良さそうな案は思いつかなかった。
いや、一つだけあると言えばあるのだが、それを使うのはオリヴィエがティルヴィング同様に好んでいない。
聖王家の最終兵器ともいえる聖王のゆりかご。これを使えば敵を簡単に一掃でき、こちらに被害が起こることはないのだから一番良いのだが、人を殺すのを最小限にしておきたいというオリヴィエの思いもあるがために使うのを躊躇っていた。
ティルヴィングもあまり使いたくないのはそういう事だ。ティルヴィングは確実に敵を仕留める事が可能であるし、たった一人でも勝てる可能性だってあり得る。ティルヴィングの場合は敵国の王だけを殺す事だって可能であるが、その王にかなりの忠誠を誓っている人間が生き残っていれば意味がない。そこまでティルヴィングが細かく殺す事はかなりの難しさだし、密かに隠れて王に忠誠を使っていた人物が王になる可能性だってあり得るから確実に仕留めることは不可能だった。
結局そうなるとティルヴィングを使うときは敵の兵を一人残らず殺すという事が一番手っ取り早くなるなってしまうのだ。だからこそオリヴィエは使いたくなく、最小限の死者で済ませたいというのがオリヴィエの中で一番強かった。
だから今ここでオリヴィエは悩んでいた。ティルヴィングや聖王のゆりかごを使えばあっという間に解決するかもしれないが、それ以外に方法はないのかと。あれからベスカの通達も一度もないし、ほぼ手詰まりだった。
「一体どうすれば……」
どうも打開策が見つからない。自分の魔力が回復するのを待っている間にも被害が増えているというのに、何もできないでいた。
いや、聖王のゆりかごを使えば魔力が完全に回復してなかろうとすぐにでも動かせるのが、先ほど言った通り聖王のゆりかごはあまり使いたくない。使うか使わないかによって無関係な人を救えるかもしれないという事を考えてしまうと、オリヴィエにとってかなりの悩むところだった。
「オリヴィエ聖王女。少しよろしいでしょうか?」
「……とりあえず入れ」
突然ノック音が聞こえ、少しの合間もなくその人物がドアの前でネネの声が聞こえ、部屋へ入るように言う。
「要件は?」
一体何の要件なんだろうとオリヴィエは思いながらも、ネネの言葉を待っていた。
「はい、先ほどベスカから連絡があったのですが……」
「……どうしたんだ?」
何か言いにくそうな感じではあり、オリヴィエは言い淀むという事は大体の話が良い事ではないだろうと思った。
「夜天の書による襲撃がこの数日で急激に急増し、無関係な一般人が次々に殺されていってるようです。夜天の書に関係なく、戦争に巻き込まれて殺される人も多数だと……」
「なっ!? もうそこまで来ていたのか!?」
「はい、今のうちに手を考えておかないと手遅れになると……」
オリヴィエはさすがに驚いていた。もう少し先だと思っていたが、もう彼らは次々に世界を制圧していおり、被害がかなり大きくなっていたとは連絡が来るまで思いもしなかった。
完全なオリヴィエの選択ミスだった。ティルヴィングや聖王のゆりかごを使っていれば多分このような事態になっていなかったはずだし、未然に防げただろう。最小限の死者で済ませたいと思ったオリヴィエの考えが仇となっていた。
これではオリヴィエが考えた通りでは意味がない。このままいけば無関係な人間が次々に殺されていく一方だった。
「……私のせいだ。私が欲張ったせいで無関係な人間をたくさん殺したっ!!」
「オリヴィエ聖王女のせいではありません!! すべては世界を制圧しようと考えている彼らのせいです!!」
「しかし、このような状況を齎したのはある意味私のせいでもある。私が、ティルヴィングと聖王のゆりかごを使うのを拒んでいたからこそこのような事態を招いた!!」
自分に対する苛立ちがオリヴィエの中に残っていた。戦争なんだからこそ、最小限に抑えるためには敵国の人間を使えるだけの戦力を使うべきだった。しかしオリヴィエはティルヴィングと聖王のゆりかごを使わずとも倒せるという慢心に思っていたためにこのような事態になってしまった。一番の理由は敵を侮っていた事でもあり、またそれは聖王家の人間全員が思っていた事だった。
この時代、聖王家に敵対することはどの他国も無駄死にして国が負けるだけだと言われており、またそれはティルヴィングや聖王のゆりかごを使わずとしてもそれくらいの戦力を聖王家は持っていた。
だから今回もすぐに終わらせられるだろうと誰もが思っていたのだが、何処に敵国の本土にしているのか分からず、拠点している場所が分からなければ攻めようがなかったのである。
さらにオリヴィエの最小限に抑えたい気持ちのせいによって、余計に対処が遅れてゆき、今のような状態をもらたしてしまった。これ以上、関係ない人間を殺す事は出来ないところまで来ていたのだ。
「……ぐちぐちしている場合ではないか。本当ならば休むべきなのだが、そのような暇はない」
「オリヴィエ聖王女?」
「ネネ、今すぐ城の広間にすべての人間を集めろ。こうなってしまったのだからもう私も手段を選ばないことにする」
「もしや、久し振りに聖王のゆりかごを動かすのですか!?」
「それしかないだろう。やりたくなかったが、ここまで情報が入らなかったのはあまりないし、聖王のゆりかごやティルヴィングを使わないという余裕はないのだから」
「……分かりました。それで出陣は?」
「広間にて話す。これからの事をな」
オリヴィエはすぐに立ち上がり、ネネはとりあえずオリヴィエに言われた通り広間に仲間を全て集めるように行動し始めた――
説明 | ||
J・S事件から八年後、高町なのははある青年に会った。 その青年はなのはに関わりがある人物だった。 だがなのはにはその記憶が消されていた。 消されていた記憶とは、なのはと青年の思い出であった。 二人が会ったことにより物語は始まり、そしてその二人によって管理局の歴史を大きく変える事件が起こる事になる。 それは、管理局の実態を知ったなのはと、親の復讐のために動いていた青年の二人が望んだことであった。 魔法戦記リリカルなのはmemories ?幼馴染と聖王の末裔?。始まります。 |
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